風雲児  烈風伝
     ・旨いチヌに会いたくて! 今年の初釣りは瀬戸内の磯
2020年 1月4日 岡山県牛窓
・納竿のショックを振り切るため、さっさと初釣りへ。
 皆様、明けましておめでとうございます。

 昨年末の灘での納竿釣行が厳しいものになってしまった私は、その結果を引きずったまま年明けを迎えていました。
 可能であればもう一度四国に行ってスッキリとした気持ちで一年をスタートさせたい。そう思ったところで資金もないし、しばらくの間は日程を組めそうな見込みもない。何より状況が劇的に変わっているとも思えない。
 しかし四国のグレ釣りが実現不能でも今年は別の選択肢が存在していました。今年は水温低下が遅れているせいか、普段ならすでに冬眠中、死の海になっているはずの瀬戸内、それもホームグラウンドになっている牛窓のまこと渡船でチヌがまだまだ活発に釣れており、時にはマダイも釣果ブログに顔を見せているのです。とはいえさすがにマダイを専門に狙うのは難しいようですから、ここは今が一年で最も美味しいチヌをメインにあわよくば・・・ということで、今年の初釣りは牛窓に決定!

 ただ釣行日は1月4日の土曜日です。釣行すれば家族がやかましそうな三が日も終わり、正月休みが終わるまでにはあと1日。天気も昼からの西風、南西の風は気になるものの晴れの予報という、初釣りにはこれ以上ない一日とぶつかってしまいました。
 当然のことながらまこと渡船も大賑わい。一番船は大会で、8時出船予定の2番船にもかなりの数のお客さんが乗り込むようで。その中にはいつものM社長もおられましたし、フカセ釣りのみならずルアーマンの姿もありました。

 大会組を降ろした渡船が戻ってきたのは7時40分ごろ。すぐに荷物を積み込んで船尾の方に向かうと、乗客の一人が空に向かってカメラを構えていました。何があるのかと見上げた空には無数の鳥の群れ。空を覆いつくすほどのウの大群です。これにはみんな唖然呆然。そら恐ろしい光景でした。
ウの群れのほんの一部。空一面この状態でした。

・黄島南岸、ラクダへ
 左側の独立磯がラクダ、その隣が白石。
 8時前に再度出港したまこと渡船は、本土と前島を隔てる唐琴の瀬戸を進んで、テトラと上筏に計3人を降ろすと、昼からの風対策で上がれる磯が限られる中、渡船やフェリーで渡ってきた多くの釣り師を避けながら前島の北東の結構マニアックな場所や青島に降ろしていき、黄島の港へ着岸。さらに同じ黄島の助五郎、大角と回ってその西側の湾内へ。ここで私に声が掛かり、船長とM社長から攻略のヒントをもらった上でラクダという花崗岩の丸い磯に渡礁しました。

 しばらく使っていない磯だったということでマキエをしっかり入れておいてから道具を準備。最近はチヌが小さくて35cmもあれば大きい方ということですが、そもそもチヌ竿を持っていないので竿は1.35号相当のX4を使用。牛窓では久々の登板だ・・・。でもやはり偶発的なマダイを逃したくはないので道糸は2号、ハリスも1.7号までしか落とせませんでした。ウキ下は2ヒロ強、竿1本も取れば引っかかるということでしたので0号の円錐ウキを通し、ウキ止めをセット。ただし光と磯の形状の加減でウキがどこにあるのかさえ分からなかったので2投で諦め、その後はずっとG2の棒ウキでやってました。

 第1投は9時前だったでしょうか。潮がゆっくり右に流れている間は棒ウキのトップを一瞬沈めるだけのアタリが数回出ただけでしたが、潮がほぼ止まった10時半過ぎにはウキがはっきりと沈む待望のアタリ。令和2年初の獲物は30cmオーバーの旨そうなサヨリでした。時折水面でパチャッともじっていたのはサヨリだったのか。これはもちろんキープ、糸造りと皮の炙り串と骨せんべい確定だな!
 しばらく釣っているとまた同サイズのサヨリがヒット。ここで私の心は大きく揺らぎました。ウキ下を思い切り浅くしようか、せめてハリだけでも小さいものに変えてみようかと。しかし今日釣りたいのはチヌ。浮気心をグッとこらえてウキ下2ヒロ+腕一本、チヌバリ3号で続行しましょう。

