風雲児  烈風伝
        ・チャンスは一瞬。野生の沖磯試し釣り。

2014年 11月23日 高知県 伊田
・井ノ岬の年
 私にとっての平成26年は「井ノ岬」と「牛窓」の年になりました。
 家から近い上に、忙しい時期と釣りたい魚の時期が重なった「牛窓」への釣行回数が増えるのは当然の結果と言えるでしょう。しかし当初予想もしなかった井ノ岬にこれだけ通うことになったのは、灘を舞台にした今年の初釣りの感触が良かったのもさることながら、ただでさえ知名度が低く、磯の名前すらもほとんど分からない謎の釣り場「灘」に加えて、今シーズンからはさらにさらに分からない「伊田」エリアへの渡礁も可能になって、謎が倍以上になったことが私の好奇心を刺激し続けたためです。

 仕事の都合もあって今年の四国釣行はこれが最後。こんな一年を締めくくる場所はやはり井ノ岬以外にないでしょう。20日前にセイダバエでいい思いをしていますし、今回は釣りのほかにも大きな目的がありましたし。

・えっ?船が出ない!?
 この日は「灘の港に来て」と言われていたので、夜の12時前に灘港に到着してホテルワゴンRで寝袋にくるまって熟睡。すると5時半ごろに突然ドアが叩かれました。
 寝ぼけた顔でドアを開けると船長が立っていて、「東の波が高いなあ。予約の入っているイチノハエとフカバエはやれるかもしれんけど、これから満潮なんで他のハエには上がられん。」と告げられてしまいました。
 普通の渡船屋でこんなことを言われたら、ガッカリすると同時に頭の中の地図を広げて、「どこか出来そうな場所は無いか?今からでも間に合う所は無いか?」と、悩み始めるはずですが、ここは普通の渡船じゃありません。

 右側の独立磯がセトの大バエ。
 「伊田から出ようか。車ですぐ移動して!」
 南東向いて突き出した井ノ岬の東西それぞれに港があり、船があり、磯があるのが掛川渡船の強みです。こんな渡船屋はここか、宮崎県の最南端、野生馬で有名な都井岬の渡船屋くらいしか思いつきません。(まだ行ったことないけど。)

 外に放り出していたクーラーとバッカンを急いで積み込み、びっしり結露したフロントガラスをぬぐって、他のお客さんが待機済みの伊田漁港へ発進しました。灘からの距離は2.2kmほどですのですぐに到着。そこで身支度をしていると船長がやってきて一番船でセイダバエを予約しているグループを運んでいきました

 今日は連休で人が多いためか、8人くらい乗れる灘の船をあらかじめ伊田に係留していたため、私は6人グループと一緒に2番船に乗り込んで出航。道中の磯の写真をパチパチと撮りながら東へ向かいます。
 同船のグループはこのまま井ノ岬を回って、灘のイチノハエを目指すとのことですが、そのうちの一人はどうしても昼で帰らないといけないということで他のメンバーとは別行動。私はその方と一緒にセトの大バエ(沖のセト)に上がることになりました。

・セトの大バエ
 セトの大バエは、これまでに2度上がった三角の裏側にある大きな磯で、なだらかな場所が多いものの船着き付近は滑りやすく、この日のように潮が高くい上に東うねりの時は波が駆け上がってくるため、一人での渡礁は危険という船長の判断で相乗りとなったのです。
 三角に向かって竿を出す同礁者
 そこまでして上がらせてくれた理由は、前日にこの磯で口太グレの47cmが上がっているから。
 前回釣行の後、食いが低調化してしまった伊田エリアのこと、このチャンスはぜひとも物にしなければなりません。

 東から駆け上がってくる波を慎重に見極めて、私は先端近くの東向き、もう一人は最先端近くから三角向きで開始。
 私の入った東向きはうねりでざわついているので、とりあえずG2の仕掛けを選択し、張り出した棚の切れ目から流してみました。ポイント周辺は逆光でよく見えませんが、この棚の他にもシモリがゴチャゴチャと入っており、掛けても前には出られないので非常に獲りづらそうな感じ。

