風雲児  烈風伝
  ・沖縄人(うちなんちゅー)来たる!
           危機一髪!中泊釣行記


2011年 11月26日〜27日 愛媛県 中泊 
 ゴォォォォ〜〜〜〜〜!!
 ゴォォォォ〜〜〜〜〜!!
 私は今、沖縄の普天間基地に居る・・・のか?
 いや、確かここは愛媛県中泊にある末光渡船の仮眠所のはずなのだが・・・。

 隣の布団で眠っているのはtakaboさん。その彼が、普段は沖縄のリーフや防波堤でカーエー(ゴマアイゴ)やチン(ミナミクロダイ&オキナワキチヌ)を狙っている彼が、仮眠所の一室に「普天間基地の騒音」を出前しているのです。

 この部屋に泊まっているのは4人の釣り師たち。1人は期間限定で復活した那覇〜松山の航空便でやってきた、沖縄県の「takaboさん」。1人は島根県の「釣りキチ2さん」。1人は釣りキチ2さんと岡山で合流し、その車に同乗させてもらった、兵庫県の私・「風雲児」。残る1人は、takaboさんとはブログを通じての交流があり、今回の釣行のきっかけとなった、地元の「松田友和さん」。そう、通称「松田コーチ」です!キザクラ・ヒロキュー・オーナーばりのフィールドテスター・フィールドスタッフであり、色んな地域で放映されている釣り番組『大ちゃんの釣りに行こう!』(シマノHPでも配信)にも出演されているあの人気抜群の名手なのです!

 ちなみに私とtakaboさんとは随分長い付き合いで、時折電話でやり取りをしていたりするのですが、実際にお会いするのは今回が初めてのこと。一方、大洲の「釣人館ますだ」の常連さんである松田コーチとは店で何度か顔を合わせ、会話を交わしたことももあるはずなのですが、こうして釣りでご一緒するのは初めてのこと。
 半ば強引に釣行に乗っかってしまったにも関わらず、快く受け入れてくださいました。

 目覚めれば日本屈指の尾長釣り場が待っているはず!果たして大尾長は当って来るのか?果たして沖縄に本命の「グレ」を持って帰ってもらえるのか?期待という名の枕で眠る4人を包んで、仮眠所の夜はけたたましく更けていきました。

・初日 小地島 大三角の奥の奥
 6時20分頃に出港した末光渡船は大三角のある小地島に向けて一直線。始めに二人組のお客さんが「大三角の高場」へ。続いて釣りキチ2さんを「大三角の奥」へ。そして私とtakaboさんは、「この時期に尾長を狙うなら!」と、松田コーチが選択してくださった「大三角の奥の奥」へ上礁しました!
 しかし、それらの磯に松田コーチの姿はありません。コーチの名前が記されたバッカンやクーラー、ロッドケース等は「奥の奥」の磯の上に置かれているのですが・・・。

 実はこの時、松田コーチは宇和島に向かって車を走らせておりました。
 乗船直前になってライフジャケットを宇和島に忘れてきたことが判明、すぐに取りに戻って弁当船での渡礁するという衝撃の展開に・・・。

    「大三角の奥」で頑張る釣りキチ2さん
 私たちは一足先に釣り開始です。

 「大三角の奥の奥」のベストポイントは船着きの磯際ただ一箇所。全員が並んで釣って、撒き餌も一箇所に絞ってドンドン撒いた方がいいと言うコーチのアドバイスに従い、takaboさんと二人で船着きとその左側のワンドの角を狙い撃ちです。
 私はちょっと頑張って細仕掛け(本人比)。竿2号、道糸・ハリス3号、針はサイト尾長ヘビー7〜8号を結び、0号のウキにG5〜7を打って水面下でサスペンドさせて攻めてみました。一方、takaboさんは竿が1.7号、ハリスが2号、ウキは松田コーチプロデュースのキザクラ「IDR-F 礁」で挑戦。

 マキエを入れると早速ハコフグ、丸ハゲ、オセン、ウスバハギ、そして大小様々なキツといった面々が集まってきました。
 私にとってはいつものおなじみのメンバーですが、takaboさんにとっては驚きの光景。「同じエサトリでもここまで違うものか!」と、足元に集った地味な魚達の姿に目を丸くされていました。
 ただ、今のところ尾長の姿は無いようです。が、構わず際を攻めるのみ!

