風雲児  烈風伝
    ・二転三転の九州遠征。ただひたむきに。 

2014年 12月28日〜29日 宮崎県土々呂、北浦

・旅は迷走  神戸新港〜宮崎港〜飫肥〜延岡  12月26日夜〜27日

 「硫黄島はとりあえず一回りできたので、今年の年末遠征は他の島にしませんか?同じ三島村の黒島や竹島、草垣群島や宇治群島などまだ行ったことの無い島々に何としてもチャレンジしたいです。硫黄島と火砕流の恐れがある口永良部島以外ならどこの島でもいいですよ!」

 いつも遠征でお世話になっている「かまちゃん」にそう持ちかけたのは今年の秋のことでした。
 それからは年休確保の根回しを行い、フェリーの席を予約が可能となる2か月前の午前9時過ぎに確保し、まだ見ぬ離島はもちろん、時化の際の対応力・機動力を確保すべく、南九州各地の磯や宿等の情報を収集しながら出発の日を指折り数える日々。

 するとショックが3波に分かれてやってきました。
 出発数日前の「硫黄島を予約しました!」という電話、神戸発宮崎行きのフェリーに乗り込んだ直後の「今回は雨が降るので中止にしてはどうか?」という電話、そして下船後に立ち寄った飫肥(おび)での「明日も明後日も硫黄島行きの船は出ません。よく釣れている久志は予約が取れそうにないし、雨の中の釣りになってしまうので、2日間待機して日帰りで硫黄島に行きましょう。30日ならもしかしたら出るかもしれません!」という電話です。

 2日間も待機した上で、出るかどうかも定かではない日帰り釣行、実質1時間半の尾長釣りとたった6時間の口太釣りに賭ける・・・。今回の私にはそのような選択肢は存在しませんでした。
 とにかく徹底的に釣りがしたい。未知の場所に行きたい。
 私はあまりに勝手だとは思いましたが、今回はかまちゃん達との合流を中止し、独自の行動を取ることにしました。

 そうと決まれば渡船と宿を手配し、進行方向を決めなければなりません。硫黄島より波に強いという黒島、竹島、3日間みっちりやるなら都井岬・・・。次々と電話を掛けてみますが、どこも「よう出る?よう出る?よう出る?よう出る?」「高波出るけん、出られんけん♪」というようなやり取りでした。
 まさか宮崎県北の北浦までもが出船を決めかねている状況とは・・・。西の海上に高気圧が2つ並んでいて、その間に気圧の谷が潜んでいることは察していましたが、気温の予報値からみてそこまで酷くなるものなのだろうか?なにせ出航以来天気図を見られてないので風の理由も方向も正直よくわかりません。

 ともかく、船が出そうな場所に行くしかありません。深島の地方か、臼杵(うすき)の湾内か、場合によっては四国に渡って蒋淵(こもぶち)あたりを目指すか・・・。
 で、結局翌日の釣りをOKしてくれたのは、数年前の九州遠征で買った「釣恋人(つれんど)」の記事を読んで以来気になっていた土々呂(ととろ)という場所でした。

 土々呂は宮崎県北部の延岡市にありますので、この時滞在していた飫肥の名物で和風プリンと称される「厚焼き玉子」をつまみながら北上。明日お世話になる千広丸の場所を確認し、待合室で大船長ご夫婦に挨拶&情報収集してから、宿にチェックイン。

 今宵と明日の宿は延岡市街、五ヶ瀬川近くにある「ビジネス旅館延寿荘」です。素泊まり3600円ですが、部屋に入ってビックリ。もう少し大きくすればそのままワンルームマンションとして賃貸に出せそうな、畳張りの綺麗な物件でした。
 晩御飯はもちろん、この町発祥のチキン南蛮を食べに出ましたが、その旨さは敢えて書くまでもないでしょう。

・サポートのおかげで  土々呂 長バエ   12月28日

 今季の宮崎県北部はとにかく釣れていないので相当厳しい釣りになりそうですが、釣れていないということは相手にとって不足無しということ。どうにかして苦境を切り開き、離島で釣る10枚以上と同等の価値ある1枚を仕留めてやろう!
 そんな気負いからなのか、初めての釣り場にワクワクしたからなのか、寝転んでいてもあまり眠れないまま宿を出発。土々呂の港で撒き餌を作り、6時にオープンする千広丸の待合室に入ってお茶を飲みながら情報収集に勤しみます。兵庫県から来たというとさすがに皆さんビックリされてましたねえ。

