風雲児  烈風伝
    ・マルサゲ、姫北 起死回生を狙って! 

2010年 2月20〜21日 高知県鵜来島
鵜来に行けばどうにかなるに違いない!
先週の酷すぎるミズダコ釣り、そして不調の続く今シーズンの私のグレ釣り。
泊り客も無く、一般釣り師の最大の敵・大会も無いという土曜日のマルサゲ周りで癒せるか!?と、金曜日の昼頃に渡船屋についつい電話をかけてしまいました。
週末はパンクーバー五輪観戦、前回大会以来大好きなカーリングの試合で熱くなる予定だったのですが・・・

今の片島港は不況知らず。無料駐車場にはもう随分と車を停めていないような。
しかしこの日の宮本渡船の船内は、やはりこの時期にしては少な目の人数。
そんな船内で、いつもよりは随分と大人し目の波にゆすぶられながらウトウトしているうちに、シロイワのスベリへ到着。
ここに2人ほど降ろして、次はいよいよ水島群礁・水島2番へ。

今回は風も波も穏やかな予報でしたが、現場ではごく普通に吹き荒れていました。
出港直前に聞いた沖の島灯台の風速はたったの10mでしたが、実際にはもうちょっと強かったような。
とはいえ前回とは大違いで、何とマルサゲに渡礁してる!あっ、あのヒラバエにまでも人が!!

         ここ数年大人気、水島2番のチョボ
私の渡礁は最後でした。
「水島2番のチョボの丘が空いてるので行きますか?」というポーターさんの言葉を拒む理由なんてありません。
「今日は多分見えるよ!」
そうなんです、60cmクラスの尾長で名を轟かすチョボに隣接するこの磯も、尾長が乱舞するスーパーステージなのです。
一部の人間を除けば、天候に恵まれ、熾烈な磯取り合戦に勝ち抜いたほんの一握りの人間しか手にすることのできない尾長への挑戦権。
いよいよ本場での乱舞というものを目撃することができるのかと、期待に胸が高鳴ります。
こんな場所ですので、この日はもちろん3号竿を選択。滅多にない機会、逃すわけにはいきませんからね。

さて、撒き餌を撒いて仕掛けを投入し、その周辺を凝視しますが魚の姿はありません。
まあいきなり沸いてくることは無いだろうな。それに今使っている偏光グラス、曇天に強い全天候型らしいけど、魚を見るのに関しては太陽が高い位置に出てないと役に立たないしなあ。

それでもいつかは見えるだろうと楽観しつつ、ウキに対しては緊張を維持しながら、氷のように肌に突き刺さる風の中で釣りを続けます。
しかし、いつまで経ってもハコフグ1匹出てきません。
10時ごろに届いた弁当を食べ終わった頃に待望の太陽が覗かせても、やっぱり海の中はボイルと赤アミが沈んでいっているだけ。

こういう時、釣り人は登山家になります。大きな岩の峰、水島2番登山大会です。
チョボの丘の反対側、2番の奥で釣っていた方が、岩をよじ登ってこちらへ。
私も同じように2番の奥へ。
しばらくこの島の高みをウロウロし、潮が引いて渡りやすくなったチョボにも押しかけてみました。
そうやって情報収集してみても、どこもアタリは遠く、魚の姿も「見えんなあ〜」との事。
鵜来島・沖の島といえば巨グレの乱舞が代名詞のようになってますが、みなさん幻でも見てるんじゃないか?と思う今日この頃。

これではどうにもなりませんので竿を1.65号に持ち替え、遅ればせながら今回の本命・口太狙いに切り替えたのですが、結局ベラ1匹掛かることもなく納竿の2時15分を迎えました。
今回もまた完全試合・・・(号泣)
  鵜来島本島と、水島1番。最後には高々と飛沫が       水島2番東の鼻と、2番奥。沖には三ノ瀬島。
翌日は最近、いいサイズがよく釣れているという姫島廻りです。
海は鵜来島とは思えないほどの凪ぎっぷり。渡船は満員ですが、渡礁に優先権のある泊まり客は私の他には3人組が1グループのみ。
悲願の口太グレ45cmオーバーを手にする最大のチャンス到来です!

渡船は真っ先にツブラバエの前へ。
「ここで釣れなかったら釣りを止めた方がまし」とまで言われるこの磯に、泊まりの3人組が渡っていきます。
続いて私も名礁シオバエへ上礁・・・のはずだったのですが、泊まり客よりルアーマンのほうが優先とのことで、断念。
こうなったらどこでも大差ないや、そう思っていたら勧められたのが「三角」という磯。(同じ姫島にある「幼稚園の三角」とは別の磯)
千畳と四人バエの間にあるこの一人磯に、「ここは釣れますよ〜」と声をかけられながら飛び移りました。

去年から舞鶴小橋・武者泊・この鵜来島と、やたらに「三角」という名の磯に乗っていますが、ここもお約束の足場の悪さ、狭さですなあ。
釣り座の両脇には棚がちょっと出ていますが、その先は一気にドン深になっているようです。
で、その棚の上には1匹のオヤビッチャの姿。撒き餌にはシラコダイか何かが数匹寄っています。感激!(笑)

まずは軽い仕掛けで探っていきますが反応無しがありません。
徐々に仕掛けは重くウキ下は深くなっていき、開始2時間を過ぎた頃、この釣行初めてのアタリ!
伝わってくる手ごたえは20cmそこそこのコッパですが、それでもホッと安堵しながら普通にファイトをしてました。
それが、突然ハリス切れ。
たちまち頭の中が「?」でいっぱいになりました。キタマクラも居ないようだし、コッパが2,5号を噛み切るか??

