風雲児  烈風伝
       ・今年は5人で四国の磯へ! 足摺松尾 磯釣り合宿

2024年1月28~29日 高知県松尾
・昆虫館のスタッフ仲間と磯釣りへ
 長らくご無沙汰しておりました。皆様、今シーズンも磯に立っておられるでしょうか?
 しばらく・・・といっても昨年3月以来ですが、磯釣りから離れていると道具の劣化に驚かされ、その道具の値上がりにさらに驚かされるものですねえ。今回も磯ブーツのひび割れやら、ベストや道具入れのファスナーやら、紐類やら色々とヤバいことになっているのには気づきましたが結局応急処置でごまかす始末。さすがに命にかかわる部分はそれで済ますわけにはいきませんが・・・。

 まあどうにかこうにか道具を整えて海を渡り、単身高知県土佐清水市へと向かったわけですが実は今回は単独行ではありません。神戸からは昆虫の専門家2人・去年ご一緒した「Y先生」&主に船釣りをされているけどフカセ釣りにも挑戦中の「YSOKさん」、加古川からはシブダイやルアーなどでもフカセでも何度も高知の磯に立たれている「Mさん」&Mさんの子どもで今回が磯釣りデビュー戦となる小学3年生の「K君」という昆虫館スタッフ合計5人「佐用町昆虫館磯釣り部」のメンバーがそれぞれ土佐清水市へ向かっており、前夜に宿で合流したあと2日連続で松尾の磯に渡りグレと対峙する計画なのです。去年はエスケープ釣り場の古満目と本来の目的地の柏島でコッパグレの姿すら見られなかったけど、今年は大物は厳しいもののミドルサイズの数釣りが期待できるエリアですからそんなことにはならないはず!しかも今期は超絶美味のスマがよく当たっているというからさらに期待が膨らみます!(船長によるともう釣れなくなっているそうですが・・・)

 K君、オヤビッチャと勝負!
 1月27日、土佐清水市に一番乗りしたのは出発2日前から不眠症を発症し、一睡もできないので夜明けを待たずに出発、あっちのコンビニこっちの道端とストップ&ゴーを繰り返しながら下道を走ってたどり着いた私でした。次いでMさん親子が到着し、釣りがしたくてしたくてウズウズしているK君のために夕まずめ迫るあしずり港へ急ぎました。

・あしずり港でウォーミングアップ!
 この日の3日くらい前から全国的に強烈な寒波がやってきて、高知も愛媛も銀世界だったようです。この日の道中も三好市の奥では雪が降っていましたし、高知平野や幡多でも陰地では雪が残っているところがありました。さすがに交通に支障はなく、あしずり港周辺は普通の景色でしたが北西の風が強くて冷たい!しかし小3にしてすでにかなりの釣りマニア、ハリもラインシステムも自分で結び、潮回りも自分でチェックするK君にとってはそんなことは問題ではありません。すぐに道具をセットしてルアーや餌木を投げ、反応がないと分かるとジグヘッドにオキアミを刺して岸壁の際を狙い、群がってくるオヤビッチャを夢中になって釣り上げていきました。お父さんのMさんもコッパ尾長をゲット。私はMさん親子や隣でアジを泳がせてヒラメを狙っている地元の方の釣りを見ながら翌日のマキエの準備をしていました。

 日も沈み、寒風の痛さもさすがに耐え難くなってきたので、明日があるからとK君を宥めて清水市街地の素泊まり宿「足摺倶楽部」に向かうとY先生&YOさんもちょうど到着されており、オーナーお勧めの飲食店と宿の部屋で作戦会議。明日の釣りに胸を高鳴らせながら、快適な布団でぐっすりと眠りました。