 待合室には乗船名簿と、名前と磯名を書き込む用紙が設置されていて、これに希望する磯を書き込むシステムのようですが、既に私の名前は書き込まれておりました。船長の計らいで「長バエ」という実績の高い磯に常連のW田さんと一緒に上がれることになっていたのです。さらに本日のムードメーカー的存在だった愉快な釣り師H野さんとも同礁できることになりました。

 6時半、千広丸は2隻体制で出航。私とW田さんとH野さんは若船長の操縦する大きい方の船に乗り込んで、詳細なレクチャーを受けながら長バエへ。

 土々呂の渡船エリアは延岡市と門川町の境にある遠見半島の北半分(南側は有名な門川(かどがわ)の磯)。長バエはその沖向き(東向き)にある10人近くが竿出しできそうな大きな磯です。
 この磯のメインポイントは北向きの船着き周辺のワンドとのことなので、私はその船着きの正面に入らせてもらい、H野さんは右側(沖側)、W田さんは左側に並んでスタートしました。

 3人並んだワンドからは20〜30m沖のシモリ直撃か、それがダメなら際狙い。特に沖は条件によって1ヒロくらいまで食い上がってくるらしく、H野さんが来られた5日前にはわずかの間ながら水面に背鰭を出して撒き餌を追っているのが確認できたとか。しかしながらあまり潮の動かない土々呂の地理的条件からか、ここのグレは基本的に食いが渋く、食い込んで一気に走るようなアタリは少ないという話も聞きました。

 長バエの船着き。向かいの鞍掛鼻は、昭和52年に
80cm、15kgのイシダイが出たポイント。
 H野さん、W田さんと一緒に船着き付近のワンドを攻めます。
 お世話になった千広丸。
 瀬渡しだけでなく、ルアー船としても楽しめます。
 待合室の魚拓や写真から察するに尾長は期待薄の口太釣り場。トロフィーサイズは口太の50cm強ということで、予告先発だった磯遠投EV4号、道糸8号、ハリス10号ではなく、こういう事態を想定して持ってきていたゼロサム磯弾X4のタイプT(1.35号)に道糸ハリス2号、0ウキで浅ダナの釣りを試みます。
 ところが、弱々しい雨がポツポツと落ちる薄暗い海、私の視力では沖に投じた円錐ウキは全く見えません。仕方ないのでウキをG2の棒ウキに変更して視認性を確保。左隣のW田さんも同じ考えなのか、棒ウキを使った釣りを展開されていました。

 しばらく沖をやっても反応が無かった・・・というより、棒ウキでは飛距離が足りず通用しなかったため、同じ仕掛けのままで磯際狙いにシフトチェンジ。
 ウキ下を細かく替えながら小さなアタリを待つと、オキアミが時折アタリ無しで殻だけになって上がってきます。それを手掛かりに棚を決めていこうにもエサが取られる棚が一定せず、3人とも頭を抱える時間が続いていきました。

 磯際の小さなサラシの先を探っていたW田さんに動きがあったのは9時ごろだったでしょうか。突如2発のバラシに見舞われて、非常に悔しがっておられました。
 1発目は乗り切らぬままハリ外れ、2発目は根掛かりしたような小さな変化に半信半疑でアワセを入れたらその瞬間から猛烈な力で反撃され、あれよあれよという間に高切れしたとのこと。

 その後H野さんも強烈なアタリに襲われますが、冷たい冷たい雨で手がかじかんでいたのが原因で対処することができずにブレイク。私とH野さんの間に移動していたW田さんもバラシを追加してしまいました。

 私はその横で心も体も寒さに震えておりました。たまに餌が吸われるだけの相変わらずの状況が続いてましたから。そんな時にコーヒーを沸かしておすそ分けしてくださったH野さんが天使に見えましたよ。
 しかもそのコーヒーをきっかけに状況が少しずつ変わっていきました。

 まず、H野さんが本日のこの磯最初の獲物をゲット。魚種はアイゴですが、これが大きなヒントにつながっていく・・・はず。

 次いで雨も完全に上がりました。すると、明るくなってハッキリしてきた沖の水面直下を通り抜ける40cmほどの青白い魚影を確認。
 私はすぐに棒ウキを外し、0号のウキに7号のジンタンを打ち、矢引きから1ヒロ半までを探れる仕掛けにチェンジ。ハリも速手グレ6号、ハリスも今回持参した中で最も細いスーパーL EXハイパーの1.7号に換えてみました。今回初おろしにも関わらず、ハリススプールの周りにひびが入っているのが気に掛かりましたが、今はそんなことには構っていられません。

