悪食家風雲児の
おさかな拾い食い魚は食べてみないとわからない!!好奇心旺盛なその性格のために
「えっ?こんなの食べるん??」というような魚でもとりあえず
食べてしまう私。
そのチヌ並みの悪食生活でこれまで出会った旨いもの、不味いものを
少しだけ紹介します。
・グレの隠し味(グレの干物) ・一発屋??コガネスズメダイ(コガネスズメダイ) ・最悪の鍋(磯魚のキムチ鍋) ・仕事が楽しくなる季節(サツキマス) ・熱帯魚の味(コバルトスズメ、クマノミetc) ・赤は絶品、青は不評。黄色は??(ヘラヤガラ) ・川の嫌われ者を食す(コウライニゴイ) ・なぜか地域限定の夏の味(キュウセン) ・意外と旨いうるさい外道〜渓流編〜(アブラハヤ・タカハヤ) ・これはもう、謎の生物・・・(ムラサキダコ) ・化けの皮、剥がすべからず(イラ) ・姿も味も異色のカワハギ(モンガラカワハギ) ・グロテスクだが、やはり小判だ(コバンザメ) ・度肝を抜いた肝の味(ヨコスジイシモチ)
・グレの隠し味 |
・一発屋??コガネスズメダイ |
・最悪の鍋 |
・仕事が楽しくなる季節 |
・熱帯魚の味
同じスズメダイの仲間ですが、イソギンチャクとの共生でよく知られるクマノミ。(共生ではなくクマノミがイソギンチャクを一方的に利用しているとも言われますが・・・)この魚を釣ったときはワクワクしましたよ。 |
・赤は絶品、青は不評。黄色は?? |
・川の嫌われ者を食す。 夏の風物詩といえば川に身を浸しての鮎の友釣り。魚の習性を熟知した日本人にしか生み出せなかったこの釣りは、世界に誇るべき文化の一つだと断言できます。 オトリの鮎に掛け針と期待を背負わせて、ここぞと思うポイントへ!待つほどもなくガツーン!! これが野鮎なら会心の笑みを浮かべるところでしょうが、さにあらず。招かれざる客たちがオトリを頂こうと大きな口を開けて襲い掛かってくることも多いものです。 我が家の隣町を流れる揖保川は巨鮎で有名ですが、ニゴイやウグイなど外道も多いところだとも言われているようです。 2005年のシーズンは特に山崎付近で大きなニゴイの襲撃が激しく、鮎師は仕掛けを切られたり、せっかくのオトリを失ったり、とにかく泣かされてばかりということでした。 そこで、鮎は全くやらないのですが、サツキマス狙いなどでルアーはよく投げている私に鮎師からこのニゴイをどうにかしてくれとの依頼が入りました。 私も暇だったので喜んで行ってみたのですが、激流の中から50〜70cmのニゴイがガンガン当たり、ヒットと同時に一気に流れを激走する様子に熱くなってしまいました。ちなみにニゴイは2種類に別れ、この地域に生息するのはコウライニゴイということになっているようです。 さて、釣ったものをどうするか・・・。多分これは食べられないだろうと思っていたら、それが意外と食べられているようで、さまざまな人から料理法を教えていただくことができました。 これは試してみるしかありません。初回は試食する前にカラスに食われてしまうというアクシデントがありましたが、二度目の釣行の際に60cmクラスを持ち帰ってきました。 大きなウロコを取り、苦玉を潰さないように気をつけて水洗いし、三枚におろすと薄桃色の綺麗な身です。 話の通り小骨が多いのでシャリシャリと骨切りをして塩コショウをし、小麦粉をふってフライパンへ。そう、まずはムニエルで試してみます。 釣ったものをすぐに調理したにもかかわらず意外にも泥臭さが感じられず他の臭みも気になりません。身自体は柔らかめなのですが、調理法が合っているのかちょうどいい感じです。 しかし・・・、主張してくる味が全然ありません。なのでとにかく物足りないですね。やはり中華風のから揚げとか、鯉こく風とか、濃い味の煮つけだとか、しっかりと味をつける料理がベストだと思います。 そうそう、ボラのへそ、ヒラメの縁側のようにこの魚には隠された珍味があるんです。それは特に印象的なあの唇。スッパリ切り落として一緒にムニエルにしましたが、ゼラチンたっぶりプルプルの食感。これは結構、癖になりそうです。 |
