風雲児  烈風伝 外伝!
        ・兵庫県(主に西播磨)の蛾の世界(その2)
2021年 6月〜8月
 春過ぎて夏来にけらし白妙のページのままに釣行計画。
 治まることのない新型コロナウイルス蔓延の中、かつての行動範囲が嘘のように相変わらずの兵庫県西播磨地域での引きこもり生活を続けています。そして相変わらず人の来ないような所で闇に紛れて蛾の調査に邁進しています。
 ここは釣りのサイトのはずですけどもう長いこと釣りに行っていませんから、今回も近況報告として調査の中で出会った魅力的な蛾や昆虫たちのごく一部を紹介しようと思います。

 以前の報告同様、私は基本通り夜間の外灯巡りとライトトラップで調査をしていて、7月半ばまでは間違いなく前者がメインでした。ところが子どもたちが夏休みに突入した頃には例年通り光に集まる昆虫の数も種類も激減しており、羽アリの飛ぶ日などを除くと冬から春にかけての喧騒が嘘だったかのように静まり返っていることが多くなってしまいました。それでも時折「おっ!」と声を上げるような種が来ている日があるので見に行かないわけにはいかなかったのですが、変異株による感染の急激な拡大の中でもノーマスク大宴会やカラオケといった、飲み屋でできないことが何でもできるキャンプ場の外灯などには近づこうとすら思えなくなり、人の来ない外灯にたまに行ってみるくらいになってしまいました。それに今年の8月は2度目の梅雨の真っ盛りでほとんどの日が雨でしたしね。
 そんな外灯巡りでしたが、6月にはこんな蛾たちに出会うことができました。
 その大きさと美しさで出会った人の心をたちまち
掴んでしまうシンジュサン(ヤママユガ科)。
昆虫館スタッフの子どもたちがいる時に飛んで来
たら奪い合いが発生します。漢字で「神樹蚕」と
書きます。神樹というのはニワウルシのことです
が、幼虫はそれに限らず色々な植物を食べます。
(2021.6.14相生市)
 前翅の淡い色使いが清楚なツクシアオ
リンガ(コブガ科)。オスは淡い黄色と
白の後翅を持っていてさらに美しいです。
照葉樹林の蛾でより南では珍しくない
ようですが、この辺では限られた場所で
しか出会えていません。数は居るのです
が、他では全然見かけません。
(2021.6.15相生市)
 蛾の中でもトップクラスの人気グループ
「カトカラ」のメンバー、ワモンキシタバ
(ヤガ科)。鮮やかな後翅だけでなく、前翅の
模様や色合いも魅力的。
(2021.6.14相生市)

 一方、色々な場所でやっているライトトラップの方は凄いことになっています。
 
 まだ明るさが残るうちに熟慮の末に選定したポイントに入り、地面にシートを敷き、格安の華奢な三脚2台を立てて風対策の小石入りペットボトルをぶら下げ、PEラインで雲台にくくり付けたカラビナに1枚220円のカーテンを加工した白幕を引っ掛け、オモリ代わりの洗濯ばさみを幕の裾にぶら下げたら、今峰製HIDサーチライトを組み立ててポータブル電源とつなげて準備完了!あとは闇の到来を今か今かと待つのみ。賑やかだったセミの声が一つまた一つと消えていき、最後の一声が森の中に溶けていく瞬間は何度体験しようともゾクゾクと鳥肌が立つのを禁じえません。
 そして点灯。蛾は夕方に活動するごく少数以外はまだ来ません(この時間帯にしか来ないのもいるので油断大敵)。点灯と同時にやってくるのは多くの場合小さな小さなウンカの群れ。そして一呼吸置いてから小さな虫たちの大群が押し寄せてきます。それは場所や時期によって様々で、何が来るかはまだやってみないと分かりませんが、ある日は無数の小さなカゲロウが飛び交い、またある日は羽アリの大群が白幕と周囲を真っ黒に染めて独特の臭いが充満します。コガネムシの仲間が暴れ回る日やヒゲナガカワトビケラが走り回る日も多く、幼虫の時には川底の石に張り付いているヒラタドロムシ類の成虫が白幕とその下のシート上にうず高く積みあがった日もありました。これからはカメムシにも苦しめられることでしょう。
 しかしポツリポツリとやってくる蛾に、いや、白幕そのものに近づくことさえ困難な辛い時間は大抵そう長くは続きません。そういった虫の飛来がひと段落し、人間の方も体を這いまわられることにすっかり慣れてしまう頃、いよいよ蛾たちが本格的に動きはじめるのです。

