・淡水魚王国岡山。 小さな小さな宝探しの旅。

2006年 10月14日 岡山県内の用水路
またまた高知県でダメ親たちの宴会が行われる日がやってきました。
しかし今回は生憎都合が付かず、残念なことに参加することはできませんでした。
ただ、島根の釣りキチ2さんと山陰の時化組合長さんから「会いませんか」とのお誘いがあり、島根からの中継点、岡山県早島を目指しました。
道中、備前と岡山バイパスを結ぶ自動車専用道「ブルーライン」で対向車線にふと目を向けるとマウンテンバイクに跨ってせっせとペダルを漕いでいる人がいます。
悪天強暴組合所属、釣りキチ2さんと
組合長さん。ミニ悪天フェスタ!?

今日はいい天気だし、ちょっと暑いけどサイクリング日和ですな。・・・って、おいっ!!
いったいどこから入り込んだものやら。当然車はビュンビュン飛ばすし、路肩は狭く、アップダウンも激しいし・・・。果たして無事に降りられたんだろうか。

ともかくこちらは無事に目的地の駐車場に到着。程なく島根の悪天コンビも到着、話が弾むのは当然ですが、お互いパチリパチリと写真撮影会まで始まってしまいました^^
お二人にはまだまだ先の道のりがあるので短時間でお別れすることになりましたが、いつものように楽しい時間を過ごすことができました。


僕の方はこれで予定終了。しかしせっかくここまで来たのですから釣りをせずに帰る手はありませんわな。

岡山というところは3つの大河といくつもの小河川、そして広がる田んぼに張り巡らされた用水路によって素晴らしく豊かな水環境が作り出されており、その恩恵を存分に受けた淡水魚は種類も数も国内屈指の多さを誇るのです。

川魚なんて小さいし、海の魚のようには食えないし・・・ なんて馬鹿にするなかれ。
日本の淡水には本当に魅力的な魚たちが数多く住んでいるのです。
ハッと息を呑むほどに美しい魚、想像を絶する習性で見事に生き抜く魚など枚挙に暇がありませんし、季節によっても、水系によっても千変万化するその姿もまた魅力です。
その中から各自のお気に入りの魚を探し、釣り上げるのはまさに宝探しに似ています。そんな川の恵みをほんの少しだけ持ち帰り、水槽の中に自然を再現してみるのも楽しみの一つです。
(僕も中高生のときなどは色々と飼ってみたりしていたのですが、今は水槽が無いのでMIMOさんの釣魚図鑑用の写真を撮ったらリリースするのが専らです。)

今回の本命のポイントは岡山市内にあったのですが、せっかくなので辺りを走り回ってあちこちで水路など覗き込んでポイントを探してみました。
すると何箇所目かで思わず声を上げてしまいました。陰に驚いて右往左往するワタカの群れ。これまで釣ったことはもちろん、見たこともなかった魚です。
その隣の水路にはどうしても釣りたかったヒガイの群れ。もちろんモロコやカマツカ、ヤリタナゴといった様々な魚たちも流れの中で戯れています。

逸る心を抑えて4.5mのハエ竿をセット。小型の玉ウキを使った何の変哲も無い仕掛け。まずはワタカを標的に。
サシ虫ではオイカワにしか相手にされませんでしたが、餌をミミズに変えるといきなりヒット!約20cmの魚体が空中に踊りました。
写真を撮り、餌を付け替えて振り込むと続けてもう1尾ヒット!さて次はヒガイ狙いです。

幅4mほどの用水路、三面張りですが底には泥が堆積し、なぜか壊れたバス停のポストが水中に沈んでします。
その割れた土台部分が格好のヒガイの隠れ家となり、4〜5匹が穴の中から出たり入ったりをしています。
これも楽勝!と思ったのですがなかなか上手くいかないものですねえ。ヌマムツやモロコ類の猛烈な妨害でなかなかヒガイの所に届きません。ようやく食った!と思ったら鋭いトゲに刺されると泣くことになるナマズの一種、ギギだったり。
結局散々時間を使って、ウキの浮力完全無視の3Bのガン球を針元に打った仕掛けでカワヒガイ1尾ゲットです!