 で、実際、獲れませんでした。
 2投目でヒットした魚は重量感をみなぎらせ、底を這うように逃走を図ります。
 私はその力と、把握できていない地形の前に防戦一方となり、2号のハリスは程なくシモリの餌食となりました。何かは分かりませんがデカかった・・・。

 この痛いバラシの後にはヒットが無く、アタリも無いままに餌が何度もハリごと消え失せる状況に。うねりも少し力を増し、一発波が時折バッカンをかすめるようになってしまいました。
 そこで太陽の位置が上がり、潮がもう少し下がるまで様子を見るべく、船着きの奥の安全地帯に移動。

 新たなポイントは真冬ならともかく、きっとこの時期にはB級ポイント。でも、渡礁時からずっと気になっていたポイントです。
 取り込み難易度は格段に低いし、47cmを釣った本人のものかどうかは定かではないにしろ、前日の撒き餌の痕跡が僅かに残っているのですから。

 穏やかで取り込みやすそうな場所で一旦待機。
 しばらくするとチョウチョウウオやオヤビッチャ等のいつもの餌取りが見えはじめ、ハリも時々取られるようになりました。
 ファーストヒットは8時2分、アイゴの30cmジャストでした。しかし後が続きません。

 8時半ごろ、渡船が磯に近づいてきました。
 船長の釣れたか?と問いに二人そろって「釣れん!」と答えると、船長は私に船に乗るように指示。想定外の磯替わりにてんやわんやになりましたが、この磯に残られた同礁の方の援護で無事に離礁。本当に助かりました。ありがとうございます。

・井ノ岬ナンバーツーの磯で試し釣り
 この井ノ岬というのは先に述べた渡船システム以外にも、上空から見た岬の形状とか、大多数を占めるのは底が丸見えの浅いポイントであるとか、九州の都井岬との共通点がかなり多いような気がします。もちろん迫力は及びもしませんし、西磯からの入野の浜や足摺岬の遠景を除くと風光明媚さのかけらもありませんけど、それでも磯釣りの世界では四国の「ミニ都井岬」くらいのことは言ってもいいのかもしれません。

 ミニ都井岬といったところで、肝心の野生馬がいないと話にならんじゃないか!と言われる方もおられるかもしれません。確かに居ませんねえ。犬と間違うほど小柄だったという在来馬「土佐駒」が屯していれば面白かったのですが・・・。
 その代わりといっては何ですが、岬の先端のやや西には「馬目鼻」という場所があります。
 これは掛川渡船の船長が先人から受け継いだ手書き地図に記載されているもので、現在も実際に使われているものなのかどうかは定かではありませんが、どちらにせよこの周辺の磯が潮通し抜群の素晴らしい磯揃いであることに影響を与えるものではありません。

 速い潮が1番との間の水道を流れています。
 「あそこに行ってみるか?」と船長が指さした磯は、馬目鼻の沖に浮かぶ「2番」という磯。船長曰く、今は波をかぶっていて上がれないヒラソ(1番)に次ぐ「名実ともにナンバーツーのハエ」です。しかも北西の風が吹いて伊田全体が不調になった時でも釣れるという名礁です。

 この馬目鼻エリアは基本的に2名以上での渡礁となる場所なのですが、今日は特別に独り占め。私はどうやら長らく使っていなかったこの磯の試し釣りを一任されてしまったようです。

 「一発波があるかもしれんので気を付けて。道具が流されてもここまではなかなか取りに来れんので、しっかり固定しておいて。」という船長の言にしたがって、借り物の鉄柱・・・と呼ぶには頼りない枝の付いた鉄筋と、持参のロープを使って道具を配置して再スタート!