・初日はハナレへ
 今回お世話になったのはいつもの正丸。お客さんは11人くらいだったかな?ここのところ船を出せてなかったということですが今日は大丈夫そう。ただ昼からは北西風が強くなってくる予報ですので臼碆埼の外側は厳しくなるかも。特に吹きだしてからの沖ウス低場はK君には辛過ぎるだろうと判断して「他のグループとジャンケンして勝った方が沖ウス、負けた方がハナレに上がる」という船長の提案を辞退し、みんなでハナレに上がることにしました。
 今回は子どもがいるのでちょっと心配してたんですが、正丸の船長、実はめっちゃ子ども好きなんですね。

 出港は周囲が明るくなった6時45分。海はベタ凪、風は穏やか。潮は緩い上り潮!
 船はクロハエ、沖ウスと進んで最後にハナレへ。Mさん親子は狭いけど平らな場所がある奥側の底物場に上がるよう勧められているので、足場にやや難のある南側には残り3人が上がり、YSOKさんが底物場寄り、Y先生が船着き、私が南端に釣り座を構えました。
 磯釣りデビュー戦に胸が高鳴ります。  ハナレの底物場でフカセとルアーで勝負!

・驚きの裏本命登場!
 潮は船着きのある西面では磯に沿って南に緩く流れており、私の入った南端ではその流れに引かれて西へ流れています。
 私は0号ウキのウキ止めなし、ハリス2号2ヒロの上の方にジンタン7号を1つ打った仕掛けを左側15m程沖に投入し、西面の潮との合流点まで流していくと、8時前、正面まで来たウキがゆっくり沈んでいきました。
 掛った魚は最初それほど動かず、引きもそれほどでもありませんでした。しかし次の瞬間に沖に向かって走り出し、ドラグからいくらかのラインが滑りだしていきました。水面近くを右に左に走り回る引きに私も横で見ているY先生も直感しました。これはもう食っていないと言われていたスマかもしれないと。
 タモを置いていた位置が少し遠く、足元でも激しく動き回られて少々手こずったけど、無事に取り込めたのはやはりスマ、35cm。それも高知でスマと呼ばれるヒラソウダ Auxis thazard thazard (Lacepède, 1800)ではなく、標準和名スマ Euthynnus affinis (Cantor, 1849)(モンズマ、オボソ、スマガツオ)の方!今回の裏本命、ニュースでは本マグロの代用魚、知っている人ならむしろクロマグロの方が代用魚、釣りたくてもなかなか出会えなかった魚です。やはり笑みがこぼれてきますねえ。

 すぐに〆てクーラーにしまい込み、追加を狙ったけどスマの回遊はこれにて終了。潮も反転し、サシエも全く触られなくなりました。西面を見に行ってもグレどころかエサ取りも見えず、当然反応もありません。


 最高のごちそう、スマを仕留めて大喜びの管理人。

・少し好転したものの
 厳しい戦いが続きましたが、2時間ほど経って潮が当初の流れに戻るとポツリポツリと生命反応が出てきました。西面ではY先生とYSOKさんが大きなダツ類をヒットさせ、10時15分ごろには西面と南端の境目辺りで噛みこんでいったウキに反応が出て足摺サイスのグレをヒットさせ、水面に浮かせました。ところがフィニッシュ寸前にY先生が斜面で足を滑らせ山側に転倒。幸い軽い擦り傷で済んだけど魚を取り込むことはできませんでした。しかしその後、同じようにしてグレをヒットさせ、今度は無事にネットイン!と思いきや、今度は縮めていっていたタモの柄が突然折れるというトラブルが発生。それでもどうにか取り込んで、2年越しの四国初グレとなる30.5㎝の尾長グレをゲットされました。

 その横ではYSOKさんもグレを掛けていましたがバラシて取り込めず。私の方も向かいの「ホンカゲの水溜まり」との中間辺りや足元のサラシの先でグレを2枚、竿をたたく魚を1枚ヒットさせたけど、光と影と波が交錯して見づらい海面の下、魚が溝の両側から張り出した根のどちら側に突っ込んでいるのか分からなくなり、ことごとくブレイクさせてしまっていました。

