風雲児  烈風伝
  ・二転三転、西南部釣行。 久しぶりなる腕の痛さよ♪

2011年 4月16日〜17日 高知県柏島、竜串
「ほんの数日前、仲間が「幸島のナダレ」に上がり、口太60枚の大爆釣!しかも足元では50〜60cmの尾長が見えていて、数回掛けたけど獲れなかった。」

『土曜は柏島、日曜は翌日の仕事のことを考えて昼過ぎまで、「釣巧会」の大会が行われる竜串で釣って帰る』という私の計画は、当の「釣巧会」のリョータさんとの電話によって、『柏島での朝夕通し。宿で一泊して翌朝帰る』という内容に変わってしまったのでした。

行きつけの井上渡船の磯割りはちょうど幸島です。
「やりましたね!これはもう、釣ったも同様ですね!」
「口太が60枚も上がったんだったら、さすがの私でも1〜2枚は釣れるでしょうね。でも折角の柏島なんで、ひたすら太仕掛けで尾長を狙いますよ。」
「いいですね!ついに50cmの尾長が上がりますよ!」

金曜日は雨、土曜日は南西のち北がらみの強風の予報。
前日夕刻の船長の見解も、「泊り客が居るので予定はしているが、明日は出られんかもしれん。近くならとりあえず来てみたらとも言えるが、来るだけでも大変やからなあ・・・。止めた方がええ。」というものでした。

まあ、出んかったらその時はその時。四国で楽しめるのはグレ釣りだけじゃないし、とりあえず港まで行ってみよう!来週末は仕事で来れんし・・・。
と、北風が早く吹き始めることを願いながら車を走らせました。

・柏島、幸島のナダレ
翌朝、柏島の港にはあまり人は見られませんでした。
港へ降りてきた船長の第一声は「今日は夕釣りはせられんで!」でしたが、昼釣りはOKということで予定通り5時半に出船です。

ヒラバエの岡とダンに底物師、ブリが回遊しているというトビワタリに3人組のルアーマンが渡ったら、船内にはもう私だけ。
船が向かったのは・・・リョータさんが話してくれた「ナダレ」ではありませんか!

      左にはフライマン。(以前、乗り合わせた方かな?)
ナダレは広い釣り場ですが、私が上がったのはその中の「ナダレの西」。
左手のトビワタリには先ほどのルアーマン、右手の「ナダレの東」には「いのうえ(兄)渡船」のお客さんのフライマンがキャストを繰り返す姿が見えます。
多彩な釣りが楽しめるのが柏島です。

私は船着きの左側の高いところから竿を出しました。
今回も道具に迷う必要はありません。竿は3号、道糸4号、ハリス4号、針はサイト尾長ヘビーの8号で通します。
うねりが太く、磯際は白くなっていますから、Bのウキを使って2ヒロでスタート。

サラシの切れ目を漂うウキがスルスルと消えていったのは5時55分のこと。
白泡の下から力強い抵抗が伝わってきますが、それは細かく震えながら中層を横に進む独特の感覚。
剛竿で浮かせ、水面にどうにか届く6mのタモに納まった40cmほどの魚は、無論、ライトブルーのセダカハナアイゴでありました。

待望のグレが食ってきたのは6時20分。
15mほど沖で33cmの口太が竿を曲げ、花崗岩の岩の上にその身を横たえました。

ウキをG2にし、ガン玉の位置をかなり上にずらしたのがよかったのか、普段よりしっかり撒きつづけてきた全く刻んでいないオキアミ+集魚材の撒き餌が効いてきたのか、この一尾を皮切りに次々とグレがヒットします!
サラシの中に撒き餌を打ち、切れ目からやや沖で待っていると口太グレ、サラシの中では尾長グレ。
どれもこれも27〜8cmから上のサイズで、特に口太はGirella punctata(ギレラ プンクターター/丸い板 (鱗に)斑点のある)という学名そのままに、腹をパンパンに膨らませた丸くて太いものばかり。

