風雲児  烈風伝
   ・年末遠征 枕崎&竹島。
      望みを捨てぬ者だけに道は開ける・・・のか?


2016年 12月29日〜30日 鹿児島県枕崎沖磯、竹島

・今年も時化に阻まれて  神戸港〜宮崎港〜枕崎   12月27日夜〜28日

 磯際の丸見えの海底が僅か1kmで水深500m超まで落下する島。人口80人余り、鹿児島県枕崎市と屋久島の中間に位置する“鬼界カルデラジオパーク”鹿児島県三島村竹島。
 この竹島での瀬泊まり二日釣り、それが熊本県南部在住の「かまちゃん」「uenoさん」「M中さん」と企てた今回の遠征の目的でした。

 しかしこの時期の日程最優先の瀬泊まり釣行なんて、10回挑んで1回やれれば上出来なんじゃないでしょうか。
 今年も神戸港発のフェリーに乗り込む前から瀬泊まりは赤信号、29日の日帰り釣行も限りなく赤に近い黄信号でしたが、今年は特に日程変更の余地が無く、とりあえずそのまま上陸して枕崎港を目指すしかありませんでした。

 番所鼻(タツノオトシゴハウス)からの開聞岳と海の池。
天気晴朗なれど波高し。
 宮崎港には28日9時過ぎに上陸。今回は都城から鹿屋市(高隅町)を抜けて垂水を目指します。そしてその道中、大隅湖のほとりの「鹿屋市民族館」で一休み。
 そこはアジア各国の楽器や衣装が展示され、無料で実際に触れたり弾いたり着たりできるという珍しい施設でした。
 私は職員の方からベトナムの琵琶やら、インドの琴やら、インドネシアの打楽器やら、フィリピンの少数民族の謎の楽器やら、宮崎県南部に伝わる「ごったん」やらについての詳しい説明を聴き、そのお返し(?)に展示品の馬頭琴(モンゴル国の擦弦楽器。通称「草原のチェロ」)で星野源の恋とかラヴェルのボレロとかを演奏してみたり、生まれて初めて触ったヴァイオリンでショスタコーヴィチの協奏曲の一節をなぞるという無謀なことをしてみたりと、予想以上を遥かに超えた楽しい時間を過ごしてしまいました♪

 その後、高峠を越えて、すっかり大人しくなった桜島を見ながらフェリーで鹿児島市へ渡り、谷山まで達したところで「かまちゃん」との連絡が付き、翌29日の竹島の欠航が確定したこと、私の次善の策・枕崎の沖磯での釣りにかまちゃん達3人も参加しつつ、30日の竹島日帰り便の出港に賭けることなどを伝えられたのです。

 場所はともかく、翌日の釣りが確定したのは喜ばしいことです。それも4人での竿出しという最高の形になろうとは!
 私は頴娃(えい)にある観光養殖場「タツノオトシゴハウス」でしか手に入らないおもしろ土産、タツノオトシゴ粉末入りの「たつのおとしご“イクメン”クッキー」をゲットするや大急ぎで枕崎に向かい、餌や食糧の準備、ベストやロッドケースの中身の入れ替え作業に励みました。渡船乗り場にも顔を出して、船長からの情報収集もバッチリです。
 

・大盛況の枕崎にて  枕崎沖磯 黒瀬   12月29日
 海星丸は懐かしの黒瀬へと向かいます。

 枕崎の沖磯に渡す海星丸はこれまでに経験したことの無いほど大盛況でした。最近40cm後半の口太グレが連発しているそうですし、北西の強風の予報に風裏となるこの場所に多くの人が逃れてきたというのもあるのでしょう。

