風雲児  烈風伝
      ・牛窓釣行2題。上って下ってまたバラシ。

2014年 5月11日&22日  岡山県牛窓諸島
 太陽に向かって疾走!
 以前に撮影していたう石の画像。(中央)
 この角度からじゃウサギには見えませんが・・・
・5月11日 前島のう石(兎石)
 相変わらずの牛窓通いが続いています。

 5月11日(日)のまこと渡船は、東レカップチヌの全国大会を次週に控えていることもあって大盛況。小豆島便と牛窓便、もちろん二船とも出船です。
 私は例のごとく牛窓便に乗り込み、水平線から昇る朝日に向かって唐琴の瀬戸を駆け抜けて、前島にやってきました。

 この日上がることになったのは、ウサギの形をした潮通し抜群の独立磯「う石(兎石)」。
 花崗岩の丸っこい一枚岩で、海面からの高さは5mを超えています。磯の周囲には手足の掛けられるようなホールドやクラックは一か所もないので、東側にある低くて狭い所から釣るのかと思いきや、「道具は後から渡すから、登って!」と、常連さん達に磯の天辺に登るよう促されました。
 私は一瞬戸惑いましたが、渡船のフォースヘッドの手すりの上に上がり、そこから岩にへばりついてよじ登ることに成功。皆さんから道具を受け取って、渡船を見送りました。

 上がってしまえば上は平らですし、決して広くはないものの、荷物を置くスペースも充分。ただし、落ちたら最後、再び這い上がる術はありません。磯の前にやってきた船釣りの人たちが私を見上げて「どうやって上がったんやろ?」と驚いた声で話しています。

 上げ潮の残る序盤戦は当て潮の釣り。ウキ下一本のG2の仕掛けで、沖から磯際へ流し込んできます。
 ファーストヒットはミニガシラ。その30分後にも竿下でジワジワとウキが入るアタリがあり、プルプルという感触が伝わってきましたが、すぐに外れてしまいました。
 アブラメかクジメかな?小さい魚でもバラすとやっぱり悔しいものです。すぐさま仕掛けを沖に再投入して同じコースで流してくると、同じ場所で同じようなアタリ!今度こそはと片手でアワセを入れると、全く別物の強烈な力で反撃され、一気に体勢を崩されてしまいました。これでは魚を止められない!そして何が何だか分からないままに磯際に突っ込まれてハリス切れ。
 マダイかなあ?まあコブダイだろうなあ。直前のプルプルに騙された!1.85号相当のロッド、2.5号のハリス、マダイバリという70cmのマダイを想定した折角のタックルがまた何の役にも立ちませんでした。前回の最後からバラシ癖が付いてしまったようです。

 真っ直ぐ釣り座へ突っかかっていた潮は徐々に向きを変え、やがて足元から東の方向へ一気に流れていく、非常に釣りやすいものになりました。
 ウキを吸い込ませるのも容易なので、ウキを0号に換えてジンタン7号一つで沈めながら流し込み、仕掛けにテンションを掛け過ぎないように、大きなストロークで糸を送っていきました。
 すると、7時58分、余裕を持たせた道糸がツツツ・・・と走っていく気持ちのいいアタリで32cmのチヌをゲット。
 その数投後にも道糸が走り、ヒットに持ち込んだものの、ファイト中にハリ外れ。

 それからしばらくの間、150mの道糸を流し切る本流釣りを楽しむことができましたが、仕掛けを替えながら色々やってもアタリは無く、11時頃には潮も止まってしまいました。

 正午を過ぎると東風が吹きはじめました。磯の上の道具が飛ばされるほどではありませんが、高いところしかない磯ですので、道糸が受ける影響は大。
 強風の四国でやってきたように、ウキが流されていくルートに帯状の撒き餌を打っておき、サシエと撒き餌が出会う時間を少しでも稼ぐ戦法を取りますが、ハリに掛かりきらなかった小物のバラシが一回だけという静かな時間が流れていきます。

   「う石の西」のお客さんは夕釣りに挑戦。
 静かな時間といってもそれは釣りだけの話。この日の牛窓沖は上空から轟音が降り注いでいました。
 宗教団体が全島を所有する黄島の上空に小型機が飛来し、急上昇、急旋回は言うに及ばず、きりもみ回転、海面近くまでのフリーフォールからの離脱といった曲芸飛行を繰り広げているのです。

 その様子をヒヤヒヤしながら見ていると、右手に違和感!おっと、右の磯際近くで魚が食っているではありませんか!
 でもやはり、この魚もバラシました。藻の中で食った魚、ヒットに気付いた時にはすでにハリス切れ確定でした。

 この日は午後3時に迎えの船がやってきました。
 う石に押し付けられたフォースヘッドは朝よりもまだはるか下。道具はすでに回収済みのお客さんに受け取ってもらいましたが、問題は私。普通に降りることは不可能です。
 高い磯といっても、去年ダイブした柏島のグンカン高場の底物場ほどの高さはありませんので、下の足場かフォースヘッドにに飛び降りればいいか。
 そう思っていると、常連さん達が下の足場に渡ってきて、船に積んでいるステンレスのハシゴを磯に立て掛け、3人がかりで支えてくれたので、私はそれを伝って離礁。「どうやって降りたらええんか、焦ったやろ?」と皆さん笑っておられました。

