風雲児  烈風伝
 ・幡多の海を遊びつくす!?
         猛暑の中の30種チャレンジ!

2012年 7月29〜30日  高知県南西部の漁港、河口等
・30種チャレンジ!
 暑い時期だからこそ、地元より2度は涼しい高知県南西部にやってきました。

 依然好調が続いているという小才角の磯で、大量の飲料水と、網代笠を頼りに尾長グレ一発狙い!・・・だと分かりやすいのですが、今回の釣行では、磯釣りはあくまでもオマケ。磯に上がるのも2日目の午前中のみです。
 主戦場は、旧幡多郡各地の漁港や河口なのです。

 数狙いでもなく、型狙いでもなく、ただ、何種類の魚に出会えるか。

 そんな私本来の釣りを実現するために、磯竿、シーバスロッド、テトラ竿、渓流竿といった竿を積み、生オキアミ、ボイルオキアミ、大粒アミエビ、石ゴカイ、果ては姉金(肉食魚の餌用に販売されている金魚)といった餌を買い込んで、この地までやって来ました。

 はてさて、真夏の土佐での奇妙なチャレンジ、いかなる事になりますやら。
 ただし、こういう釣りのベストシーズンにはまだまだ早すぎるので、今回の目標魚種は30種です!

・夜のフカセ釣りからスタート
 土佐清水市下ノ加江の汽水域の港からチャレンジスタートです。
 日付が29日に替わった頃、生オキアミ+集魚剤の撒き餌使用の電気ウキ仕掛けを投入しました。サシエは生オキアミ、時々姉金です。

 この地域の汽水域は夢いっぱい。
 私はワクワクしながらウキの赤い光を凝視しますが、それは、山から吹き降ろす心地よい涼風に時折揺らぐのみ。

 それから3時間が経過しました。
 突如としてウキが灯りが鋭く引き込まれ、水中で少し停止して浮上。その数秒後に再び引き込まれると、同様の動きを反復しはじめました。
 この時のサシエは鼻掛けにした姉金ですから、じっくりと待って待って・・・アワセ!
 静寂の水面が激しく揺さぶられ、ブンッ!という飛翔音とともに、銀色の魚体が暗がりを舞い飛びます。ヒラスズキです。サイズは35cmくらいか。
 が、一気に勝負をつけようとしたのが拙かった。空中でハリがすっぽ抜けてしまい、一種目になるはずだった魚は、水面のざわつきだけを残して住処に戻っていってしまいました。


No Image
  (撮影失敗)
1、ヒラスズキ(スズキ科)
 また、ウキを見ながら、ただ涼んでいるだけの時間が過ぎていきます。
 魚たちは食事も忘れ、ちょうど行われているはずのロンドンオリンピックの開会式に熱中しているのでしょうか?

 あまりにも釣れないもので、私は竿とタモだけ持って港をウロウロ。そして、とある外灯の下で姉金を泳がせ、再びヒラスズキを食わせることに成功しました。
 今度は慎重にタモで掬ってフィニッシュ。先ほどと同じく、35cm程のヒラスズキのセイゴ。開始4時間半後の遅すぎる1種類目です。

2、ゴンズイ(ゴンズイ科)
 以降、何のドラマも無く夜が明けてしまいましたので、ウキ釣り仕掛けを片付け、ハゲ針2号を3本結んだ胴突き仕掛けを手に、波止際の魚を狙い撃ちです。
 しかし、シマイサキやクロダイには無視され、エバ(メッキ)類はまだ小さすぎてハリに掛からず、結局ゲットできたのはゴンズイのみという有様。憧れのゴマフエダイなんて姿すら無かった(涙)

 が、収穫はありました。
3、クサフグ(フグ科)
 港の最奥へ流れ込む、流速の早い小さな流れ込みに群れて、盛んに餌を追う20cm程の魚の姿です。
 小さな橋の下のあまりにも狭い場所なので、1m足らずのテトラ竿に持ち替えて袖針2号で狙ってみます。
 クサフグの猛攻に手を焼きながらも、何度も何度もしつこく狙っていると6時48分になってようやくHIT!正体はウグイでした。クサフグにしても、ウグイにしても、今日は嬉しい一種類♪(ただし、最初の1匹に限る)

