風雲児  烈風伝
   ・一瞬のキラメキ 永遠の空白 逃れがたき運命・・・。

2013年3月15日〜16日 高知県柏島、竜串
・今年初の四国へ
 忙しさが一瞬の落ち着きをみせ、今年2回目の釣りのチャンスが巡ってきました。
 四国南西部も少々ご無沙汰でしたので、まずは情報収集・・・。何と、鵜来で時ならぬヒラマサフィーバーですか。サイズも70cm〜1mで、本島を含む広範囲に回遊中ですと!今回は金曜・土曜という日程だし、久しぶりに行ってみようかな?なんて思ってさらにリサーチしてみると、尾長も食い始めたこともあって平日でも満船状態だとか。魅力大ですが、こうなると単独行の私が上がることを許されるのはC級磯・・・。止めといたほうが無難そうですな。

 ただヒラマサは大月町の南海岸・小才角や大浦でも釣れているという情報も得られましたので、尾長こそまだ出ていないものの、40cmくらいの口太も結構食っているという大浦に行ってみますかな?最近の大浦は余所者お断り、地元の人か提携している釣具店からの紹介がなければ乗せてもらえないという噂だったのですが、渡船屋に電話してみるととりあえずOKだったので波の収まりそうな土曜日に予約を入れておきました。
 金曜日の方は・・・。柏島に行くかな。「とにかく釣れていない。」「幸島や本島の方で辛うじて。」というような話しか聞かないけど、予約したのは、蒲葵島(びろうじま)回りの磯割の渡船でした。

 木曜日の夜、相生を出発して一気に柏島へ。
 高速の延伸も大きいですが、柏島って近いですなあ〜。何しろ枕崎までの半分以下の距離しかありませんから^^(途中で中村フィッシングという名の魔界で長居しなきゃ、もっとゆっくり寝られるのに・・・)

・柏島 池田バエ
 平日ですが石鯛の声も聞こえ始める時期だけにムロハエ回りの渡船にはかなり客がいましたが、この日、蒲葵島を担当する良栄渡船の乗客は上物師が6人。他の渡船も似たり寄ったりという感じでした。

 渡船は6時過ぎに港を出発し、前々日に春の嵐が吹き荒れた海へ入っていきました。前日はあの鵜来島の渡船までも全船欠航に追い込んだといううねりの手荒い歓迎を受けながら程なく蒲葵島エリアに到着。
 うねりのため使える磯は限られています。カジヤノキリ、高バエに2人ずつを降ろすと、蒲葵島をすぐに離れてグンカン(赤バエ)の前にやってきてしまいました。いい場所ではあるのは分かっているけど相性が悪いなあ。未だに1枚のグレも釣ったことがないもんなぁ・・・と、ちょっと不安になりましたが、結局船が着いたのは蒲葵島の池田バエ。グンカンへ回ったのは残りのお客さんを水道に乗せるための偵察だった模様。

池田バエの西向き。高バエの向こうは沖の島。
ちょっと変わった雲が浮かんでます。
 足場の非常に良い池田バエという場所は、この界隈の磯の例にもれず大型尾長の実績も充分な磯。ただし南面の水中には大きなシモリや棚が張り出していてウキの墓場を形成しており、取り込みも見るからに高難度です。
 しかもうねりと満潮の影響で南面の大部分に高く舞い上がった飛沫が降り注いでおり、落ち着いて釣りができるのは南面中央・両側を溝で隔てられた通路状の細長い足場くらいのものでした。しかしながら、ハエ根がワンド状に切れ込んでいるその場所がおそらくここの本命ポイント。

 早速、ツインパワースペシャル2号、道糸・ハリス3号というタックルを準備し、ウキ下を1本取った2Bの仕掛けをワンドの大部分を覆うサラシが息をついた瞬間に投入しました。仕掛けはきれいに沖へと流れ、左側のシモリの脇をかすめていきます。
 本来ならば胸の鼓動が一気に加速するはずですが、この時期のサラシ狙いか・・・ただでさえ全然釣れてないというのに・・・と、期待も持たずに第一投。すると次の瞬間、スルスルとウキが入っていくではありませんか!いわゆる「びっくりアワセ」できっちりハリには掛りましたが、まさかの展開にまごついたのが命取りで、大して大きくはなさそうなのに足元左側の棚に突っ込まれてラインブレイクという大失態。

