風雲児  烈風伝
   ・初めての伊田&上り潮の小才角 最大の敵は・・・

2014年 6月14〜15日 高知県 伊田&小才角
・黒潮町伊田に初挑戦
このエリアに特化した小さな渡船で井ノ岬を目指します。
 とんでもなく忙しかった仕事が多少落ち着き、今年度初の遠征のチャンスが訪れました。
 最初はメータークラスの怪物と戦いに琵琶湖まで行こうと考えていましたが、数日前に筋違いを起こした右肩の回復が万全ではないこともあって、今季も懲りずに梅雨グレにチャレンジです。

 どうも最近疲れが抜けきっていないため長距離運転が苦痛。そこで初日は近場、それも行ったことの無い場所で楽しみつつ肩を慣らそうと思って、高知県黒潮町の「伊田」にやってきました。
 井ノ岬の西側のこのエリアは、昨年だったか、岬の東側の「灘」の掛川渡船が船と権利を買い取ったことで渡船が再開。近隣を中心に多くのお客さんが訪れているようです。
 
 渡船は井の岬トンネルの坂を下った所から入っていく伊田漁港に設置された製氷機(一般人も購入可なので助かります!)の隣から出るということですが、船もいないし人もいない。ちょっと不安になって港内でカマスを釣っている方に話を聞いていると船長が登場。乗船名簿を書いている間に隣の船溜まりから船を取ってきました。
 そうこうしているうちに、セイダバエを予約している3人組の常連さんも到着し身支度を始めましたが、既に準備完了の私は船長の指示で船に乗り込み、一足先に出航。伊田の磯について教えてもらいながら井の岬を目指します。

 伊田で一番有名な磯・セイダバエ。(帰りの船内から)
 港を出てすぐの所にある大きな磯がセイダバエ。ここは冬場に全く食わずヤキモキさせられたけど、3月に入って食いが止まった灘エリアと入れ替わるようにグレ、イサギ、一時はシマアジ等が釣れ始め、それが今もなお続いていて、今週も大半は予約で埋まっているとのこと。「このハエには稼がせてもらっている」と船長にっこり^^

 井ノ岬の西側にあるのは小三角(しょうさんかく)、大ブト、ミノコシといった磯たち。伊田の磯も灘と同様の低くて小さい磯ばかりかと思いきや、大きさも高さも至って普通の独立磯が点在しています。
 こちらの方面で特筆すべき存在なのは井ノ岬の先端付近にある1番、2番という離れ磯。船長一押しのポイントですが、危険度が高いため、ベタ凪かつ、ある程度の人数が周辺の磯に上がるという状況でしか渡すことができないとのこと。

 なお、 磯の背後は灘のような車通りも人通りも激しい国道というようなことはないのですが、井ノ岬を一周する車道が通っています。通行する車も意外と多く、散歩の人や釣りや貝採りのために地磯に降りる人、海を見ながら弁当を食べる人など、磯の背後の駐車スペースからの視線をずっと感じながら釣ることになりました。下手な釣り、見ないでくれよぉ〜。

 名前と違って足場の良い三角。
 早朝は上から2段目が磯際でした。
三角という名の平らな磯
 船長が私に用意してくれていたのは「三角」。イサギは釣れないがグレの魚影は濃く、先日行われたという大会では38cmくらいのが出た磯だそうです。

 総じて三角という名の磯は極端に足場が狭く悪いといったものが多いように感じますが、この三角は平らで快適。潮が引くと広くなりますし。

 伊田は水深が浅く、周囲にはシモリが点在する磯が大多数。三角もまさにそんな場所で、磯の周り一周釣れるそうです。中でも北西側の磯際と、そのすぐ前にあるシモリとの間の狭小な水道が船長のお勧めのベストポイント。
 魚のサイズを鑑みて竿は1.35号相当のX4タイプT、ハリスは様子見の2号をセットし、序盤は0号のウキにジンタン5号のスルスルで水道や、その左右の小さなサラシを中心に探ってみました。

 しばらく釣っていると手のひらサイズの尾長グレとチョウチョウウオ(本チョウ)が見え始めました。
 沖では本チョウがサシエを吸い取り、磯際に這わせるとニシキベラやアカササノハベラ、中間距離ではコッパグレ。こましなグレは姿すらありません。

 地図を見ると分かるように井ノ岬は潮通しのいい場所。この日もはるか沖には見事な上り潮が走っていました。
 磯の周囲もごくゆっくりですが南東方向に流れており、小さな潮目などもあって、いかにもイサギが食ってきそうな感じです。
 試しに遠投深釣りを試してみますが、20cm有り無しのグレが忘れたころに食ってくるだけ。やはりイサギは釣れませんねえ・・・。