 バッテリー残量を見ながら23時ごろまでやって見られた蛾は多い時は140種ほど。今日は少ないなと思う時でも70種ほど。しかしこれは名前の分かった蛾の数に過ぎず、資料も無く初心者の手に負えるはずもないのでスルーしている小型蛾やボロボロで判別できない蛾、お蔵入りにするしかない蛾がこれに加わりますし、撮影・捕獲の失敗もあります。もちろん見落としている蛾も相当数に上ると思われます。さらに蛾以外の昆虫も大量に来ますから帰宅後から翌日の同定作業が本当に大変で悩みに悩んで苦しんでいます。ライトトラップ後には同定に悩んでいる夢をかなりの確率で見てしまうほどです。

 ライトトラップというのは本気でやると本当に辛いものです。前回も書きましたが「ちょっと虫が好き」くらいの人がやってしまうとトラウマにすらなりえるでしょう。でもハマってしまうと本当に楽しくて、月齢と天気の条件が悪くない日はうずうずして仕方なく、それが休みの前日であったなら一人、夜に駆け出して行ってしまいます。

 こんな蛾たちに出会えるかもしれないから。
 シロオビドクガ(ドクガ科)。メスは画像のとおり大きくて
派手派手ですが、オスの翅は黒っぽく、前翅に白い帯が一本
だけ入っているという別種のような装いです。ドクガ科です
が無毒です。ドクガ科の蛾で毒を持つのは少数派。蛾全体
でも幼虫が毒針毛を持つ蛾というのはごく一部で、成虫が
毒針毛を持つものなんて日本では上記の少数派くらいしか
思いつきません。(2021.6.7上郡町)
 ナチキシタドクガ(ドクガ科)のメス。
こちらも無毒かつ、雌雄で大きく色が
異なるドクガです。兵庫県版レッドデータ
ブック(2012年)では「二次林の蛾だが
個体数が少ない。近年確認されていない。」
とのこと。(2021.8.7上郡町)
 前述のワモンキシタバと同じ「カトカラ」
の一員であるカバフキシタバ(ヤガ科)。
前翅の黄色&白の紋と鮮やかなオレンジが
非常に美しいです。全国的に局所的な分布を
しているそうです。
(2021.6.14たつの市)
 ミツモンキンウワバ(ヤガ科)。角度によって
鈍い金色に輝きます。この蛾が属するキンウワバ亜科
には小アジやイサギやどこかの市長が反射的にかじり
付きそうなほどの金色をしたキクキンウワバという種
がいます。平地から山地までいる普通種だそうですが、
西播磨には鹿が多すぎて山に草が無いせいなのか、
私はまだ1頭も見たことがありません。
(2021.8.30上郡町)
 室町時代の大大名の赤松家や赤穂義士の大石
家などが家紋とした巴のような紋をもつハグルマ
トモエ(ヤガ科)。サイズも大きく見ごたえの
ある蛾です。この写真では見えませんが、裏側や
腹部の後端付近は朱色になっており、展翅すると
さらに見ごたえアップです。
(2021.7.31上郡町)
 オオトビエダシャク(シャクガ科)。名前に何の
ひねりも無い大型の鳶色のシャクガです。シャクガ
ですので幼虫は尺取虫です。一見地味に見えますが、
そこそこ大きくて迫力がありますし、何といっても
味わい深い蛾です。この手の蛾の魅力に気付いて
しまう頃にはもうこの世界からは抜け出せなく
なっているはず。(2021.8.30上郡町)

 バラエティー豊かなシャチホコガの仲間にもよく出会えます。この時期限定の種だけでなく、春に見られた種の2化目(今年2サイクル目)のものも加わってくるので同定がなかなか大変です。地味な種も多いですし。
 ギンモンスズメモドキ(シャチホコガ科)。
反射材のような銀紋を持つ蛾は色々いますが、
絶対王者はこの種でしょう。オスは銀紋の
他に赤い毛束を隠し持っています。
かなり遅い時間に活動するらしく、出会うの
はいつも撤収寸前でした。発生期間もかなり
短いようでした。(2021.7.31上郡町)
 ヒャッハー!灯りだ!紫外線だ!とHIDライト
に引き寄せられてしまったモヒカンみたいな毛
が特徴の2種、セダカシャチホコ(右)とアオ
セダカシャチホコ(左)。この毛を標本で残す
方法はないものか・・・(2021.6.19宍粟市)
 ムクツマキシャチホコ(シャチホコガ科)は止まって少し
経つとこんな風に翅を丸めて折れた枯れ枝に化けてしまい
ます。よく似たのが4種いますが、この辺りでは圧倒的に
本種が多く、最普通種とされるツマキシャチホコにはなか
なか出会えませんでした。(2021.7.26たつの市)