しかしながら、いかに口太が釣れ差かってもハリス4号は一切落としませんし、針も8号しか結びませんでした。
しかも、ウキに反応が出たと見るや、一切待たずに大きくアワセを食らわせるので、さすがに掛かりが浅く、針外れによるバラシが非常に多かったです。
照準を口太に合わせて、それなりのハリス、針、タイミングでやればきっと物凄いことになっていたでしょうが、狙いはあくまでも一発!
それでも魚はよく当ってきてくれました。
33cmまでを全てリリースしても、10時ごろまでに37cmまでを4尾キープ。

待望の一撃もあったのですが・・・。
8時ごろのことです。サラシの切れ目でジワッと押さえ込まれたウキを見て電撃フッキング!
それまでとは一線を画すパワーを右腕に感じた次の瞬間、魚は約10mの距離をわき目も振らず、磯際へ疾駆しました。
この攻撃の前にリーリング及ばず。足元から張り出した2つの根の狭間に逃げ込まれ、それでもしばらくは格闘していたのですが、ついにハリスを断ち切られてしまいました。
特別に巨大というわけではありませんが、折角の道具を役に立てることができなかったことには一言、無念。

さて、10時ごろになるとうねりも随分と落ち着き、G2の仕掛けも合わなくなっている様に感じたので仕掛け変更。ここは一つスルスルで探ってみようと00のウキをラインに通してみます。
ところが、セッティングが終わるまでの僅かな時間に、海と磯の様子は一変していたのです。

右からの強い風が突如として吹きはじめ、海上はそれまでのうねりが、逆方向からの白波へと変貌を遂げていました。
これでは元々高い足場が干潮で更に高くなっている中央部のポイントでは仕掛けを制御することもままなりませんので、私は潮が引いて安全が確保されたトビワタリ側の船着きに移動。
浅いし、足元に払い出しは無いし、潮と逆向きの風のほうが圧倒的に強いし・・・とあまり期待をせずに仕掛けと撒き餌を投入しました。

折角仕掛けを替えたのだからゼロスル・・・では馴染むはずもないですな。
そこでウキにヨウジを刺し、G5を打って強制的に沈ませて探ってみると、10分ほどで反応が出始め、シルバーメタリックの魚体が磯に舞います。
柏島の磯ではおなじみのギンユゴイの25cmクラス、一投一枚の入れ食いモードに突入してしまったのです。

船着きでは奇跡的に一枚、足元で口太グレのキープサイズを拾うことができたけど状況は如何ともしがたく、足場の悪さもものともせずに左へ、左へと移動。
そしてついに落ち着いた場所は中央部の下の段。朝のうちはうねりが洗いに洗っていた足場です。
仕掛けも、タイドマスターBの遊動仕掛けに戻して近距離〜中距離を狙い撃ち。

ここではもうギンユゴイは食ってこず、この日のリリースサイズ27〜32cmのグレと、同サイズのキツが竿を曲げるのですが、この横風ではB仕掛けでも釣りにくい・・・。
私はベストのポケットから3Bのウキを取り出したのですが、ふと、ロッドケースに突っ込んでいたウキのことを思い出して取りに行きました。道中で衝動買いしたTーHOPEというB負荷の棒ウキです。

実は磯で棒ウキを単体で使うのは初めてのこと。数投して使用感が悪ければ即座に替えようと思っていたのですが、これが思ったよりも使い勝手がよく、また楽しかった。
全く、今まで苦労して馴染ませていたのは何だったんだろうと思うほど横風に耐え、魚のアタリを次々と表現していきます。
面白いようにグレが連発!

            右にはルアーマン。
棒ウキに替えてから何度目かのアタリは、それまで同様、トップが小さく押さえ込まれた後にウキ全体がスッと潜行していくというものでした。
円錐ウキの時より心持ち待ちながらも、朝からの方針通りに早合わせ!アワセの勢いそのままに、剛竿で一気に魚を浮かせて・・・むむっ、浮かないっ!!
浮上することを断固拒否するかのような、全身全霊での抵抗が海中から伝わってきます。
その闘志に敬意を表しながら竿の胴で締め上げ、足元の根をかわし、無事に水面へ引っ張り出すことに成功した口太グレは、いつ来るか、今来るかと待ち焦がれていた40cmオーバー。
さすがにこれはタモを使おう。そう思って足場の悪い磯の、左の窪みに置いていたタモ網を取りに行ったのですが・・・