 私たちは2番船での渡礁なのでゆっくりと宿を出て、7時に園田釣具店でオキアミを受け取り、集魚剤と混ぜ合わせていざ港へ!と思ったら、次の瞬間に突然、腰痛という刺客が襲い掛かってきたのです。
 こ、これはヤバい。とりあえずコンビニにでも行って、何かツボに貼るものを・・・。
 ところが、コンビニを数件回ってもエレキバン的なものは売ってませんでした。港で合流するはずだった「かまちゃん」「uenoさん」「M中さん」にはバッタリ会えたのですが・・・。
 まあ代わりに段ボールをもらってきましたから、それを適当なサイズにちぎってズボンの後ろに挿して簡易コルセットにしときました。こうしておけばあとは釣りという薬が直してくれますからね。長い付き合いですから自己流の対策はなんぼでもあるんです。(実際、午後までに全快してたし。)

 さて、船が戻ってきたので予定通り8時ごろに出航、4人一緒になぎさ温泉の沖にある黒瀬に渡礁しました。

 黒瀬は初めて枕崎に来たときにも乗せてもらった磯で、足場もいいし、360度竿が出せるのも魅力的。ただし北西風が強い時には枕崎市街のかつおぶし工場の煙が直撃することがあり、釣果よりも雪の舞う中、一日中涙を流しながら釣りをした記憶が強烈に残っています。
 まあ今回は年末ということもあり、本格的に風が吹き始めた昼前までには操業を停止したらしく、煙にむせることも、風呂に入ったらダシが出るようなこともありませんでした^^

 私が入った東端のポイント。向かいの崖の上はなぎさ温泉
の露天風呂です。(中は見えません。)
 いかにも釣れそうだったかまちゃんのポイント。
沖に見えるのは枕崎の名所・立神。
 風が吹き出してからは4人並んで釣ってました。
 まずはジャンケンでの釣り座決めです。一位抜けはかまちゃんで、ドン深でサラシもあり、定置網のロープというストラクチャーもある南向きのポイント(A)を選びました。二位抜けのuenoさんは北向きの船着き(B)に入って風が吹きはじめるまでの短時間勝負です。そしてM中さんは西向き(沖向き)の先端など何か所かを点々とされた後、南向き東寄りの平らな場所(C)に落ち着かれました。
 私が入ったのは東向き、つまり最も地寄りのポイント(D)。最初は潮が高かったので先端に出られず、付け根の高い所から北向き狙いです。

 その地寄りのポイントにはかなり速い当て潮が集まり、磯際にぶつかるや磯に沿って流れ出し、先端のすぐ沖にあるシモリの向こう側に流れていっています。
 このパターンは前回の沼島釣行で実践済み。磯際の潮上に大量、沖の当て潮に少量の撒き餌と仕掛けを入れて、最終的には二つの合流点で食わせればOK。で、数投目で25cmくらいの尾長グレがヒット。

 以降、尾長グレが程よいペースで連発しますが、サイズは手のひらから同寸から最大でも27cm。潮が下がって先端に出られるようになったので速い潮の中を流し込んでいっても同じサイズがゴツーン。まあ流し込むといってもすぐ沖のシモリを巻いてしまうので、それ以上向こうには流せないのが辛いところ。もっともっと沖まで攻められたらサイズアップも狙えたような気がするんですけどねえ。

 10時過ぎになると北西の強風がやってきました。それまでは中着を脱いでしまおうかと思うくらい暖かかったのが凍えるような寒さに転じ、冷たい雨まで振りはじめてしまいました。
 これには堪らず南向きの風裏に全員が集結。思い思いの方法で釣っていきますが、この南向きのポイントは潮の動きが悪く、みなさん大苦戦でした。
 本命ポイントだと目されたポイントのかまちゃんも食いが止まっていますし、その隣に入ったuenoさんはハリスを1.5号、ハリを2号まで落としてもサシエを食い込まない、放されるとぼやいています。(それでも30cmの尾長を一枚仕留めておられましたが。)枕崎のグレというとウキ下矢引きとか1ヒロくらいで勝負するイメージでしたが、今回はグレは全く見えず、エサトリもチョウチョウウオ2匹しか見ていないという厳しい状況でした。