 急いでハリスを結び直し、同じところに投入してサラシの隙をついて馴染ませていくとアタリが連発!しかし最初はポロリとハリ外れ。アワセのタイミングを遅らせてみたら、ものの見事に噛み切られ。3度目の正直でやり取りに持ち込みますが、ちょうど洗濯機と化していたサラシの中で制御不能に陥ってまたも3号のハリス切れ。魚はそれほど大きくないというのに・・・。

 圧巻はこの日5度目のアタリでした。
 投入直後に襲い掛かってきた激しい引き波を仕掛けを張り張りにしてやり過ごしていたところ、ウキが突如猛烈なスピードで姿を消し、私の体までも持って行かれそうになるほどのダッシュが始まりました。その瞬間、ウキのあった位置の向こう側、手のひらほどの大きさの海面が、「ドン!」という音とともに盛り上がったように見えたのです。何という瞬発力!なんというパワー!魚はただ沖へ一直線。私は体勢を立て直そうと1度2度3度と立て続けに糸を繰り出しましたが、相手はそんなもの歯牙にもかけずに引きまくり、あっという間にハリスが弾け飛んでしまいました。
 何なんだ・・・ ヒラマサ・・・?柏島では全然出ていないと聞いていたけど・・・。

 今の仕掛けでは無理だ。そう判断した私は、磯の中央へと駆け寄り駆け戻ります。ポイントに戻った時、私の手に握りしめられていたのは、BBXスペシャル(緑)3号と道糸4号、ハリス5号というタックル。先ほどの魚はこれでも太刀打ちできなかったかもしれませんが、私の気の弱さはタックルのパワーでカバーするしかありません。
 さあ、今度こそ!

 しかしこのわずかな時間に釣り座の様子は一変しておりました。
 サラシは仕掛けや撒き餌の制御が不能となる時間が大幅に増えていますし、右側からの潮が入ってきており、それまで綺麗に沖に流れていた仕掛けはすぐに左手の大きなシモリを巻くように進んでいき、根掛かりが連発。このように格段にやり難くなっている上、アタリも嘘のように遠のいていたのです。
 まあ、あんな無様な釣りをしていればチャンスもツキも逃げて行って当然ですね。

 その後はたまにコッパギツが釣れるくらい。ロッドもツインパワースペシャル2号に戻った状態で弁当船を迎えることになりました。
 時刻はまだ9時ごろですが、弁当を温かいうちにゆっくり平らげ、気分とポイントをリフレッシュ。
 
 ポイントに帰っての第一投は右の少し沖目に投入し、ウキの周辺に撒き餌を5〜6発。
 ウキは相変わらずの左向きの潮に乗って中央のサラシを渡り切り、左のシモリの裏側に回り込んでいきます。そして、根掛かりしかけているかのような微妙な挙動を見せました。
 聞いてみた竿に重みが伝わりました。それは岩ではなく藻にでも掛ったようにズルズルと持ち上がってきます。
 あ・・・、魚だ。
 そう思った時には魚はもう壁に張り付いていました。が、張っては緩め、張っては緩めてどうにか引きはがすことに成功し、そのまま磯際に導いてフィニッシュ。卵パンパンの34cmの口太グレでした。この時のハリスは2.5号だったかな?ザラザラでしたが、もってくれてよかったなあ・・・。

 それからは沖に浮きグレの群れが現れたりもしましたがいつも通りサシエを食う気配はなく、手前ではごく稀にコッパギツやコッパ尾長が食ってくるぐらいという状況が続きました。潮が大きく引いたので右側の下の段に降りて釣ってみても何も変わりませんでした。

 12時半ごろには船着き側の角へ移動して、ウキ下1本半〜2本ハリス2号の仕掛けをシモリ際から隣の「池田バエの横」の沖側へと流し込む作戦に変更。その結果は二つの磯の中間地点に出た潮目で居食いした32cmの尾長グレ1枚と、同サイズと思われる魚のハリ外れが1回、あとは数枚のコッパ尾長とキタマクラだけ。納竿の3時までの時間が長かった。

