風雲児  烈風伝
 ・うねりにも負けず、痛みにも負けず。
             二日掛かりの梅雨グレ最終戦。


2016年7月10〜11日 高知県安満地、福良川、四万十川水系
・シーズン最終戦へ
 ここ数年、グレシーズンの最終戦は高知県大月町の「安満地(あまじ)」かその周辺で竿を出すのが恒例になっていますが、今シーズンも最後はやっぱり安満地になりました。

 選んだ理由もやはりいつもと一緒の「他に選択肢が無いから」というものでした。気圧900hpa、最大瞬間風速85mにまで達して台湾と中国大陸に上陸した台風1号と、それによってパワー全開となった梅雨前線によるうねりに襲われる高知南西部で、何の危険も心配も無く竿が出せる場所なんてここ以外にはありませんからね。(例の2つの離島を除く)まあ、なんだかんだ言っても好きな場所でもあるんですけどね〜。

 しかし今回の安満地はただ船が出るというだけではありません。
 前夜の電話で「今日は松島で48cmを頭に数釣れてましたよ。チーのハエでも42cmが出てました!」という嬉しいが聞けましたからね〜♪

 海況が海況だけに行くのか見送るのか実は大いに迷っていたけどこれで心は決まりました。
 ただし大きいのが出る日とエサトリばかりで何も釣れない日のムラが激しいという話でもありましたが、参院選の不在者投票を済ませてから、
 真田安房守in天正壬午の乱
 (大河ドラマ「真田丸」)

こんなテンションで出発です!

・右手首に激痛が・・・。
 ところが道中でトラブル発生です。右の手首が痛くてたまらなくなったのです。
 出発の日の昼ごろから感じていた違和感、まあ湿布でも貼っておけば運転している間に治るだろうと考えていたけど、目的地が近づくとともに痛みが激しくなって大きくハンドルを切るのも結構辛くなってきました。

 痛いのは捻りを加えた時と物に手をついた時だけです。重いバッカンやクーラーを垂直方向に持ち上げるのは問題なし。竿を持つのも問題なし。マキエは基本的に左手で打つので問題なし。ただ竿を左右に振ったりするのが非常に辛く、魚が掛った時にはどうしたらいいものやら・・・。
 痛みの原因が分からないのも心配です。ぶつけたり捻ったりした覚えは無いし・・・。昨夜寝ている間に壁か床とケンカでもしたのか、細かい疲労がたまっていたのか・・・。

 まあせっかく安満地港まで走り終えたし、マキエも頑張って作ったし、途中で買った包帯で補強してとりあえず磯に上がってみよう。もしどうにもならないようなら弁当船で帰ればいいや。

 結構な秘境、安満地集落。一番沖は鵜来島。その手前が松島。

・松島に渡礁
 7月10日の日曜日、午前5時15分、じっとりと体にまとわりつく湿気が白い帳となって周囲の全ての山々の頂を覆い隠す中、釣り師2名を乗せた吉田渡船は漁協前の岸壁を離れました。

 船着きはクーラーの更に下。右側には養殖イカダのロープが
延びてます。
 以前の写真ですが、コガネスズメダイ、チョウチョウウオ、
シテンヤッコのゴールデントリオ。
 体表からなかなか強烈な臭いを放っていたヒラニザ。
 高知で最も身近なハタ、オオモンハタ。
 イチノジ系では最もメジャーなニセカンランハギ。
 まずは観音崎の先端に底物師を降ろすと、船はマグロの養殖イカダを回り込んで松島に接近。その北西端の養殖イカダのロープの脇、なだれ落ちる場所に船首を押し付けました。

 どうにか無事に全ての道具を運び上げたその磯はゴミだらけの磯でした。マキエは盛大に散らかっているし、ビールの空き缶やらバラバラになったカニやらも転がっています。特に酷かったのが磯のあらゆるところに放置された道糸・ハリスの長いやつ。いやあ磯釣りに来たはずなのに前世紀末、バス釣りバブルの頃の池や川に飛ばされてしまったのかと思いましたよ。

