風雲児  烈風伝
         ・平成30年初釣り 9日ぶりの灘

2018年1月6〜7日 高知県黒潮町灘
・初釣りも灘!
 平成29年の納竿釣行、「灘のコカイ」泣きの延長戦から9日、平成30年の初釣りもまた、他の釣り場に目もくれずに灘にやってきました。
 雨上がり。北西の強風。つまり灘ではほぼ無風の最高の釣り日和です。

 クロの大バエからの小敷谷バエ。
 帰宅後にアップした小敷谷バエと名称未定のシモリ磯(クロの
シモリ)周辺の航空写真。中央がクロのシモリで、小敷谷バエは
左上の白っぽく見える地寄りの独立磯。両磯の距離約40m。
 この日の灘漁港・白浜港に集まった釣り師は11名。その中には納竿釣行の時に談笑していた常連さんがいて、挨拶した瞬間にお互い「あっ」と声を出してしまって苦笑してました。
 その常連さんは2名で7時の一番船に乗ってイチノハエに向かい、私は5名で2番船に乗船。途中ハチビョウに2名、深バエに2名を降ろし、残った私は1人で3番船に乗って出発。マツエモンを過ぎ、クロバエを過ぎ、コカイを過ぎて、国道からはほとんど見えない隠し港?白浜港に入港。港が分からなくて迷っていた3人組の準備が整うのを待って再出発。3人組はクロの大バエ、私はその隣にある小敷谷バエに上がることになりました。

・3つの名を持つ磯
 「小敷谷バエ」は他に「コシキバエ」「クロの丸バエ」という名前を持っており、船頭にどれが正式なのかを聞くと「わからない。どれにするか決めてない。」というある意味ややこしい磯です。でも足場までややこしいなんてことはなく、平坦で、滑らず、灘の磯にしては高さもあり、3人での渡礁も可能な場所です。(まあ、やりやすいのは2人かな?)

 白浜港で手間取ったこともあって準備完了は8時ごろ。さあ、今年の第1投・・・なのですが、灘での釣りの最大の敵、正面からの太陽光線によって海中の様子はほとんど見えず、特に今回のような初めての磯ではどこをどう攻めればいいのか分かりません。
 でも大丈夫!こんな時の対策として「高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯」を大改訂して各磯の航空写真をアップしておいたのです!
 ところが実は全然大丈夫じゃなかった。というのも私が釣りをしている時、この小敷谷バエの航空写真はサイト上には存在していなかったんです。(元画像のグーグルアースも私のアンドロイド携帯では見られないし・・・)前回の作業の時に載せ忘れに気付いたけど、手抜きして先送りにしてたもので。それが初釣りでここに上がることになるなんて、なんという皮肉なのでしょうか。

 船長から沖の方は深いというアドバイスをもらっていたのでG5のウキに既定のオモリ、ウキ下2ヒロからスタート。前方にあるシモリ磯(船長がいつか上げてみたいと言っている磯で名称は未定。先代の頃に実績あり。ベタ凪の干潮前後の3〜4時間限定。とりあえずここでは「クロのシモリ」とでも呼んでおきます。)との水道は太陽光でウキが見えないので南方向を狙ってみます。

 開始10分ほど経った頃、少し沖に投げたウキが南東からの速い当て潮に乗って戻ってきたところで沈んでいき、今年のファーストフィッシュ、アカササノハベラが上がってきました。
 それからしばらくアカササノハベラが連発しました。潮が仕掛けを吸い込み過ぎるのが原因かも。そこでウキの下に取り付けていた潮受けウキゴムをフカセウキゴムに変更し、ウキも浮力の確保のためにG2に変更、オモリを2段打ちにして探っていきました。

・釣れて迷走
 9時前、それまでの南側から太陽が作る黄金の帯の左側・クロのシモリとの水道に狙いを変更し、沖目に投入。その一投目、追い打ちのマキエを打とうとバッカンに目を向けた瞬間、ラインがスプールからバリバリと強引に引き出されていきました。
 ヒットした魚はなかなかいい引きを見せましたが特に労することもなく磯際へ。おお!今年初のグレは文句なくキープサイズ。しかも尾長だ!
 今年初のグレは35cmのスリムな尾長。
 慎重にタモ入れした尾長はここ数年どうしても釣れなくて散々悩んだ35cm。背鰭の棘と軟条の間に幼魚の頃に齧られたような古傷があることが一因なのか、浮きグレのように体高が低くてひょろ長い体型ですけど尾長は尾長。それに身まで薄いわけでもなく、控えめの脂に際立つ甘み、もっちりとした身質がなかなかの一枚でした。