 この界隈のスレきった尾長のアタリを親ウキで取ることは至難。ウキの下のナビに数cmだけ表れる変化に即応できるよう、常に気持ちを張り詰めておかねばなりません。
 そんな緊張に包まれた磯の空気を切り裂くように、「奥」と「奥の奥」で鋭いアワセが入ります。
 ですが、どれもこれもファイトは一瞬のみ。掛かってくるのはコッパキツや丸ハゲのみですし、数の割りにはそう度々ヒットするものでもありません。

 こんな感じで、結果を出すどころか、ヒントも掴めないままに時間だけが過ぎていきました。そして8時半、早めの弁当船に乗って松田コーチが颯爽と登場!

 コーチは船着きのすぐ右手に陣取ると、水面下にウキを貼り付けるようにして磯際を狙いはじめました。その手際、キレ、まさに我々とは桁違いの凄みに圧倒されてしまいます。そして僅か数投のうちに「ビシッ!」と鋭いアワセが決まったかと思うと、次の瞬間にはオジサン(ホウライヒメジ)が磯の上で跳ねているではありませんか。

 この頃にはキツばかりでなく数匹の尾長らしき魚がマキエの下を漂うようになっていましたが、残念な事にとてもサシエを食ってくるとは思えないような動き。
 しかし・・・

 アタリだ!

 0ウキの下の潮受けウキゴムのツッ!という僅かな動きに私の体が反応してくれました。
 竿はゴン!と捉える魚の重量を捉え、私の眼は足元の海中には身をよじる、茶色とも青ともつかぬ色の40cmくらいの平らな魚の胴体部分を捉えました。
 が、尾長なのかキツなのか、それを判別するいとまもありませんでした。瞬間的に竿先が跳ね上がり、魚はオーバーハングの奥へと逆戻り。
「え〜っ!?」と声を上げる松田コーチ。「外れたっ!」と呻く私。
 まあ、針外れのバラシというより、フッキングに至らずといったほうが正解に近かったのですが。
 
  松田コーチ、疾風の取り込みで口太!
 今度は9時6分、松田コーチのロッドが一閃しました!僅かなやり取りで難なく浮いてきた魚は、紛れも無くグレ!
 尾長ではなく口太であり、サイズも35cmと、コーチにとっては「会心の1枚」には程遠い物だったでしょうが、我々のテンションはうなぎ上りです!

 10時15分には再び私のナビにアタリ!今度はしっかり魚の唇を針で打ち抜き、ファイトに持ち込むことに成功しました。
 周囲の磯からも熱い視線が私に一斉に注がれますが、当の本人はいたって気の抜けたやり取りをしています。そりゃもう、掛けた直後からガンガン竿を叩いてましたからねえ。水中から青白い光を放ってるし。
 結局松田コーチが差し出してくれたタモに収まったのは案の定、本命とは色違いの目付きの悪い43cmでした。

 この日の中泊は驚くほどにいい天気です。
 朝方こそ寒かったものの、太陽さえ昇れば波無く風弱く、ポカポカと小春日和の穏やかさ。なぜ?これは一体どうしてしまったというのだ?
 今回竿を出している釣りキチ2さんとtakaboさんは、ワッペン(ふだ)付きの「悪天強暴組合」のメンバー。最近表立っては活動していなくとも、釣り人を恐怖に陥れる時化男集団の噂と、その総帥である私の名と数々の伝説たるや、松田コーチも最初からご存知でした。にも関わらずこの好天ですから、松田コーチは言うに及ばず、4人が4人とも首を傾げるほかありませんでした。
 しかしながら、この日の天候はそれで終わるわけが無かったのです。

 ガラガラッ! ガラガラガラッ! ドボン!!