 これでは釣りをする気にならないので、とりあえず目につく範囲のゴミを拾ってから船着きに降りてスタートです。

・凪いだ海は黄色
 船着きにはすでにエサトリ達が集結していました。
 最大派閥はコガネスズメダイ。次いでチョウチョウウオ。さらにシテンヤッコまで加わって海の中は真っ黄色じゃありませぬか!他にもカワハギやツマジロモンガラ、ネズミフグ、オヤビッチャ、ハナミノカサゴなどがウロウロしていて、いわゆるイチノジ系の魚も結構多いですねえ。コッパグレもいるにはいるけどそれほど多くはない上に活性も高くはなさそうですねえ。

 最初はG2のウキで竿一本のタナを攻めていましたが成果は全く出ませんでした。
 しばらくやってからウキを0号、オモリをジンタン7号にチェンジ。エサトリを足元に引き付けつつ縦切り撒き餌の先を釣っていくと6時44分になってようやく本日のファーストヒット。
 どことなく金属的な引きで姿を現したのは35cmくらいのニザダイ科の魚ヒラニザでした。学名のAcanthurus mataは「棘+尾/愚かさ、愚行」という意味だそうですが、学名を提唱したCuvier氏はこの魚に何か恨みでもあったのかなあ?

 潮は大きなシモリのある左側にゆっくりと流れていい感じなのですが、結果が出ないのがもどかしい。当然のことながら仕掛けやタナや投点やタイミングを色々と試しながらやってるんですけどねえ。

・棒ウキで連発
 遅かれ早かれ降ってくるだろうと思っていた雨がとうとう降り始めました。
 しかしそれほど強くも長くもならず短時間で上がってくれた雨。これが私に魚をもたらす遠因となりました。

 要は光量不足でウキが見えなかったんです。
 その解消のために取り出したのがB負荷の棒ウキT-Hope。ウキ止めを竿1本強の位置に取り付けたこの仕掛けが抜群の効果を発揮したのです。

 15mほど沖に投入し、潮に乗せて流せば、棒ウキはスパスパと沈みました。8時過ぎには30cmほどのオオモンハタ(イギス)、その5分後にはよく見るとおしゃれなカラーリングのニセカンランハギがヒット。

 その数投後にもアタリが出て、イチノジ系とはまた違う強烈な引きが襲ってきました。これはデカいぞ!

 私は右手首に走る痛みに何度も邪魔されつつも、肘を使って躱し、竿尻を腹に当てて耐えました。ハリスは2号、竿も1.85号相当ですから、動作の切り替えがスローモーなのを差し引いてもそう簡単にはやられない!
 しかしそれは沖での話でした。魚が一目散に磯際に向かって突っ込んでくるともうお手上げです。この痛む手首では魚の動きについていくことなどできず、あっけなくハリスがはちきれてしまいました。

 ハリスを結び直して再挑戦。コガネスズメダイのヒットを挟んで何投か後のことでした。
 ウキの潮下、視界の端の海面にやたらと大きな波紋ができている、そう思った直後にウキが沈んでまあまあのサイズの魚がヒット。これなら何とかなるかもと思いながら中間距離まで寄せてきた瞬間、魚の引きが尋常ではないものに豹変しました。そしてそのまま成す術なく高切れ。サメ・・・かな。

 私は呆然とする間もなく棒ウキの回収を試みますが、何度かミスキャストする間に流れに乗ったウキは残念ながら回収不能な場所まで行ってしまいました。

・沖狙い
 当たっていた仕掛けでしたが、無くなってしまっては仕方ありません。

 雨雲が少し高くなって明るくなり浅ダナを走るグレがよく見えるようになってきたので、円錐の0号に戻したウキを1ヒロ半のハリスの中に入れ、ジンタン5号を一つ打ってみました。
 狙いはとにかく沖の駆け上がり。撒き餌をかぶせるのは4〜5投に1回にして、半ば放置するように沈めて待ちます。

