風雲児  烈風伝
    ・柏島日帰り釣行 今年のグレ釣り、やっと開幕?

2010年 3月27日 高知県柏島
最近は釣行が突然決まります。
この前四国に行ったばかり、地元の釣りも開幕まではまだまだ。そんな心に釣りの「つ」の字も無かった週末はまた、金曜日の昼休み、従弟からの一本の電話で一変しました。
二人だったら資金も体力も何とかなりそう!よし、行くか!(従弟よ、いつも助手席で寝てばかりで済まぬ)

阪神タイガースが開幕戦を勝利で飾り、ヒーローインタビューで安芸キャンプの休日に鵜来島の磯に現れたという釣り師が、「長崎県佐世保市から来ました城島健司です」と自己紹介をした夜、私たちは一路四国を目指していました。
今回の舞台は前回と同じ柏島です。今度こそは!

桜満開の高知とは思えないようなマイナス気温の中、たどり着いた柏島の港は土曜日とは思えないくらい人が少なく、予約を入れていた井上渡船の乗客なんて私たちと、もう一組の4名のみという有様。

前回渡った蒲葵島(びろうじま)、その左に赤バエ(グンカン)
背景はこの日62cmの尾長が出ていたという(今回もかいっ!)沖の島。

今回の磯廻りは「幸島(こうしま)」。
まずは二人組がヒナダン(北のトビワタリ)に上礁していきます。
私たちは船長に別々の磯に上がることを勧められ、従弟は「ナダレ」へ。
船長は従弟に対し、広大な斜面が続くナダレの、その岩の一つにクーラーだけを上げるように指示。
そして「今の下り潮が上りに変わった場合はあっちでやるように」と言い聞かせて、少し離れた岩に従弟を乗せました。

船は最後に「トビワタリ」へ。
今そこに上がろうとしているのは、2週間前に兵庫から来てカゴカキダイ1匹しか釣ることのできなかった男です。
この磯で狙うべきポイントや注意点を磯の前で懇々と説き続けてくださり、「昨日はここで50cm近いのが出とる!」と発破をかけて離れていきました。

そんな話を聞いてしまえば、手はやはりいつもの1.65号のボウズロッドではなくツインパワー2号の方に伸びてしまいます。
道糸も3号、ハリスは2.5号、潮とサラシの様子を見てG2のウキを選択、とりあえずウキ下を2ヒロ少々取ってスタートです。

ナダレ方向に山蟻が歩くくらいのスピードで流れている潮に乗せて、左手にあるシモリとの水道へ流し込んでいきますが、今回は餌が全然残りません。
水道にはシラコダイやソウシハギなどのエサトリが沸いているのが見え、その下を狙おうとしても強固なガードをなかなか崩すことができずにいました。
タイミングをずらしたり、ガン玉を動かしたり・・・ウキがスルスル〜と入っていく待望のアタリを表現したのは開始から1時間近く経った頃でしょうか。
力強い引きが竿を通して伝わってきます。シモリに行かれないように注意しながらロッドのパワーで浮かせた魚は40cmオーバー!
珍しく一発でタモ入れに成功し、磯の上に無事引き上げると、針を外してすぐに海へとお帰り頂きました。
だってこの魚、、顔つきの悪い尾長(キツ・イスズミ)でしたから(笑)

ナダレと井上渡船。どうやら一番先端が従弟ですな。
それからもコッパのキツが数枚掛かるもののほとんどが途中で針外れという状況が続きました。
厳しいなあ〜。
ナダレの従弟も竿を曲げているような様子はありません・・・って、一人で渡ったはずの従弟の周りに釣り人がいっぱい!
そう、割り込みで渡ってきた他の渡船のお客さんたちです。
なるほど、それで船長はサブポイントにあらかじめクーラーを置くよう指示してたのか。

エサトリばかりだったトビワタリのポイントですが、時間の経過とともに状況が変わってきました。
潮上に入れた撒き餌が正面にできているサラシに差し掛かると、波間から飛び出してくる魚は明らかにグレ!
サイズも40cmくらいのが混じっている様子です。
ですが、段シズの仕掛けをサラシの中で止め、流れてくるマキエと合わせて狙ってみてもどうもしっくりこない感じです。

徐々に行動範囲を広げ、シモリとの水道へ、沖へと餌を追うようになったグレ、この様子を見て私は仕掛けを変更。
ウキを00に、ハリスを矢引きにして、そこからスタートのスルスルに。
この仕掛けを水道へ流し込んでいくと、ウキが流れに吸い込まれた後にスピードを上げて・・・よし!きた!
心地よい引き味とともに磯の上にやってきた魚は32cmの尾長グレ。
戦術的中!サイズなんて関係なくこれは嬉しい柏島の初グレです♪

時間は9時。今日はいけるぞ!と思った瞬間、海底の彼方からやって来る物がありました。
またしても!!お約束の海亀です。しかも今回のはとてつもなくデカイ!
そんなのがシモリの上を悠々と進んで、釣り座の足元へザバァ〜と浮上したのです。
思わず波打ち際まで降りてみると、海亀との距離はわずか50cm、日頃の妨害の恨みを込めて思い切り頭をド突いてやろうかとも思いましたが、海亀も気配を察したのか、一息吸い込んだだけで真下の棚の上に沈んでしまいました。

    今回のお約束はデカかった〜。
餌でも齧り取っているのか、コイツ、この足元にしばらく居つくつもりの様子です。
グレの反応なんて当然、消えてなくなってしまいました。
このストーカーめ!!