・5月22日 青島のゴロ石
 次の釣行は5月22日(木)。午前5時前、4人での出船です。

 潮時表とにらめっこしながら取得した代休のこの日は、5時26分満潮の下げ潮。12時22分干潮で、転流は11時頃というスケジュールとなっています。
     青島の名礁(名浜?)、ゴロ石の浜
 勧められたのは青島のゴロ石。どちらかといえば上げ潮釣り場と評価される場所ですが、最近50cmくらいのマダイが出たという話ですし、もう一度挑戦してみたい場所でもありましたので、迷わず浜へと飛び降りました。
 そこで見たものは、東行きの本流が沖を走り、西側の突端の沖で引かれ潮とぶつかっているという、4月に来た時の納竿後に出現した光景。そうだ!これを攻めてみたかった!

 早速突端付近に陣取って、3Bの仕掛けで本流の壁を直撃。そのまま深く入れ込んでいく作戦を取ります。
 しかしサシエが全く残りません。どうやら浅瀬に乗り上げて集団産卵する習性を持つクサフグが乗っ込みに入ったようで、辺り一面フグフグフグ。生のサシエは瞬殺ですし、超硬いとかいう名のオキアミなんてさらにダメ。バッカンの中の撒き餌に水分を吸われてほどよく締まったオキアミで時間稼ぎをするしかありません。地元の釣具屋ではボイルパックの取り扱いがないのが辛い・・・(涙)

 釣りを阻むものはフグだけではありません。アマモの切れ端や流れ藻、雑多なゴミやらでっかい流木までもが流れてきて、見る間に海面を埋め尽くしてしまいました。
 折角いい潮が流れているにもかかわらず、ラインを取られずに仕掛けを流すことなど不可能。それどころか仕掛けを入れるスペースすら無いという状況に本日の撃沈を覚悟しました。

      本日の遊び相手
 何もできないまま潮が止まり、暇な時間が続きます。辛うじて釣れたものといえば、キュウセンの雄(青ベラ)が2匹と手のひらサイズのセイゴ2匹。
 そんな悲しい一日を過ごす私を慰めてくれたのは、こぼれた撒き餌を食べに来た一頭のタヌキ。私はそのタヌキとハリを飲んでエラごと引き抜くしかなかったセイゴを使って遊んでました。(キュウセンは美味しいのでキープ!))

 前にも書きましたが、この青島という無人島は野生のタヌキの生息地です。
 釣りを止めて寝ていたら足や手を舐められてビックリして飛び起きた人、置いていた竿をおもちゃにされて穂先を折られた人、半開きだったバッグの中の弁当を食べられ、「腹減った〜」と言いながら帰ってきた人など色々おられますが、こういう時はいい遊び相手ですな。
 でも遊んでいる間に財布の中のお札をすり替えられてたかもしれないなあ。ごめんね船長!あの時支払った渡船代が翌日葉っぱに変わってたなら、それはやつらの仕業ですわ〜(爆)

 ようやく光が見えたのは12時過ぎのこと。
 藻やゴミが当て潮によって潮間帯に打ち上げられ、海面が随分とクリアになった状態で、手前の潮が右へ右へと流れ始めたのです。
 この潮の攻め方は学習済み。ウキ下を3ヒロほどにして流し込み、駆け上がりに乗り上げたところで食わせるのです。

 案の定何投目かでウキがスッと入り、大きくはないものの、それなりの重量感を持った魚がヒットしてくれました。
     辛うじて・・・。
 ゴンゴンと首を振るその魚を浮かせてみれば鮮やかな桜色!27cm程度ですが、本命のマダイではありませんか!例年にない不調の牛窓に通い始めてから続いているチヌorマダイの打率10割が、まさか途切れないとは思わなかったなあ。

 それから数投後、底にもたれていた仕掛けを居食いした魚がいます。おそらくチヌだったのではないかと思われますが、首を振る感触が2〜3回伝わっただけでハリ外れ。うわぁ、またやってしまった・・・。

 船に乗ってみるまで分からない牛窓の納竿時間は、今日は1時にやってきます。
 残り時間はすでに30分。先に荷物を片付けておき、竿とバッカンだけが出ている状態で時計とウキを見比べながら勝負しますが、「さあ、潮が抜群によくなってきました。これで釣果は約束されたも同然です。あなたは見事に対象魚を釣り上げることができるのでしょうか??それは次回のお楽しみ。ごきげんよう、さようなら。」という、いつものパターンでタイムアップ。

 この日の離礁もハシゴが頼りです。
 前回とは逆に、回収済みのお客さんが降ろしてくれたハシゴをよじ登って帰還です。

 辛うじて釣れたとはいえ、通うたびに釣果が悪くなっているような・・・。
 分かってもないのに分かった気になって、自分で自分の引き出しに鍵をかけているのが原因なんだろうなあ。
 ● 牛 窓 沖(牛窓諸島) uhimado-oki
利用渡船 まこと渡船 出港地 岡山県瀬戸内市・牛窓港
時間(当日) 5:00〜15:00
5:00〜13:00
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 有ったり無かったり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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