 空から見た三角。シモリが点在しています。
 なお、下の目盛は30m。
 ということで、ウキを00号、G7のナビにジンタン7号を打ったスルスル仕掛けに戻し、ハリスも落として上からの釣りに専念します。
 北西側のポイントを広く使い、左右に大きくサイドチェンジしながらゴールを目指すと、前半9時2分に27.5cmの尾長グレがヒット。後半12時3分には、足元左側に撒き餌を集中させてコッパグレや本チョウなどを引き付けておいてから右沖25mにクロスを上げ、同時打ちで仕掛けを合わせて30.2cmの尾長グレをキープ。
 あとは40cmほどのキバンドウが1枚と、15〜23cmくらいのコッパ尾長。上げ潮に入ってから増えた同サイズのコッパ口太。キープまであと一歩、グレの25cmクラスは5〜6枚といったところでしょうか。
 そこそこのサイズも掛けたのですが、根の奥まで入られたり、根ズレでラインが飛んだりして4回ともバラシ。でっかいシモリの反対側の際スレスレとか、そのシモリの沖にあるシモリのさらに沖にあるシモリのその向こうとか、私の技術では掛けても無理だと思われる所でしか食わせることができませんでした。

 潮が引いて磯が格段に広くなったのを機に、東向きをじっくり攻めていたらまた違った結果になっていたかもしれないけど、北西の高い所から離れられなかったのは、風が通るその釣り座が非常に快適だったから。太陽は海の向こうの強盗団が撒き散らす不快な毒の霧の中に霞んでいても、気温はかなり高かったからなあ・・・。

 今日の最終の迎えは4時とのことですが、仕事の後、家で布団に入るも眠れず、夜通し走って着いた港でも1時間ほどしか寝ていないし、港から宿まで1時間強走る必要もあるので私は3時で終わることにしていました。といいながら2時にはすでに納竿して、久しぶりに磯に寝転んでうつらうつらしてましたけど。

 三角の東側。一番沖、井の岬先端部付近にめったに上がれない「1番」「2番」が見えます。
 港への帰りに寄ったセイダバエは4時までやり切るということですが、状況はもう一つだそうです。
 しかしこの日の掛川渡船は灘からも船を出していて、そちらはなかなか好調。一がハエでは28cmまでのグレ、イサギ、シマアジ、40cmのアカイサギ等でクーラー八分目だったとか。

 そんな話を聞いたら「明日は灘でやりたい」とか思ってしまいますが、今夜の宿も明日の磯も予約してますし、社交ダンスの指導者の資格を持つ船長が、「生徒を大会に出すため、明日はどうしても愛媛まで指導に行かなければならない」とのことで渡船自体が臨時休業となればどうしようもないですね。

 今回はパッとしなかったけど、近くてのんびりできるこの場所にはまた来ることになるでしょう。
 「本流走る尾長の伊田」も体験してみたいし、午後4時から10時までの半夜釣りにも興味がありますからねえ。
 ● 伊田 ida
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・伊田漁港
時間(当日) 5:10〜15:00
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯の予約可
磯替わり 基本的に無し 特記事項 灘エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・思わぬ出会いに乾杯!
 夕方、黒潮町から50kmほど離れた大月町の幡多郷にチェックインし、美味しい晩御飯を腹いっぱい食べていました。
 その時食堂の隣の席にいた二人組はどう見ても磯釣り客。今日は御荘の沖磯に釣行され、42cmの尾長グレ、60cmクラスのマダイ、イサギ等々多数という羨ましい釣果だったそうです。
 その釣り場の名前でピンときたので伺ってみると、やはりこの方、以前に何度も拝見したことのあるホームページ「はまちゃんのあしあと」を運営されている高知の「はっちゃん」でした。はっちゃんの方もこのページをご存じだったし、翌日の釣り場も同じ小才角ということで、たちまちのうちに意気投合。思わぬところでの嬉しい出会いに乾杯〜♪(わたしゃ酒は飲めないけど^^)

 腹の皮が張ってくると目の皮が緩んできます。7時過ぎには既に眠りに落ちており、とりあえず11時まで夢の中。
 しかしそこからが眠れません。食堂で先に謝られたはっちゃん達のイビキは全く気にならなかったのですが、とにかく目が冴えてしまい、疲れているのに眠れないという状態で宿を出る時間を迎えてしまいました。

