風雲児  烈風伝
   ・新緑の高知南西部 時化の合間の辛い釣り

2015年 4月17〜18日 高知県 灘&小才角
・好機だが天候が・・・
 口太グレのシーズンが絶好調のまま終了した高知南西部では3月下旬から尾長グレが活発化。鵜来島では28日に出た70cmを筆頭に60cm前後が連日のように仕留められているようです。また石鯛も好調で70cmオーバーも複数出ているようですし、今の時期こそ最高に旨いイサギもあちらこちらで上がっているんだとか。

 そんな折に訪れた多忙と多忙の間の小休止、行かねばなるまい!
 でも、巨グレ情報が出ている時に鵜来島に行っても大金を費やして3級磯に上がることになるのは目に見えているし、柏島は最近妙に遠く感じるし・・・。そうだ!出られさえすればいい感じで釣れていて懐にも優しい小才角へ行こう!
 小才角の60cmクラスの尾長は遠い昔の話。今やそんなサイズの可能性はゼロではないにしろ、45cmオーバーの話すら滅多に聞かない場所になってます。でも殺気立った場所の巨大尾長より平和な場所の40cmの方が望みである今の私には全く問題なし。かなり間は開いたけど結構な回数行っていることだし、さすがにそろそろ最高の日にも当たるやろ!

 代休の金曜&土曜釣行が決まって期待に胸を膨らませていたところ、今季、磯釣り師と渡船業者の大多数が直面している問題が立ちふさがりました。1〜2日おきにやってくる低気圧、春の雨のイメージからかけ離れた強い雨、気温は冬と初夏とを乱れ飛ぶといった、この春の酷すぎる気候の問題です。
 釣行の初日は早朝に雨、次第に回復して快晴となるも、長期間続く南のうねりで小才角どころかその周辺も出船は厳しく、うねりを躱せる場所に逃げても北西風のカウンターパンチが飛んでくるでしょう。

 金曜日は移動だけにして体力を温存しておくかとも思いましたが、リサーチは一応してみるものです。出るはずもないと思って電話した井ノ岬が、明日よりももっと絶望的だと思われた本日も出船しており、セイダバエで35〜40cmのグレを10枚ほど釣ってきているというのですから。

 「明日はセイダバエに4人入っているけど、北西が吹くからイチノハエに行こうか?灘の方に6時に来て!」
 あそこなら口太が産休中でもミドルサイズ尾長の目があるかもしれないな。よし!楽しみだ!!

・うねりが・・・
 金曜日。灘。イチノハエ。
 長期間続いているうねりは今日も飽きずにこの磯に噛みついていました。これから凪ぐのは分かっていますが、それまでに突発的な波が来たらどうなったものか分かりませんので、安全最優先で渡礁断念。

 深くないけど名前はフカバエ。目盛は30m。
 で、やってきたのは灘で一番時化に強いフカバエです。
 低くて小さいのが基本の灘の磯としては大きな磯で、足場もよくてゆっくりやれる人気磯。周囲は砂底ですが大きなシモリが連続しており、口太グレの他、時期が時期ならシマアジの回遊もあるようです。ただし直近の状況は不明。なんせ灘エリアから出るのは1か月ぶりだそうですからねえ。

 本命ポイントである西端は潮とうねりが引いてくるまで使えないので、とりあえず南向きでスタート。ザワザワしている磯際〜近距離をG2の仕掛けで狙っていると、数投目で手のひらサイズのコッパ尾長が釣れてきました。
 その後も25cmに満たない尾長がパラパラと食ってくるくらいだし、一発波が駆け上がってくるのが気色悪かったので北向きのシモリの溝や、荒れ気味の時にいいという裏側(船着き)を点々としますが、釣れてくるサイズはやっぱり同じ。裏側のシモリの間狙いはなかなか面白かったけど、丸見えの海中海底にキープサイズの姿すらないというのがねえ。

・本命ポイント
 9時半ごろになると潮も引き、ベタ凪になったのでいよいよ西端へ。

 撒き餌を入れていると周辺の海の色が変わるようになりました。サバ子の群れの襲来です。これまで入ったポイントにもいるにはいましたが、このポイントは数が違います。でも幸いなことに手が付けられないほどの数ではなく、撒き餌である程度コントロール可能なうえ、1匹1匹のサイズがまだ小さいのでいちいちハリ掛かりしてこないのには助かります。

 手ごろな場所にサバ子を集めておいてそっと磯際に仕掛けを入れたり、沖のシモリ群を少量の撒き餌でランダムに狙っていきます。
 すると9時58分に26cmの尾長グレをキャッチできたので、この日初めてのキープ。これでも取っとかなきゃおかずがありませんわ。
 これで好転するかと思いましたが、やはりパラパラとしか釣れませんねえ。サイズも尾長は24cmくらいまで。たまに口太もきますがもっと小さいのばかりだし。