・本流釣り
 噂通りに見事な潮が流れています。その潮は西の方からやってきて、1番との狭い水道で速さを増し、やがて磯の北側から回り込んできた潮と合流して南東沖の暗礁に乗り上げていきます。
 もちろん私は潮筋狙い。例にもれず底が見えるほど浅いことと、潮は本流といえどもガンガン走って手の付けられないようなものではなかったことからG2の仕掛けを組み、「今年、牛窓で本流マダイにこだわったのはきっとこの日のためだったのだ!」とばかり、暗礁めがけて前進させていきました。

 長らく人の入っていなかった磯ですから、さすがに序盤は反応なし。潮上や左側の緩流帯に入れ続けている撒き餌にも一匹の餌取りすら見えません。
 初めてのヒットは9時15分。重量感たっぷりのなかなか強烈なパワーがロッドを引き絞りますが、パワー全開の引きは長続きせず、じきに水圧が加わった重さとの戦いがメインに。そして40cmオーバーのテス(イラ)が足元に姿を現しました。

 テスを放流した後には、また流しては回収するだけの時間が待っていました。
 沈黙が破れたのは1時間後。これもまたパワーはあるけど中層でフワフワと粘りまくるおなじみの引きで正体丸わかりです。上げてみるとやはり38.5cmのバリ。これは血抜きして持ち帰り、カマ付き3枚におろして塩胡椒して、ニンニク効かせたオリーブオイルでソテーしたら旨かった。特有の臭いは少しありますが、特にカマの部分なんて魚というより地鶏を味わっているかのような感じでしたよ♪

 渡礁時の安全地帯はロッドケースやクーラーを固めている場所だけ
でしたが、潮が引いて平らな広い足場が使えるようになり、シモリ地帯
でのやり取りも可能になりました。
 バリを確保した10分後、釣巧会のリョータさんから電話があったので、仕掛けを流しながら「いい場所に上がっているけど魚が動いていない」と状況報告していました。すると電話を切る間際にスプールの縁に掛けた中指が弾かれ、ラインがバチバチと出ていくではありませんか。
 私は急いで電話を切り、戦える体勢を作ろうとしましたが、それでは間に合うわけがありませんね。今回は獲れなかったけど、いつもながらリョータさんの電話はよく魚を呼びますな^^

・時合は5分
 これも電話の効用なのかもしれないけど、11時を過ぎたころにようやく緩流帯の撒き餌に魚が見えはじめました。ごく少数のチョウチョウウオとオヤビッチャ、それにひと塊のキビナゴ。7〜8匹のヤズ(ワカナ、ツバス)の群れも海底近くを泳いでいきましたが、これはただ通りかかっただけらしく、キビナゴにもオキアミにも、こんな事態を想定して用意していたミノーやジグにも無反応。

 本流では11時27分に22cmの口太が掛かったものの、それ以外はまるでダメ。流れも緩んできましたし、本流釣りはスッパリ諦めて、東側先端の攻略に全力を注ぐとしますかな。

 この磯の東端は三角形になっており、北の一辺は棚が張りだし、南の一辺はワンド状の緩流帯。そして頂点の先には大きなシモリがゴロゴロして、サラシが彩りを添えています。磯の北側を流れてきた潮はここでカーブを描いて、やがて南側の本流と合流していきます。
 最初は掛けても獲れそうにないポイントでしたが、潮が引き、安心して前に出られるようになったことでようやくファイトが可能となったのです。

 まずは足元のシモリの先を、ウキ下2ヒロ、G5のウキ、ジンタン5号をハリス上部に一つ打った仕掛けで攻めていくと、12時過ぎに勢いよくウキが消えました。
 アワセは大きく横に薙ぎ、弾X4のパワーを活かして強引にシモリ地帯から引きはがし、主導権を奪取。後は落ち着いてジワジワと弱らせて、水面にボコッ!と浮かせることに成功しました。無事に取り込んだのは50cmオーバーのキバンドウ。

 しばらくやっているとシモリ密集地帯にはオヤビッチャが集まり、サシエを盗られたり、ニシキベラやアカササノハベラ、それにキタマクラが時折掛かってくるという状況になりました。
 そこで三角形の頂点の延長線上に遠投し、南へゆっくり流しながら、少量の撒き餌と合わせてみると、ウキがスルスルと海中へ!
 掛け合わせるとまあまあのサイズの感触ですが結構よく引いています。シモリの際をすり抜けさせるときに一瞬張り付かれそうになりながらも、無事に寄ってきた魚を見て、私は驚きと安堵のため息をつきました。12時43分、やっとのことで33cmの口太グレをゲットです。