 港の内側だけではなく、外側もチェック。おっと、スロープの周辺にハゼ類とテナガエビ類が見えますな〜。
 ということで、今度は渓流竿を引っ張り出してきてマハゼをゲット。テナガエビには逃げられたけど、魚類じゃないからまあいいか(笑)
 午前7時40分の時点でまだ5種類か・・・。先が思いやられますな。
4、ウグイ(コイ科) 5、マハゼ(ハゼ科)
・釣れず、眠れず・・・。
 午前10時半、私は道の駅大月に居ました。
 下ノ加江からここまでの約50kmの間に何度も途中下車して、あっちの港、こっちの港と覗いてきましたが、もう一つピンと来る所はなく、一箇所竿を出したポイントもクサフグ以外には何の反応もありませんでした。
 こうなりゃいっそのこと、寝不足の体を休めようとしてみても、この猛暑の中に一眠りできそうなスポットは見当たりません。
困ったなあ・・・。

 とりあえず、道の駅の物産コーナーで、土曜日にしか手に入らない大月町の郷土料理・ブリのへら寿司と、柏島産のトコロテンを買って腹ごしらえし、今回の釣行で最も期待しているポイントである「古満目港」に向かいました。

6、ナガサキスズメダイ
(スズメダイ科)小物釣りに
おける強大な敵。
・2週間ぶりの古満目港では
 古満目港では思ったとおり、貪欲な無数のナガサキスズメダイが口を開けて餌を待っており、1投目から掛かるわ掛かるわ・・・。ハゲ針の胴突き仕掛けだろうが、サビキだろうが、あっという間に鈴なりになって上がってきます。

 この日は魚種こそ前回よりもかなり少ないものの、それでもヒブダイのミニサイズが群れていたり、ホンソメワケベラ、サンノジ、チョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオ、ネズミフグ、ハコフグ等が見えていました。2〜3匹ではありますが、前回以来、夢にまで出てきては私を苦しめているハタタテダイの姿もありました。
 しかしながら、ナガサキスズメダイの数と勢いは凄まじく、とても他の魚が餌を追い切れるような状態ではありません。

 さらには切り札と考えていた刺しアミにも足を引っ張られました。まさか釣具屋にこの釣りに不適格な刺しアミ、身割れが激しい上に(外れを引いたのかな?)、集魚効果まで高められている某大手メーカーの「薬漬けのアミエビ」しか置いていないとは・・・。

 この古満目では、ナガサキスズメダイの他に、キタマクラメジナオオスジイシモチの3種を辛うじて追加することはできましたが、これ以上粘ってどうにかなる状況とも思えませんし、午後1時過ぎ、雷鳴が轟き始めたのをきっかけに、移動を決断しました。
7、キタマクラ(フグ科) 8、メジナ(メジナ科)
口太グレ。
9、オオスジイシモチ
(テンジクダイ科)
・最果ての地、柏島にて
10、オトメベラ(ベラ科)
厄介至極な港の守護神。
まるで「坂本家のお仁王さん」の如く、
ターゲットの前に立ちふさがります。
袖針など、高確率で曲げられるので
手返しも非常に悪くなりますし。
 古満目は不発でしたが、この周辺でそれ以上に期待が持てるポイントというと、あとはもう柏島しか思いつきません。
 柏島は1000種の魚が棲息するというダイビングの聖地です。その港の中を覗き込んでみると・・・独りでに笑みがこみ上げるのを押さえることはできませんでした。岸壁に屯する多種多様な魚たち!それでいて嫌な嫌なナガサキスズメの姿は見当たりません!

 5分後、様々なマリンレジャーで賑わう港に奇妙な人間が現れました。お遍路さんのような網代笠を被り、大粒の汗を海面にボタボタと降り注がせながら、手にしたテトラ竿を操って、色とりどりの小さな魚を釣っては一喜一憂する、奇妙な人間が・・・。

 竿を出すとすぐに掛かってきたのは、なぜか今回まだ釣れていなかったオトメベラニシキベラ。これらも古満目のナガサキスズメダイ同様、小物釣りにおいては非常に厄介な敵なのですが、これもまあ一種は一種です。

11、ニシキベラ(ベラ科)
13、ロクセンスズメダイ
(スズメダイ科)
14、クロメジナ(メジナ科)
ついに、60の尾長を
釣ってしまいました!(笑)
15、アカササノハベラ(ベラ科)
16、クマノミ(スズメダイ科)
 港の一角に、ソラスズメダイが群れている場所がありましたので、袖針2号に石ゴカイの細切れを刺して投入してみると、その美しく青き魚たちが先を争うように次々とハリ掛りしてくるではありませんか。
 柏島の海の色を移したかのようなライトブルーや群青色、紫と、色とりどりの発色を見せるソラスズメダイの群れ。別種が混じっていると錯覚してしまいそうなバリエーションに、つい、夢中になって時間を過ごしてしまいました。
 