 しかしこの一枚が私を惑わせることになりました。
 
 投入直後の馴染みきらないうちに食ったということは、実は魚は浮いているのか?と推測した私は即座に仕掛けを変更して浅ダナに狙いを絞り込みました。
 結果は全くダメ。仕掛けを戻しても手遅れ。潮止まり直前の一瞬の時合にたまたま食っただけだったのか、どうやってもコッパ一枚すら食ってきませんでした。

 最近、一枚でもヒットしたら即座に仕掛けや攻め方を変えてしまう悪癖が目立つなあ。本人は釣れた一枚を起点に最善手を探しているつもりなんですけど、大概釣れない方法を探る「いらんこと」をしているのと同じことになっているのがここのところの不調の原因なんだろうなあ。

・小アタリに苦戦
 さっきは浅ダナにして失敗したけど磯際ではサンノジやチョウチョウウオなどがチラチラ見えていました。グレが混じっているのかどうかは分からないけど、とりあえずシモリに沿って食い上がってくるサンノジに照準を合わせてやっていればヒットなりヒントなりが得られるんじゃないか。
 でもプラス浮力のハリスウキを使った“トラディショナル2段ウキ”でも00のスルスルでも、アカササノハベラ以外のアタリはありません。

 仕方ないので投入点を少し沖に戻し、G5のウキにジンタン7号を一つ打った仕掛けでやってみるとオキアミが皮だけになって帰ってきました。ウキに出るのは一瞬のほんの小さな反応のみ。それはアタリが出ているのか、ウキが小さなうねりの中を潜り抜けているだけなのか判断しかねるようなもので、しかもそれを逃すとお終いです。
小敷谷バエ。背後はクロの大バエと国道とくろしお鉄道。
 佐賀港、興津岬方向。こちら側は釣りになりません。
 そこで少しでも反応があればバシバシとアワセを入れるようにすると、数回の空振りの後にハリが魚の唇を貫きました。
 底やシモリに走るわけではなく、その場で抵抗する茶色い魚、あっ、40cm手前のアイゴだ。そうか、これが餌を取っていたのか。
 しかしこの小アタリの正体を突き止めたことで小アタリ自体が無くなってしまいました。もしかしてあのアイゴ1匹しかいなかったのだろうか?

 その後、どうにもならい展開が続いたのでハリスを落とし、ハリも普段は滅多に使わない5号のノマセ系のものに変更しました。するとその一投目でウキがスパッと気持ちよく入っていき、竿が大きく曲がりました。
 やったぞ!そう思ったのも束の間、あっさりとハリスが飛んでしまいました。回収してみると噛み切られ。ああ、もう少し落とすのを待つべきだったのか、落としてなければ食ってなかったのか。

・やられたっ!
 速い当て潮はかなり前から左から右への分かりやすい横流れに変わっていました。それでもやはり吸い込みの力は強く、特に正午過ぎからは浮かして釣ろうと思っても上手くいかず、沈み過ぎに苦労する状態になっていました。
 そこで12時50分ごろに仕掛けを換え、G2のウキにジンタン4号1個という組み合わせにして、ウキ下1.5ヒロで20mほど沖、水道の中間地点にあるシモリを狙い撃ちしてみると一投目でウキが引き込まれていき、今年2枚目のグレ、32cmの口太が上がってきました。

 そして次の一投でもアタリ!すかさずアワセると重い!直前の一枚とは段違いの重量感に「よっしゃ、これは大台(40cm)超えた!」と心の中でガッツポーズ。ところがやり取りを進めるうちにポロッと軽くなってしまいました。やられた!ハリ外れだ!残念、今日の状況だと唇一枚に掛っていたのかもしれませんね。

 外れはしたけどパターンは掴んだ!と思いきや、その後はサンノジとアカササノハベラ、数年ぶりに釣ったオハグロベラが食っただけで14時20分に納竿、14時50分に撤収となりました。
 磯に上がってから納竿まで口を動かす時間ももったいなく感じて飲まず食わずでやっていたけど、本命のグレはキープが2枚、コッパ0枚という結果でした。

