風雲児  烈風伝
     ・食欲の秋 清水口・柏島釣行記

2010年 10月11日〜12日 高知県清水口、柏島
・第一日 清水口(土佐清水市)
10月の3連休、グレにはまだまだ早いことは分かっていましたが、無性にフカセがやりたくて。

マイナー釣り場に目が無い私が今回の第一候補に考えていたのは、高知県大月町にある泊浦という場所。
聞くところによると今年の春から何年かぶりに渡船を再開した場所だそうで、春にはグレもチヌも相当食ったんだとか。
隣の安満地でグレがよく釣れている今がチャンス!とばかりに電話を入れてみると、船長の携帯に掛けなおすように言われたのですが、時間を置いて何度かけても全く出ません。さらに、渡船を斡旋しているという釣具屋の電話も故障しているのか、一切呼び出し音すら聞けませんでした。

これでは仕方がありませんので、以前から気になっていた清水口の清水渡船に電話するも、ここも繋がらず・・・とガックリしてたら、すぐに船長から折り返しの電話が!
ということで、マイナーな清水口の磯に初挑戦だ!

    手前の岬の向こうはジョン万次郎の出身地。
    沖の岬は「沖臼」で有名な松尾の磯。
2008年2月に開業した清水渡船がカバーするのは、土佐清水市の「清水港」の湾口と、その南東に隣接する「中ノ浜」(中浜(ジョン)万次郎の出身地)周辺の磯。私はこの日、清水港を出て少し東にある「チドリ」に上がりました。
船長の話では前日に30〜40cmのグレが5枚釣れているとのことですので、気合を入れて頑張ろう。

清水口の磯は見た感じ小さくて低い磯ばかり。
このチドリも低い磯で、朝のうちは潮が高いこともあって、磯のどこに居てもしぶきが飛んできます。
良さそうな沖向きは特に飛沫が激しくて辛そうなので、まずは中ノ浜向きの磯際に0ウキにジンタン7号を一つ打った仕掛けを投入してみました。

開始早々25cmほどのキツ2枚が連続でヒット。
そこで投入場所を少し変えてみると、直後にウキがスーッと沈みこみ、竿がストレートに曲がっていきました。
開始から15分も経たないうちに32cmの口太をキープです。今日はいいかも!

そんな予感の通り、かつてボウズロッドと呼ばれた竿はこの日、中ノ浜向きでも潮の引いた後の沖向きでも本当によく曲がってくれました。
コッパギツ、ニセカンランハギ、サンノジ、ハマダツ・・・。特にキバンドウは軽く10枚はクリアしたかと思います。
しかしながらグレはというと25cmほどの尾長が数枚釣れただけで目ぼしいものは、ビビビビ・・・となかなか浮いてこなかった36〜38cmのハナアイゴ4枚だけ。
アイゴ好きの私は当然キープです!ライトブルーの体色のハナアイゴですが、味は普通のアイゴと遜色ないですからね。(まあリリースしたキバンドウも旨いんですけど・・・)

どの磯もこんな状況だったのか、他のお客さんは早いうちに全員帰ってしまいました。
「このチドリで昨日、グレが食ったのは午後から」という話を船長から聞いていた私だけは、最終の5時までとことん粘ることとします

そんな期待の午後、ポイントに沸いてきたのはグレではなくて「毒ハギ」ことソウシハギでした。
サシエももちろんバンバン盗って行くのですが、この日のこいつらが何より厄介だったのが、餌より先にハリスに反応すること。
出た〜〜!75cmの 尾いカワハギ
ウキには明らかにソウシハギとは違う、綺麗で力強いアタリが何度も表れるのですが、竿を立てたら既に針が無い・・・ そんなのばかりでした。
その中で私は、75cmの大物を取り込むことに成功!
もちろんソウシハギです。こんなの引きは皆無だし、タモに入れたらめっちゃ重いし、リスクを犯して食べたくないし。

5時、予定通り納竿。
朝の6時からよ〜〜く遊びました。これだけ遊んで2500円はお得かも。
ただ気になったのが土佐清水港の出口という場所柄、漁船の往来が途切れることの無いくらい激しかったこと。
その漁船の引き波で一日中しぶきを被りっぱなしでしたし、釣りをしていてもどうにも落ち着かない感じでした。

外道の連発で腕も肩もバキバキですが、グレの方は11時間かけて結局コッパ数枚、32cmを1枚キープしただけで終了。
ところが、その日の渡船の釣果情報を見てみると・・・
2010年10月10日 天気(晴れ) 水温(25.6℃) 潮(大潮) 波(2m) 風(北西)