 その5分後、私の顔はもっともっとほころんでいました。
 先ほどと同じような場所でウキが沈み、先ほどよりももっとパワフルな魚がヒットしました。今度は根に入られないように慎重にコントロールしようとしますが、何度かの激しい締め込みで抗ってきます。姿を見てからも底に突っ込んでヒヤリとさせてくれた魚の尾鰭は白!またしても口太グレです!しかもこのグレ、体高が低かったのでサイズを見誤りそうになりますが、メジャーを当ててみると39cm♪
 それにしてもこのサイズの口太グレってこんなに引いたかなあ?久しぶりに驚かされた一枚でしたよ。

 2番全景。撒き餌が入ったら面白くなりそうな感じです。
 こちらは回収時の1番(ヒラソ)。ここに上がる日は来るのだろうか?
 ここから怒涛の入れ食いが始まるのか!と期待が膨らむ伊田2番。
 しかしグレが食ったのはこの僅か5分だけで、14時24分にこの日3枚目のバリが食ったのと、ブン!と音がするほどのスピードで竿が引っ手繰られ、曲がり込むよりも早くハリスを噛み切られたバラシが一発。あとはサンノジ、アカササノハベラなどが散発的に食ってくるだけになり、15時に納竿としました。
 今日も一日、本気でやり切ったので疲れました。さっさと片付けてしばらく一眠り・・・と思ったら、バッカンを洗い終わった途端に船長から「今、港を出たから準備しといて」という電話があり、間もなく磯を離れることになりました。
 帰りもまた、点在する様々な磯の姿をカメラに収めながら、セイダバエ経由で伊田漁港へ。

 やはりこの日の伊田はダメだったようです。セイダバエではグレの姿が見えていても口を使わず、セトの大バエに残った方も釣れたという話をしていなかったとのこと。一方で灘は本調子になってきたようで、マツエモンでは43cmを頭に35cmクラスを2ケタ、フカバエでもシマアジ混じりで結構釣れていましたし、イチノハエはグレは食わなかったものの、ハマチ(船長談)が合計6本フカセで上がっていたそうです。

・どうにかアップ
 16時前、荷物を車に積み込んだ私は、この日の最大の目的を果たすため、再び灘の港へ。

 空撮地図にも磯一つずつしか載っておらず、現時点では雑誌等に取り上げられたのを見たことも無い謎の釣り場「灘」「伊田」。この謎っぷりこそ私がどっぷりとはまっている理由でもあるのですが、やはり不便で仕方ありません。
 磯図が無いなら自分で作ればいいじゃないか!と、前回釣行時に船長から「先人が作った手書きの絵図」の縮小コピーをもらい、それを航空写真に投影する形で作成中だったのですが、絵図と写真とでは比定が困難な部分も多いし、そもそも縮小コピーに収まっていない部分もあって結構難航していました。そこで、今回自分の目で磯の配置を確かめるとともに、模造紙2枚にも及ぶ絵図の実物大のものを見せてもらおうと思ってやってきていたのです。

 港に着いた私は、ウノハエとフカバエまで回収にいく船に便乗して灘の磯を教えてもらってから船長の家に行き、一晩泊めてもらって絵図と向き合い、翌朝は岸から磯の位置関係を確認して磯図を完成に近づけていき、家に帰ってどうにかアップすることができました。
 まだまだ不完全ではありますが、多分釣行するたびに更新されていく地図ということで大目に見てもらいましょう。


 今回の釣果。撮り忘れてたので
鱗と毒棘を取ってから撮影。
 さて、これで今年の四国釣行は終了。あとは恒例の年末の遠征を残すのみです。今年はいつもと違った未体験の離島に挑戦しようと画策していますが、天候次第では本場?都井岬に挑戦というのも「井ノ岬の年」のラストにピッタリかもしれませんね。

 磯図も手に入ったことでチャレンジしたい場所がさらに多くなった井ノ岬周辺。来年もまたお世話になります!!

 ● 伊田 ida
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・伊田漁港
時間(当日) 6:35〜15:30
料金 3500円(一部4000円)
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯予約可
磯替わり 基本的に無し
特記事項 灘エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
釣行記TOPへ