時化魔王VS晴れ魔王
         対決!日振島!!


2004年6月3〜4日 愛媛県蒋淵・日振島
・楽釣♪蒋淵の巻

一昨日の天気予報は雨。昨日は晴れ。出かける直前は曇りのち雨、波高2m。
猫の目のように変わる気象庁の予報に反し、当HPの時化予報は一貫して大時化の警報発令。
本人も含めてこの予報を疑う者はなかった。実際に宮崎沖に低気圧が発生し、外海は4〜5mの大うねりに襲われていたのだが・・・

いつものように朝の4時に起きて夕方まで働き、家に戻って風呂・食事を済ませ、ほんの数十分横になっただけで遠征へ出発!
いつものように大洲の釣人館ますだを経由して、宇和島から延々と続く曲がりくねった細い道を走りつづけること40分。先週から40〜50cm尾長が釣れ盛っている
という蒋淵(こもぶち)港に午前2時半過ぎにようやく到着した。
ここの出船は4時ということなので少しでも眠って釣りに備えようとしたのだが、出船の時間と同じように他のお客さんの早いこと早いこと。
3時前にはみんな外に出てきてワイワイと餌を作り、身支度をし、道具を積み込み始めた。
僕もさすがに取り残されそうな気がしてきて、10分も寝ないままに準備を始め、3時半には全員完璧な状態で渡船へ。あとは船長を待つだけになっていた。

4時になって予想もしなかった穏かな海面を割りながら、静かに出港。
一点を残して海面を包み込んで連なる山並みの方々からホトトギスの歌声が木霊のように響いては吸い込まれていく。
雲が垂れ込めているが、徐々に白みだした東天の青がこれからの晴れを約束しているようだ。
待つほどもなく船は黒島へ。暗闇のなか次々に磯着けしていき、僕も黒島の南向き、タナマエという狭く高い磯に降り立った。

ヘッドライトも電気ウキももっておらず、というより元々暗いうちに釣る気のなかった僕はゆっくりと準備を整え、ウキが見える明るさになってから磯際に第1投。
パラリと軽く撒き餌を被せるや否や、ウキがスッと引き込まれた。
魚はボチボチの型のガシラ。瀬戸内産に比べるとかなり味が落ちるので海にお帰り頂いたが、一投目から幸先よし!
続いての2投目はハタンポ。だんだん明るくなってきたけど・・・グレが居らんがな〜〜!!

グレは居ないが餌取りは居た。特にバッカンの中に。
撒き餌に群がる小さな小さな小バエ。その数何百何千というおぞましさにバッカンを覗いて鳥肌が立ってしまった。後で日差しが強くなるとどこかへ消えてしまったが。
一方、海はほとんど流れてなかった潮が徐々に動き出してきたが、その潮に乗って押し寄せてきたのが数えきれないほどのクラゲ。
次から次へと流れてきて魚のアタリも遠のいてしまった。高場やタナは羨ましいほどの潮が沖に走っているのに・・・
結構な時間、諦め半分で我慢の釣りをしていたが、そのうちクラゲ潮の沖に潮の壁ができたのが見えたので00のウキで遠投。
いい感じなのだが、沈み潮に引っ張り込まれるスピードが速すぎたため、ええかげんな浮力の安物の0号のウキに替えて、本当に久しぶりのスルスル仕掛けを流し込んでみる。
きたきたっ!
冬場とは比べ物にならない引きで上がってきた口太30cm。続いて38cm。
手前の潮を流れてくるクラゲも徐々に少なくなっていき、いい調子で竿が曲がっていく。でも、手返しが悪くてしかたがない。
とにかく釣り座が狭い。前上がりの急傾斜の高い足場は前は海にストンと落ち込み、後ろは切り立った壁との間に深い溝を作って落ち込んでいて荷物を置くのにも一苦労。
特にタモなんかは溝に突っ込んでいるけどいざというときに取り出すのにもてこずるし、取り込んだ魚をクーラーに入れるのも難儀で、〆るとなればクーラーの上でやるしかない。
32cmだが尾長も出たし、口太も連発しているのに数が全然伸びない。
そしてなぜか突然、オレガ一徹のガイドが割れた。
これを機に大移動を敢行。
釣っている間に潮はドンドン引いて左側に巨大なタナが浮上してきていた。さすがに潮位差2mの激下げである。
高い足場からの何往復ものロッククライミング。予備の重いオキアミを担ぎ、クーラーやバッカンを抱え、汗だくになってしまった。

苦労のかいあって釣り易さは最高!
餌取りの豆アジを手前に寄せて、大遠投で勝負!
35cmまでながら退屈しない程度に弱腰の制覇を引き絞ってくれた。
2度目の見回りの船が去った直後にはこれまでとは違う素晴らしい引きを見せる獲物がヒット!
広大な棚をあちこち走り回ってあと一歩というところまで行ったが、カットグレに付き物の針外れ。
この針の強さ・使いやすさは気に入っているし、これまでに買い込んだ予備の分が大量にあるので使いつづけていたが、これだけ毎回外れるとなるといい加減他の針を探すしかないんだろうなぁ。
この日の針外れはこの一回のみで、あとは2時の納竿まで同じようなペースで釣れ続いて、暑い中の10時間の長い釣りを楽しむことができた。

朝の間の釣り座はここだけ。
とにかく狭〜い!背景は御五神島。
潮が引いたらこのとおり。
後半は楽に釣りができました。
翌日、魔王船から見えた蒋淵の磯。右の島が黒島です。