最近のパターンではこのまま撃沈が確定でした。
しかし、今回はボウズロッドを手にしていないせいなのか、文字通り「救いの船」がやってきたのです。
偶然、弁当を運んできた渡船が、亀の頭上にのしかかるようにしてホースヘッドを磯に押し付けます。
これはありがたい!

「ここまで1匹」という釣果を訊いて「やっぱりコイツは・・・」と思っている船長に、「これから釣れます!」と自信満々に答えた私、その確信はすぐに結果として表れたのです。
海亀も居なくなって、グレたちの行動はまた活発になっていました。
ウキごと沈んでしまう00ではグレが食いあがってくるタナを越えてしまいます。
そこでウキを0号に交換すると、過たずウキの下の潮受けウキゴムが斜め45度に走りました。
33cmの尾長グレだぁ〜!

これからしばらく、シモリの上で、水道で、どちらでもアタリが連発しました。
始めこそ針外れに首を傾げましたが、針をふかせグレ5号から拳グレ6号にサイズアップすることで確実に取り込めるようになり、34cmまでを立て続けにゲット。

ただ、調子に乗って釣っているうちに撒き餌を撒きすぎたのか、グレのタナはすぐに深くなってしまいました。
潮もスピードを上げ、ゼロスルスルでは対処ができない状態に。
そこで私はウキは0浮力のまま、矢引き分取っているハリスの中間にBのオモリを打ち、正面竿下に投入。
潮上からのマキエと合流させると、横流れの潮の中、左から右へ、上から下へ、サシエをマキエと完全同調させながら竿先を送っていきました。
これはフカセ釣りと言うより脈釣りですな。まるで渓流釣り^^

仕掛けが水道に差し掛かり、サシエが竿一本位にまで入っていったところで上ウキがスー!アワセを入れれば磯際にどうにかして逃げ込もうと暴れる、腹の膨らんだ口太。
少したるませたラインがスルスルと張り、潮下へ送っていった穂先にグーっと重みが乗ったところで手首を返すと、一際激しい抵抗を見せて上がってきた36cmの口太。
水道を通り越して本流に乗りかかったところで、スプールに掛けた指先が弾かれて32cmの尾長グレ。
今日は久しぶりの連発だぁ〜〜!

ダンとタンポ。この日のタンポは底物師ではなく
カゴ釣り師が上がっていました。
この時点でクーラーには7枚のグレが収まっていました。
時計を見ると11時半。
腹が減ったなあ〜 そろそろ昼でも食べますか・・・と、見晴らしのいい岩の上に腰掛けて、美味しい弁当をゆっくり平らげました。
季節はずれの寒さが嘘だったかのようにポカポカと暖かい日差し、久々に得ている心の余裕、素晴らしい柏島の風景。これぞ至福の弁当ですな♪

ただし結果的にはこの弁当タイムが大きなマイナスになりました。
穏やかだった風は、弁当を食べ終わった頃には結構な勢いで吹き始めており、波もそこそこ大きくなってきました。
潮はさらにスピードを上げ、魚の反応も消失、どうやら弁当を食べている間にトビワタリのサービス期間は終了してしまったようです。

1時ごろ、磯の前に「いのうえ渡船」が現れました。
そのホースヘッドにはナダレにいた従弟が乗っており、このトビワタリへと飛び移ってきたのです。
「いのうえ渡船」と「井上渡船」は仲のよい兄弟船です。見回り船、回収などどちらが来るか分からないし、どちらに乗ってもかまいません。
えっ?私たちが乗ってきた「井上渡船」はどうした?
その船ならこのトビワタリの沖にずっと居ますよ。
船に搭載した竿2本と、甲板のあちこちに転がっていた道具をフル活躍させて、納竿の時までひたすら釣りをし続けていました(笑)

従弟はナダレでは小サバに苦しみ、グレは30cm手前の尾長2匹のみだったようです。
朝のうちは物凄い数の沸きグレが磯を取り囲んでいたけど、仕掛けを投げるとその部分だけポッカリと穴の開く、どうにもならない沸きグレだったとのこと。
このトビワタリには小サバも沸きグレも居なかったし、ナダレにはソウシハギもシラコダイも居なかったとは、あまり離れていない距離なのに、状況はそんなに違っていたんですね。

口太は抱卵中でした。その中の1枚には
白子が!やっとの思いで食べられました^^
さて、先ほどまでとは一変して苦しい状況になってしまったトビワタリ、歴戦の従弟の凄腕なら見事に魚を引きずり出すだろうと思っていましたが、本流を流しても、際を探っても反応は無く、結局納竿までにキツを一枚上げるのがやっとでした。
私も最後はウキを外し、サルカンの上に1号丸玉オモリを通した、完全なる脈釣り仕掛けを投入して、磯際から尾長をどうにか一枚引きずり出したくらいでタイムアップを迎えました。

実は予約を入れてから磯割の間違いに気付いた今回の釣行だったのですが(本島廻り・神崎周辺を狙ってました)結果的にそれが吉と出て、久しぶりの重たいクーラーを味わえました。
これで40cmを越えていたら・・・なんて贅沢な事は言いません。
ここに来てようやくシーズンが開幕したような気分で、心の底からホッとする思いです。
おかげで帰り道はグッスリと助手席で眠ることができましたとさ。
(こらっ!)

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 井上渡船(弟) 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 6時前後〜15:00
(3月)
料金 5000円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
磯替わり 数回
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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