 それは昼前のことでした。周囲の磯に響き渡る大音響とともに、私たちの背後に聳える断崖からいくつもの岩が落下して、松田コーチのすぐ右に降り注ぎ、大きな水柱を立てて海へと飛び込んでいきました。
 落下地点は船着きの右側の少し盛り上がった場所。取り込みに難はありますが普通に釣り座として選ばれる所です。

 何分、相当な高さからの落石です。小さな小さな欠片でさえ、命中した時には人体に対してどれほどの破壊力を持たされているのでしょう。しかも今回海に落ちたのは結構大きなサイズです!
 よく無事に済んだものだと一先ずホッと胸を撫で下ろした4人でしたが、それから2時間も経たないうちに

 ガラッ! ガラガラガラッ!!

 今度はtakaboさんのすぐ左、「奥の奥」と「奥」の間に再びいくつもの岩が降り注いできたのです。
 これはただ事ではありません。見上げるとまだまだ落ちてきそうな岩があります。もし船着きに直接落下してきたら・・・。全国各地で震度5クラスの地震が頻発するこの今、ここで震度1でも2でも地震に見舞われたとしたら・・・。

 今日何も起こらなくても、ここは人の絶える事の無い人気磯です。このままではいずれ大惨事が起こるのは間違いないのでは・・・。

 
「大三角奥の奥」船着き周辺。この背後と、
  ワンドの奥に落石。あわや大惨事に!
 回収までの1時間半、背後の物音に耳をそばだて、恐怖に震えながらも釣りを続けた4人。
 しかしキツに混じった数匹の尾長はサシエを全く食おうとせず、後半に見え始めた小型の口太を仕掛けを替えて狙ってみても無視され、多数居るコッパギツすらもほとんど針に掛からない状態で2時の納竿を迎えることとなりました。

 この日は「コケの瀬戸内」で55cmの尾長が出ていたそうですが、私たちの周囲では全滅でした。
 四国ではごく一部を除けばほんの一握りの人間にしか許されない「尾長への挑戦権」を獲得できたにも関わらず、結果を出せなかったのは残念ですし、何より遠路遥々やってきたtakaboさんが「丸ハゲのスレ」ただ一つで終了してしまったのが悔やまれてなりません。

 しかし、2度にわたる落石に見舞われながらも誰一人怪我も道具の破損すらも無く、無事に港に戻って来れたこと以上の喜びが他にあるでしょうか。我々は生きてます。明日も釣りができるのです!


 愛南町には、明日に備えて疲れた体を癒し、英気を養うのに最適な場所があります。
 城辺の山間にひっそりと建つ「山出(やまいだし)温泉」がまさにそれ。
 温泉に入ることなど滅多にないというtakaboさんにこの湯を体験してもらい、御荘の「なにわ」で内地の料理を味わってもらってから中泊に戻り、「ひので民宿」に入りました。

 初日は末光渡船での釣りでしたが、2日目は予約を入れた2ヶ月前に既に千客万来の状態でしたので、「やんちゃぐれ」所属の釣りキチ2さんの行きつけである「ひので渡船」での釣りとなったのです。
 普段の釣りなら3級磯でも別にいいのですが、今回は沖縄からの客人がいますのでできるだけいい磯に行きたい。常連優先の中泊、明日は2さんが頼りです。

 そうそう、食事の時から高知の「てぼ@高知さん」も合流しているので、さらに楽しく賑やかな夜が更けていきました。。

・2日目 小横島 トノサマ
乗船前の風景。釣りキチ2さん撮影。
松田コーチのリタイヤが悔やまれてなりません。
 翌朝も渡船の上に松田コーチの姿はありません。
 前夜から不調だった右腕、特に指が腫上がって動かなくなるという深刻なアクシデントが降りかかってしまい、涙を飲んでリタイヤです。
 コーチ本人は「折角遠方から来てくれているのだから」と、どうにかして磯に上がろうとされていたのですがとてもそれどころではなく、精密検査を受けるために病院へ向かうことになってしまいました。

 こうしてこの日のメンバーは、「魔王会」かつ「悪天強暴組合」かつ「ダメ親会」の構成員(もはや知る人も少なくなりましたが、どれも全盛期の勢いは凄かった)という、聞くだけで釣れそうにない4人に絞られました。
 それでもtakaboさんにだけは釣ってもらわねばなりません!
 でもまあ、2さんが前日に「明日は好調だという七十バエ方面に向かう」ということを船長から聞きだしていてくれましたから、特に心配することも無く気楽に構えておりました。