・いざ魔王船へ、宇和島・松野の巻

蒋淵港へ帰還したあと再び曲がりくねった道をひた走り、無月を左へ。
計40分の道のりで次の目的地、日振方面への基点、はまざき渡船に到着。
ここで翌日お世話になる、まー君船長とご対面。
船に堂々と鎮座して不敵な笑みを浮かべる特大魔王ステッカーを見て腹を抱えて大笑いし、明日の天気を二人で心配し、今夜一晩宿を使わせてもらうことをお願いして、とりあえず風呂と食事と買出しに行くことにした。
宇和島近辺にも温泉や銭湯はいろいろあるけど、今回はせっかくの機会なので宇和島から急峻な坂を登って、松野町に足を伸ばしてみることにした。
途中「おさかな館」という面白そうな建物があったので寄り道して淡水魚を見学し、ぽっぽ温泉でリラックス。そして温泉のすぐ傍の「お目付け役魔王」マスターさんのお店にお邪魔させてもらいました。
何の連絡もなく突然の訪問にもかかわらず暖かく迎えていただき本当にありがとうございました。
セイの塩茹で、美味しかった〜。
それから宇和島市内に戻り、餌を仕入れ一徹を修理し、買い物をした後8時になってようやく渡船の仮眠所で就寝。
思えば仕事のあった火曜日の朝4時から10分単位でほんの数回眠っただけで40時間も走り回っていたとは・・・
我ながら恐ろしい・・・

・ついに魔王激突!!日振島の巻
 
気がつくと携帯の目覚し時計はすでに止まっていた。
他のお客さんの足音で跳ね起きるとあわてて母屋に駆け込み、朝ご飯も早々に魔王船に乗船。
操舵室で船長にご挨拶し、今回ご一緒することになった16代目撃沈大魔王、磯際の魔術師さんと初対面。
いやぁ〜、想像とは少し違いましたが、面白いいい方でしたよ。
ご存知、「風雲児まじっく」を操る13代目時化魔王に対して、16代目は釣りに行く度晴天ベタ凪ぎ、80%の雨の予報も楽々覆すほどの「晴れ魔王」。
2人の対決に「初代魔王船・まー君船長」も注目でしたが、どうやら今回は晴れ魔王の勝利のようですな。
魔王の集会に低気圧も逃げ出したという話もあるけど、高知・宮崎の強風、高波も日振には入って来れず、海は実に穏か。
ただ、満潮時は少しうねりが出て、少々波を被りはしたけど・・・。
 
3人でワイワイ言いながらの楽しい航海であっという間に日振に到着すると地元船の合間を縫って渡礁開始。僕は地方の方がいい型が来るという船長のアドバイスで地の2番に降ろしてもらった。
朝のうちに準備できなかったので餌作りから。
とりあえずオキアミ6kgに「グレベスト」と「グレ魔王」をブレンド。まさにこの日に相応しいナイスな餌ですなぁ(笑)
潮は単純に足元からずっと沖へ。海を黒く染めるオセンの大群を乗せてどこまででも流れていく感じだ。
とりあえずずっと潮下にあたる沖に投入。
ファーストヒットはキタマクラ。しかもスレ。
暫くしての2匹目はオセン。これもスレ。
結構間をおいての3匹目はキタマクラ。またまたスレ。
今日はどないなってるねん!
目を凝らしてもどこにもグレの姿はなく、ウキ下を浅くしても深くしても、足元でも遥か沖でもグレはヒットしてこない。
結局最初の見回りまでにとんでもない場所に投げて30cm足らずと20cm弱の口太を釣っただけで、磯替わりを決意。
途中16代目に手を振りながら、17番の地へ再上陸。
浅い磯でシモリだらけ、左前方には波間に消えつ浮かびつしているところもある。
船長が「次の見回りの時にはそのシモリが多分使えると思うから替わりましょう」と言ってくれたので楽しみにして釣り開始。
しかし、「多分」と言われるあたりが時化魔王なんでしょうなぁ(苦笑)
撒き餌を打って魚が現れるまでには少々時間がかかったが、あちこちのシモリを狙い撃ちして33cmまでの口太を何尾か拾うことができた。
やっぱりこの時期はこの型でも力強くて楽しいなぁ♪
 
そのうち左方向への潮が流速をぐんぐん増していき、この釣り座では釣りにならなくなってきたところへ待ちかねた魔王船。
もちろん荷物を積み込んで30m先のシモリへGO!思ったとおりいい潮が出てますがな!
この潮にはイサギが居るかもしれないという直感の元、ウキをイサギにはなぜか相性抜群のますだウキに変更。針もイサギに効果的な金針・・・カットグレかぁ・・・に交換。
ぐんぐん流して30弱の口太2尾、信号機軍団レッド、特大ホシササノハベラなどが釣れたもののイサギのアタリは全くなかった。
納竿間際、流れのぶつかる場所でそこそこのグレらしき魚を掛けたがやっぱり針外れ。この瞬間、次の燃えないゴミの日に家にあるカットグレを全て
処分することを決意しましたわ(怒)
 
さて船に戻ると、どこもグレは不調だったようでみなさんぼやいてました。
魔王の力ですかな(笑)
黒ハエの磯際さんは・・・なかなかいい型釣ってますがな!
今日も驚くばかりの引き潮の中をまー君船長の見事な操船で突破し、またも楽しい操舵室。
僕は途中で眠りに落ちていたけど・・・
兎にも角にも魔王IN魔王船も何事もなく港に帰還。バッチリ記念撮影して魔王対決もお開きとなったのである。
 
今回は楽しい釣りでした。こんなに楽しい釣りにしてくださった船長、16代目、本当にありがとうございました。

シモリから見た17番の地。 魔王船&13代目&16代目。
船長に頂いた一枚です。13代目、寝てるがな!
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