このヒガイという10〜20cmの魚はタナゴ類と同じように淡水に住む生きた二枚貝の中に卵を産みつけ、その中で孵化するという独特な習性を持っています。
また明治天皇の好物であったそうで、度々献上されたことから「魚」偏に「皇」という漢字が当てられているんです。(ちなみに中国での「鰉」はチョウザメのことなんだそうな。そういえば「鮎」も向こうではナマズのことでしたね)
その味、この舌で確かめてみるべきでしたが、これまで何度も姿を見ていながらなかなか針に掛けることができなかった魚が釣れたということに舞い上がってしまって、ついつい写真を撮って何も考えずそのまま放流・・・。(汗)

とにかくこれで目標達成。満足したのでそろそろ場所を替えようと片付けを始めたとき、辺りにパトカーのサイレンが響き渡りました。何事かと見ていると、突然川の対岸の道路に軽トラとパトカーが飛び込んできました。
とんでもないスピードで逃げ回る軽トラと必死で追いかけるパトカー。サイレンと怒号が辺りに飛び交い、あっという間に走り去ってしまったと思ったら今度はこちら側の岸の道路に突っ込んできます。
そしてそのまま町内を西へ東へ逃げ回ること15分以上。応援のパトカーも続々登場して何とか捕まったのか騒ぎが落ち着いたのでようやく岡山市内へと移動できました。

ちなみにポイントについては公開することはできません。乱獲を防ぐため・・・というのもありますが、それ以前に入り組んだ水路を適当に走って見つけた場所だけに、僕自身もよく分からないんです。次回行くとしてもたどり着けるかどうか・・・(笑)
            ワタカ            カワヒガイ

岡山市内には特に淡水魚を大切にしている地域があります。ここでは網の目のように張り巡らされた用水路もただの三面張りではなく魚の入れる隙間が設けられた魚巣ブロックが使われて、この僅かな工夫だけでも魚たちにとっては大きな援けとなっている上、水路での釣りや採集が一切禁止されている地区すらもあります。その甲斐あって水中に煌く命は数知れず。
産卵期のオスは煌びやかな婚姻色を身にまとい、まさに生きている宝石と化すカネヒラやシロヒレタビラなどのタナゴ類、さらには世界中でも淀川水系と岡山の限られた水系にしか分布していない国指定の天然記念物、アユモドキも息づいています。
しかしそれでも魚たちは滅茶苦茶に激減しているようです。大きな原因は全国から押し寄せる業者の横行。何度か現地で見かけたことがありますが、車の中はまさにタナゴなど貴重な魚たちがド満載。中には種の保存法で捕獲も販売も厳しく禁止されているスイゲンゼニタナゴを持っていた極悪なヤツまでもが・・・。


僕が竿を出すのはもちろん禁止区域の範囲外。まずは先客に声をかけ、片隅に入らせてもらいましたが、水の中を覗いてビックリ!なんとあの天然記念物のドジョウ、アユモドキが泳いでいるではありませんか!
アユモドキはドジョウと言っても普通のドジョウの形とは全く違い、体高の高い「レプトボティア属」(オレンジと黒の縞模様で人気の高い熱帯魚のクラウンローチとごく近縁)に属する魚で、体色は黄土色と薄墨色の細かい横縞です。(※その後学名の見直しがあり、「Parabotia属」(パラボティア属)に変更されました。)
もちろん捕獲することはできません。持ち帰るなどもっての外!すぐにリリースしたとしても「捕った」時点で罪に問われてしまう可能性が高いんだそうです。(罰則は罰金100万円禁固1年以下)

しかし「撮る」のなら何の問題もないでしょう。釣りも忘れてカメラを構えて魚影を追います。
婚姻色のカネヒラのオス
(以前に撮った写真です)

動きを見ているとまさに鮎。スピードも結構速くてなかなかタイミングが掴めません。しかもカメラの性能も腕も問題にならないときたものですから、撮れた写真を見てもただの「魚」にしか見えませぬ(涙)


で、釣りの方ですが、一言で言えばもう一つでした。
今回はやたらにタナゴが少なく、タナゴ類で掛かったのはカネヒラのオス1尾のみ。しかしこの種は今が繁殖期(一般のタナゴは初夏が中心)で、そのタナゴでも指折りの美しさに目を奪われてしまいました。
タナゴの代わりに元気一杯だったのが水槽にでも入れようものなら極悪非道な気の荒さを見せ付けられるヌマチチブという小型のハゼ。そしてコウライモロコとイトモロコ。
それでも心からタナゴを愛する先客のおじさんやギャラリーの方たちに囲まれて、本当に楽しい釣りをすることができました。


レッドチリさんが補正してくださいましたが、
何と言っても元が悪いもので・・・(汗)




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