 ところが沖の魚は本当に通り抜けただけだったらしく、ハリに掛かってくることはありませんでした。そこで再び沖を諦め、ウキ下を2ヒロ強に設定して際狙いに再挑戦。
 すると、ついにウキが消し込んでロッドが大きく曲がった!・・・のも10数秒、無情にもハリが外れてしまいました。いや、違う、硬い歯の魚にハリ先が潰されてるではないか・・・。
 このハリを潰した魚の正体は11時24分に明らかになりました。重量の割にはパワーの無い引きが特徴的な魚、40cmほどのブダイでした。迷わずリリースしたけど、完全ボーズを逃れたことにホッと一息。(ブダイはブダイでもヒブダイなら旨いんですけどねえ。)

 12時半近くなると、これまでゆっくりと当ててきていた潮が右の方に方向を変え、少し大きくなっていたサラシの沖合に潮目を横たわらせるようになりました。
 私はハリス上部にジンタン5号を一つ打ったウキ下2ヒロ半のG5ウキの仕掛けを作って潮目に遠投。1投目はしばらく潮任せで流し、ウキから目を離していました。すると手元のラインがツツツーと張っていくではありませんか。
 思わずビックリアワセをすると、潮目に群れていたウミネコが一斉に飛び立ち、手元には重量感が伝わってきました。「あちゃ〜、えらいもん掛けてしもた〜!」と一瞬錯覚したものの、ラインの先の物体は下へ下へと突っ込んでいます。しかもなかなかの重量感!ストレートな引きっぷり!
 次の瞬間、魚は30m手前の磯際に向かってダッシュし始めました。私は急いでラインを巻き取って引き留め、ロッドで引き回して上へ上へずり上げていきます。
 1枚目、43cmのグレ。
 やがて、数度の反撃を経て姿を現した魚は43cmの口太グレ!やった!やったぞぉ!

 納得サイズ以上の魚が出てしまいましたが、もちろんこれで釣りを終えるつもりはありません。追加を目指して潮目を攻めまくります。
 しかし、撒き餌の打ち込み方が大きく変わったのが原因か、さらなる正解を求めてウキ止めの位置を度々ずらしたのが裏目に出たのか、次のアタリが出るまでに1時間半を要しました。

 その2枚目の口太グレは14時6分、ウキ下2ヒロ少々でサラシの際の吸い込み潮を探し、ブレーキを掛けながらゆっくりシモらせていくとヒット。たまたまタモ網を手にしていたW田さんに掬われて磯の上へ。39cmとこれまたナイスサイズ。

 次のヒットは15時前、掛けたのはW田さんでした。タモ入れの際に足を滑らせたのでヒヤリとしましたが、W田さんも道具もタモの中の42cmのグレも無事。ある一つのものを除いては・・・。

 3枚目、41cmのグレ。
 旨そうな寒チヌもゲット。
 W田さんの1尾から数分しか経たぬ間に、私のロッドにコツコツというアタリ。今度もロッドで引きずり回してシモリや壁を躱して41cmの本命魚を手中に収めることに成功。
 さらに10分後にはゴンゴンと竿を叩く魚が元気な魚がヒット。キツか何かかな?と思ってたらこれが35cmの綺麗なチヌ!見るからに美味しそうな寒チヌですが、日程を考えると美味しく食べるのは不可能なので、15時10分ごろにやってきた渡船で帰路に着かれるW田さんにプレゼントしました。
 そうなんです、W田さんはここで無念のリタイヤ。よりによってこんな時にビニールハウスのボイラーが故障しているという連絡が入り、夜が来るまでに修理しなければならないそうです。無事に直っていればいいのですが・・・。

 さあ、いよいよ土々呂というか宮崎県北の磯のゴールデンタイム、夕まず目がやってきました。私もH野さんも期待に胸を高鳴らせますが、結果は私にアイゴが食っただけ。土々呂でのセオリー通りにアイゴの上に棚を設定してみてもアタリは無く、グレの乱舞もありませんでした。W田さん退場後に潮が止まってしまったからなあ・・・。