・三角のヒレ
 それでもどうにかして正解を見つけようとしてウキの周辺を凝視していると、視界の隅っこを黒いものがかすめたような・・・。いったいなんだろうと思ってシモリよりもずっと沖を見つめていると、三角形の背鰭を持った大きな生き物の背中が海上にせり上がってきました。
 本日の言い訳。
 サメ?・・・そうか、フカバエは深バエではなく鱶バエだったのか!なんてことはなく、正体は5〜6頭のイルカの群れ。それらは3分〜5分に一度くらいのペースで次々と浮上して息継ぎすると、再び潜ってまた息継ぎに浮上して、1時間半ほども磯の沖に留まり続けたのです。
 でもこれ磯釣り師にとってはサメだったほうが幸せだったかもしれませんね。まあ撃沈の言い訳はできたけど(笑)

 でも、実際はイルカが居ても状況はあんまり変わりませんでした。沖のシモリ群がイルカの超音波を防いでいるのか、イルカがここまで入って来れないことを知っているのか、サバ子は相変わらず撒き餌に集合してきます。それを振り切ってシモリ近くにサシエを入れればコッパグレもパラパラと食います。短時間ながら潮が南へゆっくり動いた11時半には、久しぶりの26cmが出たのでキープ。

 イルカがいなくなってからも大して状況は変わりませんでしたが、それでも13時過ぎにはこの日の最長寸28cmの尾長グレがヒット。意外なほどよく引いたし、厚みも体高も見事なもので味も素晴らしかったこの一枚はサイズ以上に嬉しかったけど、15時までやって26〜28cmの尾長3枚。
 口太グレの成魚が産卵で不在の時期にミドル尾長の目も無い場所は辛いですなあ。船長も「やっぱりこの時期は食わんか〜。」とのこと。
 今日はオキアミよりもルアーかサバ子を泳がせて砂地に点在するシモリを順々に狙い撃ちするのが正解だったかもしれませんね。もしかするとこの地形、でっかいヒラメが当たってたかもしれませんな。

 帰港後に伊田漁港に寄ってセイダバエから帰ってきた方に話を聞いてみると一人1〜2枚という釣果で、「格安でドルフィンウォッチングができたと思えば、灘の方が得だったのでは?」と苦笑されておりました(笑)
 フカバエ。沖のシモリ狙いはなかなか楽しかったけど・・・。

 ● 灘 nada
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・灘漁港
時間(当日) 6:00〜15:00
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯の予約可
磯替わり 基本的に無し 特記事項 伊田エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・久しぶりの出船!
 その夜は久々の幡多郷で腹いっぱい食べて9時間ほど寝て、翌日は本命の小才角へ。
 凪の土曜日だし、4月に入って3回目の出船ということもあって20人ほどが港に集結するなか、前々日に予約した私はいつもの一がハエに7人くらいで渡礁です。

 「どこでやりますか?」
 「どこでもええよ。潮が止まっとるき、どこでも一緒や。」
 ということでいつものこだわりポイント、北端の東脇に釣り座を構えてスタート。

 今日も際から近距離で様子を見ますが反応なし。開始一時間弱でブダイ(赤)が掛かったくらいで、他はサシエもあんまり取られないという厳しいスタートです。

 いつも同じ場所、同じ風景なので、今回は気分を変えて
カゴバエと、海からしか見ることのできない滝の写真でも。
・乱舞するもシビア
 8時ごろになるとちょっとですが潮が動くようになりました。しかも西から東へ!これは小才角の絶対条件、上り潮か!?そして潮が動き出すと同時に尾長グレの乱舞が始まったのです。
 撒き餌を追って浅ダナに集結する尾長グレをウキ下矢引きで迎え撃ちます。しかしこれが普通にやってもアタリが出ず、強く張りながらゆっくり沈めて、コツンという一瞬のアタリを即アワセしなければ掛かりません。
 でもコツを掴めば次々にヒットしてきます。最大でも25cmの尾長グレが・・・。
 様子を見に来た人も海中に目を凝らして一言、「おんなじサイズしかおらんなあ。でも、魚が見えるだけ羨ましい。」と。

・深釣り
 シビアなコッパ釣りも面白いけどキープサイズがいなけりゃ仕方ないので、ウキを3Bにチェンジ。苦手ですが今日はこだわってみようかと思っていた深釣りにチャレンジすることにします。
 でも仕掛けを変えた途端にウキが戻ってきてしまうようになりました。水道からの緩やかな潮が釣り座のワンドで時計回りに一周する流れに変わったのです。
 この時間、周囲の竿が次々と曲がりました。でもタモに入った魚はことごとく海へドボン!あちらもこちらもサンノジ祭りです。私もこの流行に乗り遅れることなくサンノジをヒットさせました。