 やがてスッとラインが走りました。穂先が付いていくまで待ってからアワセ!
 暫しの抵抗のあと足元めがけて突っ走ってくる魚と、腰に竿尻をセットしてハンドルを回す私とのスピード勝負が始まります。
 といっても相手の大きさは32cmでしたので懸案の磯際で粘られることもなく、本日初のグレ(尾長)のゲットに成功♪

 どうにか本命をゲット。
 1枚目のヒットは8時52分、2枚目は9時5分でした。2枚目も尾長で31cm。

 そして、その10分ほど後にもまたラインが走って、ロッドが大きく弧を描きました。これはデカいぞ!
 これまで同様に痛みに耐えながら竿尻をセットして数度の突進を躱し、磯際まで誘導してくるまでは問題ありませんでした。でもやはり磯際での対応が不可能で、あまりにも痛くて悔しいハリス切れ・・・。

・そりゃ、話も合うわ〜。
 これではどうにもなりませんが、ハリスの号数を上げたら上げたでさらにどうにもならなくなりました。
 食いは止まり、潮も止まり、その潮が再起動してスピードを上げても大物のアタリは戻って来ず、グレも結局先ほどの2枚以外はコッパも釣れてくることはありませんでした。

 その他に掛ってきたものといえば、コガネスズメダイ、ハコフグ科のウミスズメ、トウゴロウイワシ科のギンイソイワシくらいのものですが、回収中のボイルオキアミ目掛けて海底からミナミアカエソが飛び出してきてビックリさせられるようなこともあり、いつもいつも何かが起こる高知南西部の釣りはやっぱり面白いなぁなんて思えた一日になりました。

 あと、「海色のキューピッド」という魚も釣りましたよ。
 英名「キューピッド・ラス」。学名Thalassoma cupido (Temminck and Schlegel, 1845)
 属名は海+体で体色を現し、種小名はローマ神話の愛の神クピードー(英語読みでキューピッド)。そして最初の学名の提唱者はシーボルトが日本から持ち帰った標本を研究した2人、テミンク博士と前々回の釣行記にも登場したシュレーゲル博士だという魚。
 それは、こんな魚です。



 標準和名ニシキベラ。雅やかな名前に似合わぬケバケバしさ全開の、関東以南の太平洋側ではごく普通の魚でした。

 これがどうしてキューピッドなのだろうか?もしかしてこの魚を通じて愛を育んだ研究者がいたんだろうか?あるいは我らが播磨の戦国大名・赤松義村が自著『秘事枕』に書き残したまじない「想い人がいるのなら雨蛙の背に名前を書いてその人の家の戸口に入れろ。必ず叶うぞ。」と同じようなものがこの魚にもあったんだろうか??

 とにかく疑問符ばかりが頭を巡ります。そう、↓の魚のどのへんがオトメベラなのかという疑問と同じくらいに。
 以前に苦しめられたオトメベラ。
 ちなみにオトメベラの学名は
「海+体/月の」というような意味だそうな。
こちらは尾鰭を見たら納得ですね。

 本日の釣りは他のお客さんとの兼ね合いにより午後1時で終了です。

 なだれ落ちる磯に立つ私に、迎えに来た渡船から「うわ〜、怖っ!」という驚きの声が漏れました。
 渡船業の他にダイビングも手掛ける吉田渡船。迎えの船に乗っていた方々は磯釣り師ではなくダイバーのグループだったのです。
 まあ私はこんな釣行記ばかり書くような変わり者ですから、むしろ釣り師同士よりも話が合って楽しい楽しい帰り道となりました♪

・第二部は川釣り
 この日はいつもの幡多郷で一泊の予定です。でも宿に入るのにはちょっと早いので周辺をウロウロ。
 柏島まで行って波をチェックし、古満目の港でバラ氷の調達とハタタテダイのチェック。(今回はいませんでした)
 さらには大月の道の駅でトコロテンと苺入りかき氷でクールダウン&先ほどのダイバーの皆さんと再会した後、宿毛市南端付近の福良川下流域に移動して本日二回目の釣り開始です。