 ヤママユガ科、スズメガ科、シャチホコガ科などの大きな蛾が飛んでくるとどうしてもそちらに目が行きがちになりますが、小さいものにも美しいものや面白いものがゴロゴロいます。ピンボケしがちですけどね。
 キンボシシマメイガ(メイガ科)。二つの
紋は正真正銘の金色というわけではありません
が、そう見えてしまうのは取り合わせの妙です
ね。幼虫が何を食べるのかは不明だそうです。
蛾ではよくあることです。
(2021.6.19宍粟市)
 ヤガ科エグリバ亜科のマダラエグリバ。
枯れ葉のような前翅を持つエグリバ亜科には
アケビコノハのような大型美麗種もいますが
この種はかなり小型。でもこの金色がかった
姿はよく見るとゴージャス!
(2021.6.19宍粟市)
 アカガネマルハキバガ(マルハキバガ科)。
前翅の長さ6mmほどの小ささですが、
脚の飾りも触角も下唇鬚(かしんしゅ)も
非常におしゃれ!何となくカクレクマノミ
を思わせる蛾です。(2021.8.7上郡町)

 非常に知名度が低いと思われるコブガ科に属する小さな蛾・リンガ亜科の面々にも非常に魅力的な種がいます。
 鮮やかな緑の前翅と赤褐色の後翅という補色の
取り合わせに驚かされるミドリリンガ(コブガ
科)。新鮮な個体に出会えると感動です。厚ぼっ
たいような鱗粉にも驚かされました。標本は他の
緑色の蛾同様にに色あせてしまうのだろうか?
ちなみに飛行スピードはかなり速くてビックリ
です。(2021.8.30上郡町)
 パステル調の網目模様が白に映える
アミメリンガ(コブガ科)。ただし網
目模様は色の変化が激しいそうで、
中には完全に消えてしまうものも
いるそうな。(2021.7.26たつの市)
 小さく可憐なギンボシリンガ
(コブガ科)。幼虫はツツジ類
を食べるのでよくいるはずですが、
小さいので見落とされがち。
(2021.7.31上郡町)
 こちらは不思議な縞模様を
持つサラサリンガ(コブガ科)。
昔、夕方に家の軒下でチッチッ
チッというような結構大きな音
がするので、窓から身を乗り出す
と蛾が音を出しながら群れ飛んで
いて、網を持ってきて捕まえ
たらこの種の♂でした。およそ
10年ぶりの再会は自販機の前。
(2021.6.24相生市)

 帰宅後、何げなく撮影した種が実は兵庫県内では非常に記録の少ない種だったことを知ってビックリしたことが何度となくありました。この蛾類調査で得られたデータは兵庫県版レッドリストの改訂に使ってもらうために提供しているので興奮は数倍。何で採って来んかったんやという後悔も数倍です。
 ヤクシマドクガ(ドクガ科)の♂。無毒の
地味なドクガですが、♂は後翅にオレンジの
帯が入ります。兵庫県版レッドデータブック
(2012年)では「暖地性の蛾で個体数が少ない。
近年の確認例は1例のみ。」とありますが、
10年経ってどうなっていますやら。ネット上
の情報は多いですし、私も6月にたつの市と
上郡町で合計10頭ほど、9月3日にも相生
市で1頭確認できています。2022年度の
改訂ではリストから外れるのでは?
(2021.6.14たつの市)
 このボロボロでしかもフレームに収まりきっ
ていないスズメガ、帰宅して調べてみると
フリッツェホウジャクであることが判明しま
した。高知県などではよく見られるそうです
が、「県内から2個体しか採集されておらず
、偶産個体である可能性が高い。
」とのこと。
採集していなかったので同じ場所で挑戦した
ものの一度も飛来せず。何ということだ・・・。
(2021.7.2上郡町)
 骸骨が空から降ってくる!そんなホラーみたいな
体験をさせてくれた蛾、メンガタスズメ(スズメガ科)。
ミツバチの巣を襲撃して蜜を奪ったり、成虫も幼虫も
音を出すなど面白い蛾ではありますが、近縁のクロ
メンガタスズメに取って代わられおり、兵庫県では
2000年以降の記録が4例しかない
んだとか。
クロメンガタスズメは昔、家のヨルガオに幼虫がいた
ことがありますが、威嚇音の大きさにビックリさせ
られました。(2021.7.26たつの市)