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 良栄渡船 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 6:15〜15:00
料金 5000円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
泊まり優先
磯替わり 数回
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
 グンカン(赤バエ)の水道のお客さんも、船着きのお客さんも弁当船ですぐに磯替わりしていましたし、高バエの方もグレは全然釣れておりませんでした。しかし、クーラーに入っていたのは80cmはあろうかと思われるヒラマサ!
 グレタックルでよく獲れたものだということでしたが、やっぱり獲る人は獲ってしまうんですよねえ・・・。

 打ちひしがれる思いで柏島を離れた私の心を癒してくれたのは、柏島からの上り坂の道端で繰り広げられていた傍目にはユーモラスな光景 〜ガードレールの上に陣取って嘴で攻撃するハシボソガラスと、立ち上がり、背伸びしながら、文字通り真っ赤な顔でパンチを繰り出すニホンザルの大ゲンカ〜 と、定宿・幡多郷の晩御飯でした。
 「明日は波も収まるだろうし、きっと釣れますよ!」というマスターの言葉に大きく頷いて再び闘志を沸かせる私でした。
 明日は大浦。ヒラマサでもなんでも獲ってやるぞ!

・急転直下
 時計を見ると午後7時ごろ。眼を閉じれば、そのまま眠りに落ちることは確実ですが、その前に渡船屋への確認の電話を入れておかないといけません。「もしもし!明日予約している者ですが、明日は大丈夫ですよね♪」

 ところが返ってきた答えは耳を疑うものでした。
 それは「明日は大きな磯しか使えず、何人もが一緒に上がらなければならないので単独の客の上がるところなど無い。また今度にしてくれ。」という内容。どういうことだ!?天気を崩す要因など無いはずだぞ?もしかして・・・あの噂は本当なのか?

 仕方ありません。眠い目をこすりながらの場所探しです。
 まずは地元の友人から得た情報で小才角に電話してみると「波が高いから止めた方がいい」との回答。ヤバい。またしても風雲児まじっく発動じゃないか・・・。
 では安満地や泊浦は?天気予報を見ると西がらみの風だし、今はいい話は無いと宿の近くの釣具屋で事前にリサーチ済みじゃないか。
 風にも波にも最強の沖の島に転進するか・・・・?バッカンの中に入っているオキアミ生と集魚剤の撒き餌は使用禁止やぞ。
 じゃあ、明日も柏島・・・?行くなら今日乗った良栄渡船ですが、明日の磯回りはグンカン。水道や船着きのお客さんは弁当船でさっさと磯替わりしていたしなあ・・・。撃沈の予感しかせえへんぞ。
 まだ行ったことのない貝ノ川や下川口は・・・?渡船、廃業(下川口は休業?)しとったか・・・。

 布団の中で悩ましい時間が過ぎていきます。

・尾長が入れ食い!
 次の日、私が立っていたのは土佐清水市・竜串の磯でした。
 風波にも強くて、この日も何も問題なく釣りができますし、現在40cm超の口太が頻繁に食っており、もし沖磯に行ければ40cm手前の尾長も?とのこと。さすがにヒラマサや40cm超の尾長なんてのは厳しいでしょうが、この食いの渋い時期の本気の口太狙いというのも結構燃えるかも。よく考えたら去年は口太の40cmオーバーなんて一枚しか釣ってないもんなあ・・・。

午前中は見残し海岸の「アイバ」で、ミニ尾長釣り。
 朝のうちは潮位が高いこともあって乗客4人は全員、見残し周辺で様子見です。
 私が上がったのは「アイバ」という、3〜4人は満足に釣りができそうな平坦な磯。独立磯ですが小さな湾内にあって、周囲を遊歩道に取り囲まれています。見残しというのは奇岩の宝庫で、「四国の隅々まで踏破した弘法大師(空海)もここだけは見残した」というちょっとした秘境的要素を持つ観光地ですから、グラスボート等が発着する時間になると観光客にジロジロと見られるんですよね・・・。
 面白い!今日は一つ観光客のヒーローになって、その人たちのブログか何かを飾ってやろうじゃないか^^

 とは言え、一投目はまだ誰もいない午前7時過ぎ。この日は今回の釣行での登板機会は無いと思っていたDXRメガチューン1.65号と道糸2号、ハリス1.7〜1.5号、グレ小鈎送り呑ませ4〜5号というタックルを準備。まずは0号のウキにG7のガン玉を一つを打ったスルスルの仕掛けを南西角のシモリ際に投入してみました。
 すると、この日も一投目からズバッとウキが消し込んでいくではありませんか!派手に竿を叩きながら上がってきたのは残念ながら30cm程のサンノジでしたが、幸先の良いスタート・・・としておこう。