 いや、待て。そろそろ他の魚も釣らねば・・・と、ソラスズメダイとオトメベラをかわして、沖に走らせ、ロクセンスズメダイをどうにかヒットに持ち込むことができました。
 さらにはクロメジナ(尾長グレ)もゲットです!ついに仕留めたぞ!ロクマル尾長〜!!(爆)

 その後、ポイントを移動して、岸壁に生えた珊瑚やイソギンチャクを狙ってみたところ、クマノミアカササノハベラをゲット。本日の釣獲数を16種に伸ばすことができました。
 ただ、16種といっても見慣れたメンバーばかりですな。
 
 この柏島の波止には他にもトノサマダイ、ナメラヤッコ、クロハギ、ニジギンポといった、私がまだ釣ったことのない魚たちや、チョウチョウウオ、ミツボシクロスズメダイ、クロサギ、カワハギ、タカノハダイ、ネズミフグといったカウントが可能な魚種がいくらもいたのですが、全く餌を追わない魚も多く、あるいはオトメベラやキタマクラの妨害に阻まれて、リストにそれ以上の種類を刻むことはできませんでした。
 そして釣り開始から15時間が経過した午後3時半に体力が尽き、納竿としました。

 目標の30種まではまだまだ遠い。
 でも、明日は沖磯という全く違うステージで戦えますし、まあ、何とかなる・・・かもしれないなあ。
12、ソラスズメダイ(スズメダイ科)
その色彩は千差万別で、数種類が群れているのかと勘違いさせられます。
ちなみに、釣り上げるとすぐに黒くなるため、釣果写真の撮影は時間との戦い。
・風雲児まじっく炸裂!
 ここにきて今回の釣行最大の誤算が発生。
 納竿後、小才角の柏原渡船に、確認の電話をしたところ、「明日は無理です。台風が近い位置で発生したので、明日は断っています。」 との返事が・・・。えっ?台風?そんなに急に??
 まあうねりにはとにかく弱い小才角ですし、こればかりは仕方がありません。が、灼熱の磯に耐えうるだけの覚悟と準備が無駄になり、高確率で出るであろうと思われた夢サイズの尾長グレが両手の間をするりとすり抜けていった脱力感といったら・・・。
 もうこうなってはダメです。やれそうな場所を探して、改めて夏磯に上がる気力は昼前の朝顔のように萎んでしまい、再び花開くことはありませんでした。
 30種チャレンジもこれで頓挫か!?

・難攻不落、泊浦港
 「明日の予定は明日決めよう。目覚めた時が出発の時間だ。」と宣言して眠りに付いた私が定宿・幡多郷を出たのは翌30日午前8時のことでした。10時間以上グッスリと眠っていただけに体力ゲージは満タンです。

 コンビニで食料を調達した私が最初に向かったのは、大月町の泊浦という港でしたが、正直、ここには全く期待していませんでした。
 この日はとある汽水域で竿を出そうとしていたのですが、ちょうど干潮の時間にぶつかっていたため、宿から近いこの港で釣りをしながら潮待ちをしよう。その程度のことでした。
 
 が、現地に到着して海を覗いてビックリ仰天!大きなハタタテダイがいる!大きなツノダシがいる!タテジマキンチャクダイの成魚がいる!ナメラベラがいる!ニジギンポがいる!イシガキダイがいる!50cmオーバーのクロダイ(チヌ)がいる!でも大量のナガサキスズメダイとオトメベラ、ニシキベラもいる・・・。

 こういった港の岸壁で珍種や希種を見つけたとしても、そこにナガサキスズメダイとオトメベラ、ニシキベラの群れがいるなら、その珍種・希種は見えなかったと思って立ち去るほうがいいのかもしれません。
 持参したオモリが軽すぎたということもありますが、ナガサキスズメダイの物量をかわせるのはオトメベラとニシキベラのみ。オトメベラとニシキベラの突進力と、的確な摂餌能力をかわせるのはナガサキスズメダイのみ。

17、カスミアジ(アジ科)
18、マダイ(タイ科)
19、イシダイ(イシダイ科)
 こういう時こそ、撒き餌を使って魚をコントロールし、本命魚をゲットという思惑も、ギャラリーとして現れ、エサトリの中からグレを釣る基本的な方法を解説しながら勝手に撒き餌をばら撒く、地元のおっちゃんによってぶち壊しにされてしまいました。
「とにかく種類を釣りたいんだ」「今日の私にとっては尾長グレや口太グレこそエサトリに過ぎないんだ」なんて言っても理解してもらえないし・・・。頼むから私に構わないでくれ〜〜。
 