 ところが「ひので渡船」が最初に向かったのは何と「ノコの鼻」!宇和海が誇る名礁として名を轟かす一方、スリルとサスペンスに満ち溢れた形状でも知られている磯です。
 渡礁の経験を積んでいればどうにでもなりますが、渡船を使っての本格的な磯釣りが2回目というtakaboさんに「ここで釣れ」というのは酷な事だと判断し、「釣りキチ2さん」と「てぼ@高知さん」が一番手として向かうことになりました。

 この判断が失敗でした。
 磯取りのジャンケンで敗れてノコの鼻は失陥。ひので渡船はすかさず第二候補のノコの丘に着けますが、ここに別グループの3人が上がります。
 2番手に回った「釣りキチ2さん」「てぼ@高知さん」はコケの2階に駆け上がっていきました。

 「しまった!ここになら上がってもらえたのに!」「2さんが先に上がってしまった!」そう思った時には手遅れでした。私とtakaboさんはすでに恐ろしい磯取りレースの渦の中。ルールは早い者勝ち、ただ一つ。全国でも指折りの高出力渡船が、磯の間をフルスピードで、まるで競艇のボートのように暴走します。
 磯に上がる乗客にも疾風のような渡礁と荷揚げが強要されます。そこには一瞬の躊躇も許されません。船内はまさに修羅場!
 あまりのスピードと迫力で爆走する船から跳ね飛ばされないようしがみつくのに必死で、平常心を保てず、磯に上げるべきロッドケースを取り違えたtakaboさんの頭上に容赦なく怒号が浴びせかけられます!

 ここらの渡船は、こんな危険極まりない磯取りをいつまで続けるつもりなんだろう?takaboさんもかなり嫌な思いをされたのではないでしょうか。やはり遠方の不慣れな客人に、この日も中泊というのは酷過ぎたかもしれませんね。

船着きに陣取ったtakaboさん。
背景は尾長の巣窟・ノコ、コケ、源氏etc!
 私たちはかなり後の方になって、小横島の南端にある「トノサマ」に渡礁。
 船着き正面には2さん・てぼさんが居るはずのコケが見えます。takaboさんはその船着きの足場の良い釣り座を選択したので、私は大きな岩を隔てて左側にある、足場が悪くて高いけど一番釣れそうな「高場」に移動して準備を開始しました。

 この磯では尾長はまず望めそうにありませんので、口太狙いですね。
 私はライトタックルを準備して、ウキは今日も0号で様子を見てみますが、潮の早さと足場の高さ、足元のシモリのせいで馴染ませ辛く、餌もほとんど取られないので、タナを決めたG2の仕掛けにすぐ変更。
 これで足元のシモリを攻めていると根掛かりしていきなりのウキ流失です。

 仕掛けを作り直して第一投、ウキからちょっと目を放した瞬間にキバンドウと思われる大きなアタリがあり、あっ!と思った瞬間にはもうオーバーハングに道糸を引っ掛けられて、立て続けに大事なウキが流失。
開始間もなく2つのウキに沖を横切られたtakaboさんも、これにはさすがに呆れ顔でした。

 それからしばらく静かな時間が続きます。
 頻繁に仕掛けを替え、投入点も色々替えてアタリを拾おうとしますが、どうにも上手くいきません。潮も緩やかになり、魚もシモリ際のキバンドウとハコフグくらいしか見えません。
 相性最悪、大嫌いな中泊、今回の釣行でも撃沈記録は止められないのか・・・と、8時前には既に弱気になっていた私です。

 そんな時、船着きでtakaboさんの笑顔が弾けました。
 南西諸島には分布していないとされ、ずっと「釣ってみたい」と繰り返していた魚、いわば今回の準本命ターゲットである「イサギ」がその手中に収まったのです。30cmほどのサイズですが、これには私も大喜び。と言うか、ホッと胸を撫で下ろしました。
 さあ、この勢いで大本命 ―沖縄には分布しない「口太グレ」と、沖縄では非常に希少でクエを釣るより難しいとされる「尾長グレ」(ここでは大きいのは望み薄ですが、コッパならば・・・)― も仕留めてもらいましょう!

