・仕事帰りに迎え撃て!千種川のサツキマス

2008年5月8日 兵庫県千種川中流
今期はサツキマスが好調。
昨年の秋に川の水が多く、銀毛化して下流へ向かう傾向の強い放流物のアマゴが後押しされたのが原因です。
揖保川の堰を次々と遡る姿を見た!あのポイントで今朝何本上がった!と周囲からも続々とソワソワするような知らせが届く中、今年の私は仕事や様々な予定に阻まれて何とも揖保川の遠いこと、GW終了の時点でまだ極々短時間、2度だけしか竿を出すことができていませんでした。
このままでは終わってしまう。竿を出したからといって釣れる魚ではないけれど、それでもルアーが水に触れていないことには絶対に釣れる事は有り得ませんもんね。
そうして痺れを切らした私が目を向けたのは千種川。

この川も揖保川や市川と同じく毎年サツキマスの便りが届くのですが、特に下流域はポイントが絞り込みにくく、確率の高い潮止め堰堤は人が集まって入れないこともしばしばです。
また上流でのアマゴの放流量も年々少なくなっているため揖保川よりも圧倒的に降る魚は少ないと思われ、あまり本気で狙おうとはしてきませんでした。
しかし今の職場から千種川はすぐ近く。アマゴの券もある。さらにこの川の中流域は淡水の小物釣りで子供の頃から自転車で走り回っていたのでポイントは頭どころか体に染み付いています。
やらないわけにいけませんがな!

5月7日、定時を過ぎて少し残った仕事を片付けた後、一目散に川へ。
護岸の上に車を停めて、積み込んできた釣具と長靴を取り出し、堰堤の落ち込み目指して半ば駆け出すようにして向かいました。
その出で立ちたるや、カッターシャツとスラックスに長靴とウエストバッグ。何とも怪っ態な釣り人ですな。さすがにネクタイは外してますが・・・

堰堤の白泡、深渕、渕尻の駆け上がりから瀬頭、ガンガン瀬の大岩周りなど次々にミノーを通してハイパートゥイッチ、U字ターン。
しかし反応どころか気配もありませんでした。これは群れはまだだな。

翌8日、この日は幸いにして定時に仕事が終わったので、前日よりさらに下流まで車を走らせて河原に降り立ちました。
水際の草を踏み分けると大量のヒゲナガカワトビケラの成虫が一斉に飛び上がって体にガンガン当たってきます。
その中でいつものソルティープラッガーSPS862、トーナメントZ2500LBDを一閃。目の前のザラ瀬をとりあえず数投探ってからドンドン川を下っていきました。

ザラ瀬から小さな淀みを経て大石の点在するガンガン瀬。ここでもアップクロス、ダウンクロスと流れの上下にひたすら投げて高速トゥイッチ。
ガツン!とアタリと思いきや根掛かり。石に引っかかっていたビニールに掛かっていたので無事にルアーを回収できましたが、その間にラインがブロックに擦れて傷だらけ。
しっかり傷をチェックしてパニッシュSP黒銀・8.5cmを結びなおし、結構な長さが傷ついていたラインはクルクルと丸めてポケットへ。
そして次のポイントを目指します。

今度は先のガンガン瀬の瀬尻が脇の渕へと巻き返している如何にも釣れそうなポイント。もしサツキがこの場所に到達しているのならば、きっとこの場所に潜んでいるだろうと強く感じながら引いていると、瀬から渕へ入った所でパニッシュが勢いよく水面に飛び出してしまいました。
世の中にあれほど様々なルアーがある中で流れの中での高速トゥイッチについてこれるルアーはほんの一握り。このルアーは使えるやつなのにな・・・。いや、違う!魚が飛びついた勢いで水面を割ってるんだ!!