・なぜか地域限定夏の味
「こんな毒々しく不味そうな魚、誰が食べるんだ?」と首を傾げる方も多いことでしょう。しかし我々、瀬戸内周辺の人間に言わせると「あんな旨い魚、何で食べんのや?」となります。 |
・意外と旨いうるさい外道〜渓流編〜
アブラハヤは福井・岡山以北、タカハヤは福井・静岡以西に生息しますが、混生する地域ではタカハヤのほうがより上流に棲みます。しかし一般にはあまり区別せず共にクソバエ等と呼ばれて侮蔑されています。普通7〜8cm、特大でも15cmの魚ですし、ヌメリが強くずんぐりして見栄えもよくないのでそれもまあ納得ですね。 |
・これはもう、謎の生物・・・ タコというと誰もが岩礁に吸盤で張り付いて、息を潜めている姿を想像します。しかしタコが居るのは海底ばかりではないのです。 日本海に住むムラサキダコは海面近くを一生漂流しながら過ごす変わり種。その姿かたちも奇妙の一言に尽きます。 背側は濃い赤紫。腹側は銀白色。胴の形も独特。しかし何よりも目を引くのはその足に張り巡らされたとてつもなく大きな外套幕です。広げると1mを越えるというその幕は敵に襲われたときに広げて敵の目を眩ましたり、さらに危機が迫ったときには切り離して自分のダミーとし、その隙に逃れるんだとか・・・。 ちなみに60cmとか90cmになるというのは雌だけの話で、雄は3cmまでにしか成長しないんだそうな。色々と謎の多い奇妙なタコです。 このタコを真夏の鳥取砂丘の波打ち際で見かけたときにはさすがに触るのを躊躇いましたよ。それほどの奇妙な姿。 逃げる様子もないので海に入って捕まえてみると、大量の墨と切り離されて海藻のようになった大量の外套膜で海の中はえらいことになってしまいました。改めて躊躇したけど、好奇心には勝てずクーラーへ・・・。 さて、家へ持って帰ってもやはり見れば見るほど不気味。とりあえず内臓を切り取るのですが、マダコとは比べ物にならないほどの墨・墨・墨!これはタコを通り越してコウイカと同じようなレベルです。目玉も小さく見えていても取り出してみれば実にデカイ!タコと言うよりアオリイカのような目玉でした。 これを塩もみして、沸騰した鍋に足からゆっくり入れていきます。お湯は一瞬にして真っ黒。タコの体もくるくると丸まってまさに謎の生物としか言えないようになってしまいました。 とりあえず足を一本切ってそのまま口に運んでみました。ヒヤヒヤ物でしたが、幕も足もアンモニア臭とか変な風味はなくてちゃんとタコの味がしました。ただ、足の弾力は弱くて物足りない感じ。それよりも「塩辛っ!!」 見ると足が中空になっています。その中に海水を蓄えていたのか物凄く塩辛いのです。心筋症で塩分制限がかかっている私には毒ですね。 味自体は酷いことはないのですが、旨い!とはとても言えないし、私がこれから日本海で見かけたとしてもきっとノータッチで釣りを続けるのではないでしょうかねえ。 |
・化けの皮、剥がすべからず 四国や九州の磯では上物でも底物でもおなじみのド派手なやつと言えばブダイや大型のベラの一族をおいて他には無いでしょう。赤(ブダイ)・青(アオブダイ)・黄色(ヒブダイ♀)・緑(ヒブダイ♂他)、そしてピンク。今回はピンクこと、ベラ科の魚、イラのお話です。 パステルピンクの体とパステルイエローのヒレに輝くライトブルーを散りばめ、何と言っても体を斜めに横切る黒いバンドがトレードマーク。 よくよく見ると実に綺麗なのですが、それをはるかに超えて不気味なこの魚は、「ハトポッポ」と呼ばれたり、同じ系統のテンスという魚とひっくるめられてに「テス」と呼ばれたりしますが、本などにはテンスは旨いがイラは磯臭くて不味いと書かれてあったり、不味くて鍋が腐るという意味の地方名がある地域もあるそうです。 