 8時過ぎ、高場の私の釣り座の前に、突如きれいな潮目が形成されました。ただ右横に流れたり、斜め方向に突っかけてくるばかりであった潮も、右沖に向かって程よいスピードで流れて行きます。
 この時セットしていた仕掛けは、丁度一周して最初に使っていたタイドマスター0号にG7を一つ打ったスルスル仕掛けに戻っていましたが、これがまた、絶妙な具合にバッチリと馴染んでいきました。
 そのまま流し込んでいくと、30mも流したかと思う頃にスルスルッ!とラインが走り出し、竿を立てると心地よい重量が伝わってきます。
 控えめながら心地の良い引きを楽しみつつ、ゆっくりと仕掛けを巻いてくると、32cmのイサギが姿を現しました。

 このイサギを船着きの後ろのクーラーに持って行って締め、ついでにtakaboさんのイサギも締めて、いくつかアドバイスをして釣り座に戻ると、もう潮目も、沖へ出る流れも無くなってしまっていました。
 なんという僥倖。一流しだけの奇跡。グレ釣りはこういうのがあるから楽しいし、恐ろしい。

 何事も無かったかのようにリセットされた海では、0号仕掛けはもう通用しませんでした。
また悩みと迷いが塗り込められた時間が幕を開けます。

 takaboさん、ブダイと格闘中!
 対照的に何度も何度も竿を曲げているのは、全層仕掛けで船着きの磯際を狙っているtakaboさん。
 「この魚、何だろう?」といって掲げたタモ網の中にはちょっと不細工な魚が入っています。私が「これが標準和名ブダイですよ」と説明しても、不思議そうな顔をされていましたが、それも無理はありませんね。沖縄でもおなじみのヒブダイ(キバンドウ)やイラブチャーとは姿かたちも随分違うイメージですし、引きの方もとても同じ仲間とは思えないような弱さですもんね。
 味もとてつもなく不味いと言うほどではないですが、沖縄での高級魚ヒブダイとは比べるべくも無いですし。
takaboさんもこれはリリースされてました。が、よほどこの魚が気に入ったのか、気に入られたのか、立て続けにHIT!HIT!で3連発をやらかしてしまいました。もしや同じ魚が食っているのか!?(笑)
 その後もヒットしますが今度はサンノジ・・・って、その仕掛け、入りすぎなんじゃ?

 私の方は紆余曲折を経て再びG2のなるほど仕掛けに戻し、細かくタナを探ってみることにしました。
 竿2本半ほど沖の投入点、2ヒロ半では餌が盗られ、2ヒロでは餌が残ってきますので、その間を10cm単位で微調整していくと、思い通りスーッとウキが消し込んでいきました!
 28cmのイサギを追加したのが9時42分、31cmは10時26分に追加。

 正午近くになると、またまた磯の近距離に長大な潮目が出現!takaboさんに声を飛ばしてそのことを伝えながら、いつ消えるか分からない潮目にG2の仕掛けをそのまま投入・・・でも食ってくれません。
 そこで大急ぎで仕掛けを組み替え、タイドマスター流巧0号にG7を打ったスルスル仕掛けを投げ込み、マキエを被せます。
 やはりこれが綺麗に馴染んでいく・・・と思った直後にバリバリバリッ!と道糸が走って、思惑通りに旨そうなイサギがヒット!

 これは明らかに、誰がやっても釣れる潮!しかもしばらく消える気配はなさそうだ!
 私はクーラーを置いている船着きに駆け寄り、takaboさんにこっちで釣るようにと促しますが、潮の弛んだポイントと、万能と信じる柴原名人流の全層釣法にただならぬこだわりがあるのか、彼は全く動きません。

 磯の左右に長々と横たわる潮目と直角になるよう、マキエを縦打ちし、仕掛けを潮目の沖に投入して、当ててくる潮に乗せて咬みこませていくと面白いようにイサギがヒットしてきます。
 釣れるたびにtakaboさんに声をかけ、せめて船着きと高場の中間にある、キャットウォークのような細長い足場で釣ってもらおうとしますが、彼はどうしても動いてくれません。
 こうなったら二人分釣るしかない!と思い定めて無我夢中で潮目を狙い撃ち。口切れのバラシを挟みつつ、必死でイサギを拾っていきます。

