風雲児  烈風伝
   ・産卵期×甲子園×低気圧 やはり厳しい食い渋りの春

2017年3月20〜21日 高知県柏島の沖磯、愛媛県御荘の波止
・入れ違いなので柏島へ
 私が兵庫県から高知県へ向かった日、バス70台からなる応援団が高知県から兵庫県に向かっていました。3月20日に甲子園球場で行われた中村高校野球部の試合、その応援席には卒業生である柏原渡船の船長の姿もあったそうです。ということは小才角には船長のいない渡船だけが浮かんでいるだけ。久しぶりに行ってみようと思っていたのに、まさか入れ違いになろうとは。

 結局私は渡船の出発を柏島の港で待っていました。
 周囲には3連休の最終日にしては少ない釣り師たち。ムロバエ廻りの大黒屋には底物師のグループが集っており、幸島廻りの井上渡船もまあまあの人出でしたが、赤バエ(グンカン)の良栄渡船は欠航です。私が乗船する黒潮渡船には上物師ばかり6人。3人組の泊まり客の方に「今日は少ないですね。」と話しかけると、「昨日は2番船を出した渡船屋もあったのに。」とのことでした。
 忙しくてほとんど情報収集もしてなかったけど、グレは産休のようで釣れていないそうです。というより、今年の四国南西部は軒並み酷い釣果だったそうです。しかし全く釣れないかというとそうでもなく、昨日もとりあえず顔は見られたとのこと。

 6:00頃、黒潮渡船は港を離れ、一番沖にある蒲葵島(びろうじま)に向かいました。
 この日の天気予報は曇りのち雨。東の風で夜には南東の風。その風は朝の時点でも結構強く、うねりも結構出ているのでどこでも気楽に上がれる感じではありませんでした。

 この日の布陣は低場に1人、高場の横(高場の奥)に1人、カジヤノキリに3人。そして私はカジヤノキリの2つ隣にあるコシカケという、高くて結構狭く、渡船の乗り降りが少々怖いけど、上がってしまえば平らで快適な1人用の磯に上がることになりました。

・蒲葵島 コシカケ
 風上のミタライ方向。風が無ければワンドが狙えたのに。
 今は風裏ですがそのうち風が回り込んでくることを想定して道具を配置し、スタート。
 まずは正面に少し張り出したハエ根の右側にウキ下2ヒロのG5の仕掛けを投入し、左にゆっくり流れる潮に乗せて隣の磯まで流し込んでみました。

 エサトリは黄色っぽいのが見えています。シラコダイ、ハコフグ、キタマクラという冬も元気なフレンズさんたち。少し前に流れた「ダーウィンが来た」で柏島のものが取り上げられていたハリセンボンもいるようです。ただ、どれも数が少なく、活性も低いのでそれほど問題はなさそうではあります。

 ファーストヒットは6時47分、40cmほどのサンノジでした。一瞬やった!と思ったんですけどね。すぐに竿を叩きはじめてガッカリ。

 サシエは落ちます。アタリも出ます。
 でもウキは一瞬沈むだけで、テンション調整をしても放されてしまいますし、反射的にアワセを入れても掛ってくることはありません。さらに風も舞い込んでくるようになって、時間とともに釣り難さがアップしていきました。

 何の魚もハリに掛からないまま約1時間半。その時、私が正面のハエ根の左側のワンドに投じていたG2のウキは吸い込みの潮に捉われて、多めの余浮力をものともせずに水中深くにありました。しかしここはうっすら底が見える程度の水深しかありませんから、あまり沈めても引っかかってしまう・・・。そう思って回収にかかると竿先に重みが!ありゃま、尾長グレがいつのまにか食い付いてたわ(汗)しかも8か月もご無沙汰で南九州の離島でも釣れなかった30cmじゃないですか。それにこの体の厚み、絶対旨いやつや♪

・もう産卵ですな
 ここでまた2時間ほど飛びます。
 その間にあったことといえば弁当が来たことと、左からの風がさらにパワーアップしてこの海域の本来の姿になってきたこと、潮が逆転して風と同じカジヤノキリ方向に流れ出したこと、そしてウキがBになったことくらいです。

 10時28分。それは潮上にマキエを固め打ちした数投後でした。右隣の磯の際でウキが入り、重厚感ある引きがロッドを曲げ込んだのは。暫しのやり取りで上がってきたのは34cmの口太グレ。ただ重いだけでなく、産卵寸前のわりには結構なファイトでした。

 それから一度サンノジらしき噛み切られバラシがあったものの、風と潮とのギャップが出たためか再びアタリが止まってしまったので、小さな2Bウキと大きなマイナス2Bウキの“オートマチック”仕掛けでやってみました。
 でもこの仕掛け、楽だけどやってて全然面白くないぞ・・・。ということで休憩がてら時間をかけて単体ウキに戻し、潮筋に投入するとウキ止めまで到達する前に沈んでいって33cmの口太がヒット。

 11時18分のこの一枚は嬉しかったけど、これが釣れたから後が続かなかったのかもしれません。
 結局ヒットは偶発だったのか、以降浅ダナでもダメ。深くしてもダメ。さらにコッパギツが一枚掛かってからは水温でも低下したのか、サシエも触られなくなってゲームセット。最後は小雨の中、頑張ったのになあ。