 結局この波止で2時間も費やしたにもかかわらず、追加できたのは小さなカスミアジ1尾という惨敗でした。
 それでもタダでは帰らぬゲテモノ五目釣り師。その後、泊浦湾内の浅場で竿を出し、手のひらサイズのマダイイシダイを加えて、ようやく19種。
 さあ、次へ行きますか。

・タモ網探して「行ちきち 戻(もん)ち来ち」
 次のポイントに行く前に、朝起きたら全滅していた石ゴカイを買っておかなければ・・・と、宿毛市内の松岡漁具までやってきました。そしてそこで、えらいことに気づいてしまったのです。
 しまった!泊浦にタモ網を忘れてきた!
 宿毛から泊浦へ、つい数分前に通った道を大慌てで引き返す私。
 
 幸いなことにタモ網は最初のポイントに転がったままになっており、無事回収に成功しましたが、同じ道を行ったりきたり。1時間近くのタイムロスをしてしまいました。これが後々足を引っ張らねばよいが・・・。

20、ギンガメアジ(アジ科)
21、クロサギ(クロサギ科)
22、シマイサキ(シマイサキ科)
23、キチヌ(タイ科) キビレ。
24、コトヒキ(シマイサキ科)
25、クロホシイシモチ
(テンジクダイ科)
26、カサゴ(フサカサゴ科)
27、カゴカキダイ
(カゴカキダイ科)美味!
28、テンジクスズメダイ
(スズメダイ科)
※前回の画像
29、オヤビッチャ
(スズメダイ科)これも旨い!
30、ヒガンフグ(フグ科)
・汽水域で躍進!
 餌を買い、オモリを買い、驟雨が過ぎるのを待ちながらの食事を済ませ、目的地である中村方面の河口に到着した時にはもう、午後1時半になっていました。
 目標まで残り11種。チャレンジの成否はこの汽水域の魚たちの活性に委ねられているいっても過言ではないでしょう。

 私はここでシーバスロッドを選択し、G2のオモリを一つ噛み付けた脈釣り仕掛けで、護岸や川底のゴロタ石の隙間や砂底を探り歩いていきました。
 ここはかつて魚影の濃かったポイントで、棲息する魚のバリエーションも申し分なかったのですが、ここ何年も低迷を続けており、酷い時には魚影一つ見ることもないという場所。ギャンブルとしか言いようの無いポイント選択ですが、達成のためには賭けてみるしかない!

 開始から20分近く反応が無く、「やっぱり今日もか・・・」と思っているところに、ヒラスズキのセイゴが食いついてくれました。
ヒラスズキなら既に釣獲済みなんですが、・・・これスズキかな?顎の下の鱗の列も見当たらないし、(最早この方法では同定できないことが判明しているそうですが)体型も微妙な感じ。とりあえず写真だけ撮っておいて保留にしておこう。

 今のセイゴがヒラスズキだろうが本スズキだろうが、どちらにせよ、魚がいたことには変わりありません。
 これでホッと一息つけたのが良かったのか、それからは色々な汽水魚がポツポツと、石ゴカイに食いついてくるようになりました。
 探り釣りというか、脈釣りで、ギンガメアジクロサギシマイサキが、同じ仕掛けを投げてみるとキチヌコトヒキがヒットして、いつの間にやら釣獲魚種は24種!

・佐賀新港・背水の陣
 午後4時前、とうとう佐賀新港に到着です。
 前回悔しい思いをしたこの港が、今回の最後と決めた釣り場。背水の陣で目標達成に挑むしかありません。
 港内を覗き込めば、35cmクラスのグレが群れていたり、50cmほどのチヌが悠然と泳いでいます。一応、挨拶代わりにオキアミボイルや石ゴカイの「落とし込み」を試してみますが反応は無く、撒き餌を入れるとみ〜んな逃亡。まあ、予想通りの展開ですな。

 さあ、小物釣り、小物釣り。
 まずは手堅く、水面直下のクロホシイシモチを確保。それからサビキ仕掛けや胴突き仕掛けを投入して新着魚種を狙っていきますが、魚の顔ぶれに前回のようなバラエティーがありません。
 肝心のハタタテダイの姿もないし、イシガキダイも見えません。代わりに45cmを超えていそうなイスズミが1匹、水面まで撒き餌を食いにきていますが・・・。

 最初のクロホシイシモチから2時間が経過した時、新たに追加できた魚種はカサゴ(ガシラ)ただ一種でした。クロホシイシモチ、オトメベラ、ニシキベラ、キタマクラは掛かってくるのですが・・・。
 これはヤバイぞ!もし30種を達成する前に夜の帳が下りてしまったら、再び夜釣りに突入してイットウダイとかハタンポとか、そういうのを狙わざるをえないのか・・・。

