・櫛が鼻を回ると、そこは・・・
       抑えられていた力、いまこそ発動!?

2006年 1月 30日 高知県沖の島

晴れ魔王のおかげで想像もできないような快晴・ベタ凪の日振での釣りを終えた風雲児・寝太朗さん・青ちゃんの播磨美作連合軍はウハトレで一緒に楽しんだ仲間たちや、ま〜君船長に見送られて56号線を南下。
折角の四国遠征と言うことでこのまま一日で帰るのももったいなく、現在好調が続く沖の島で口太、そして夢のロクマルの引きを味わうべく一路宿毛を目指しているのでした。

しかし日振の空が嘘だったかのようにいつの間にやら上空には黒雲が広がり、由良半島のトンネルを抜けて愛南町に入ったところで雨が落ちてきてしまいました。ついに天候は晴れ魔王の影響を脱し、抑えられてきた風雲児まじっくの発動か!?
まあ携帯の天気予報では天気図は見れないけど雨マークも翌日の朝までだし、波も1,5mと穏やかな様子。雨が止んで北西風が吹き荒れたとしても今回の磯割りはそれには滅法強いノコ廻り。

ということで大して心配もせず、雨の中3人は一本松温泉に立ち寄り、また釣具屋でオキアミボイルと「水温が急上昇して全然食ってない。明日はタナが深いかも。グレ狙いよりスマ(ヒラソウダ)狙いになるでしょう」との情報を受け取って、島一渡船の専用駐車場の奥の仮眠所を占拠しました。
ここは毛布とそれを3〜4枚敷けるだけのスペースしかなく、他には何もなし!(トイレは歩いてすぐの巡航船乗り場を利用)冷暖房も不完備!利用される方は気候のいい時期以外は充分な準備を。

といってもゆっくり体を横たえられるのが嬉しく、運転・宴会・釣りで疲れた寝太朗さんと青ちゃんは瞬く間に大イビキを上げながら夢の中へ。僕も正月の鵜来の宿での某T氏のイビキ対策に購入した耳栓を取り出し毛布に潜り込んだものの、やはり不眠症はこの夜も続き、しばらくまどろんだくらいで出船の5時半が近づいてきました。


一晩中降り続いた雨はどうやら落ち着いた模様。気温も高く、そそくさと準備して係留されている渡船によじ登ると乗客は全員で6人。
人気のノコ廻りだし、沖の島は今釣れているから月曜日でも人は多いだろうと覚悟していたとはいえ昨夜電話で明日のお客さんは20名くらいという返事にやっぱり驚いていたのですが・・・。まさか・・・。
挨拶がてら船長に聞いてみると「泊まりが16人おるよ〜」おいおい、今日は月曜日やでっ!

渡船はスルスルと片島港を離れて大して揺れもせずに沖の島へ。二並、裸、三ノ瀬・・・。音に聞こえる名礁の島影に沖の島初挑戦の寝太朗さんたちは胸を高鳴らせています。僕もこの時期に味わえたこんな快適な船旅に上機嫌でした。
そして弘瀬港到着。一気に人口密度の高くなった船の後部を避けて屋根の上に移動。どうせ渡礁は最後なのでのんびり先客と話しでもしながら・・・と思っていると船がドーン!!

なんと港を出て灯台下に差し掛かると海が一変していました。南西方向から巨大なうねりが押し寄せて渡船が木の葉のように翻弄されているのです。左手には波が一気に駆け上がる大バエが見えます。
チョボ、ヌクモリ、クワンバエ・・・。すべて白い牙を何度も突き立てられていました。

波が垂直に砕け飛ぶカガリバに3人、ノコバエに5人、ノコ3番に2人。本来の磯割りノコ廻りではこれだけしか渡せる磯はありませんでした。
船は東へ進んで大小島の前へ。幸いこの磯廻りの渡船はこの日休みだったので、ルールに従って7時まで待った上で割り込みで磯付け開始。結局僕達3人は最後から3番目に、大小島船着きへと渡ることができました。


このポイントにも当然、大小島チョボを軽々と飲み込んだうねりが容赦なくぶち当たり、高く舞い上がったしぶきが頭上から降り注いでいます。しかし足場が高いし、波の動きを観察しても流されるような心配はまず要らないでしょう。といっても当然沖向きはできるはずなどなく、セリワリやタテバエ向きに大きく広がったサラシを釣ることになりました。
尾長の期待はまずできないものの、最近の大小もなかなかよく釣れているということなので楽しみです。