 同じパターンでまた食った・・・けど、今回のイサギは抵抗が激しいぞ。
 いつもなら最初だけで長続きしない引きが、諦めるか!とでも言わんばかりに後を引く、えらく根性のあるイサギだな。そう思って水面に浮かせた魚は黒い!
やっと出た!21世紀初の
中泊のグレ!
 なんとなんと、既にその存在すらも忘れていた大本命の口太グレではありませんか!!
 メジャーを当てると35cm。ですが、これは私にとってはとてつもなく大きな大きなグレなのです。

 何だかんだと言って結構来ている中泊ですが、相性が悪いことに関してはこれ以上の場所は無いでしょう。
 なにせせこの渡船区でグレと呼ばれる魚を釣った最初で最後は2000年7月。20世紀の話なのです。もう無理かもと諦めていた21世紀初のグレが、まさか今日釣れてしまうとは!

 このグレを見て、さすがのtakaboさんも潮目狙いに切り替えて船着きから遠投、ようやく2枚目のイサギを手にすることとなりました。ですが、その1枚で潮目狙いは終了。
 実はtakaboさん、船着きのさらに右側でかなり大きな魚をバラシてたということで、激しく首を振っていたというその魚を仕留めようと全力を注いでいたのでした。

 私の方は、グレで更にヒートアップ。
 襲来したウスバハギの群れの妨害に、小まめに仕掛けの傷をチェックして張り替え張り替え潮目を攻めて、また一つイサギを追加。
打ち返すこと数投でまたまたヒット!と思いきや、素早く立てた竿が弧を描くことも無くラインブレイク、道糸がヒラヒラヒラ〜。
 それでもウスバにやられてしまったようです。
 しかも流失した2個目のタイドマスターもウキ取りネット(パラソルよりはるかに安価な粗悪品)でも取り逃し、それとともに私の釣りは崩壊してしまいました。
 他のウキに替えてオモリで調整しても、同じウキの00に替えてもしっくり来ない感じ。紙一重のバランスで、この日の潮にはたまたま、あのウキが恐ろしいほどマッチしていたんですねえ・・・。

 その後は魚を食わすことができず、満ちに回った潮が左向きに流れ出すとともに餌も落ちなくなり、早めに道具をしまって磯を洗い流し、回収時間を迎えることとなりました。

 この日の釣果は28〜33cmのイサギが7枚、35cmの口太グレが1枚。takaboさんに魚を進呈しても我が家にイサギが残ります〜♪
 takaboさんも色々あったけど準本命のイサギを2枚仕留め、内地の磯の空気も存分に味わうことができたという事で、全員胸を撫で下ろしました。

 なお、釣りキチ2さんとてぼ@高知さんの方が上がっていた名礁・コケの2階でも潮目でイサギが食ってきて、それぞれ4枚と3枚の釣果があったのですが尾長も口太も出ずじまい。ノコの胴で53cmの口太が出ていたり、50cmオーバーの尾長の水面でのバラシがあったりしただけに悔しさが残りますね。


   管理人の今回の釣果。
 今回の遠征も本当によく喋り、よく笑い、ひたすらに釣りに打ち込むことのできた2日半でした。
 特に松田コーチと親しく話させていただき、その釣りを間近に見られたことは、今後の釣りに大きく効いてくることと思います。その松田コーチの腕ですが、精密検査の結果、腫れとしびれは筋肉疲労によるもので、徐々に回復に向かわれていることを帰宅後、知ることになりました。
 もしかして脳からのものだったらどうしようとか、気が気ではありませんでしたが、とりあえずは一安心です。

 松山空港から飛び立っていったtakaboさんは、再度の遠征と尾長へのリベンジを決意されたようです。
 またこんなメンバーで楽しい釣りができる日を、楽しみに待っておりますよ!

 ●中 泊 nakadomari
利用渡船 末光渡船/ひので渡船 出港地 愛媛県愛南町・中泊
時間(当日) 6:20〜14:00回収
料金 6000円
駐車場 無料(行政指導により無料化♪) 弁当 500円
宿/仮眠所 仮眠所あり/民宿経営(素泊4000円) システム 一組目はジャンケン。
以降は他船との競争。
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)


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