風雲児  烈風伝
・鵜来通しスクランブル発進。 またも呼んでしまいました。

2010年 6月12日  高知県鵜来島
今回の釣行もまた、金曜日の6時前に決まりました。
「鵜来に行こう!」という従弟からの電話です。

そこで伝えられた「イサギが100枚単位で釣れていて、ヒラマサも回遊している」という情報に対しては、「いつでも飛びぬけて釣れているあそこの情報だろう、どうせ」とお互い懐疑的でしたが、「明日の夕釣りは、グンカン廻りの磯割りを担当している渡船の欠航が決定しており、マルサゲ廻りの「柴田渡船」が水島を独占する!」という情報にはついつい心を動かされてしまったのです。

大急ぎで仕事を片付けて家に飛んで帰り、浮力材も入っていなかったベストに道具を詰め込んで従弟の車へ。
そして翌朝4時に柴田渡船で片島を離れました。

朝釣りの磯割りは、鵜来島本島・ホトバエ廻り。
西の鼻やオヤユビ、仏バエ辺りに次々と人を降ろしていく中、私たちはのんびりと一番最後まで船内にいて、一度上がってみたかった「港の1番」へと着けてもらいました。

従弟はルアー、私はフカセです。
青物を狙ってポッパーを投げる従弟を見ながらセットアップし、撒き餌とウキ下1ヒロ半程度の仕掛けを磯の右の角から投入しました。
左へゆっくり流れていく撒き餌を目掛けて、シモリ丸見えの浅い海底から集まってきたのはいつもの茶色い連中、オセンの系統やカワハギなど。
その下ではグレか!?と一瞬思わせてくれるオヤビッチャの群れが青くヒラを打っているのが見え、沖には徐々にウスバハギとソウシハギも集まってきました。

序盤戦ではカワハギ、カゴカキダイ、オヤビッチャを立て続けに1匹ずつゲット。
旨い魚ばっかりなんですけどね〜(笑)グレやイサギはいずこ?
なんて思った直後に、急激に食い上がってくる魚を発見、水面で側面をさらして反転する魚を見誤る訳がありません。グレ、居るじゃないですか〜。
私は即座にウキを00に変更して矢引きスタートのスルスルに切り替えますが、仕掛け交換が手に取るように分かったのか、グレはたちまち姿をくらましてしまいました。
で、もう一度ウキを換えて元の仕掛けに戻すと・・・ま、また浮いてきた・・・。

これじゃまさにイタチごっこだな・・・苦笑する思いで仕掛けをスルスルに戻し、近距離に同時打ち。
即座に黄色い潮受けウキゴムがツーッと走り、親ウキが後を追うように海中へ!
おおっ!一投目から食ってきたではありませんか!!ボウズロッド・DXRメガチューンが、長らく忘れていた曲がり方をしています。
しばしのファイトの後にタモに納まった口太グレはデカイ!軽く40cmを越えている!
・・・私の目にはそう映ったんですけどねえ。数時間後にサイズを測ってみたら、何と36cmにまで縮んでいました。
撃沈に慣れると魚が大きく見えますねえ。
それでも、この頃の私にとっては年間数枚釣れるかどうかのビッグサイズ〜♪

この調子ならいよいよボウズロッドの呪縛が解ける!そう感じたのも束の間だったのです。
結局グレが動いたのはこの一瞬だけだったのか、それともいつものようによぉ釣らんかっただけなのか、弁当船までにヒットする魚は一匹も無し。
一方、隣でせっせとポッパーやミノー、ジグを投げ続ける従弟は、サラシの中から60cmクラスのヒラスズキを引きずり出しましたが、足元でフックアウト。それから数回のバイトを逃すと、あとはこちらも沈黙となってしまっておりました。
やってきた弁当船に道具をまとめて飛び乗ることに対し、二人の意見が対立するはずもありません。