この日のタックルは竿が2号、道糸3号、ハリス2,5号にウキは3B。いきなり竿1本のウキ下を取ってサラシの中や切れ目で張って待つ釣りをしてみました。両脇のお二人はタナプロを使った沈め釣りで攻められるようです。

しばらく撒いてもグレの姿は見えません。が、最初全く取られなかった餌が残らなくなってきました。
本日最初のヒットは寝太朗さん。ロッドが根元から大きく曲がっています。しかし竿先がガタガタと・・・。
何度もの突込みをかわして上がってきたのは予想通りのキツでした。なかなか良型なんですけどね。
それから3人でせっせと色々探ってみるのですが音信不通。これは情報どおりの不味い展開かも。


沈黙が破られたのは弁当船の直前。一番左奥で釣っていた青ちゃんがようやく30cmちょっとの最初の口太を取り込みました。
が、うねりと風に手を焼いて弁当船で新天地を目指して移っていかれました。僕もここまでガンダマから切れてしまったバラシ1回のみと正直迷ったのですが、サラシの釣りは元々好きですし、もう少しで答えが見つかりそうな手応えがあったので寝太朗さんと二人、ここで頑張ることにしました。

ウキを固定にしたり誘導にしたり、オモリの打ち方をめまぐるしく変えていき、餌が取られる水深と残ってくる水深の境を10〜15cm単位で細かく調整しながら探っていくと一ヒロ矢引き辺りでようやく見つけました。
サラシの際の流れの変化でジワジワとウキを持って行ってくれたのは小気味よい引きの33cmの口太です。
程なく同じようなサイズを追加。そして時折ギュン!と明らかに違うアタリで50cmオーバーのキツも怪力で竿を根元から引き絞ってくれました。寝太朗さんもエンジンがかかってきたのか先ほどから連発です。

弁当を食べ終った頃から再び降りだした雨は断続的に降りしきり、時折土砂降りとなって叩きつけてきます。
これが気温の低い日で、しかも午前中のようにほとんどアタリの無いような状態なら心も折れていたのでしょうが、この日は気温も高く、風もこの島を知っている者にとってはほんのそよ風、しかもアタリ連発中とあってはなんの苦にもなりません。

相変わらず細かくウキ下を上下させながら撚れや変化でウキがゆっくり消えます。
さらに、もぐりこむ潮をウキに探させて、速度が速くなりすぎないように気をつけながらジワジワ〜としもっていくウキが加速していってギュン!

これはもう堪りません。日振のものとは明らかにコンディションの違う、いかにも旨そうでしかも引きも比べ物にならない口太が実にいいペースで二人の竿を交互に曲げてくれました。
これは去年、ムロ2番を埋め尽くしていたのに全く相手をしてくれなかった浮きグレが今になって釣れているのだろうかなんて考えながら夢中で釣っていました。
一際勢いよく暴れてくれたのは37cm、そしてこの日最大寸の43cm。

しかし厄介だったのは掛ける事でも浮かすことでもなくてタモ入れでした。
高い足場。シモリを乗り越えて大きく左右に動く波の塊。数メートル激しく上下するうねり。
重たい6mのタモを抱えて四苦八苦でした。こんなうねりに叩かれてタモの柄が真っ二つになった二度の経験が頭をよぎります。実際に何度か折れる寸前までいきましたが・・・。このために一尾取り込むのに何分かかったやら。大きなタイムロスでしたね。

3度も掛かった50cmクラスのキツには特にヒーヒー言わされました。そのうち一度は元近くのガイドに道糸が絡まった状態でヒットしてしまい、糸を巻くことも出すこともできない状況。最初から正体はわかっていたので復旧するまでに切れてくれと願ったのですが、こういうのは不思議なくらい切れませんね。傷すらなし。尾長だったら一発で切れているだろうに(笑)

終盤になって風向きが変わり、やや釣り辛くはなりましたが最後まで雨にも挫けずに釣り続けて33cm〜43cmを6〜7尾、寝太朗さんと二人で計12尾の白子入りの美味しい口太グレを上げることができました。

釣果が弁当船以降だったこともあり物凄く密度の濃い時間を過ごした充足感と心地よい腕の痺れ、そしていつもながらの島一渡船の絶品の操縦による心地よい揺れを感じながら片島港に帰り着くことができました。

大小島・船着き。今日はこの通り
まさに悪天強暴組合・風雲児の独壇場!
日本海で鍛えたサラシ攻略法がバッチリ決まり
寝太朗さんニッコリ。
うなるツインパワー!踏ん張る風雲児!
糸はやらんっ!!
後半戦だけで合計12枚となかなか
楽しい釣りができました。
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