そんな予備知識が無くても、あまりの派手さゆえに捨てられることの多いこの魚を私が初めて食べたのは高知の久通で行われたネット仲間との宴会の席でした。メンバーの一人が面白がってキープしたものの皆に敬遠され流しに横たわったままだったのを捌き、皮をひいて刺身にし、また、それをシャブシャブにして試食してました。 「不味くはない。けど、特に美味しいというほどの物でもない。」これがその場に居た勇気ある数人の試食人の一致した感想でした。柔らかくて水気の多い典型的なベラの身で、心配した磯臭さは無いもののあまり旨味は感じられません。 しかし、私はこの魚にとある予感を感じていたのです。 その次の四国遠征、今度は私に釣れました。(実はこの時初めて釣ったんです) しっかりと血抜きして持ち帰り、翌日に片身をおろして皮の上から熱湯を注いで薄く切った「湯引き」に。 予感的中!まさかここまで化けるとは!これがあの物足りない刺身と同じ魚だとは俄かには信じられないほどに口の中に旨味が広がります。 一日半寝かせたことで旨味が熟成されたのもあるでしょうが、やはりこの系統の魚は皮と身の間に特に旨味が集中しているようです。ブダイ類をイラブチャーとして殊の外珍重する沖縄の方々の言葉を借りるまでもなく「この魚も皮を取れば価値が無い」と言い切れます。 残りの片身の煮付けもかなり旨かったですが湯引きには少し敵わず。煮付けるなら頭ですね。分厚い皮は一面コラーゲン。脂と相まってプルプルトロトロという食感。魚を食べている感じがしませんけどね。 頭は普通の魚のように割るのは非常に難しいので、エラも取らずに丸ごと甘辛く濃い目に煮付けてどうぞ。ただこのアラ炊きは好き嫌いがかなり分かれるでしょうけど。 季節があるのかもしれませんが、とりあえず冬場は捨てるにはちょっと惜しい魚だと思います。確かに食欲をそそるような顔付きと色では無いですし、下ごしらえも面倒ですけど、ぜひ一度、湯引きをお試しあれ。 |
・姿も味も異色のカワハギ しかし、いくらよく知っているはずの色と模様であっても、これを実際に釣り上げて手に取れば、派手さ奇抜さに度肝を抜かれること間違いなしでしょう。
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・グロテスクだが、やはり小判だ 大型のサメやエイ、ウミガメなどに頭の吸盤で張り付きエサのおこぼれを頂戴するコバンザメの姿をテレビでも水族館でも見たことがないという人は少ないかと思いますし、「コバンザメ商法」「コバンザメ走法」といった言葉も耳にすることでしょう。ただし、この魚は大型魚に吸着しているばかりではなく単独遊泳することも多いそうで、磯のフカセ釣りの仕掛けに掛ってくるということも時折起こります。 鹿児島県の硫黄島で35cmほどのものが釣れたので、同行の「かまちゃん」が釣っていた50cmオーバーのものと合わせてクーラーに収め、兵庫県まで持ち帰りました。 かまちゃんを初め、多くの釣り師が奇異な顔で見つめていましたが、ネット上には旨いという記事がありますし(味がないという記述も多いけど)、何より硫黄島へ渡す「黒潮丸」の船長も旨い!と言っています。これは期待大です。 さて、調理開始です。まずは、頭の吸盤をシンクやまな板に吸い付かせて、強力な吸着力を楽しみます(笑)(ちなみにこの吸盤は漢方薬の原料として高値で取引されているんだとか。) その後、金ダワシを使って強烈なぬめりをしっかりと落としてから三枚におろし、刺身(糸造り)と、アラの塩焼きにしてみました。なお、皮が分厚いので、おろす際には手を切らぬよう要注意です。その反面皮を引くのは非常に楽ですが。 よく間違われますが、コバンザメはサメの仲間ではありません。