風雲児  烈風伝
・地元で秋チヌ 夜明け前の唐荷島ウォーキングと秋磯肩慣らし釣行
2020年 11月17日 兵庫県唐荷島(室津沖)
・秋磯は地元で肩慣らし
 ケンモンミドリキリガ。展翅で毎回ボロボロにしてしまう
私にとっての「鬼門のキリガ」。(この個体の反対側は
採集時点でボロボロでしたが)
 この9月から突然始まったマイブーム「蛾」の世界も、「日本一美しいとされる蛾の捕獲」という最大の目標を10月の高知リベンジマッチで達成し、晩秋限定のミノウスバや今年流行りの緑+黒の衣装をまとった鬼滅のキリガ(ケンモンミドリキリガ)といった蛾もキープできて一応ひと段落。いよいよ本格的にグレ釣りの世界に復帰するつもりだったのですが、やはり11月は色々と用事があって四国釣行の日程が取れず、地元瀬戸内の磯のチヌ釣りで勘を取り戻すことにしました。
 その舞台に選んだのは、古代から明治に至るまで大繁栄していた港町室津のすぐ沖に浮かぶ景勝地・唐荷島(からにじま)。初挑戦だった4月7日と同じく、たつの市岩見の「のりくら渡船」で挑みます。

 ここの渡船は港から離れた店舗で料金を支払った後、岩見港まで各自の車で移動して渡船に乗り込むというシステムなのですが、この日指定された店舗への到着時刻はなんと午前3時半。火曜日にもかかわらず駐車場は車だらけでした。それもそのはず家島諸島は60〜80cmのハマチやブリが釣れ盛っており、ルアーやノマセ釣りの客が遠方からも殺到しているようなのです。この播磨灘の青物は今や秋の風物詩と化しており、家島諸島どころか3年ほど前からは沿岸にも回ってくるようになって、奥まった相生湾にすら進入。3年前には99cmが釣れています。それ以前は相生湾なんて40cmを越える硬骨魚類は長物を除けばハネ(スズキ)、チヌ、ボラ、メナダしかいなかったのになあ・・・。
 この青物が唐荷島の磯に回ってきても不思議ではないので太い磯竿も持って行くけど、私のターゲットはあくまでもチヌです。この海域の磯は網やカゴのロープとブイで完全包囲されているので、大きな青物なんて掛けても獲れるとは思えないし。

 ともかく、支払いを済ませて岩見港に移動し、定員50人の巨大渡船で3時45分頃に出港。そろそろシーズンイン(ただし私のお薦めは年が明けてから)となる牡蠣の養殖筏をサーチライトで確認しながら新月の暗闇を進み、10分ちょっとで沖ノ唐荷島の東側の地磯に着岸。私だけを降ろした渡船は家島諸島を目指して去っていきました。

・ヘッドライトで島めぐり
 現在午前4時。6時38分の日の出までまだ2時間半以上あります。
 ここが九州の離島であれば大急ぎで竿を出して1分も無駄にせず釣るはずですがここは瀬戸内、唐荷島。狙いはチヌなのだから夜釣りでも釣れるとは思うけど今回はパス。というのも気象庁の飾磨港の潮位予測ではこのあと4時47分に干潮を迎え、その潮位は3cmとなっています。これは今年度はコロナウィルスで中止になったけど、来年度こそできると信じて日程を押さえている、この島での親子対象イベントの実施日とほぼ同じ潮位。その下見をするためにこの日この磯を選んだのだから早速ヘッドライトを点灯して磯を伝い、干上がったゴロタを越えて島の北端までやってきました。

 ヘッドライトに照らされた沖ノ唐荷と中ノ唐荷を隔てていた約160mの海峡は50m以上の幅で干上がり、所々に小さな潮だまりが残るだけの完全な陸地と化していました。私はその、取り残された小さなウニ類やイトマキヒトデがそこかしこに転がる転石だらけの歩きにくい道を通って中ノ唐荷島に歩いて上陸。さらに島を一周してから沖ノ唐荷の船着きに戻ってきましたが、辺りは当然まだ暗闇です。
 それからしばらく煌びやかな冬の星座や流星、煌々と輝く姫路〜加古川の夜景などを見たり、マキエやサシエの準備をしたりしながら時間を潰し、再び中ノ唐荷に渡ってぐるぐる回って時間を潰しました。三周目を終えた6時過ぎには周囲もかなり明るくなってきてカメラも相当頑張れば使えるようになり、画像処理して心の眼で見られるレベルの報告写真も撮れたし、何より海峡の中央部に潮が入り込み始めたので船着きに戻って仕掛けを準備。そして渡礁から2時間以上を経た6時15分ごろ、ようやくフカセ釣りを開始できました。
 潮は迎えが来る少し前の13時4分まで上がる一方。満潮時には潮位161cmになるはずです。
 中ノ唐荷島と姫路と金星。(AM5:44)  中ノ唐荷島の北側。(AM5:55)  中ノ唐荷島からの沖ノ唐荷島。(AM5:55、画像補正)