 10時間に及んだ釣りも17時前に終了です。私は散らかした撒き餌を流し、ひとところに固めていたライン屑などのゴミを片付けるにとどまっていましたが、H野さんはこの広い磯を歩き回って先客たちが残していったゴミまで一つ一つ拾い集めておられました。私たちもこのH野さんの行動を見習わなければなりませんね。

 この日の土々呂はやはりどこも厳しかったようです。そんな中で初挑戦の私が3枚、しかも、こんなの(39cm)と、こぉ〜んなの(41cm)と、こぉ〜〜んなの(43cm)が釣れてしまうとは・・・。これはひとえにビギナーズラック、いや、H野さんとW田さんという二人の素晴らしい釣り師と、二人の船長に釣らせてもらった結果でしかないですね。みなさんに感謝です。いや〜、本当にいい1日でした。
 ● 土 々 呂 totoro
利用渡船 千広丸 出港地 宮崎県延岡市 土々呂緑地前岸壁
時間(当日) 6:30〜17:00
料金 3000円〜5000円
※長バエは4500円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 待合室の用紙に希望磯を記入
磯替わり 無し?
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
 磯の反対側。
 遠見半島先端の麦バエまでが土々呂のテリトリー。
 長バエの先端付近から。
 H野さん、W田さん、ありがとうございました。

・最後の最後まで  北浦 チギレ   12月29日

 またしてもほとんど眠れないまま出発です。
 前日も前々日もあまり眠れていない状態で10時間ほぼ休憩なしの釣りをやり切って、外食に行く力も残ってなかったので晩御飯はコンビニ弁当で済ませ、フィギュアスケート中継も観ずにさっさと布団に潜り込んだというのに1時間程度しか眠れなかったとは・・・。釣行前不眠症もここまで来たらどうにもなりませんな。(とりあえず寝転んではいるので、それなりに体力は回復してるけど。)

 延岡市中心部から北上、キリシタン大名大友宗麟がムジカ(ミュージック)にちなんで命名したという無鹿を経て20分あまり。本日の目的地である宮崎県北浦町の古江港に到着。着替えや餌の準備を済ませ、キャップライトを頼りに前日の魚の腹の処理をしてから、5時半に出航する「あゆ丸」に乗船。
 昨日、H野さんの友人がこの北浦に釣行されており、上り潮が入って尾長も食ったという獲れたて情報をいただいているだけに期待が高まります♪あらゆる渡船が心配していた雨も結局ほとんど降らず、空には星が輝いていますしねえ。

 2010年に渡礁した沖の高バエから見たチギレ。
 あゆ丸は20人ほどを収容して真っ暗な海をゆっくりと航行、湾口の烏帽子という磯に代表者を乗せました。この日の北浦は出航時間無制限、早い者勝ちのフリー出船ではなく、7隻の渡船によるジャンケンで一番に着ける磯を決めるのです。(もしこの日がフリー出船の日だったなら絶対に来ていませんでした。)

 烏帽子の磯の上では勝敗が決したようです。各渡船が代表者を拾って、思い思いの方向に散っていきます。
 我々のあゆ丸は烏帽子から5〜6km走り、風の吹き荒れるカモンという沖磯と、その周辺の何か所かに数組を降ろしました。目の前は大分との県境、その先は深島です。
 それから渡船は烏帽子まで戻り、湾口部の磯に着けた後、湾の反対側の島野浦島(しまのうらとう)の東面(沖向き)に向かい、私は一番最後に渡礁。時計を見るとすでに7時、随分ゆったりとした安全な瀬渡しでした。船内の向かいに座っておられた方に聞くと、ジャンケンで決した一番の磯に着けた後は船長同士で渡す磯の調整が行われるらしく、全渡船がフルスピードで走り回る安全軽視の磯争奪戦にはならないんだとか。このシステムはいいですねえ〜。

 私が上がったのは、島野浦島の東面中央の独立磯「チギレ」。今日はうねりと風があって人数も多いため、安全を考えるとここくらいしか残ってない。そんな船長の言葉の通り磯は奥まった場所にあり、右前には定置網が設置され、後ろは島野浦本島の砂利浜。左には以前上がった沖の高バエ、右には鼻熊という海蝕トンネルが見えます。
 予備知識なしの私が受けた印象は「こりゃどう見てもデカいのが釣れる感じの磯じゃないなあ。死力を尽くして30cmクラスを引きずり出していく磯だなあ・・・。」というもの。