 第二部は渓流竿を使った障害物狙い(穴釣り)でのカワアナゴ探索でしたが、釣果はチチブ時々マハゼ(最大10cmちょっと)、所によりクサフグというものでした。
 専門に狙ったら佃煮ができるほど
釣れそうだったチチブ(ゴリ)。

・二日目も安満地一択
 翌朝4時前に目覚めると手首の状態は見違えるように改善していました。
 右手でマキエを打ち込むようなことはまだ無理ですけど、手首を返して竿を迅速に捌くのも可能になってますし、右手一本での振り込みもできるようになっているのでマキエと仕掛けの同時打ちすら可能!これなら充分戦えます!よかったぁ、二日目の釣りを諦めなくて。

 さて、代休の月曜日。この日は海況も回復して南岸の磯でもやれるだろうと思っていたけど、残念ながら軒並み壊滅状態。宿の近くの釣具屋の見立てでは西岸の泊浦すら無理かもしれないということで、それでもベタ凪の安満地の磯でリベンジマッチということになっています。

・逆向きの潮
 今日も雨霧垂れ込める松島へ。いざリベンジマッチ!
 昨日よりも分厚い雲に覆われた山々。今にも降ってきそうな安満地の磯は私一人で貸し切りです。
 上がったのは昨日と同じ松島。荷物も置くべき場所も分かってますし、手首はかなり使えるし、30分しか寝ていなかった初日とは体の軽さが別物なので今日はスタートが早い早い。

 ここのエサトリの出勤時間は人間よりも遥かに早いので早朝の小細工は無し。とりあえず沖は温存しておいて左右に大きく振り分ける形で分離を狙います。
 すると開始直後に左のシモリ地帯で35cmほどのノトイスズミがヒットしたものの、後が全く続きません。

 潮は昨日とは反対の右流れ。そちら側にはロープがあって攻めにくいし、潮のせいか魚の動きも格段に悪い模様。それに仕掛けの馴染みも悪く、様子見の0号ウキにジンタン7号では話にならず、5号でもなかなか入っていかない感じです。それならばと3Bとかで深く釣っても餌が取られるだけだし、アタリを出そうとG2の棒ウキを投入してもコガネスズメダイのアタリしかとらえてくれません。
 しかも当てながら入ってくる潮なので遠投してもすぐに手前に寄ってきてしまいますし、そもそもエサトリの下に少し見えているグレがほとんど走ってくれないので昨日のような釣り方も通用しません。

 それでもよく見ながら釣っていると、潮の揺らぎなのか魚の気まぐれなのかグレが動く瞬間があって、10mほど沖で0号のウキが入って32cmの尾長グレがヒット。時間は遡るけど6時3分、奇跡の一枚だぁ。

・待望の転流!
 嫌な右流れの潮はやがて停止し、8時過ぎになって反転すると、エサトリの下にチラチラ見えていたグレやキツの動きが活性化してエサトリを突き上げてくるようになりました。
 チャンス!ウキを00に替えてエサトリのど真ん中を直撃!むむむ、さすがに直球勝負では無理か。生は通らないし、ボイルはオヤビッチャ以外のエサトリをスルーする代わりに今回のグレをもスルーしてしまうからなあ。
 それなら5m分のミニ遠近分離だ!タイミングを合わせて・・・ヒット!!