ズボッ!
何と左足が釣り座の左の割れ目の中に挟まっています。
それもブーツの踝までガッチリ、見事なまでにロックされてしまい、押そうが引こうがビクともしません。
右手に握った竿の先では、敵のトラブルを察知したグレが、最後の力を振り絞って、ここぞとばかりに大暴れ。
このままではやられる!
実の所、風の中で降り続ける剛竿と、度重なる魚とのやり取り、前夜の運転の疲れや、不安定な釣り座などで、両手首も腕も腰も、すでにダメージを溜め込んでいる状態だったのです。
無理な体勢でブーツを脱げばたちまち足が攣ってしまいそうでしたが、ええい!かまうものか!と強引に左足をブーツから引っこ抜き、靴下一枚の状態でどうにかタモを掴み、海に向かって伸ばしました。

いや〜、しんどかった・・・。
サラザラのハリスに辛うじてつながれた42cmの口太を納めたタモを引き上げていくことがじゃなく、岩にガッチリ挟まったままのブーツを大汗かきながらどうにか引き抜くことが。
一時は片足裸足で渡船に飛び乗ることになるのかとも思いましたよ。
ラインが絡まるとか、リールのトラブルならともかく、こんなトラブル聞いたことあります??(苦笑)

そんなトラブルの後もしばらく入れ食い状態は続き、キープサイズを都合3枚追加することができましたが、1時過ぎには潮が上がってきたのと、ますます風波が高くなってきて、釣り座を洗うようになってきたので、安全のためにも船着きへ帰還。
磯の上で唯一まともに竿の出せる船着きですがグレのアタリはやはりありません。
こんなんだったら明日に備えて早めに納竿して、しばらく寝ようと思って磯の掃除をしていたら、渡船が予定より1時間早くやってきたので飛び乗ってしまいました。
その渡船は、トビワタリから干潮限定磯・ヒラバエに移動し、ブリ2本をゲットした三人のルアーマンを迎えるためにやってきた渡船だったのですけどね。

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 井上渡船(弟) 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 5時代〜15:00
(4月)
料金 5000円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
泊まり優先
磯替わり 数回
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
大尾長はこの日も留守だったにしろ、とにかくよく釣れた一日でした。
一日4号通しの仕掛けでやったにも関わらず、クーラーに収まった33〜42cmのグレは8枚。
普段ならキープしていてもおかしくない27〜8cmサイズを含めると軽く20枚を超える数を上げることができました。
家に帰って捌いてみると、腹は卵でパンパン、しかも流れるほどに完熟しており、釣行が一週間でも後になっていたなら、こんな釣果にはなりえなかったのではないでしょうか。

そうなんです。キープした口太は全部メスだったのです。
もちろん貴重な命である真子は煮付けにして美味しく味わいましたが、釣り上げるたび瞼に浮かんだ白子の蒸し物は今回も口に入らず。
私の釣るグレは何でこうもメスばかりなんでしょうね。人間のメスになんて見向きもされたこともないのに。

・竜串 象の鼻
幡多郷(1泊夕食付き4000円)
この日の夕食はキビナゴの焼き物と刺身、
山菜の天ぷらと煮物、この日はセミエビの汁まで!
ここはウツボ料理もオススメです!
最初に書いたように、今回は柏島で朝夕の通し釣りをして、渡船屋の宿で泊まってから帰る予定でしたが、夕釣りができなかったことで計画の変更を迫られていました。
とりあえず今夜の宿をどうしよう・・・。

ダメ元で電話をしてみたのは、いつもお世話になっている大月町中心部の幡多郷(はたご)のマスター。
「もしもし、物凄く急なんですが、今晩泊めてもらえれば有り難いんですが・・・。」
「いいですよ。晩御飯も用意できます。で、何時ごろこちらに来られますか?」
「実は今、宿の前なんです。道の駅で時間を潰しますんで、いつでもいいですよ。」
「それじゃ30分ほどしてから来てくださいね。」
この夜は思いもかけず、美味しく、楽しい夜となりました。