 しかし、そんな中でも潮の通す私のポイントだけは入れ食いです。強風と速い潮の方向が同じなのでBウキにBとG2のオモリを打って水面下にサスペンドさせ、馴染んだ場所をポイントとしてマキエを流し込んでいくイメージで釣ると、船長推奨の3号よりもやや細いハリス2.5号、ハリ7号のままでも竿引きでガンガン当たってきてくれます。サイズアップはしませんが・・・。
 しばらくそんな釣りを続けてしましたが、隣のM中さんがここまでほとんど竿を曲げていなかったので場所交替し、潮の緩い南向きにチャレンジすることにしました。

 ドン深でシモリもある南向きポイントにはでっかいのが潜んでいそうな気がするのですが、やっぱり潮の中とは違って厳しいものですね。円錐ウキを棒ウキに変更して竿1本〜1.5本の深さを直撃したり、沖のシモリの際や間を攻めてみても、たま〜にコッパ尾長が食ってくるくらいで、事前情報の40cm後半どころか30cmオーバーすらも全然釣れる気がしないと、かまちゃんもuenoさんもすでに諦めモードです。

 でも私は、釣るためにここに来たのです!私は負ける気がしないのです!望みを捨てぬ者だけに道は開けるのです!
 大河ドラマ「真田丸」の名言(迷言)。
 この言葉を信じて道が開けたのは
きり(側室・高梨氏)くらいで、あとはほぼ
全員、ろくな結果にならなかったような・・・。

 正午過ぎ、武岡フィッシングからかまちゃんに「明日の竹島行きはほぼ確定です。詳細は17時ごろに決定します。」という連絡がありました。これには全員がホッとして、今日は17時までは釣らず、15時半の迎えでさっさと帰ることになりました。
 さあ、あと一頑張りだ!

 しかし午後も状況は変わらず、渋い状況が続いていました。そして時刻は14時50分。uenoさんが最初に竿を畳み、残りのマキエを流してバッカンを洗い始めました。すると、流れていくマキエの帯の先にある私のウキがスルスルと水中へ!おおっ、これは今日一番の重量感!なんと32cmの口太グレではありませんか!これには釣った本人をはじめ、全員がビックリです。

 流れが変わった!ここで畳みかければこのサイズがあと数匹は釣れそうな気がしますが、残り時間がもうありません。元々これが最後の一投のつもりだったし、大きな魚は明日釣ることにして、私も片付けに移ることにしました。そして予定通り、15時半の船で枕崎港へ帰還。

 結構期待していた枕崎でしたが、急に水温が下がったのか、終わってみれば寒く辛く厳しい一日になってしまいました。とはいえ、仲間との竿出しだったこともあって、それもまた妙に楽しく思えたんですけどね。他の皆さんも同じような感想だったようです。

 その夜は私も張り込んでみんなで「枕崎観光ホテル岩戸」に宿泊。「これで本当に夕食付き8200円?もしかして違うプランを予約してしまったのでは?」と不安になるくらい、食事も温泉も対応もベッドも最高!ゆっくり休めたので二日目の釣りは気合十分で望めそうです。
(こんな日にもし瀬泊まりなんかしてたら凍死してたで・・・。)





 最後の一投で釣れた32cm。
 日程の都合もあり、Uenoさんに
プレゼントしました。
 硫黄島とM中さん。

 ● 枕崎沖磯 makurazaki-okiiso
利用渡船 海星丸 出港地 鹿児島県枕崎市・枕崎漁港
時間(当日) 8:00〜15:30
(二番船)
料金 4000円
(+1000円で17時まで、
 +2000円で翌朝まで可)
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 数か所のみ磯割り。他は自由。
磯替わり 可能
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・離島で挑む攻めの釣り  竹島 ホラ穴   12月30日

 天気は晴れ。波高2.5mのち2m。最低気温2度。霜注意報発令中。
 武岡フィッシングの第八美和丸が枕崎港の岸壁を離れ、異常な低温の予報が出ている三島村の竹島に向かったのは30日午前4時のことでした。これは、かまちゃんが「南薩で最も時化に強い船を擁しながら、南薩で最も慎重」と評して信頼するこの渡船の船長が「普段より1時間ほど遅く出て1時間ほど遅く帰ることで時化のリスクを少しでも減らす」という判断を下したからに他なりません。

 船が竹島の南岸に到着し、私たち4人が「ホラ穴・右」という地磯に渡礁したのは6時前くらいだったでしょうか。東の水平線にはもううっすらと赤みが差しています。大型尾長(ワカナ)のゴールデンタイムは残り僅かだ!