 8時48分、足元付近の丸見えの海を元気いっぱいに急旋回しながら上がってきたのは尾長グレ。なぜか釣れない35cm・・・には5mm足りない34,5cmですが、帰ってから刺身にすると「絶品」としか表現できなかったコンディション抜群の一枚でした。

・ファイティング・ドリー
 この日のエサトリ達は昨日ほどには黄色くありませんでした。

 主力は相変わらずコガネスズメダイですが、くすんだオリーブ色のフタスジリュウキュウスズメダイも同じくらい混じっています。ソラスズメダイで青く染まる磯際には赤いネンブツダイ類の一団も時折割り込んできています。そしてとりわけ目を引くのが水面直下を右へ左へ動きながらマキエを拾う20cmほどの魚たち。

 こんなのがウロウロと。
 写真で見るのとは全く違う目の覚めるような鮮やかなコバルトブルーと黄色、そして黒の三色で彩られたその魚はニザダイ科に属するナンヨウハギ。世間では「ドリー」として親しまれている魚です。
 磯の上から見ていても「ああ、綺麗だな・・・」と嘆息するその魚が最初は3匹、潮がスピードを上げるとともに4匹5匹と増えていって、最終的には10匹を超えるくらいまで数を増やしました。

 やはりこんなのが見えてしまうとどうにか掛けてやろう!明日のおかずはドリーの塩焼きだ!なんて野望が頭をもたげてきてしまい、グレそっちのけで狙ってしまいました。
 しかし、潮の流れを利用してどうにか口元までは近づけられるのですが、肝心なところでのんびり屋なのか、どうしてもスピードに勝るコガネスズメやフタスジリュウキュウスズメに発見されてしまって横取りされてばかりです。

 結局この勝負は水入り、中断となってしまいました。
 何度も繰り返し短い雨に降られながらも、濡れるがままに釣りを続けてきた私でしたが、雲を被った鵜来島と武者泊・沖の磯(おきのそう)の間に金色の柱が一本立ったこの時ばかりは竿を縮めて待機。追加の餌を作ったり、それをエサトリポイントに撒いたりしながら雷雲が通り過ぎるのを30分ほど待つことになりました。

 まあ今回、ナンヨウハギは釣れなくてよかったのかもしれません。
 実はこの魚、アイゴなどと同じく毒棘を持っているそうで、水槽内で刺されて手がパンパンに腫れ上がっている写真を帰宅後、ネットで見つけて戦慄しました。もし知識の無い状態でヒットして、何の疑いも無く掴んでいたらと思うとゾッとしてしまいますよ。

・ターン遅れ釣法
 中断前から気になっていたのですが、左側の大きなシモリの沖の方で大きな波紋が時々上がっていました。最初はまたサメか、それとも青物かと思っていましたがどうやらどちらとも違うらしい。
 しかもそれが掛けても取り込み困難な場所だけでなく、シモリの手前でも出はじめたとなっては狙わない手はありません。

 カップを大きくした杓で磯の右手に何発もマキエを打ち込んでおいて、00号にジンタン7号を打ったスルスル仕掛けを左側潮下のシモリ際に投入。速くなった潮を利用してひとつ前のマキエに合わせていく戦法で挑みます。
 調子に乗って流していくと根掛かりしてしまったのでオモリを外し、投入時のシモリとの距離や張り具合を試行錯誤していくと、9時前にシモリの上でラインが走りました。
 一気にシモリから引きはがし、磯際での攻防も難なく制してタモに収めたのは35cm!なぜか高くなっている壁をようやく・・・と思ったらこの魚は口太グレでした。どっちにしろ嬉しいのには変わりませんけどね。

・待ちかねていたものが!
 こういう釣りだからなかなか連発はしませんが、流す筋を変えたりタイミングを変えたりして攻めていきます。
 馴染み方が変わったなと思ってハリスにジンタン7号を再び追加すると一投で結果が出ました。シモリと平行に伸びた磯際の間でウキがスピードを上げて沈んでいったのです。

 アワセを入れると今日これまで掛けてきた魚とは段違いの力で反抗されました。これこそ昨日散々やられたあの力だ。
 ずっと待っていたんだ、この瞬間を!
 手首も体力もほぼ万全!昨日のようにはいかんぞ!!