 ところが、この30数cmサンノジを磯際まで寄せてきた時にアクシデントが発生です!80cm程のまだら模様のハタが水面まで飛び出してサンノジにアタック。私は反射的にサンノジを引っ張りまわして襲撃を躱しましたが、ハタが海底に戻っていくのを見て、「しまった!」と一声発してタモを取り、再びサンノジを磯際に送り込んでいきました。
 「ハタが飛びかかってきたら水面までつり出してタモで一気に仕留めてやる!」
 でもまあ、そんな無茶なことができるわけないですよね。島津家久じゃあるまいし。
 で、幸い?にもハタは二度と姿を現すことはなく、竿もハリスも無事で済みました。

・コンプリート!
 正午ごろになると潮の吸い込みがえらく強くなり、3BどころかG2のウキでも沈み過ぎてしまうようになりました。G5にチェンジしても竿1本半くらい入っていくのでこれで攻めてみることにしましょう。
 また沖側から入ってくる潮が強くなって結構速く足元に寄ってきてしまうのですが、都合のいいことに足元の棚の前にはぶつかった潮を跳ね返すサラシが出るようになっていましたので、撒き餌を入れて戻ってくる仕掛けを待っているだけで簡単に合わせることができます。

 ブダイ、ヒブダイ雌、アオブダイ。信号機軍団勢揃い。
 ちなみにヒブダイのオスはピンク(緋色)です。
 そして気持ちいいアタリが何度か出ました。しかしそれはサンノジか、35cmほどのヒブダイ雌(黄色)、グレだとしても25cmにも届かないサイズ。まあ、こういう状況ですから美味しいヒブダイはキープして、皮付き湯引きの薄切りに塩とゴマ油を馴染ませて美味しく食べてしまいましたけど。

 さらに12時50分には実は初めての釣獲となるアオブダイをゲットして赤・黄・青の信号機軍団をコンプリート。筋肉の溶解を引き起こして最悪の場合死に至らしめる猛毒・パリトキシンを持つことがあるアオブダイはリリースですけど、こうなるとやっぱり嬉しいのがゲテモノ五目釣り師。

 1時を過ぎると昨日と同じく何も食わなくなり、風も強くなってうねりが大きくなってきたので、安全第一の柏原渡船の判断で14時撤収。

 結局本日のキープは小型のヒブダイ一枚で終わってしまいました。一がハエでは船着き北のカゴ釣りで40cm手前のグレが2枚釣れた他はグレもイサギも確認できなかったし、他の磯も船長が「今日は釣果を聞くのはやめたほうがいいですね」というような状況でした。
 沖に出てみないと分からない予測不能な潮の流れ一つで運命が決するギャンブル釣り場ですからねえ。いつ会えるのかな、素晴らしい潮が接岸して磯に馴染んだ最高の日に・・・。
 そんな瞬間に遭遇するまで、腕を磨きながらチャレンジし続けるしかないですね。

・延長戦で負傷退場
 予定時間より早く終わってしまったし、クーラーの中は寂しいのでとある港で延長戦です。

 使い残しの撒き餌を入れてみると、砂地の底付近にそこそこのサイズの青白いような魚が見えました。よし、これは面白そうだとタックルを組み上げて0ウキ+ガン玉5号の仕掛けを投入すると来るわ来るわクサフグの群れ。
 ハリを何本も取られながら仕掛け投入のタイミングや撒き餌の遠近の打ち分けを使って対応していると50cmくらいのボラがヒットしたので一本キープ。これで翌日の刺身は確保ですな。きれいな海域のボラは旨いですからなあ。

 そのうち、フグに混じってコッパグレが見えはじめました。一がハエのコッパグレよりも小さいけど、フグの大群を手玉にとって本命を掛けていく釣りは面白いものです。
 おっと、今度のは少し大きいぞ!と呟きながら波止の上に抜き上げたグレに手を伸ばした瞬間、静かな港に聞き慣れない声が響きました。

 「ぐわっ!?・・・うぅぅ・・・」

 声を発したのは私自身。顔をしかめてうずくまり、右手は自分の右腰に。
 数年ぶりにやってしまった本格的な腰痛です。前日からおかしいなおかしいなとは思っていたけど、ここにきて遂に・・・。
 こうなったらもう釣りどころではありません。脂汗をかきながら大昔のロボットのような動きでグレを逃がし、道具を片付け、やっとのことでこぼれた撒き餌を流してどうにか車の運転へ。

 一がハエからの国道321号線。通称サニーロード。
 腰痛はスーパーの魚屋をやっていた頃からの長い付き合いですので、自分独自の効果覿面なツボを押しながら運転して帰宅。翌々日には全快させることができたとはいえ、散々なフィナーレになってしまいましたよ。まったく、今回の釣行を締めくくるのにふさわしいとしか言いようのない有様です。

 ● 小 才 角 kosaitsuno
利用渡船 柏原渡船 出港地 高知県大月町・小才角新港
時間(当日) 5:50〜15:00
(14:00で撤収)
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 磯予約制
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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