 底物場のMさんとK君はフカセとルアーを親子で交互に持ち替えながら楽しみ、K君が立派なクサヤモロをゲットしバラシも一つ。Mさんはルアーに大きなダツが反応したけど掛らずじまいだったそうです。
 グレを掛けたY先生ですが、この直後、転倒によりバラシ。  今度は仕留めたけどタモが破損。  初のクサヤモロにはじける笑顔。

・そして風が吹きはじめ・・・
 天気予報のとおり11時を過ぎたころから北西の風が吹き始めました。それは時間とともに強さを増していきましたが、問題はそれではありませんでした。風は北西なのに波はなぜか南西から押し寄せてきてみるみる高くなり、12時ごろには南端と船着きの間の通路は頻繁に飛沫が上がり、南端も時折波が駆け上がってくるようになってしまったのです。
 風は夕方までの予報でしたし、南端の地寄りとか底物場寄りに道具と釣り座を移す手もありますので、大人だけなら続行していたかもしれませんが今回はK君もいますので船長に連絡して迎えに来てもらいました。
 帰りの渡船は朝とは一変してしまった海に激しく揺られ、K君は恐怖を感じたのではないでしょうか。明日は行かないと言い出さないかな・・・。

 途中で生命反応なしだったというクロハエのお客さんを回収して、予定より大幅に早い12時半前に松尾港に帰還しました。厳しい釣りだったけど船長曰く「グレ10匹分の価値がある」というスマが出たし、K君もクサヤモロに大喜びだし、何より無事に帰港できたのが一番。明日はグレも釣れるはず!

 穏やかだった海は豹変。北西の強風&南西の高波という謎コンボに残念ながら早期撤退。

・以布利漁港経由、足摺岬の宿へ
 時刻はまだ13時過ぎ。宿に行くには早いし、大量に余ったマキエを消費しておかないと・・・ということで、以布利漁港まで移動して風の影響が少ないところをどうにか見つけて釣りを再開しました。ところがマキエを打っても魚は見えず、YSOKさんが手のひらサイズのマダイを釣ったのが唯一の釣果。オヤビッチャの群れを探し出して狙っていたK君もこの日は不発。私は竿すら出す気になれずに終了。いい時間になったので宿へと向かいました。

 この日の宿は足摺岬の民宿「田村」。美味しい料理に加えて無理を言って捌いてもらったスマにみんなで舌鼓を打って英気を養い、昨夜に引き続き快適にぐっすり眠って翌日の釣りに備えました。

・最終日も凪→風予報
 最終日の松尾港も前日と変わらず賑わっていました。天気予報の午前中は凪、午後からは北西風が強まるというのも前日通りです。風力は前日より弱い予想ですが当てにならず、どうせ吹き荒れることは分かり切っていましたから、この日は無理をせずに湾内の磯で釣ることにしました。
 船は6時45分に出港し、カシラゴ、明神西バエに常連さんを下ろした後、沖のフタツバエに到着し、我々5人が上陸しました。

・沖のフタツバエ
 沖のフタツバエは鵜の岬の100m程沖に浮かぶ約25m×30mの独立磯で、最峡部で20m程度の水道を隔てて寄り添う岡のフタツバエとともに毎回のように誰かが上がっている磯です。底物でも人気のようですが、松尾で尾長を狙うならここという話を聞いたこともありますし、何より基本的に足場がいいのが今回の釣りにはありがたい。磯際ではブチブチも味わえるそうですし。まあ、隣のクロハエでは何にも釣れていなかったというのが不安ではあるものの、このエリアは潮の機嫌一つで状況が大きく変わりますので前日の情報はそれほど役に立ちませんから気にしないでおきましょう。

 さて、この磯は根が張り出した一部分を除き周囲全体がポイントのようなのでどこに入るか迷った末、Y先生は岡のフタツバエとの水道、YSOKさんは南西側、Mさん親子は東向き、そして私は北東側の船着きに釣り座を定めて釣りを開始しました。
 船着きの磯際にマキエを入れるとイラが1匹見えました。しばらくするとサンノジも何匹か見えることがあり、どうもグレっぽい魚も姿を見せた瞬間がありました。何の魚も見えなかった昨日のハナレと違ってかなり期待できそうだ!・・・と思ったんですけどね。いざはじめてみるとサシエは今日も触られず、磯際の魚もマキエを追っているようには見えませんでした。