さて、問題は翌日の釣り場です。
柏島はやっぱり遠い。今回は連休でも代休がらみでもない普通の土日ですので、柏島で竿を出すわけにはいきません。
ですので、「釣巧会」の大会が行われる竜串に行って、昼頃までリョータさんと一緒に竿を出そう!と思いきや、そのリョータさんから「釣巧会の大会は悪天候で中止になった」という連絡が入ったのです。
北東の強風で沖磯も弁天も使えない状況では、折角の大会がつまらないものになってしまうという西本船長の配慮による中止ということです。
風雲児まじっくは、柏島の夕釣りに続いて、大会も、いつか一緒に竿を出そうというリョータさんとの約束も軽々と吹き飛ばしてしまったのでした。

こうなってしまえば波止で餌だけ撒いてチヌでも狙って帰るという選択肢も出てきましたが、やっぱりここまで来たら昼まででも磯で釣りたい!
となると、やはり頼りになるのは、安価かつ、時間の融通も効く竜串の磯。
沖は無理でも、長々と横たわる千尋岬に抱かれた見残し海岸なら出るというので出撃決定です。

翌朝、竜串の港に着くと、駐車場ではすでに少年と、そのお父さんが準備を始めていました。
その少年は、小学校5年生ながら毎週のようにここ竜串や、沖の島、鵜来島などに通い、ルアーやフカセで大物と対決しているという末恐ろしい釣り師!今日はルアーをメインにやってみるとのこと。

5時半に出発した船に乗り込んでいる結構多くの人たちは、皆さん1グループの仲間のようです。
私もちゃっかりその中に溶け込んで、ワイワイと雑談しているうちに見残し海岸に到着。
ナカオレ、アイバと降りていって、親子釣り師は背後にゾウの顔のような形の岩がある、その名も「象の鼻」という足場のいい磯に降り立ちました。
私はその「象の鼻」の北側に隣接した磯に渡礁。

象の鼻。観光船が着く湾の北側。
先端には親子釣り師の姿があります。
撒き餌を入れると、潮は左隣の親子の方向へゆっくりと流れています。
しばらくすると、その撒き餌に10〜15cmの青い魚が大挙して集まってきました。トンゴロウ(トウゴロウイワシ)かな?これでは0号にG5のオモリを打った仕掛けでは苦労するな・・・と、即座にG2の仕掛けに変更したのですが、それは何ら効果など持たない変更だったのです。
針をバンバン食ってくるのはトンゴロウなどではなく、最強のエサトリとの呼び声も高いサバの子の大群でした。
際を攻めようが、沖を攻めようがこいつらには関係なし。
ボイルをサシエにすると多少は時間が稼げるというものの、それを食ってくるここのグレは見当たりません。
開始四時間、釣果はただただサバばかり。

潮が引いたので隣の親子のところに行ってみると、お父さんはサバゴに苦戦中ですが、少年はフカセでコッパグレを5〜6枚釣ってしまったとのことでした。
3人でしばし対策を協議し、自分の釣り座に戻った私が手にしたのは1号負荷のウキと、丸玉オモリ。
この仕掛けをセットして、ドンドン深く落としていくとウキ下5ヒロの所でウキに反応が現れ、17cmの茶色い魚が上がってきました。
何だベラか・・・いや、これはハタではありませんか!!
茶色の魚体にこげ茶色の横縞を持ち、尾鰭の尖ったこの地味なハタは、大きくなっても30cmほどにしかならない「ヤミハタ」という種類のものです。
そりゃ、もちろんキープですよ♪
ヤミハタ17cm。引き締まった身を薄造りに
してみましたが、後口が素晴らしかったなあ。

その直後に弁当船がやってきました。
隣の親子は50cmのツバスが上がったというナカオレへと磯替わりするそうですので、私は入れ替わりに先端のポイントに移動。
それから1時間強の間、「ウキ下竿2本、遠投、撒き餌大量」という船長のアドバイスに従って沖狙いを続けましたが、大勢を覆すことはできず、サバゴの追加をするだけで12時前にやってきた迎えの船に乗り込みました。
まあ、この日の釣果はご愛嬌ということで・・・(苦笑)

それでも昨日の貯金がありますから、普段は行きの何倍も遠く感じる帰り道がえらく短く感じられたのは言うまでもありません。
さあ、次回の帰り道はどうなることだろうか。

 ● 竜 串 tatsukushi
利用渡船 西本渡船 出港地 高知県土佐清水市・竜串港
時間(当日) 5:30〜16:00
(融通ききます)
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 船長にお任せ
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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