 この日も全体的に食いが渋く、クロの大バエの3人組は30cmくらいのが4枚、 深バエに上がった手練れの2名も1枚ずつ、ハチビョウはサシエも触らず、下長持ちに替わって何とか1枚だったそうです。伊田のセイダバエもゼロ。好調持続中のイチノハエで常連2人組が38cmまでのグレを15枚くらいというのが唯一の例外でした。
 メインポイントはやはりクロのシモリとの水道。中間地点にシモリがあります。

・二日目は3人でイチノハエ
 本日の宿は待王坂にある海坊主。宿に入る前に伊田漁港に寄って自販機のバラ氷を買い、明日の準備をしていると、セイダバエに渡っていた2人組が帰ってきました。その2人組は高知市と西宮市から来られた高校時代の同級生だそうで、今夜は同じ海坊主に宿泊し、明日はイチノハエを予約しているとのことでした。せっかく知り合ったのだからとその夜は宿で食事を共にし、翌日は掛川船長の勧めもあって3人一緒に渡礁することになりました。(ああ、またしても山バエに上がりそこねた・・・。)

 イチノハエ。メインは表ですが、裏の砂地で爆釣した
年もあります。今回は表側が穏やかで、裏側は大サラシ
で大変でした。
  イチノハエは先に書いたように年末から好調継続中で、昨日も釣れてますし、15年くらい前に流行っていた顔文字が満載の記事が印象的なテスターの方も少し前に大釣りをされているようです。

 そんな磯に私が上がったのだから結果は明白。何せ私は釣れていないという磯や情報の無い磯に上がった時はそこそこやれることがあっても、只今絶賛絶好調中という磯ではほとんど釣ったことが無い、いつも魚を消してしまっている「いよ(魚)まくり人間」ですからねえ。ということで今回の釣行記はここで終了しても別にいいのですが、とりあえず一番の読者(何年後かの私)のためにも書くだけ書いておくとしようかな。

・右と左で別の磯?
 7時の一番船で出港すると少しうねりがありました。今日の波は1.5mながら後半は灘では怖い東の風の予報が出ていますし、明日は南西の大時化が確定ですから、「怪しくなったら撤収するので、ただちに電話するように」と言われながらの渡礁でしたが、幸い無事に最後まで釣ることができました。

 今日こそは釣果をと意気込む西宮の方が中央の船着き、高知の方が北側のワンドに入られ、私は南側の竿下にシモリがあるポイントでスタートしました。
 とりあえずG5のウキをセットしてシモリの向こう側に投入して様子を見ていると、序盤はほとんどサシエが取られずに経過していきました。ところが小さな出っ張りを隔てた船着き〜ワンド側はサシエが頻繁に取られるそうで、ワンドでは早々に30cmちょっとのグレが釣れてましたし、船着きでは35cmくらいのを筆頭に連発しているではありませんか。聞いてみるとウキ下は2ヒロでの磯際狙い、アタリも大きくガツーンと来るそうです。

 それなのに私のポイントはアタリが渋く、昨日同様にウキが一瞬数センチ沈んで終わりです。ウキ下を微調整してもラインテンションを操作してもダメ。そのアタリらしきものを逃すと餌はありません。
 これではどうにもなりませんからG2の棒ウキを投入。細かいアタリを明確にしてバシバシとアワセる戦法でいくことにします。
 すると手のひらサイズのグレがいくつかヒットするようになり、27cmの口太も掛ってきたので今回は迷わずキープ。1時間後には一応29cmの口太もキープできました。

 それにしてもなんでこうも違うんでしょう。出っ張りの右と左では別の磯、別の季節かと思えるほどに魚の反応が違うようです。
 向こうにあってこっちに無いものは何か?それは適度なサラシか・・・。

 船着きは波と潮が当たり、足元に小さなサラシができています。ワンドはそこそこ大きなサラシが点在しています。一方水温低下を予測して選んだ私のポイントは実に穏やかな状態です。もう少し右に目を転じればサラシもあるにはあるのですが、一般的な払い出すサラシではなく、潮を吸い込んでは磯の裏側一帯を占拠している巨大な洗濯機のようなサラシに供給し続けている引き込みのサラシなのでおなじみのやつとは随分と様相が異なっています。一応挑戦してはみましたが、さすがに片手間に攻略できるものではありませんでした。
 なので横着をして狙いを替え、船着き側の磯際にウキを飛ばしてみると27cmの尾長グレが掛かってくれました。