気を取り直して釣っていると、4ヒロに設定してあるウキが先ほどと同じくらい潜ったところでスーッと消えました。
特別大きいようではありませんが、今度は手ごたえ充分!と思っていたら、またまた脈絡も無く突然のハリス切れです。

  姫島・三角。ジワジワと足が辛くなる狭い磯。
それから再びアタリが消えました。
理由はハッキリしています。深みから浮かび上がってくるあの大きな影。
足元を漂う、軽々一かかえ以上ある丸くて茶色いもの。
そう、海亀です。
鵜来・沖の島は特別海亀の多い海域ですが、この日の三角周辺は、まさしく海亀天国。
入れ替わり立ち代り、現れては消え、消えては現れ・・・。

そんな中、近投で竿2本近くの棚を探っていたウキがジワリと入りました。
満を持してアワセ!
瞬間、体に緊張が走ります。これはデカイ!

獲物は沖へと一直線、とんでもない力で竿を絞り込みます。
しかし魚のように強烈に突っ込むようなことはなく、動きはあくまでもゆっくり、ゆっくり、そしてゴゴッ、ゴゴッと水を掻き分けながら進んでいきます。
こんな動きをする物が他にあろうか!
とても1.65号の竿で止められるシロモノではありません。
私はどうすることもできないままジリッ、ジリッと糸を出され、最後は針を長々と伸ばされてジ・エンド。

これは、今日も完全試合だ・・・。
そんな思いが心の8割5分ほどを占めた11時過ぎ、このボウズロッドが全く予想していなかったアタリをキャッチしたのです。
今度の獲物は魚です。やはりファイトはこうでなくっちゃ!と満悦するも、それほど楽しむ時間も無く簡単に水面を割ってしまいました。
この35.5cmのイサギは、むしろ磯に上がってから大暴れを始め、足場の悪い狭い磯を飛び跳ねて波打ち際へダイブ!
どうにか取り押さえることができましたが、本当に危なかった・・・

ようやくチャンスが巡ってきたか!と半ば折れていた心を繋ぎ合わせて攻めに転じますが、沖は再び静寂の海へ。
一方、足元には魚が見え始めました。
大きなキバンドウが1匹、サンノジが3匹ほど、時折いい型のイサギらしき魚が1匹撒き餌を追っています。
餌を追っているような感じではありませんが、たまに30cmくらいのグレが10匹ほどの群れを組んでウロウロとしています。
しかしながら普段は穏やかな海も、私がバッチリ仕掛けを馴染ませた時に限ってウネリを呼び、激しいサラシを作り出しては問答無用にウキとサシエをダブルテイクアウトしてしまいます。
これは多少ウキを沈めても無理。いっそのこと・・・

私はウキを外し、代わりに2号の丸玉オモリを道糸に通しました。
2.5号のハリスを1ヒロ半取ったズボ釣り仕掛けを、棚の切れ目にカムアラウンド!
コンコン、グゥゥゥン!
5投ほどで竿先が引き込まれ、魚の重みが胴に伝わってきますが、ただそれだけ。
30cmほどのブダイ(赤)でしたが、この魚の引きの弱さだけはどうにもなりませんなあ。

それから数投後、今度は一気にバットまで引き込む強烈なアタリ。
ですが、これは瞬殺でした。
しかも短時間に2発。

口太グレやイサギを想定したタックルでやっていたけど、これは許せん!許してたまるか!
私は大急ぎで3号ロッドを引っ張り出し、道糸4号ハリス5号を投入します。
しばらくするとこの竿の穂先もアタリを捉えましたが、浮かび上がってきたのは残念ながらミギマキ。
そのミギマキに向かって、矢のように飛び掛る物・・・1.5mほどのサメ。
しかしサメもこの魚は好みではなかったのか、すんでのところでUターンして海中深く帰って行きました。
むむっ、前半の謎のハリス切れってもしや、これの仕業だったのか!?

そして時間切れ。

     水島2番より。沖にはグンカン。
この日は水島でも尾長がよく見えたそうですし、スクモバエでグレ40枚。ツブラに上がった泊り客もグレ・イサギ、どちらも15枚以上釣られていたそうです。

それなのに私は・・・。
今シーズンは本当に酷い釣りばかりです。
8年前、水島2番で尾長グレ58cmを獲るという奇跡を起こしてからの1年間も酷いものでしたが、その時ですら完全ボーズの日なんてほとんどありませんでしたし。

こんな不調に陥った時期に何があったかと考えてみると、竿を5〜6年ぶりに買ったことに思い当たります。
DXR1.65号・・・。もしやあの竿のどこかにカラクリが・・・
そうだ、知らないうちに妨害電波発生装置か何かを取り付けられているに違いない!レイクチワワだか、リバーダックスだか、そんなような名前の団体に!そうだ、そうに違いない!
(妄想&言いがかりはやめましょう)
 ● 鵜来島 ugurujima
利用渡船 宮本渡船 出港地 高知県宿毛市・片島港
時間(当日) 5:30片島発〜15:00回収
(実際には2時頃に回収)
料金 初日:8000円
以降:5000円
駐車場 無料&有料 弁当 600円くらい
宿/仮眠所 鵜来島:民宿を経営
システム 磯割り制(5交替)
1に大会、2に泊まり優先
残りは船内で争奪戦
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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