 14時半ごろにやって来た黒潮渡船に乗り込んだのは私とカジヤノキリに上がっていた3人だけでした。弁当船でカジヤノキリの裏に逃れてきた常連さんともう一方はすでに撤収済み。他の渡船も随分前に撤収したようで、港には2台の車だけが寂しげに取り残されていました。
 風と雨、波に追われての撤収だったとは思いますが、各渡船の船長が少し前にスタートして熱戦を展開中の中村高校の試合(結局負けてしまったけど)を見たいがために早上がりにしたのではないかという疑惑も・・・(笑)

 回収中のカジヤノキリ。こんな厳しい中よく竿が曲がり、
タモも出ていたこの磯はやはり別格!と思いきや、
グレは1人2枚ほどで、あとはサンノジばっかりだったそうです。
 港の入り口から振り返る蒲葵島と沖の島。
 明日はどうなる??

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 黒潮渡船 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 6:00〜14:30
料金 5500円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
泊まり優先
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・楽しいひととき
 「この年度末によく代休が取れましたね。」
 「年度末ギリギリになってようやく仕事が一息つきましたからね。」
 「えっ?粘土の祭りがあるなが?」

 その夜はまたまた宿毛のだいきちさんのご自宅でお世話になり、だいきちさんご夫婦と二人のお子さん 〜粘土遊びをしながら大相撲中継に「きせちゃ〜ん(稀勢の里)!はるちゃ〜ん(日馬富士)!おにいちゃ〜ん(鶴竜)!」と声援を送っていた妹と、眉毛と鼻筋の感じが確かに鶴竜そっくりなお兄ちゃん〜 と楽しく過ごさせていただきました。

・今度も渋〜いグレが手強い
 夜の間降り続いた雨はまだ上がっていませんでした。それでも職場の同僚一家に「美味しい刺身と切り身を届けるから待っとってな」と言ってしまった手前、この日もどこかで竿を出して魚をもう少し追加したいものです。

 幸いなことにここは四国南西部。北西風に強い渡船区と南風に強い渡船区の両方があるので、風向きに合わせて場所を選ぶことができます。
 ところが今回は絶妙なタイミングで低気圧が通過するため、南東のち北西という予報。これでは・・・。
(亀)

 まあ磯がダメなら波止という手があるさ。今回我が家はコッパのちょっと大きいやつがいればいいから、高知と比べて安全かつ、コッパの魚影が圧倒的に濃い宇和海の、なるべく南の方の波止でやってみるとするか。

 候補地は2か所。運転しながら散々迷いました。どちらを選ぼう・・・。ところが実際に行ってみると片方はすでに大風。これでは・・・。
(鶴)
 結局この日の戦場となったのは愛媛県愛南町御荘地区にある小さな波止でした。以前、渡船が撤収になった時に転進し、29cmのグレと53cmのチヌを釣った実績のある場所。(まあこの周辺の波止ではどこでも狙えるサイズなんでしょうけど)

 雨が弱まるのを待って移動し、スタートしたのは10時30分頃。
 すると10投したかどうかのところでゼロスルスルのウキが引き込まれ、この場所で使うにはあまりにも役不足な1.85号竿(出発前は尾長しか頭になかったからねえ・・・)が少しだけ曲がって20cmくらいのグレが上がってきました。
 即リリースですがとりあえず幸先良し!と思ったのは束の間。直後にササノハベラが釣れた以外はな〜んにも釣れません。

 一応サシエは触っているものの、今日もウキには一瞬動いたかな?という程度の反応しか出ませんので棒ウキに変更し、波止の内側、高い壁の陰から横風吹き荒れる沖へとサイドスローで投入。ありゃまウキが魔球のような動きで飛んでいくなあ・・・。

 そのウキがピョコッと沈んだのは11時半ごろだったかな。反射的にアワセると予想外に強い引き。おおっ、30cmくらいのグレが浮いてきたぞ!と喜びを弾けさせた次の瞬間、グレの唇からハリが外れてしまいました。
 あ〜あ、寒いし釣れんしさっさと帰ろうと思っていたのに、このバラシのおかげでズルズルと居続ける羽目になってしまいましたがな(笑)

 雨が完全に上がり、太陽が姿を現した正午過ぎ、再びウキがピョコッと沈んでグレがヒット!イカダを係留しているロープをまたぎ越されてしまうトラブルがありましたが、時間をかけて泳がせてどうにかクリア。27cmの口太を追加できました。
 さらに25cm有り無しの尾長グレ2つとショウサイフグ2つが掛ったところで餌切れ終了となりました。

 もともと厳しく難しい時期ではありますが、やはり今期は例年以上でしたね。随分長いこと釣行記を書く気になれないほどに。
 それでも何とか2軒分の刺身と切り身を確保できたので一安心です。

 さあ、これからまた繁忙期。それが終わって四国に来れるころまでには復調していればいいんですけどねえ。

 二日間の釣果。
 柏島の口太は珍しくオスとメス。まさに産卵直前でしたが、身は意外と旨かった!

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