 ワンド(左)と船着き(右)に陣取る二人組。
 私のメインポイント。竿下にシモリがあります。
 下の2枚が1日目、上の4枚は2日目の釣果。この時期ですから
刺身にしたもの以外は美味しい干物になりました。もちろん刺身の
残りの中骨も干して焼いてから白湯でふやかし、絶品の骨湯に
してやりましたよ。(骨酒なんてのもいいんでしょうが、
私、飲めないので。)
・近くも遠くも厳しくて
 昼前になるとちょっと状況が変わったようで、魚の姿がこちら側の足元でも見え始め、あまり大きくはないけどグレの姿も確認できました。それらはシモリの上やその少し先に屯しているので、“トラディショナル2段ウキ”を使って半ピロ〜1ヒロ半までの範囲をアタリウキの号数を替えながら探ってみたけどアカササノハベラ以外のものがヒットすることはなく、0号にジンタン7号を一つ打った仕掛けで26.5cmの尾長を1枚釣るのが精いっぱいでした。
 その間、20〜30m沖に波紋が出ることがあったので遠投も試してみたけど、直撃してもしなくても全く反応無しでした。

 こうなったら本格的に引き込みのサラシを攻めてみるしかないと思ってBのウキにジンタン2号を2段打ちした仕掛けで挑んでみたけど釣りになりませんでした。そこでウキを固定した上で2Bのガン玉を追加すると磯際でロッドがゴン!と持っていかれ、グレではなさそうな大きいのが掛かったけど5号のハリを伸ばされる無念のバラシ。

 すぐに仕掛けを作り直して再挑戦していたら高知の方が「裏側のサラシでやってみれば?砂地の向こうまで流れたらウキが沈んで、オジサンとかが釣れたよ」と声を掛けてくれたので釣り座を移して巨大洗濯機攻略にチャレンジしましたが、仮に掛けたとしても取り込みは厄介そうだし、何より甘いフレーバーのようなものを含んだタバコの煙の直撃で本格的に気持ちが悪くなって吐き気まで催してきたので早々に逃亡、引き込みのサラシの方に戻りました。

・いいところ無し
 ウキを0、オモリをG2に換えてやってみるとサラシの下の壁際でアカササノハベラと小型のサンノジ、コッパグレが1枚ずつ釣れました。しかししばらくやってもキープサイズは出なかったので朝のポイントに戻り磯際、シモリの向こう、中間距離と一通りやっても全く好転しておらず、やっぱり気になる沖の波紋を同時撃ち、あるいは仕掛け単独で放り投げてみてもサッパリでした。朝以来アタリの止まっていた船着きでは終盤に30cmちょっとのグレを追加できていたのになあ。

 ということで15時半の撤収までまたほぼ飲まず食わずの状態でやってしまったのに、40cmどころか30cmオーバーを一枚も仕留められないという予想通りの釣果に終わりました。
 納竿後の私は自分の釣果と力不足に対する悔しさに打ちひしがれていましたが、年に数度の釣行の西宮の方が昨日のリベンジを果たしたことに対する賞賛よりも、自分のことにばかり気持ちが行っていたことには最近の余裕の無さを実感してしまいます。

 この日いい釣りをしていたのはクロの大バエで、43cmを筆頭に7枚(ただし2〜3人での釣果)釣れており、フカバエでは30cm強が3枚でしたが、ハチビョウやウノハエでは小型のみだったということで、今シーズンは地寄りの磯の苦戦が続いています。
 もしそんな地寄りの磯に上がってたらどうなってたんだろう。意外とやれていたかな?今の私ですからそれは見事に撃沈したのでしょうか。
 まあそれは次回の釣行の際に検証してみましょう。仕事の都合で口太が産休になる頃まで行けない可能性があるため、次回は嫌でも釣れていない磯での釣りが堪能できるはずですから。

 ● 灘 nada
利用渡船 掛川渡船 出港地 高知県黒潮町・灘漁港
時間(当日) 7:30〜14:50
7:00〜15:30
料金 3500円(一部4000円)
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯の予約可
磯替わり 基本的に無し 特記事項 伊田エリアと同一業者
詳細 高知県黒潮町 井ノ岬周辺(灘・伊田)の磯
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

釣行記TOPへ