 でも、手にしたロッドはX4のタイプV(1.85号)でした。
 メインポイントには巨大なサラシ、その下には先端部から伸びる大きな根が10数mに渡って広がっており、掛けた魚を強引に引き離す必要があると思われたから。
 チギレの先端部。この右に定置網が設置されてます。
 そしてハリスは今日も一番細いスーパーL EXハイパー1.7号・・・と思いきや、胸ポケットから出てきたそれは、スプールのガワが完全に脱落して糸巻き部分のみになり、手の施しようもないバックラッシュを引き起こしていました。表側の側は銘柄表示シールで辛うじてもっている感じでしたが、少し力を加えただけでバキバキバキ・・・。東レさん、あまりにも脆すぎやしませんか?ごく普通に胸ポケットに入れてただけやで。ずっと愛用してきたいい糸ですけど、この有様じゃ改善されるまで他のメーカーに乗り換えるしかありません。とりあえず今日はEX(旧製品)の2号を使うとしても・・・。(EXの紙スプールには不満もあったけど、少なくとも簡単に砕けることはありませんでした。)

 まずは3Bのウキでウキ下を2ヒロ取り、大サラシの際付近から探りを入れてみると、スタート直後からサシエがバンバン取られます。昨日とは打って変わって朝日で見えない海の中では餌取りたちが絶賛活動中のようです。ウキ下をグッと詰めてみると23cmほどの尾長グレが釣れました。
 海中を確認して対策を練るため、順光となるハエ根の内側にポイントを移して撒き餌を打ってみると水面下に群がるコッパコッパコッパ。餌取りなんてほとんど見えなかった昨日とは正反対の海況です。
 そこですぐにウキを00に変更し、矢引き〜1ヒロまで切り詰めたハリスにサラシの状況に合わせてG5〜G2のオモリを打ち、ウキ下1.5〜2ヒロの斜め状態で仕掛けを水面下をキープする作戦を取ることにしました。

 撒き餌と合わせて普通に釣ったら23cmくらいまでの尾長、口太。サラシのど真ん中や沖を釣ったら25cmくらいのものがたまに出るくらいで、キープサイズの27cmが遠い遠い。磯の背後の谷間を吹き抜けてくる北西風も厄介だし、撒き餌の配置、投入位置などジワジワ組み上げていったものをここぞ!という時にぶち壊しにする一発波にも嫌気がさしてきます。こりゃ本日の正解はこのサラシでヒラスズキ狙いだな。ミノーかキビナゴ、持ってくればよかったなあ・・・。

 サラシの遥か沖には沖の高バエ。
 あゆ丸の船長から弁当を受け取るまでに29cmの尾長グレを1枚キープするのがやっとでした。まあ、この北浦も夕方勝負だと言いますし、打開策はそれまでに見つければいいか・・・と、ここは美味しい弁当を食べて気分転換・・・といきたいところですが、磯の上空には凶暴なエサトリ・トンビが何羽も飛びまわって虎視眈々とおかずを狙っています。これじゃ落ち着いて食べられないじゃないか!
 そんな時は磯でも街中でも、壁を背負える場所で食べればいいそうですよ。トンビが人間の食べ物を狙う時は必ず背後から襲ってくるので、襲撃コースをシャットアウトしてしまえば大丈夫だとNHKの「ダーウィンが来た」で言ってました。おかげでエネルギー補充はバッチリです。

 後半戦になるとハリス切れが頻発するようになりました。
 抜き上げの最中にプツン。アワセを入れたらプツン。アタリも無いままプツン。磯の周りに大きなキタマクラが湧いてしまったのです。日が傾くまでコッパグレを躱せればハリが無くなるという空しい時間が続き、ハリケースの中身がドンドン減っていきました。さては○ま○つ、オ○ナ○の社長あたりが養殖して放流したな(爆)

 13時ごろ、ハエ根の正面、サラシの沖で今日一番力強い魚がヒット!一気にハエ根に突っ込んでヒヤリとさせられるも、ロッドパワーで強引に引きはがしてタモに収めたのは33cmの口太グレです!