ヒットです。やった!
水面を一たび騒がせた後、流れに戻ろうとグリグリ、グリグリと独特の引きが伝わってきます。
しかし勝負は一瞬。否応なく魚を水際の草の中に跳ね上げました。
30cmの銀ピカの魚。
アマゴの特徴を色濃く残したサツキマスというよりもモドリと呼ぶべきなのか、この魚。
身の色は赤かったんですけどね。
まあ何にせよ実に嬉しいこの一尾。無意識に誰も居ないのにガッツボーズが飛び出していました。

同じポイントを何度か探った後、さらに下流に向かいましたが、サツキのポイントにはなりそうにない感じなのでUターン。また同じポイントを探ると今度は対岸でグン!と明らかに魚のアタリ。しかしミノーは残念ながら魚を掛けるには至りませんでした。

さあ辺りも段々薄暗くなってきました。まだ攻めていない上流の堰堤の周りを探ってみなければ。
またとりあえずの数投をしながらザラ瀬を抜け、その瀬頭に到着。
使い勝手も、2年前にサツキを仕留めて実績も今の私の中ではNo.1のアーティストFR8cmにルアーを交換し、すぐ上の渕へアップクロスでフルキャスト!
ミノーが渕尻の駆け上がりに差し掛かり、はっきりと目で確認できるようになった時、その後ろには銀色の魚の姿!
間違いなくサツキマス!先ほどのよりデカイ!どうする!?
選択肢は2つ。一瞬でも止めるか引き切るか。
私の直感は止めたら見切られると叫んでいます。しかし引ける距離は残り少ない。
リールを巻きながらトゥイッチをパン!バン!と二つ。その瞬間魚はミノーに飛びつきギラリと反転!
竿先には軽く衝撃。しかし大きく引き込まれることはありませんでした。サツキマスはミノーを弾いて泳ぎ去ってしまったのです。むぅぅぅ!不覚!!!

このポイントは後でもう一度攻めよう。休ませるためにも先に堰堤を攻めよう。
激しく流れる魚道の白泡の中で何度もU字を書きますが反応は無し。それでも暫く広く探ってから渕に戻ります。
と言っても今度は護岸の上から横向きに、そしてダウンクロスで攻撃です。
が、トゥイッチ連発でも魚からの返事は返ってきません。よし、ここは一つ奇策で。

渕尻から瀬頭に向けてキャストすると、ノーアクションで中速よりゆっくりリトリーブ。
アレグロどころかプレストを多用するのが私のサツキ狙い。まあアンダンテはさすがに効くまいと思っていたのですが、何と一発でゴンッ!と乗ってきたじゃありませんか!
しかもバスやニゴイではなくどこから見てもサツキマス!!

今度のは先ほどの微妙なマスとは格段に引きが違います。
右へ左へダッシュを繰り返し、首を振り、そして浮上してジャンプをしようとします。
竿を倒してジャンプを押さえ込み、ロッドの弾力で体力を奪い、取り込み体勢に。
ただこの時の足場は護岸の上。この竿でこのサイズの魚。一気に引き抜くことはできるでしょうが、サツキマスは口の弱い魚。そんなリスクは犯せません。
結局護岸の下の岸辺の草つきへと跳ね上げ、追いかけるように私も駆け下りてしっかりキープ。
サイズこそ33cmですが、先ほどの魚とは全く風格が違う幅広の見事な魚体。僅か3cmの差であるとは俄かには信じられません。

興奮が収まるのを待ってさらにキャスト!辺りは間もなく暗くなります。時間は僅か。
渕を瀬をコースを細かく変えつつせっせと投げ続け、護岸によじ登ってはトロ場を攻めたり・・・あっ!
鈍い金色の光を放って魚がルアー目掛けて沖で反転しました。33cmのサツキよりはるかに幅広、目測50cm!!
もちろんサツキマスじゃありません。特定外来生物、オオクチバス。
飼育・保管・移動・譲渡などが禁止され、生かしたまま釣り場の外周道路から持ち出すことも違法行為。もし移植でもしようものなら個人の場合は懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金なんてことになる魚。結局針に乗らずに終わってしまいましたけど。

このアタリを機に今日の釣りは大満足で終了です。
1尾釣るのに6シーズンを費やしたサツキマス、それから2シーズンでまた出会えるとは思いませんでした。
刻々と居場所を替えるこの魚ですが、水量・天気を考えると明日も必ずこの場所に居るはず!
次は僅か一日でゲットだ!と翌日もワクワクしながら仕事をしたのですが、無念の残業。
そして週末、四国・中泊の磯に遠征している間に激しい雨が降り、その機を逃さず一日に10数キロ遡上するとされるサツキマスは川を一気に駆け上がっていったことでしょう。

この時期限定の好敵手、また出会えるといいのになあ。
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