 ホラ穴の船着き。回収時の写真。
 この日もジャンケンで釣り座を決めて船着きで4人並んで釣ることになりました。しかし他の3人は渡船から受け取った凍ったオキアミに手こずっています。
 そこで私は私は必勝の策を秘めたマキエを前夜に仕込んでいたのでそれを撒きつつ、大島4号に道糸8号を巻いたファントムJを装着し、ワンタッチでセットできるように仕込んできた2号の電気ウキ、ハリス10号、閂マダイ10号という仕掛けを繋いで一足先に磯際へ投入。すると一投目からウキが消えてナミマツカサが登場しました。

 それから3人も加わって集中攻撃を加えましたが、サシエを盗られたり盗られなかったりで、私がマツカサをもう1匹追加しただけで明るくなってしまいました。
 
 まるで昨日の枕崎の再来のような時間が動き始めたのは日の出直前のことでした。
 まずはスタート時点から昼釣りタックルで挑んでいた左隣のかまちゃんに30cmくらいの尾長がヒット。
 さらに日の出と同時の7時15分には右隣のuenoさんが突如強烈な引きに悶絶!!磯際での息を呑む戦いの末に上がってきたのは尾長かと思いきや竹島名物カンムリベラでした。私がタモで取り込みをサポートすると、uenoさんは続いて40cmの口太をヒットさせました。私はこれをタモ入れして・・・って、さっきから他人の魚掬いしかしてないじゃないか!
 その間もかまちゃんは口太を次々抜き上げています。しかもマキエの下ではグレの群れが狂乱しているではありませんか!

 これはいつまでも4号竿を振っている状況ではありません。すぐにロッドケースの所まで駆け戻って柏島産インテッサG3の2号を取り出し、道糸3号、ハリス4号、速攻グレX8号をセットします。両側のサラシはきついけど、グレが乱舞しているから0号のウキと潮受けウキゴムでスルスルにしてみよう。

 7時48分、釣り場に戻ると一投目から潮受けゴムが走って35cmの口太が上がってきました。今回の釣行で初めてのキープサイズです。
 私はこれをクーラーの所まで持って行ったのですが、その道中であることに気付いてしまいました。
 それは暗闇の中で磯上げしたまま散乱している4人分の大量の荷物のことです。それらが通路や作業スペースを塞いでいるこの状態では色々不便だし、無用のトラブルも起こりかねません。私はそう思ってそれぞれの道具を移動させて安全確保を行い、「やれやれ、これで安心して釣りができる。」と釣り座に戻ったのですが、その時点で早朝のグレ祭りは終わってしまっていたらしく、マキエに狂乱する魚影は消え、釣れてくる魚もキツ(イスズミ)に変ってしまっていました。

 ならば、移動するか・・・。
 uenoさん、カンムリベラに悶絶!  船着きから東へ移動。心機一転頑張るぞ!

 私は船着きから岩を伝い、東に30〜40mほど行ったところにバッカンを置きました。
 西側、船着きとの間にはいくつものサラシが伸び、東側にはハエ根が張り出し、沖にも大きなシモリが入っているという浅いながらも複雑な地形の場所で、渡礁時に船長が勧めてくれたポイントでもあります。

 ここに移動してきたのは、4人が肩を寄せ合って釣るには船着きはあまりに狭かったということもありますが、一度やってみたかった戦略は密集地帯では試せないと思ったからでした。