今日は4組のお客さんがヒラバエ、チドリ、センドバエ、ミツボシ東で釣っていました。

釣果 ヒラバエは餌が落ちないみたいでフタツバエ沖に移りましたがバンドが多くてグレは駄目でした。ムロアジは釣っていました。
    チドリはグレ1枚
    センドバエも餌取りが多くてテラヤシキに移りましたが駄目でした。
    ミツボシ東もバンド、サンノジとかが多かったみたいです。           計 グレ 1枚
        清水口・チドリからの土佐清水港方向。
何と、私のグレがこの日唯一のグレだったようです。

 ●清水口 shimizuguchi
利用渡船 清水渡船 出港地 高知県土佐清水市・清水港
時間(当日) 6:00〜17:00
料金 2500円(女性1500円)
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 無し?
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)


・第二日 柏島
出発時には2日目に改めて泊浦探索を!と考えていたのですが、これはパス。
道中で一人では磯に上げてくれないとか、斡旋をしている釣具屋で餌を買わなければ渡してくれないとかいうややこしそうな話を聞いたし、その真偽を確認しようにも釣具屋が閉まっているのではどうしようもありません。
それよりこの時、私の心はグレよりもむしろスマ(標準和名ヒラソウダ)、オボソ(標準和名スマ)の方に傾いていました。
定宿にしている幡多郷で食べたスマのタタキは旨かったしなあ〜。身をボイルした後の茹で汁で作る味噌汁も本当に旨いし、数年ぶりに釣ってみたいなあ〜。

で、結局2日目は柏島へGOです。
いつも使っている井上渡船のこの日の磯周りは「グンカン(赤バエ)」。
船長は「大きなイサギが数出ちゅう!」という「グンカンの水道」に上げてくれました。
まずは船着きからの竿出し。
本当は少し左側からやりたかったのですが、足場がべったりと濡れていたので、潮が引いてくるまで様子見です。

速い潮は蒲葵島(びろうじま)との水道を抜けて右前方へ流れていきますが、ポイント付近で沸き上がって鏡を形成し、仕掛けは本流に全く入ってくれません。
そのうち流れは変わってくれるでしょう。とりあえず磯際のサラシの先の潮の壁を集中攻撃をしていくと、キツとオヤビッチャにウキを引っ張られます。

    グンカンの水道の先端
潮が下げに入り、少し早い弁当船がやってきた頃にはウネリが強くなり、船着きへも頻繁に飛沫が飛んでくるようになっていました。
それも単なる飛沫のみではなく、水の塊も飛んできます。
流されるような危険は無いのですが、その塊の数回にわたる直撃を受けたバッカンは水浸しのビチャビチャです。
私は被るたびに磯の上へ上へと逃げていったのですが、とうとう船着き付近に居場所が無くなってしまいました。
仕方が無いので蒲葵島向きの先端にある岩の上に登って、そこで釣りを続行します。

潮を被ることはほとんど無くなったけど、先端のポイントはさらに「ビッチャビッチャ」でした。
磯を取り囲むオヤビッチャの群れ!最大で25cmはありそうなのが連発!!この釣れっぷりは日本一のオヤビッチャ釣り場・沖の島のソトガシラ周辺に匹敵していたかも知れません。
遠投して流せば・・・と思ったところで水道流は緩やかになっていたし、オヤビッチャをかわせてもダツの餌食。

「イサギ、釣れよる? いかん? 磯を替わるか?」
見回り船で船長は声をかけてくれましたが、それでも潮さえ変わってくれればと、この磯で頑張り続けます。大きなサイズのオヤビッチャを潮溜まりにキープしながら。

でも、3度目の渡船が通りがかった時、私の心はさすがに折れていました。
「替わったら?」
「はい!替わります!!」
返事をするや否や、大急ぎで荷物をまとめて船に飛び乗った私はふと気付いてしまったのです。
「あっ!潮溜まりにオヤビッチャを忘れた!!」
後日家族に、この忘れ物を酷く怒られました。「あんな美味しい魚を磯に忘れてくるなんて!」と。


     沖の長ハエ、この日のポイント。
     超人気磯アンパンにはルアーマンの姿が。
「沖の長ハエが空いちゅうき、行くが?」
「もちろん!」
第二ラウンドはムロハエ群礁の沖の長ハエ。前回、キビナゴフカセやルアー等で挑戦したアンパンの向かいにある磯です。
「ウネリがあるから、(磯の真ん中に立てた)鉄柱より一のハエ方向には行かれんで!(アンパンや三角との間の)水道でやってみ!」
というアドバイスを残した井上渡船は、いつもどおり沖での船釣り(漁?)を開始。
時計を見ると信じがたいことにまだ8時57分。心機一転、やってやりますか!