硬骨魚綱スズキ目コバンザメ科の魚であり、軟骨魚綱のサメ類とは大違いなのです。従って、多くの人が思い浮かべがちなアンモニア臭などありません。それどころか臭みなどない、いい身が味わえます。 刺身は、青物の刺身を思わせるようなトロリとした滑らかな舌触り。適度な歯ごたえ。前述のように臭みは無く、口に広がる旨みは普通の魚の刺身の味とはかなり違った感じ。でも、どこかで味わったことのあるこの旨さ・・・なんだったっけ、これは・・・。 私がしばらく考えてから思い浮かべた味は、やはり刺身そのものではなく、魚の生肝の味でした。それも飛び切り上質な魚の肝の味。と言っても、カワハギの肝のようにこってりしたものではなく、キリリと引き締まった端麗な肝・・・。そうだ、これはメバルの生肝の味のようだ!と、私は気付いたのでした。(ちなみに、コバンザメ自体の生肝は癖が強く、旨いとはとても言い難いものでした) そして、この刺身は醤油(我が家では龍野のカネヰ醤油の「うまみ」を使用)との相性が最高で、お互いを見事に引き立てています。 親は、醤油と合わさった味を「スルメを噛んで噛んで、最後に口の中に広がっているあの味のようだ」と評していました。 では、アラの塩焼きの方も。 「火を通すとこんなに甘みが強調されるのか・・・。」感想はこの一言に尽きますね。 他の魚では味わったことの無いような、強くも優しい甘み。例えるならばカニとかエビと言ったようなあんな感じ。ですが肉質はしっかりと「魚」でパサつくこともありません。吸盤の下には割としっかり身が付いており、これは特に美味かった。 このようにコバンザメの味は他の魚とはかなり違った感じがしましたが、小判のようにキラリと輝く、かなり旨い魚であることが分かりました。 もちろん個体差もあるでしょうが、結論としては、見た目のグロテスクさにひるんで折角釣れたものを捨ててしまうにはあまりにも惜しい魚だということが言えると思います。 |
・度肝を抜いた肝の味 身もいいけど、やはり肝の旨さに止めを刺すという魚は色々あります。 カワハギやアンコウの肝の味と評価は言わずもがなだし、マトウダイの肝も素晴らしい。意外なところではアイゴの新鮮な生肝はそのイメージとは違って臭いもなくて美味しいし、メバル、カサゴ、マゴチなんてのは小さいけど後口がたまりません。 一方、グレなどのように身は旨くても肝は不味いという魚も多いですし、イシナギのように肝を食べればビタミンA過剰摂取で病院送り確定というような非常に危険なものもあるので注意が必要です。 さて、今回の食材は愛媛県御荘湾のイカダで釣れた12cmのヨコスジイシモチ。アカジャコとか金魚などと呼ばれて嫌われるネンブツダイや、播磨灘でネブトやイシモチと呼ばれて食材として珍重されるテンジクダイなどが属する同じテンジクダイ科の魚です。 テンジクダイ科の魚は頭部に大きな耳石を持っているのでまず頭を取り除きました。それから内臓を除去していると体の割には立派な肝臓が出てきました。これはちょっと捨ててしまうのはもったいないかも・・・。 そう思った私はその肝をサッと洗って口の中に入れ、不味かったらすぐに吐き出すつもりで噛んでみました。 すると、口の中に一瞬驚くほど鮮烈な旨みが広がり、それがスッと消えていくと同時に得も言われぬ上品な甘みが浮かび上がてきます。それは爽快な後味として尾を引きます。 これまでに食べた肝の中では間違いなく最高の味!驚かされたというより、本当に感動してしまいましたよ。 身の方はマアジと一緒にカラッと揚げて南蛮漬けにして味わいました。 ネット上での食味評価は散々なこの魚ですが、ごくごく普通に味わえましたよ。まあ骨が硬いのでアジのように丸ごとバリバリというわけにはいきませんけどね。 返す返すも肝の旨さには度肝を抜かれてしまいましたよ。こうなったら他のテンジクダイ科の魚の肝も試してみずにはいられませんなあ。 |