 11時過ぎになると潮は左隣の白石に向かってゆっくりと流れ始めました。ラクダと白石の間は岩盤のようなものがあるので、ウキがその切れ目に添って流れるように投入点を調整してみました。すると流れていったウキがチョコンと沈み、一旦浮き上がってまた少し沈みました。またサヨリかな?そう思ってアワセを入れると重い!やった!
 ゴンゴンと重々しく首を振る引きは明らかにチヌ。しかし予想外に重い。浮かない。引き自体は強くないので焦らずにじわじわと体力を奪って根を躱し、ようやく姿を現したのはえらく黒い魚でした。えっ?チヌやわな?と一瞬疑ってしまったその魚は、予想外に黒くて大きい俗に居付きと言われているチヌ。サイズは46cmと申し分ないどころか大殊勲です。でもかなり痩せていて、体表にはカイアシ類なのか小さな寄生虫が蠢いていました。寄生虫といっても人間には無害ですし、せっかくのサイズですし、2枚目が出る保証は無いですからとりあえずキープだキープ!ストリンガーで泳がすのもちょっと怖いし、クーラーへ。(期待はしてなかったけど捌いてショック。身が産卵後のように白焼けしてしまってました。)

 その後、近距離ではサシエが残らないことが多くなってきたので沖狙いに戻してみると、11時46分にチョコンとウキが沈んでグレが釣れてきました。サイズは24cmとこのエリアではそこそこいい型・・・だと思われます。コンディションもよくて旨そうなので迷い、とりあえずストリンガーで生かしておいたけど結局最後にリリースしました。

 正午ごろにも同じようなアタリがあったのでアワセを入れるとまた重い!やった、再び良型のチヌだ!と喜んだのも束の間、矯めている最中にロッドが跳ね上がってしまいました。あ〜、無念のハリ外れ。

 その40分後、エサの取られ方が気になってウキ下を40cmほど短くして流したウキが根掛かりしたように沈んでいきました。今度はしっかりと待ってからアワセを入れると今度はバッチリフッキング。重みは先程のチヌほどではありませんが、首を振りつつ右に左に元気よく暴れ回り、やがて浮かび上がってきたのは銀色に輝くコンディション抜群の冬チヌ34cm。これ、絶対旨いやつや!

 1時ごろまでラクダを強風から守ってくれた中崎の磯。
 ラクダ。隣の白石まで浅い岩盤が続いているようです。



 小さい方とクーラーの中のサヨリ2本は
刺身で堪能。やはり冬のチヌは旨い!
 大きい方も身は酷いもののソテーに、
すれば結構いけましたよ。
 ラクダがある湾の外は昼前からかなり風が吹いているようで、通りかかる船が激しく飛沫を上げていくようになっていました。1時ごろになるとその風が湾内にも吹きはじめ、少しスピードを上げていた潮と一緒になってウキを白石の近くまで押し流すようになっていました。おかげで藻掛かりや根掛かりが発生することもありましたが、いい感じに流れた時にはミニグレが食ったり、ガシラが食ったりしました。ただアタリなのか底を掻いているのか分かりづらく、しばらく待ってから聞くようにアワセていました。
 白石の近くでまたウキが消えたので待ってからアワセると、竿が大きく曲がりこみました。この首振り、この重量感、間違いなく良型のチヌ!そう確信して浮かせにかかるとその途中で重さが消えてしまいました。えっ?またハリ外れ?いや、1.7号のハリスが切られた・・・。チヌが食う前にフグに噛まれてしまったか、ややこしい場所で待ち過ぎてしまったか・・・。

 がっかりしている暇はありません。すぐにハリスを結び直して再度投入!
 しかしこの頃から風向きが南西に変わり、釣り座にも本格的な風が吹き始めて非常に釣りにくくなってしまいました。とはいえ四国のような風が吹くわけではありませんから動じずに釣り続けました。しかしながらミニグレ1枚とでっかいクサフグを掛かっただけで、そのクサフグに空中でハリスを噛み切られたのをきっかけに納竿して船を待ち、15時20分ごろに磯を離れました。

 この日はみなさん苦戦したといいながら、手練れぞろいですからみなさんしっかりと釣っておられました。それでも牛窓での46cmを超えられるようなことはないだろう・・・と思っていたら、しっかりと上を行っている方がおられました。
 黄島の波止に上がっていたカップルの活かしバッカンの蓋が開いた時、「おおっ!」という嘆息が漏れ出してしまいましたよ。そこに横たわっていたのは64cmの見事なマダイ。そしてそれを取り巻く6枚のチヌはいずれも良型で、最長寸は47cm!ムラの激しい黄島の波止が実力をここまで開放していたとは!それを逃さなかった二人の技術も恐るべし!

 ということで今年の釣りは珍しく瀬戸内の磯でスタートしましたが、期待以上の結果が出たし、旨い刺身も食べられたし、いつものように船長やお客さんと楽しく語り合うこともできました。この釣りを足掛かりに、チャンスがあるならグレの方も復活を目指せればいいなあ。

 それではみなさん、今年もよろしくお願いします。

 ● 牛 窓 ushimado
利用渡船 まこと渡船 出港地 岡山県瀬戸内市・牛窓港
時間(当日) 8:00(2番船)〜15:20
料金 牛 窓:3000円
小豆島:4000円
日生諸島:4000円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 基本的に無し
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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