 私のホームグラウンド四国方面の釣りと南九州の離島の釣りは随分と違います。曲解を恐れずに書くと、前者はコントロール重視のマキエを武器にエサトリを動かし、グレを動かし、それぞれの裏をかきながら攻めきることを理想とする釣り。後者はキツなどのエサトリと正面切って戦うのは不可能と割り切って、磯際ギリギリやサラシにポイントを限定したり、あるいは夜釣りに特化したりするなどしてエサトリから逃げて逃げて逃げまくって本命だけを効率的に待つ釣り。郷に入れば郷に従え。地形も海況もエサトリの絶対数などの条件も大きく異なることもあり、どちらが優れているなんてことはありません。
 ただ自分自身が慣れ親しんだ攻めの釣りでこの島のグレと戦ってみたいと思ってしまったのです。そのためにマキエもオキアミ生3kg+赤アミ4kgを数セットというかまちゃん達と同じ夜釣り対応のベーシックなものではなく、オキアミ生と操作性に力点を置いた集魚剤のみのものを仕込んできたのです。

 今回の竹島の口太はどれもプロポーション良し。
 身に脂が少ない分ビックリするほどの甘みと
澄み切った旨みがあり、臭みも皆無。
 感動ものの刺身を味わうことができました。
 磯際の少し先にマキエを集中させて様子を見ながらBのウキをセットし、ジンタン2号と3号を段打ちにしたウキ下1ヒロ半前後の仕掛けを組んで投入。すると5分も経たないうちに34cmの口太が登場。8時半には36cmくらいの口太を追加し、その8分後には38cmをキープ。巻き替えたばかりの道糸がバックラッシュして結び目ができてしまったところにアタリが来て、リールが使えないのでフライフィッシングのように道糸を手繰って取り込む一幕もありました。

 このポイントは浅く、魚の動きが丸見えなので自由自在に攻めることができました。
 主軸となった戦術は、マキエに先んじて集まるオヤビッチャやソウシハギ、キツなどを追い打ちマキエで横にスライドさせ、それらからワンテンポ遅れて塊で動くグレが一発目のマキエの煙幕に突入してくるタイミングと、サシエが落ちるタイミングを合わせて食わせるもの。
 それに加え、サラシを利用してエサトリの下にサシエを忍ばせてみたり、ひとしきりマキエを食ったグレが帰っていくルートにサシエを伏せてみたり、偽装撤退のようなマキエワークとサシエの伏兵を組み合わせた「釣り野伏」みたいなのを試してみたり・・・。
 キツの連発に苦しむ他のメンバーを横目にやりたい放題、大きな出遅れを取り戻すように35〜40cmの口太を次々仕留めていきました。何せマキエに集まるエサトリの量が全然違いますから本当にやりやすいですね。隣のサラシに移って来られたuenoさんがエサトリを一手に引き受けるような形になったのも、申し訳ないけど大きかったですし。

 昼前になると3mくらいのサメがうろつき、ハリに掛かった魚に何度も襲い掛かってきましたが、魚たちの食いも落ちず、横取りの被害もなく、クーラーの中の口太の数はドンドン伸びていきました。開始時に30cmだったキープサイズは34cm以下をキープすることの無いままにドンドン上がっていきました。そして12時過ぎに3枚目の40cmを釣ってからはついにそれがボーダーラインとなり、38cmが食っても躊躇なくリリースするような状態になってしまいました。

 あとはこれでもっと上のサイズが来たら・・・なんて贅沢なことを思っていたら、12時半ごろに凄いのが掛かりました。
 アワセを入れるや一瞬で胴まで曲がり込む竿!左側の浅場に向かって突っ走る魚!これはデカいぞ!!
 ハマフエフキ70cm。お土産は充分あるし、クーラーにも
入らないのでリリースしました。












 グルクンをゲットされた
M中さん。
 ところが竿を立てて強引に止めにかかると拍子抜けするくらい簡単に止まり、そのままあっさりと水面を割ってしまいました。油断を誘っておいて突如ぶち切っていく策か?とも思ったけどそんな様子もありません。むしろうねりの中での巨体のタモ入れと引き上げる際の重さの方に四苦八苦させられた魚はちょうど70cmのハマフエフキ!いったいどうした?お前は磯のダンプカーとまで称される怪物ではなかったのか?