 もちろん蛾以外の昆虫も色々と飛来します。甲虫(こうちゅう)だとアオドウガネやヒメコガネ、ドウガネブイブイなどのコガネムシ類やオオフタモンウバタマコメツキという長い名前のコメツキムシ、シデムシの仲間や場所によっては水生昆虫のガムシなどは定番で、真夏にはノコギリカミキリやシロスジカミキリもよく飛んできました。
 6月から7月にはクワガタ、7月末から8月前半にはカブトムシも顔を出してくれました。その他の昆虫では初夏にはケラが色々な所で姿を見せ、西播磨ではこれまで確認されていなかったサツマヒメカマキリが広く分布していたことも明らかになりました。夏になるとやはり大量のセミに悩まされたり、スズメバチにおののいたりすることも多かったです。ヤマトクロスジヘビトンボやタイリククロスジヘビトンボとヘビトンボの入れ替わりで季節の移ろいを感じることができたのも新鮮でした。
 なかでもすごい羽音と衝突音に振り向いたらタガメがいた時には心底驚きましたよ。掴もうとした時の恐ろしさ、掴んだ時の力強さは忘れられるものではありません。
 最近はクワガタより一段低く見られている
ような気がしますが、やはりカブトムシ(コガ
ネムシ科)の♂が飛んでくるとテンションが
上がってしまいます。ただよく飛び回って
うるさく、折角止まった他の虫を飛ばして
しまうので、片っ端からもぎ取って撤収時
まで隔離措置を取らせてもらいます。
(2021.7.31上郡町)
 サツマヒメカマキリ(ハナカマキリ科)。幼虫で
越冬し、5〜7月に成虫が現れる3〜3.5cmほどの
カマキリ。西播磨では記録がなかったようですが、 
6月中旬から7月下旬にかけてたつの市、相生市、
上郡町で相次いで確認、というかライトトラップで
は常連でした。今年は姫路や淡路でも確認され、
広く分布していることが分かってきました。
(2021.6.14たつの市)
 水生昆虫の王者タガメ(コオイムシ科)。
シートを穴だらけにした鋭い爪とマムシを仕留
めるほどの毒と消化液を持ちますが、家で飼う
と殺虫剤など一切使えなくなるほど薬に弱い
生き物です。2020年から種の保存法により
販売目的の捕獲・売買が禁止されています。
(2021.7.西播磨地域)

 極めつけにこんなのまで来ました!
(2021.6.12上郡町)
 辺りの暗闇からピーピーと小鳥の声がするなと思っていたらこの鳥がトコトコと歩いてきました。どうやら巣立ち直後のメジロのようです。しばらく必死で親鳥を呼んでいましたが、そのうち鳴き疲れたのかお腹がすいたのか、クワガタやスズメガと一緒に垂直の白幕に止まったり、地面のシートの上を歩いたりしながら小さな虫をパクパクと食べはじめ、やがて満腹になったのか白幕のてっぺんにつかまって器用にバランスを取りながらうつらうつらと舟を漕ぎだしたなと思っていたらそのままスヤスヤと眠ってしまいました。あまりの可愛さに連れて帰りたいと思いましたが、それは法律的にも許されることではありませんので撤収時にそっと掴んで闇に戻った木の枝の上に止まらせてあげました。カラスやアライグマなどに取られずに無事に育ってくれているといいのですが。