朝釣り後半戦は鵜来島本島の北東・オヤユビとカメの間に位置する磯。
この磯の名前が「ダケの長ハエ」であることを知ったのは帰宅後だったのですが、上がった直後の私たちは「磯名は多分、雛壇か何かとちゃうか?」と想像し合ったほど、2段になった足場は見事に平らで、夕釣りに備えてグッスリ眠れてしまいそうな所でした。

磯の左側はシモリの点在する浅場で、そちらに向かって潮が流れています。
私は左側の浅い方、従弟は右側の深い方に陣取ってキャスト開始。
船長の言葉によるとフカセではイサギ、ルアーではメジロが出るとの事ですが・・・

     ノコギリダイ
足元はもちろん、沖でも餌がほとんど残らず、遠近作戦は無効。
潮が結構しっかりと流れているので、潮下のシモリ際をしっかりタナを取った仕掛けで直撃することで、どうにか29cmのグレを一枚仕留めることができたのは10時過ぎ。
その後、同様の攻めでカワハギ数枚と、25cmのノコギリダイ(フエダイ科)、20cmのイトフエフキ(フエフキダイ科)をゲット。

青物の気配は残念ながら皆無で、従弟もルアーを諦めてフカセでカワハギ、ウスバハギをゲット。
35cmクラスの口太も、私が弁当を食べている間に私のDXRで取り込んでしまいました。
一日のうちにグレ3枚・・・このボウズロッドも今日は絶好調です(笑)
続きこそありませんでしたが・・・


そして1時半、朝釣りの回収が始まりました。
いよいよ水島独占での夕釣りのスタート、渡船は水島へと抜ける海峡部を進んでいきます。
その船尾には、水島に着くや我先に駆け出して一級磯に押し渡ってしまおうと、某会メンバーはもちろん、目を血走らせた男達がぎゅうぎゅうづめに固まって、むしろ船内に入ってしまいたい私たち2人も身動きすら取れない状態。

しかし隣の沖の島とは違うあさましい光景は長くは続きませんでした。
波は穏やかだった朝と同じとは思えないくらいにそそり立ち、船尾には激しい潮の豪雨が右から左から渦巻いて、とても外に居られる状態ではないことを皆がすぐに思い知ったからです。
今回も「曇りのち雨、最高気温23度、波高1.5m」という予報の鵜来は、やはりいつもの鵜来島。(もっとも今回は、天気図をどう見たらこんな馬鹿げた予報が出てくるのかと、予報を聞いた時点ですでに呆れてしまっていたんですが・・・)

足の踏み場も無い船内で激しい縦横の揺れに耐えていると、やがてグンカンの沖に到着したことをエンジン音が伝えてくれました。
船首に向かう人の群れ、そこに船長からの耳を疑うようなアナウンスが届きました。
「今からくじ引きをしますので、グループの代表者は全員前に出てきてください!」
おおっ!こんなの初めて見た!兎角トラブルの多い水島への磯渡し、この日は優先権を持つ泊り客も居ないこともあり、船中荒れることが予想されていたのですが、これならいい!
ただ、ここで芸術と言われる程の運の悪さを誇る私が出て行けば、その時点で2人してとんでもない所に上げられるのが確定となりますので、私は迷わず従弟に行け!と。

そして従弟は、何と2番くじでグンカン高場を引き当ててきたのです。
予想もしなかった展開の中で急いで渡礁準備をし、潮がかなり引いていたので低場から上陸、高場低場を分ける溝を渡り、段差を越えて荷物を運び上ます。

「今日は6時に回収です。迎えはピンクの船に頼んでますので、それに乗ってください。これから潮が一気に上がってきますし、荒れ方によっては回収がもっと早くなるかもしれません。」
鮮やかなライトブルーの渡船をこの日操っていた先代の船長はそう告げて去っていきました。
この渡船の当代の船長の結婚式がこの後に行われるので、沖の島の初福渡船に迎えを依頼したんだそうな。(船長、おめでとうございます!)