 楽しい時間も終わり残り僅かとなり、13時20分ごろに納竿。バッカンを洗って談笑しながら迎えを待ちます。

 本日の釣果は34〜40cm口太グレばかり軽く20枚以上で、そのうち13枚を氷詰めして持ち帰りました。
 他に掛ったものは先のハマフエフキとオヤビッチャとシチセンスズメダイが1枚ずつ、ヤマブキベラとナミマツカサが2枚ずつ、あとはキツがそれなりにというところでした。赤アミ抜きのマキエが効果を発揮というところでしょうか?とは言え、「ザ・離島」というような魚も掛らず、かまちゃんとM中さんが仕留めていたグルクンも掛らなかったというのは、それはそれで非常に残念ではありますね。

 迎えの渡船は14時にやってきました。
 離島の釣りの回収は大量の荷物を受け渡しあい、道具類を梯子の下の船倉に運び入れたり、クーラー類を船尾に運んで並べたりと非常に大変ですが、雄大な島と豪快な磯の風景の中に身を置き、視界のほぼ全てを独占する巨大カルデラを感じながら、協力し合って作業していくのもまた最高の時間。
 今日はみなさん大漁のようですね。受け取るクーラーが皆重く、持ち上げるのに苦労する方もおられましたからね。アカジョウ(スジアラ)を仕留めていた方もいましたし。

 渡船は赤瀬の辺りでUターンして西のがけ下で最後の方を収容すると、ついに島とのお別れの時間が来ました。船長に促されて全員が船室に入り、横になって思い思いに寝始めます。
 そして私1人、酔ってます。

 南薩で最も波に強いといっても、さすがに風に向かっていくのは辛いですね。そんな中、船の前部の一番底にある暗い船室で横になってるのは。
 最悪の事態にはならなかったけど、起き上がって壁にもたれ、ウトウトしては気分が悪くなって深呼吸して、またウトウトしては・・・というサイクルを、みんなが寝ている1時間半の間繰り返していました。
 後で聞いてみたら道中の波は軽く3.5mはあったそうです。まあ離島便では大したことない高さなのかもしれないけど身に染みましたね。私には男女やら草垣やらは辛すぎる。行程1時間半ほどのこの三島村辺りが限界なんじゃないのかと(汗) でも、いつかは行ってみたいな、草垣群島と口永良部島には。
 そんなこんなで何とか無事に枕崎港に帰還。ああ、冷え切った風が旨いよぉ〜(爆)

 今回は釣り開始2日目の8時頃まではこのまま手ぶらで帰るのか?なんて思っていたけど、出遅れを取り戻してのまさかの大漁。終わりよければすべてよしとは言いますが、これが苦戦中も結構楽しかったんですよね。
 そう思えたのも気兼ねなく釣りをすることのできる仲間たちと、安全第一のサポートで釣りに打ち込ませてくれた海星丸と武岡フィッシングの船長がいたからに違いありません。
 
 枕崎では町にやって来た人をカツオの頭を丸ごと使った料理で迎え、去っていく人をカツオの尾を使った料理で送り出す風習があるそうです。
 私たちは昨夜カツオの頭の煮付けに舌鼓を打ったけど、尾を使った料理はまだ食べていない。それはこの町とその先の島々にやらねばならないことが残っているからです。
 それを果たすことを誓い合い、再開を約し、やがて釣り人たちはそれぞれの道に向かっていきました。

 竹島と、噴煙を上げる薩摩硫黄島火山(硫黄岳)。南九州の縄文文化を滅ぼし、今も盛んに熱水を噴出する巨大海底カルデラの光景。
 この薩摩硫黄島の噴火警戒レベルが一週間も経たない間に引き上げられることになろうとは、誰にも想像もできませんでしたよ。


 この日の4人の釣果。みんな大満足です。
 ↑は私の釣果。3枚は鹿児島の釣り仲間KICIROWさん
にプレゼント済み。

 ● 竹 島 takeshima
利用渡船 武岡フィッシング
出港地 鹿児島県枕崎市 枕崎漁港
時間(当日) 4:00(枕崎発。航程約90分)
〜14:00(回収)
料金 13000円
 (夜釣り 16000円
 一泊釣り 21000円)
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)