 さらに、ライトトラップそのものに来たわけではありませんが、予想もしなかった成果に遭遇したこともありました。
 昆虫館のファミリースタッフも参加していたその日のライトトラップは風の影響か、8月の2度目の梅雨の影響か、蛾の飛来はかなり期待外れでした。そんな状況なので子どもたち2〜3人と大人1人はトラップから離れて周辺の林縁の調査に出かけていきました。周囲にはニワウルシ(別名シンジュ。ウルシに似ているが全くの別種でかぶれません。)の若木の藪があったので、子どもたちは大好きなシンジュサン(ヤママユガ科)がいるのではないかと期待していたようですが、その子たちが採ってきたのは誰も見たことのない虫だったのです。それは一見ハゴロモのようでした。ハゴロモというのはざっくりいえばセミやカメムシに近い仲間で、前翅の長さ1cm前後の身近で色々と面白い昆虫なんですが、子どもたちが採ってきたものは2cm近くありますし色も信じがたい鮮やかさ。どう見ても外来種のこの昆虫は、やはりインド・ベトナム・中国・台湾などが原産のシタベニハゴロモで、国内では2009年に石川県で発見されて以来分布を拡大しており、2019年には岡山県備前市でも発見されているとのことでした。この直前にたつの市の別の場所で見つかっていたことが後日報道され、県内初記録とはいきませんでしたが、まさかビワハゴロモ科の昆虫を自分たちの手で捕まえたり、展翅したりすることになろうとは想像さえできませんでした。
 で、こんなのが見つかったものだからもう誰もライトトラップなんか見てません。全員がシンジュの藪を夢中で探索しています。するとその最中に「体は鮮やかなトラ柄で頭にはパンダの顔模様」という見慣れない毛虫が発見されました。もしかして!と思って調べてもらうと、閃きのとおり日本では偶産種とされているシンジュキノカワガの幼虫ではありませんか!子どもたちにとっても私にとっても憧れの蛾の発見にシンジュの藪はさらにヒートアップ。全員必死で探しまくり合計6頭をゲット。各自、この美しい憧れの蛾の幼虫を持ち帰って蛹化させることができました。
 ライトトラップは結局、同定できた蛾54種と閑散としたまま雨天コールドになってしまいましたが、全員大興奮の一夜でした。
 シタベニハゴロモ(ビワハゴロモ科)。発見の翌日に現地に行ってみると30頭以上を確認できました。
後翅の帯が水色のものと白いものがいますが、雌雄の違いなのか何なのかは調査中です。果樹などに深刻な
被害をもたらす可能性があるとの報道がありますが、実際にどうなるのかは今のところ分かりません。
(2021.8.21/8.22たつの市)
 シンジュキノカワガ(コブガ科)の
終齢幼虫。持ち帰るとすぐに蛹になり、
14〜15日後に相次いで羽化。成虫
は次回の近況報告で紹介するかも。
(2021.8.22たつの市)

 夜の採集のことばかり書いてますがたまには昼の蛾も狙ってます。トラガ、コトラガ、小型マダラガ科などなかなか手掛かりも無く、思うようはにいっていませんが。
 ヤホシホソマダラ(マダラガ科)前翅の
長さ1.5cmほどですが金属光沢を放つ深い青
と黄色の星が光る美しい蛾です。昼行性で
幼虫はタケやササを食べるそうです。昆虫館
のお客さんを虫とりのできる広場に案内した
時に少年が発見。いらないというのでその日
の館長だった私が大喜びでもらってしまい
ました♪(2021.6.26佐用町)
 体に毒を蓄えているジャコウアゲハに
擬態しているとされるアゲハモドキ(アゲハ
モドキガ科)。昼に飛びますが灯火にも
来ます。結局昼間には出会えず、ライトトラ
ップで採集しました。(2021.7.28たつの市)
 全くの初見では蛾とは分からないかもしれない
鹿の子模様の昼蛾カノコガ(ヒトリガ科)。
幼虫はタンポポとかシロツメクサを食べるので
街中の草むらでも見られそうですが、そういう所
では網を振りにくい大人にとっては意外と採り
にくい蛾なのかも。(2021.6.19宍粟市)

 さて、なんやかんやで9月になりました。
 現在の私は、この蛾の世界にのめり込むきっかけとなった蛾を探して忙しい日々を過ごしています。高知などでは普通種、プロの研究者からは実は兵庫県内にも生息している可能性があると聞いているものの、なんせ県内では2例しか報告の無い蛾なので勝ち目は非常に薄いというか、ほぼ負け確定なんですが、「見られなかった」というのもまた重要な情報ではありますので。
 そんな日々も9月下旬には終了、あとは秋が深まり寂しい冬がやってくる・・・とはならないのが蛾の面白さであり、恐ろしさでもあります。秋にはこれまでに見逃したものを含む色々な蛾が見られますし、年に一度、晩秋にしか現れない魅力的な蛾もたくさんいます。そしてまたフユシャクの季節がやってくる・・・。
 大手を振ってグレ釣りに行けるようになる日も少しずつ近づいてきた気がしますが、蛾三昧の日々はまだまだ続いていくことでしょう。
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