持ち時間は4時間も無い、時間に追われる私たちに襲い掛かったのは、オキアミ、赤アミ、ハリス、エサトリの死骸の散乱する人気磯の惨状と、卒倒しそうに激しい臭気、そして、時期外れに吹き荒れる北西の強風でした。
風は季節風の最盛期ほどの力は無いとはいえ常に激しく吹きまくって、ヒラバエ向きに入った私は何度もバランスを崩されるほど。
そんな風に耐えながら私は3号竿を伸ばし、道糸4号、ハリス5号、Bのウキをセット、2ヒロまでのタナを攻めていきました。押し戻される撒き餌でカッパのズボンを染めながら。
従弟もここでは最初からフカセでの挑戦です。

噂に聞く尾長の乱舞は・・・ありません。
実は居るのかも知れませんが、白波に混ぜ返される海面を通してでは、その姿を捉えることはできませんでした。
代わりにちらほらと見えるのが何やら黄色っぽい魚・・・エサトリにしては少し大きすぎるようだし、もしかしてイサギかな?
タナを変え、オモリをずらしてヒットパターンを探っていると、ウキがゆっくりと波間に消えて、案の定イサギがヒットしてきました。サイズは35cmほど。
イサギとシマアジは小さくてもタモで取らずにはいられない食いしん坊の私ですが、今回は対尾長タックルに物を言わせて一気に磯の上にブリ上げました。
この日はというか、今年は今のところグンカン防衛隊(サメ軍団)の姿は無いようですが、それでもこの磯では恐怖が付きまといます。

低場では三人の方が竿を出していますが、そちらでもイサギが数枚当っていました。
そして南向きの方が一際大きく竿を曲げたと思ったら、上がってきたのは50cm手前のグレ!羨ましいなあ〜
一方こちらではなかなか後が続かず、30cmのイサギをどうにか追加するまでに1時間以上の時を要しました。
その間、風波はますます強くなり、潮も一気に満ちてきて、風は何度もカッパのフードを吹き飛ばす、そこにしぶきが容赦なく降り注ぐと、グンカン高場はかなり辛い状況に陥っていました。

従弟は何も掛けることが出来ぬままフカセを諦めて、「一発逆転に賭ける」と大きなルアーを投げ始めています。
一度60cmくらいのヒラマサの姿は見えたそうですが、それは従弟のルアーにも、高場低場総勢4名のフカセにも掛からずじまい。

そして刻一刻と終了時間が迫ってきました。
ゴールデンタイム真っ盛りの5時過ぎ、やはりグンカンはアタリの集中する時間帯。
低場の3人に連続ヒット、きっとこちらにも・・・と感じて、低場との溝の向こうのサラシの中でしっかり仕掛けを張っていると、スルスル〜と消えて行く朱色!
この35cm手前のイサギもゴリ撒きで抜き上げると、もう竿を納めていた従弟が〆てクーラーに放り込んでくれました。

あと1匹!どうにか1匹!
そう強く願いながら飛ぶように進む時間の中で全力を尽くすのですが、従弟の目が姫島の磯を飛び回るピンクの船を捉え、結局30〜35cmのイサギ3枚という釣果で竿を置くことになりました。
私たちは撒き餌に染まったロッドケースを拭き、磯の上をせっせとバケツで流して、2週間前に使ったばかりの初福渡船に乗り込みましたが、鵜来の夕釣り、最後までやってみたかったな。


さて、次回の釣行は梅雨前線の機嫌次第ですが宇和島を計画しています。
今グレに飢えている私。
魚影の濃い宇和島の海、25cm、いや23cmでもいいので10枚・・・ 今の私にとってあまりにも無謀な目標なのは分かっているのですが・・・。

 ● 鵜来島 ugurujima
利用渡船 柴田渡船 出港地 高知県宿毛市・片島港の東
時間(当日) 4:00片島発〜13:30
13:30〜18:00回収
料金 13000円(朝夕通し)
駐車場 無料(専用駐車場) 弁当 600円くらい
宿/仮眠所 鵜来島:民宿を経営
片島:仮眠可
システム 磯割り制(5交替)
普段は1に大会、2に泊り客優先
後は船内で争奪戦
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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