・潮待ちの場は最凶の磯
 コンヤの東向き。この槍の穂先の向こうに
平らな極楽釣り座があるのですが、潮が高いと使えません。
 カゴバエとの間の狭い水道。
 この潮では同じ筋を流すしか・・・。
 早朝5時半、多くの釣り師でごった返す小才角新港。2番船で西磯の白ハエを目指すはっちゃん達を港に残し、私たち東磯組は1番船で出航です。

 小才角の命運を分ける潮はガンガンの上り潮!船の脇にはナブラが立ち、海面を蹴って飛び去っていくトビウオの姿も見えます。それでも船長が嘆きの言葉を口にするのは、本流の中にイルカの群れを認めたから。

 本日は7時前満潮の大潮。ベタ凪ですが潮位が高いため、私が予約している長ハエへの渡礁は不可能。安全が確保できる8時半ごろまでは、一がハエとカゴバエの間に位置するコンヤで潮待ちです。

 小才角最凶の磯、コンヤ。
 形状は昨日上がった「三角」よりも三角形。高潮時の足場の狭さ、悪さ、しんどさは他の磯を圧倒しています。

 潮が引いた時に使える東端の低いところは波を被っていますし、その手前のタイドプールのある所でやろうにも時折襲ってくる波でブーツが浸水。仕方ないので高い所の岩の窪みに足を突っ込んで何とか釣ろうとするのですが、一流しの間には何度も窪みに食い込んだブーツを引き抜いて、足を踏み換えなければ上手く流せないなど、多くの場所でアクロバティックな体勢での釣りを強いられます。

・右往左往
 この日のコンヤは、激しい当て潮と、地獄の釜のように煮え立つ湧昇流に覆い尽くされていました。それは並みいる名礁をかすめた激流がここに集まり、ここでまた別れてゆくから。
 そしてその湧昇流が海中を丸見えにしています。
 東端の磯際や、一がハエとの水道にあって、こちら側の本流を攻めるうえでの大きな障害になっているシモリの根元には悠々と泳ぐ良型の魚。敢えてウキを着けず、脈釣りでこれらの魚を狙うもヒットには持ち込めず。

 次にウキを付け、湧昇流が収斂していく場所や本流の中を攻めるもどうにも上手くいきません。一がハエの釣り師たちの竿は、イサギやグレらしき魚のほか、50cmクラスのゴマサバ等で何度も曲がっているというのに。

 北側中央部の船着きからもやってみました。ここからカゴバエとの水道を流せば楽ですし、実際本流の中から34cmのイサギを一枚釣ることができました。しかしこのポイントからだとカゴバエの低場と全く同じ筋を攻めることになってしまい、オマツリして迷惑をかけてしまいます。ここはポイントの選択肢の多い私の方が撤退しなければ・・・。

 他にも一がハエ側の壁を釣ったり、目の前に立ちはだかるシモリにもたれさせたり、高切れ覚悟でシモリの向こうに流し込んだり・・・。重たいバッカンを手に岩をよじ登って釣り座を点々としながら釣っていました。いや、正確にいうと釣り座を決めることができなかったのです
 そして私はみるみる体力を消耗していきました。

 コンヤの西向き(上流側)。名礁ツナカケと
予約している長ハエの水道を駆け抜けてきた潮が
ぶち当たります。
 もがいている間に時間は流れ、長ハエでの釣りが可能になるという8時半が近づいてきました。
 この時点で私はすでにグロッキー。これ以上無駄に消耗したら肝心の長ハエで戦えないばかりか、帰りの運転も不可能になるだろう。そう判断した私は道具を片付け、しばらくボーッとしておりました。

 しかし渡船はやってきませんでした。う〜ん、やはり磯替わりは弁当船のタイミングだったか・・・。
 9時前まで放心していると潮が下がってくれました。そこで道具を引っ張り出して使用可能となった東端の平らな場所に移動し、釣りを再開。
 0号のウキにジンタン5号を打った仕掛けを本流に投入し、張りすぎないよう、沈めすぎないように注意しながらラインを引き出してドンドン送り込んでいくと、わずか数投でヒット!
 魚の重量感に本流の水圧が加わってかなり重たいですが、引き自体は強くありません。これは唇のあまり強くないあの魚だという確信の元、リーリングスピードを変えないように注意しながら引き上げてくると、案の定、36cmの抱卵したイサギが姿を現しました。

・名礁のそばの低い磯
 10時過ぎ、美味しい弁当を積んだ柏原渡船がやってきました。
 先ほどの一枚以降反応がなく、周囲の磯でも食いが遠のいたとはいえ、イサギを釣るのなら極楽釣り座が使えるコンヤに残るべきでしょう。
 それでもやはり渡礁チャンスの限られる未体験の磯「長ハエ」の誘惑に抗しきれず、道具をまとめて渡船に乗り込んで、名前通りに細長いシモリ風の磯の先端部にバッカンを置きました。

 45cmクラスの尾長が狙え、たまに60cmオーバーも出るという小才角東磯の中でも比較的マイナーな磯となっています。それでも人気・実績ともに他を圧倒する名礁ツナカケまで30m、本流かすめる立地!どう考えても釣れないはずがないでしょう!

