・凍りつくような雨でも、心だけは春爛漫。
              2006年 渓流解禁!

2006年 3月 1日 兵庫県千種川

期待に高鳴る胸をなだめるかのように一週間以上前から仕掛けを作り、小物を準備し、ポイントの下見、餌の川虫採りと準備万端で迎えた今年の渓流解禁日は、冷たい冷たい雨がひたすら降り続く一日でした。

2日前にもまとまった雨が降ったばかりだし、もしかしたら釣り場に行くだけで竿を出さずに帰ってくることになるかもしれないという不安を抱えながらも、夜明け前の千種川沿いを一路上流に向かって車を走らせました。
行く手をさえぎる雨煙に「名にしおう佐用の朝霧立ちこもり 心細きや鹿や鳴くらん」という吉川元長(毛利元就の孫)の狂歌が胸をよぎります。まさに上月城で霧の如き大軍に包囲された山中鹿介のような気分・・・(大げさな!)

合併して佐用町となった旧南光町を抜け、こちらも合併して宍粟(しそう)市となった旧千種町の河呂(こうろ)のトロ場に到着。車を停めてとりあえず夜明けを待ちますが、薄明るくなっても雨は止む気配もありません。
意を決してカッパに着替え、あぜ道を歩いてポイントに入ります。
しかしバカの一つ覚えのようにこのポイントばかり。ここで解禁の朝を迎えるのはもう56回目になるでしょうか。

渓流釣りとは言っても川が短くて谷の浅いこの川のメインポイントは町の中を流れる本流、いわゆる里川です。
本流と言っても川幅は知れていて、両側から思い切り仕掛けを振り込むと川の中央で仕掛けが絡んでしまいます。
僕が陣取った側の後ろは田んぼ、対岸は道路沿い車横付けのコンクリート護岸です。人気ポイントだけあって対岸では今年も6人ほどがずらっと並んで戦闘準備を整えています。

6時20分くらいでしょうか、仕掛けに取り付けた毛糸の目印が確認できる明るさになったので第一投。
どうしても直前に大量放流された魚を釣ることになる解禁日はそれらに滅法強いイクラをメインの餌に選択。流しきったところで竿をしゃくってわざと餌を切り、魚の活性を上げるのが効果的です。
順調に流してさてそろそろ切る体勢に入るかなと思ったときに目印がククン!おっと幸先よくなんと一投目から釣れてしまいました。

驚きながらも魚をクーラーに放り込んで二投目、三投目、連発です。おおっ!今年は凄いな!!
10日ほど前に下見に来たときは多分対岸の道路沿いのほうが圧倒的に有利だと見ていたのですが、この増水のおかげで僕が陣取った側にいい感じのヨレができ、魚が集結していたようです。
出だしで勘が掴めてないのに加え、活性が良過ぎるので針を何度も飲まれてしまうので針を7.5号にサイズアップ。

これで手返しも格段に良くなり、次から次へと銀鱗が宙に舞いました。しかも今年は型がよく、普段よりも一回りも二回りも大きいので満足度が違います。
気温も全然上がらず、雨に打たれる手はかじかんで餌を付けるのもスムーズにはいかないような状態ではありましたが、こうなるとそんなこと気にしている場合じゃありませんでした。

しかしさすがに8時になると食いは止まってしまいました。こうなったときは完全に釣りを止めてしばらくポイントを休めるといういつもの作戦を取ることにしましたが、今年は対岸でそう釣れなかったせいか、向こうからかなりアグレッシブに攻めてきますし、ふと気づけば隣でいきなり他の人が竿を出していたり(フードで視界が狭くなっていて全然気づかなかったので、かなりビックリしました^^)と、仕方がないことですが思った通りには行かず、再開後もほとんど魚を拾えなかったので思い切って移動を決めました。


次はぐっと下って旧千種町南端近くの淵に狙いをつけました。対岸で一人竿を出している以外は他に誰もいないので、車を停めた土手の空き地でパンをかじって空腹を満たし、しばらく休んで心機一転、再び冷たい雨の打ちつける河原へと降りていきました。
ここはグッと狭まった岩盤の落ち込みから続く深場の開きで、駆け下りてくる流心の脇と反流をじっくりと探っていきます。

時間は10時を過ぎていますし、既に散々攻められた後だろうと思っていたのですが、向こう岸に陣取った人は次から次へと銀鱗を飛ばしています。まさに最初のポイントの再現を見るようです。まさか、手付かず!?
となるとこちらも!と思ったのですが、こちらではパラパラと拾える程度。ありゃま〜、さっきと全く逆じゃないか〜(笑)
どちらからも真ん中を流れる流心の手前を狙うのですが、こちらは砂地、対岸は水中に大きな石が点在する見事なポイント。まあ何度もいい思いばかりできるはずも無いですね。

といってもここでも満足の行く釣りができました。折角前日に捕まえてきたのに最初のポイントでは全然見向きもしてくれなかったカワゲラやヒラタでもよく釣れましたし♪
手前に突っかけた後、上流側に戻っていく流れを攻めていると目印がフッと止まりました。すかさず合わせを入れて、また一気に空中に飛ばそうとすると予想外の抵抗を見せます。
これは大きいけどさすがにここのアマゴの大きさじゃないだろう、きっとウグイに違いないと思いながら折角なので思い切り引きを楽しんで浮かせてみるとなんとパーマークが!
ヒラタを飽食して腹をパンパンに膨らませたこの辺りでは破格の26cmのアマゴでした。これは嬉しい!

こんな雨ですし、人出も少なく、あちこち探り歩けば竿抜けどころかまさに手付かずのポイントが嫌と言うほど残っていそうです。これは空前絶後の大釣りもできるかも!と思ったのですが、12時を少し回ったところで残念無念の餌切れです。イクラも川虫も一匹残らず使い果たしてしまいました。
もうちょっとやりたかったけど仕方がない、引き上げるとしますか。


最終的に43尾とこの釣りを始めて以来最高の釣果でした。放流モノばかりではなく残り物も結構混じっていましたし、型の方も18〜26cmと大満足!最悪だった天気に反して最高の釣果で解禁日を終えることができました。
そして夜は塩焼き・天ぷら・甘酢漬け。特に甘酢漬けは最高!
今回はクーラーに魚が溜まっていくのもあっという間でしたが、家族の腹の中に溜まっていくのも本当に恐ろしいほどのスピードでした(笑)


「渓流釣り」とはいってもポイントは
このような里川なので楽チンです。
解禁日は雨でカメラが使えなかったので
これは別の日の千種川の写真です。
(ポイントも違いますし・・・汗)
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