 それからも同サイズのサンノジが釣れ続いたので仕掛けや投入場所を調整しながらやってみます。
 次第に上層には大月町で好んで食されるトウゴロウイワシの群れと大きなボラの集団が集まるようになり、中層のエサ取りの数も同じように増加していきました。
 一応グレは釣れるのですがそれは20cmも無いようなミニ尾長グレばかりで、重い仕掛けを使って探ってみても釣れてくるのは相変わらずのサンノジやアカササノハベラ、クマノミといったものばかり。

 埒が明かないので北西側に移動し、磯際や竿下から伸びているシモリの際を探ったり、G2の棒ウキで1本半〜2本取り、底を引きずる感じで探ったりもしましたが、10時半ごろに23cmのコッパ尾長が来た以外はミニ尾長やキタマクラがパラパラと釣れる程度でした。

 こうなってくると楽しみは一つしか無くなってしまいます。弁当船による磯替わりです。
 待望の船が来たのは11時、もしかすると12時前だったかな?潮位もすっかり下がりましたので「人魚の館」という磯に降りていた2人組と一緒に千尋岬先端の沖磯・大村(おむろ)群礁へと向かいます。

 沖磯にはやはりうねりが押し寄せ、その外縁部には間欠的に高い白壁が出現していました。
 結局沖磯で使えたのは「クロハエ」一か所だけで、2人組のお客さんを乗せると船は大きくUターンし、私は「マルバエ」という磯へ渡礁。
 マルバエは西本渡船のHPによると、「大潮の満潮時には上がれないが、春先の産卵時期にグレの数釣りが狙える場所!尾長も期待できる!」という磯で、船長の話だと潮が内向きに流れても浅さを気にせずドンドン流し込めばよいとのこと。

   午後は「マルバエ」で、ミニ尾長釣り。
 ここでも一投目からサンノジが食ってきましたが、その後はひたすらミニ尾長。磯の周囲、どこに投げても20cmギリギリサイズばかりで仕掛けが2ヒロ以上沈んでくれませんし、重たい仕掛けで探っても結局はそれらの餌食です。また本来なら結構通すはずの潮もほぼ動かない状況ですから打つ手がない・・・。餌木でもあれば、エサ取りの群れの中に何度も突っ込んできていたでっかいアオリイカをお土産にできていたのですが・・・。

 この日は7時から16時まで9時間の釣りで尾長グレを3ケタ近くヒットさせたかと思います。
 でも、キープしたのはたった3枚。それもアイバでの23cmとマルバエでの21cmと24cmの3枚のみという惨憺たる有様。この日の本命・口太グレなんて結局ミニサイズ1枚すら釣れませんでした。見残しの磯「象の鼻」でやっていた方はしっかり45cmを仕留めているというのに。

 冒頭のチャンスを潰したことを延々と引きずったかのような2日間。大して釣れてなくてもこれ以上ないほど楽しかった前回の硫黄島と違って今回の帰り道は本当に長かった。次回釣行のことを考えながら走ってもうんざりするほど長かった。眠い中低速車に捕まり、四万十町中央IC〜土佐IC間の高速道路を50〜60kmでパレードさせられたのも辛かった。帰り道は多少時間がかかっても、七子峠を経由した方が精神的にはかえって楽なんじゃ・・・。

 帰宅した私に追い打ちをかけたのは、私が柏島にいた15日にグンカン(赤バエ)に渡していた渡船の釣果情報でした。東の高場で40〜52cmの尾長が8枚?高場でも45と48cmの尾長??2日目はあれこれ考えず、初日と同じ船に乗っていればよかったんじゃないか・・・。後悔甚だしいですが、これもチャンスを取りこぼしたことに対する罰でしょうね。

 今度忙しさが緩んだ時は尾長一本勝負。今回のようなことがないよう早朝から万全な体勢で臨みたいですが、そういう時は大概アタリが出ませんしねえ・・・。
 ● 竜 串 tatsukushi
利用渡船 西本渡船 出港地 高知県土佐清水市・竜串港
時間(当日) 6:40〜16:00
(融通ききます)
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 船長にお任せ
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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