  ツナカケとの水道を流れる本流は、釣り座を構えるこの磯の先端から伸びたシモリの列を越え、ツナカケの船着き付近を経由して、先ほどまでいたコンヤめがけて流れていきます。
 まずは上流側に撒き餌を入れて先ほどと同じ0号G5の仕掛けを馴染ませ、シモリの手前で浮き上がらせて乗り越えさせ、さらにツナカケの方に流し込んでいきます。
小才角東磯。潮流はこの日確認したものだけを記載。
 流れの中、水面まで浮いて撒き餌をキャッチしているのはタカノハダイとサンノジ。そして、この磯でのファーストヒットはやはり35cmほどのサンノジでした。

 11時55分にはサシエがシモリを乗り越えたところでウキが入り、本日初の尾長グレ30cmがヒット。オキアミ以外の餌も色々食べていた伊田のグレよりも身が分厚いなあ・・・。

 このグレの後、釣れない時間が続きました。ツナカケの船着きでは一つ良さそうなのが上がったようですが、その他の磯の竿は相変わらず曲がっていない様子。
 どうにか打開しようと深ダナ、浅ダナ、引かれ潮狙い、磯際への落とし込み、カゴバエ向きのシモリ直撃など色々試していると、沖に流し込んでいた仕掛けからハリが消えました。

 犯人はでっかくて白い魚です。最近ソウシハギの陰に隠れてすっかり見なくなっていたウスバハギの群れ。
 ウスバハギを見るのは久しぶりの私は懐かしさのあまりちょっかいを出して、ハリに掛けることに成功するも無念のハリ外れ。その後は餌ばかり盗られて本命魚を狙うこともままならないという逆襲に泣くことになりました。

 午後2時前、長ハエから見えている範囲の釣り師は全て片付けを完了しています。えっ?みんな撤収?わたしゃ最終の3時までと伝えているので、まだやってもええはずやけど・・・。大丈夫かな??
 物凄く不安になってきました。まあ疲れが酷かったし、どっちみち3時までやったとしても釣れそうな気もしないので、私も回収2番船に飛び乗って帰還。

 この日の小才角にはボウズの人はいなかったものの、数もサイズも良くはありませんでした。それもそのはず、上り潮が入ってきてからまだ2日。潮が馴染むにはあと1日必要だという、いつも通りの状況だったから。
 上り潮の接岸から3日後に食うというのはほんまかいな?とも思いますが、翌日にはしっかり尾長が釣れているんですよね・・・。

 最終の3時まで釣るはっちゃん達の釣果はどうだろう?
 餌も余っていることだし、帰ってくるまで港ででっかいヒブダイやそこそこのサイズのグレを狙ったりして時間を潰します。まあ、クーラーの中身が増えることはありませんでしたけどね。

 そうするうち、はっちゃん達が帰ってきたので、クーラーの中の良型のオキナメジナ(牛グレ)等を見せてもらってから再会を約し、道具を片付けて港を出発。
 今の体力の残量ではそのまま帰るのは無理。そういう時のマイセオリーどおり四万十市の「平和な湯」に寄って、畳の部屋でしばらく寝てからボチボチと兵庫を目指しました。

 今回もまた疲労に苦しめられた釣行でした。折角の四国釣行なのにこれほどまでにやり切った感が無いなんて・・・。
 このままではいかんなあ。

 27〜30.2cmの尾長グレ3枚と34cm、
36cmのイサギ2枚。
 抱卵中のイサギの味にはあまり期待して
いなかったけど、今回は珍しく旨かった!

 長ハエ先端。水道を本流が駆け抜けていきます。  長ハエ岡側。底が見えているけど、実は周囲一周
釣れるんだとか。

 ● 小 才 角 kosaitsuno
利用渡船 柏原渡船 出港地 高知県大月町・小才角新港
時間(当日) 5:30〜14:00
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 磯予約制
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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