しばらくマキエを打っていると、沸いてきたのは前回と同じくシラコダイやキツ、アイゴ。
足元にマキエを打って、0ウキにG5の仕掛けを投入すると35cmほどのキツが食ってきました。
次は同じく足元にマキエを打っておいて、潮下にあたる地の長ハエの磯際から伸びたサラシへ仕掛けを投入。
しばらく待っていると、スプールに添えた人差し指がパチパチッと弾かれ、素直な引きが竿に伝わりました。
おっ!口太グレじゃないか!35cmはあるぞ!
正直グレはあまり期待してなかったので、いきなりの登場に口笛でも吹きたい気分。
水面に浮かして空気を吸わしておいて、背後に置いてあるタモ網を掴み、再び海へ視線を戻した時、何とそこにグレは居なかったのです。
ショック、針が外れてる・・・

このバラシで攻め方が見えました。
足元から潮上にマキエをバンバン打ち、潮下に仕掛けだけを入れて待ちます。
サラシに捕まって仕掛けが沖に出るとキツばかりですが、地の長ハエとの間のハエ根の際に入り込んでくれた時には30cmの尾長グレが食ってきてくれました。
今度はしっかり針掛かりしていたので無事キープ。

渡船が磯に近付いてきたので「小さいけど何とか釣れたで!」と合図すると、船長は「磯を替わってよかったなあ〜!」、隣の一のハエに上がっている常連さんへは「こっちは替わってきてもう釣ったぞ〜!あんたも負けとられんで!」と激励の声。

それから引き波の加減で水中がハッキリと見通せた瞬間がありました。
中層でマキエを追っている紡錘型の魚影!おおっ!チャンス到来!
私は足元にマキエを2発入れ、シラコダイ等が寄った所で、それらを追い散らすように激しく叩きつけるマキエの追い打ち、重ね打ち。その合間に仕掛けを入れていくと・・・ビュン!とウキが鋭く海中へ。

右に左に走り回る素早い動きを楽しませてくれたのは、レインボーランナーことツムブリの子供、42cmでした。
これが連発するのかと思いきや、こちらは1尾で終了。
その代わりに、向かいのアンパンに上がっていたルアーマンが竿を曲げています。
ハマチだろうか、ツムブリだろうか、タモに収まったその魚は70cmは越えていたはず。

それにしても今日はやたらゆっくりと時間が流れます。チラッと一瞬時計に目を走らせると、何と未だに11時45分!
時間の余裕があるのでじっくりマキエを観察していると、やはり一発目のマキエにはシラコダイ、追い打ちのマキエにはキツが飛び出してきます。
が、この頃になると、グレでは無さそうですが、40cmほどの黒っぽい魚が混じって出てくるようになっていました。
これは!と、足元にマキエを打っておいて、沖目に一発だけ同時撃ちでマキエと仕掛けを投入すると2秒でヒット!
面白いように当ってきますが、残念、ことごとくキツでした。

       一のハエ方向。
グレがヒットしたのはやはり磯際だけ。尾長グレ27cmを最高にコッパが数枚。
ただ、この磯際では一度、強烈なパワーで磯の壁に突っ込まれ、そのまま張り付かれてしまうということも起こりました。
ですがその時、張り付いている壁の10mほど沖には2mほどのサメが・・・。
私は強引に引き剥がすのを諦めて、糸を緩めてやり過ごしていると・・・サメが通り過ぎた時には針が外れて魚はおらず(涙) これはブダイ類だったのだろうと思うけど。

他にはハマダツや25cmのギンユゴイなんかもヒットしたのですが、今回は試しにギンユゴイをキープ。
刺身にしてみるとやたら赤い身で、淡白ではありましたがまあ食べられました。以前食べた小さいのは不味かったんですけどね。

スマは、・・・まだ回ってきませんねえ・・・。
それでもまだまだ時間があるはず。そのうちきっと回ってくるはずだと辺りを見渡す私の目に、すっかり帰り支度を終えたアンパンのルアーマン2人の姿が映りました。
そして、波を蹴立ててやってくる渡船の姿。
何か変だと時計を見てみると、11時45・・・違う、9時57分じゃないか!!
げっ、時計壊れてたのか(大汗)
再び大急ぎで荷物をまとめ、渡船に飛び乗りました。

私の上がった所にはやはり出てきませんでしたが、この日は一のハエでも幸島でもいい尾長が見えていて、何発ずつか瞬殺されていたようです。
これから面白くなっていくのでしょうか。

さて、次回は今年の四国最終戦になる可能性の高い一戦。
釣れればいいのですが・・・。

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 井上渡船(弟) 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 5時半から6時〜15:00
(10月)
料金 5000円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
泊まり優先
磯替わり 数回
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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