 ここにきてようやく好転?いや、本格的に面白くなったのは15時を過ぎてからでした。それまでフラフラしていた流れがここにきてはっきりと沖向きに動き出し、サラシの沖のヨレがくっきりと浮かび上がってきたのです。
 そのヨレの中に0号ウキ、ジンタン7号、潮受けウキゴム、ウキ下1ヒロ矢引きの仕掛けを入れると、26cmの口太グレと、やたら体高が高くてカッコいい27cmの尾長グレがヒット。
 土々呂のグレより身が厚い北浦のグレ。
 その脂の乗りはシブダイを思わせました。
 観光船で潜り抜けられる海蝕洞「鼻熊」(千貫目)。
 日が陰ってハッキリ見えるようになったころから
グレの食いが活発化。

 しばらくすると流れの角度が変わって定置網の方に流れ始めましたが、その流れの中でも26cmがヒット。
 最後は沖向きの磯際でもアタリが連発し、15時47分には29cm、16時12分には31.5cmの口太グレを取り込むことに成功。その後も片付けをしつつ限界時間まで竿を出し、17時の渡船の船首で潮をかぶりながら港に戻りました。

 この日の北浦は、50cm近い口太が出た反面、やはり数が出ていませんでした。私の釣果は33〜27cmが5枚というものでしたが、磯が磯だけにいい感じだったんじゃないかな?なんて思ってます。
 そんなことよりこの2日間、日の出から17時まで食事などの他には休憩すら取らず、ただひたむきに海と魚と釣りに向き合えたことに大満足。釣果はあくまでもオマケ。悩みは多くとも本当に楽しい釣りでした。
 ● 北 浦 kitaura
利用渡船 あゆ丸 出港地 宮崎県北浦町・古江港
時間(当日) 5:30〜17:00
料金 4500円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 年末年始、土日
   :フリー(出船時間無しの早い者勝ち)
平日:一組目はジャンケン。
    後は船長が調整。
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

  須美江〜高千穂〜阿蘇〜別府〜大分〜帰宅  12月30日〜31日朝

 その夜は北浦・古江港から9kmほど戻った須美江ビーチにある民宿「シーサイド須美江」に宿泊。ここも大当たりの楽しい宿で、6500円で美味しいご飯を食べきれないほど堪能して、これまでの不眠が嘘だったかのように眠り続けました。
 ここの大将の弟さんは島野浦の磯に渡している渡船「千津丸」を経営されているそうなので、機会があったらぜひ日本一難しいと言われるグレ釣りに挑戦してみたいですね。
 この宿でただ一つ謎として残ったのが、食堂で一緒に遊んだ可愛いポメラニアンの本名です。大将は「寅次郎」、娘さんは「ささみ」と呼んでいたけど、本当はどっち?(爆)

 迫力満点だった阿蘇中岳。大規模な
爆発的噴火に移行しなければいいのですが。
 九重連山は雪化粧。直前に火山性地震が
急増していたとか・・・。
 30日はどこか時間の融通の効く渡船屋にお願いして12時ごろまで釣らせてもらい、夕方のフェリーで九州を離れようかなんて思ったりしてましたが、前日のうちに否決しておいて正解でした。2日連続休みなしの釣りがあちこちに堪える歳になってしまいましたよ。

 ですのでこの日は観光です。
 まずは清流五ヶ瀬川の峡谷の深さと、棚田の広がる魅力的な光景に嘆息しながら高千穂町に向かい、火山にはまっている私はそこから現在絶賛活動中の阿蘇山へ。
 当然ながらロープウェー乗り場の駐車場までしか上がれませんが、中岳の噴火をじっくり見られて大興奮!それと同時に、ここの活動によってこれほどの巨大カルデラを形成するほどの活動があったことに心から戦慄!

 あとはやまなみハイウェイで雪の九重連山を走り抜け、別府の浜脇温泉の火傷しそうなほど熱い湯で疲れを癒し、大分からのフェリーで向かいの席のご夫婦と楽しい会話をしながら神戸へ戻って、大晦日の朝に無事、相生へと帰還しました。

 今年の九州遠征は当初企画したものとは全く違ったものになってしまいましたが、2014年を締めくくるにふさわしく、愉快な仲間たちとの出会いを方々に散りばめた素晴らしい旅だっただけでなく、「とにかく徹底的に釣りがしたい。未知の場所に行きたい。」というテーマまでバッチリ達成できた大満足の納竿釣行となりました。
 2015年もこんな釣りができるといいな!
今回の釣果。
土々呂のグレは腹だけ処理済み。
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