 しかし、6時を過ぎる頃には、状況は相当変わってきておりました。
 食いつきはしなかったけど、30cmほどのマハタが一瞬姿を現しましたし、足元には待望のハタタテダイやチョウチョウウオもやってきています。
 そのハタタテダイ達を必死になって狙っていると、横から餌を奪うようにしてカゴカキダイが掛かってくれました。

 この日の佐賀新港は殊の外キタマクラが多く、必然的に何度も仕掛けを齧られてしまいました。
 ハゲ針2号×2本の胴突き仕掛けから突如、3号のオモリが消えたのもキタマクラのせい。
 私は残った2本の針の上に再び3号ナス形オモリを結びつけ、糸がらみ覚悟で足元を攻め続けました。時間は6時45分と夕闇迫る時間帯。足元に見え隠れするハタタテダイ。仕掛けを組みなおす時間ももったいない!

 しかしこの仕掛け変更が吉と出たらしく、それまで見えていたのに掛からなかったテンジクスズメダイオヤビッチャという、スズメダイ科オヤビッチャ属の魚が立て続けにヒット!これでリーチです!

 相変わらず針に掛けられないハタタテダイを釣って華麗に目標達成・・・というのが理想のパターンではありますが、こうなったら何でもいい。ハタンポだろうが、フグだろうが誰でもよ〜い!誰でもよい故、掛かってくれ〜!
 午後7時1分、心の中でそう叫びながら投じた一投にアタリ。その「コンコンッ」の一番最初の「コ」が来た瞬間にロッドを一閃すると、腕に重みが伝わってきました。快感と安堵と達成感が入り混じった、えもいわれぬ重みが。
 願いが通じた?のか、上がってきたのは20cmに迫るフグでした。
 釣り開始から43時間、このアカメフグで30種達成です!こういうフグでここまで喜ぶなんてこと、後にも先にももう無いだろうな(笑)

・これが超一流の能力だ!
 これで帰れる!・・・はずなんですが、私は帰るに帰れなくなっておりました。
 というのも夕暮れとともにハタタテダイの活性が急上昇し、この魚におけるビッグサイズ4〜5匹が、盛んにサシエを追い、時に水面スレスレまで姿を見せるというような状況になっていたのです。
 とにかくこの魚を「釣りたい」、「食べたい」私がこの状態を無視して帰れるはずがありませぬ。

 ここ佐賀新港のハタタテダイは、恐ろしさをも感じさせるほどのエサトリとしての能力を有しています。
 虫餌でもオキアミでもアミエビでも、まるで何かの魔法を使っているかのようにサシエが消えるのです。その間、カワハギなどの「2流」のエサトリと違って、仕掛けや竿先には微細な変化を与えることもありません。
ハタタテダイ(釣りんぼさん作)
この釣行記での実写化は
いつになることやら・・・
 水面直下にいる魚の動きでアワセても掛かりませんし、第6感を頼ってアワセても掛かりません。もちろん待って掛かることなどありません。
 もし、ここのハタタテダイをハリに掛ける事ができるようになってから、鵜来なんかで見えると伝えられている尾長グレに遭遇した場合、それらをハリに掛けることなど、最早、赤子の手をひねるより容易いと感じるようになっているのかもしれませんな。
 
 結局、水中の魚の姿が闇に包まれて消えた午後7時半過ぎまで死力を尽くして戦いましたが、今回の勝負もハタタテダイの完勝で終了のホイッスル。残念ですが、こぶしの里の温泉に入って帰宅です。

 磯釣りができなかったこともあって、一時はどうなることかと思われた30種チャレンジですが、結果的には31種という結果で終えることができました。
 
31、スズキ(スズキ科)
せっかくなので、ちょっと
慎重に同定してみました。
 えっ?一種類増えてる?
 それは、保留しておいたスズキです。スズキとヒラスズキを確実に判別するためには「背鰭軟条の数を数える」という方法があります。魚の背鰭を見ると、ちょうど傘の骨と同じようなものが通っており、前半部の硬いのが棘(きょく)、後半部の柔らかいのを軟条(なんじょう)といって、それが15〜16本(稀に14本)ならヒラスズキ、12〜14本(稀に15本)だとスズキです。
 写真を拡大してみるとこれが14本。側線上部の小黒斑を考え合わせ、スズキと判断しました。

 それにしても普通種ばかりだったのが、少々残念なところです。
 こういう釣りにも、いずれまた挑戦してみようと思っていますが、その際は50種にチャレンジですな。小物釣りの最盛期の秋になら60種・・・厳しいかな〜?(笑)
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