・サシエ、一たび投げてまた還らず
 円錐ウキはどうせ見えないので最初からG2の棒ウキをセットして、とりあえずウキ下2ヒロで投入してみると1投目から根掛かりでハリスが全損という幸先悪いスタート。
 浅さを実感しながらハリスを結び直してウキ下を調整し、2投目、3投目・・・。サシエのオキアミボイルは全く残りません。コーンを使っても一瞬で消えてしまいます。日の出を過ぎ、7時を過ぎても帰ってくるサシエもハリに掛かってくるエサトリも一度として見ることはありませんでした。

 これはどうにもなりません。サシエローテーションだのマキエのタイミング変更だの、いくら小手先の策を講じてもどうにもなりません。そこで棒ウキをより飛距離の出るT−Gの4Bに変更して、沖のほとんどマキエの入っていないエリアに放り込んでみましたが、一瞬バッカンの方に目を移したらウキを見失ってしまいました。まあどうせ餌はないだろうし、少し待って回収にかかると重量感!あっ、食うとるやん!しかもこの首を振る重たい引きはどう考えてもチヌ。7時12分、シモリを警戒しながら引きを楽しんで、タモに収めたのは37.5cmのチヌでした。
 チヌ、釣れてました。

 そのチヌをストリンガーで泳がせておいて追加を狙っていきますが、エサトリがハリに掛かりだしたくらいで後が続いてくれませんでした。それでも1時間ほど経った頃、ウキがスッと入って浮いてこなくなったのでアワセを入れるとヒット!・・・いや、根掛かり??
 どうも変なので少しラインを緩めてみると、穂先がグイーッ、グイーッと持って行かれます。でも張るとピクリとも動かない。どうもアタリと同時に仕掛けの上の方がシモリか何かに食い込んでしまったのか・・・。しばらく緩めたり張ったり、磯の左右に大きく移動して引いてみたりしましたが、結局どうにもならずに糸を切るしかありませんでした。

 その後はウキ下やサシエや投入位置を頻繁に変えながらやってみますが、オキアミボイルでは潮がいい時に23cmまでの口太グレ、そうではない時にはコモンフグとクサフグ、コーンではキュウセン、食用冷凍ボイルむきエビでは15cmまでのマダイ(チャリコ)とコモンフグ、クサフグ、食い渋りイエローではチャリコが釣れるかハリごと食い逃げされるかという状況。あとは途中から水面を覆い尽くすようになったサヨリが回収時にスレ掛かりするくらいで、そのサヨリを狙った青物の乱入もありませんでした。
 何分浅いのでウキ下変更やポイント変更による根掛かりも多く、最初にチヌを釣った4Bの棒ウキなんてウキ止めの上で切れてしまったもので、釣り座の正面を漂い続けて釣りの障害になってしまっていました。何度も仕掛けをからめとられてイライラ、それを利用して回収を図るも動かずにムカムカ。結局5〜6回目の仕掛けがらみでようやく回収でき、これで今日の釣りを終えてもいいやとさえ思ったけど、実際のところこの日の釣りはここで終了していたも同然。チヌの追加どころかコッパグレも居なくなり、サヨリの下のフグが釣れるだけの時間が続きました。
 納竿は13時。片付けと島の探索や植物の観察などをしてから、13時40分にやってきた迎えの船に乗り込んで、帰港後は店舗に寄る気力もなく帰宅しました。
 沖の唐荷島の東。船着きと釣り座。  のりくら渡船と沖ノ唐荷島。行きは50人乗りの巨大渡船、
帰りは道具でぎゅうぎゅう詰めの25人乗り渡船。

 まあ、釣果はともかく肩慣らしが目的でしたから今回の不満はグレで晴らす!と息巻くべきところですが、年末年始なんて怖くて動く気にもなりませんし、その前にチャンスがあればといってもコロナウイルス絶賛蔓延中のこの状況ではどうなることやら・・・。

 もしかしたらこの冬もグレはパスして、近場の外灯や林でフユシャク類やキリガ類などの蛾を探し回り、ネットや図鑑と見比べて悩みまくることになるのかもしれないなあ。それもまためちゃくちゃ楽しいんですけどね。
AM6:13 AM7:06 PM1:13

 ● 唐 荷 島 karanijima
利用渡船 のりくら渡船 出港地 兵庫県たつの市・岩見港
時間(当日) 3:45〜13:40
料金 唐荷島:3500円
家島諸島:4500円
小豆島:5500円
※夕刻までの場合は各+500円
※唐荷島は平日のみ渡礁可
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 無し
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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