 沖には走らせずシモリはクリア。次は釣り座と魚との間に延びる約15mの磯のエッジ。その中間地点で一度魚に張り付かれかけたけど、魚とは反対側の一段下の足場に駆け下りて沖からジワジワと力を加える形で引きはがしました。
 そして最後は足元での攻防。魚はしつこく抵抗を試みますが今日は後れを取ることなく、竿の操作を切り替えて魚の体力をジワリジワリと消耗させていきました。その最中に見えた魚の姿に心で快哉を叫びながらも、浮かれたり焦ったりすることもなく着実に浮かせてタモの中へ。

 2日がかりで取り込んだ1枚。
 大慌てしたのは磯に上げてからでした。ハリを外す時に坂道になった磯から落としかけましたからねえ。冷や汗をかきながら取り押さえて安全な場所に運び、メジャーの上に乗せると尾鰭は45cmの目盛の位置にあります。
 この時期には、いやこの時期じゃなくても嬉しいナイスサイズ!思わず「やったぜ!」と声を上がてしまいました。

・40オーバーが足元に!
 この口太を取り込んで写真を撮ったのが11時22分。今日は迎えを12時30分にお願いしているので残り時間はほんの僅かです。

 もう色々試す時間はありません。従来の前のマキエでシモリを狙う釣法で追加を狙っていきますが、ヒットしたのは毎度おなじみフエフキダイ科のイトフエフキとハコフグ科のウミスズメのみ。
 その代りにエサトリ用のマキエの方に反応する魚の中に一枚、40cmクラスのものが加わりました。水面近くまで喰い上がってくるそれは、間違えようもなくグレ!
 これを食わせて最高のフィナーレを!と、時計とサシエとグレを替わりばんこに見ながら戦い抜きましたが、食わせられずにタイムアップ。

 ああ暑くなるだろうと思って早い撤収にしておいたのが失敗だった。雨でかえって快適なんだから3時までとは言わなくてもせめてあと30分でも遅く言っておけば・・・。なんてボヤイても仕方がありません。またも降り出した小雨の中、二日掛かりで仕留めた殊勲のグレを収めたクーラーを持って迎えの船に飛び乗りました。

・帰り道で第二部スタート
 帰り道、宿毛を過ぎて中村に入ると雨は落ちてこなくなりました。これならば四万十川水系の小河川での釣りが可能だ!
 ということで、カワムツと一緒に流れ込みの下で流下昆虫を食っているというユゴイを追ってそんなシチュエーションの場所を探し出し、渓流竿と残しておいたオキアミの欠片でウキ釣りをしてみました。
 結果はカワムツは数釣れたもののユゴイの手掛かりは無し。まあ時期的にまだ早いと思うので、秋に再び探索してみるべきでしょうね。

 ということで今後に向けた宿題というか、楽しみを残す形で二日間の釣行を終えました。
 いやはや、やっと安満地でいいグレを出せましたよ。それもこんな時期に。こうなってくるとうねり以外の時にもここを目的地に釣行してみたくなりますね。

 ただうねりに強いだけではない安満地。でもこの時期の安満地には一つだけ問題がありました。それは渡船店や岸壁周辺の蚊の多さ。
 荷物の積み込みの時は言うに及ばず、車のガラスをほんの少し開けておくだけでも大量の蚊が車内にスタンバイ。それらは蚊のいない場所でドアを解放して追い出そうとしても出ていかず、暗くなるや潰しても潰してもしつこく波状攻撃をかけてきて、ようやく全滅に追い込んだ瀬戸大橋の北側までの間に私の体は滅茶苦茶にされてしまいました。

 今度安満地に行ったときは虫除けスプレーをたっぷりふった上で運転席に乗り込まなきゃ。

 ● 安満地 amaji
利用渡船 吉田渡船 出港地 高知県大月町・安満地
時間(当日) 5:15〜13:00
5:15〜12:30
(15:00まで可)
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 宿泊・仮眠所あり。
1泊2食6500円
(渡船利用で500円引)
システム 磯予約可
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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