 それでも1時間ほど経った頃に際から10mほど沖をゆっくり流れていた私のウキに反応がありました。
 ウキ下2ヒロ半でヒットした魚はすぐに浮上し、水面をかき回して暴れ始めました。タモに入れようとしてもジャンプしたり、ぬるりひらりと身をよじって逃れたりして何度も逃走し、見かねたMさんの助けによってようやく取り込んだのは1mクラスのハマダツでした。

 その後はまた静寂の海でした。Y先生が一度、向かいの岡のフタツバエの磯際近くでグレらしき魚を掛けたものの、姿を見る前にバラしてしまったのを唯一の例外として、磯の北~南東では魚も掛からず餌も取られずという状況が続いていました。
 船着きではハマダツがヒット  南西側で釣るYSOKさん

・ほぼ全員場所移動
 11時前には船着き周辺に見切りをつけて移動を決めました。Y先生もM親子も場所移動し、YSOKさん以外は場所を変わることになるほど北~南東側では反応がありませんでした。
 そんな中、南東に入っていたYSOKさんには開始直後にサンノジがヒット、12時27分にはこの日3枚目のサンノジを仕留めていました。やはりサラシなど変化があるのがいいんでしょうね。

 私の移動先は磯の北西側、岡のフタツバエに向かって伸びるハエ根の左側。ハエ根では時折サラシが出ているし、潮が引いて取り込みもしやすくなったので入ることにしたのですが、沖合を走り抜ける船の引き波によって生み出されるこのサラシがなかなか厄介で、ウキの号数や形、オモリのサイズや位置を変えても、相当な過負荷にしてみても表層の強烈な横滑りに対処できずに苦しみました。時々見えるサンノジなどもやはりサシエも触ってくれません。

 それでも攻め続けていると、YSOKさんがサンノジを掛けた直後の12時30分過ぎに10mほど沖でウキが沈み、ロッドが絞り込まれました。私は釣り座から磯際のエッジをクリアできる場所へと飛び降りて突進を躱し、待望の魚を浮かせることに成功しました。そのサイズは40㎝ほどで、鮮やかな黄色にライトブルーがあしらわれています。取り込むと同時に駆け寄ってきたK君に見せてあげてから場所を移してしっかり血抜きしてクーラーへ。こう見えて旨い魚ですし、今日はキープしとかなきゃ今年も空のクーラーを抱えて帰ることになりかねません。
 ちなみにこのヒブダイは帰宅後に皮付きの身は湯引きで、しっかりヌルや血を落としたアラは潮汁でいただきました。特に潮汁は脂気が少ない分旨味がダイレクトに堪能できて大満足でした。
 YSOKさん、3枚目のサンノジをゲット。  引っ越し後の私の釣り座。  今回唯一のお持ち帰り。

・最後の希望
 昼前から吹き始めた北西の風がまた強まってきました。とはいえ地形の関係もあって昨日とは比ぶべきもない風力ですし、危険な波が出る恐れもありません。それどころかこの風が上滑りする潮を押さえてくれるので、かえって釣りやすい状況が現出しました。これで釣れなければこの磯にグレはいないと言ってもいいような状況です。
 そして沖で潮に噛みこんでいたウキが姿を消し、3ヒロくらいの深さを漂っていたオキアミに魚が食いつきました。しかしこれがまたしても1mクラスのハマダツ。今日のダツはタナが深い・・・。
 さらにこの後、私の仕掛けにハマダツ以上に巨大なものが掛かりました。それはハリに掛ったことを大して気にすることもなくグイグイとゆっくり横に動いていきます。相手が本気にならないうちにと私はすぐにラインを切って早々に降伏。そりゃ無理ですよ、1.7号の竿でウミガメとファイトするのは。

 結局14時半に片付けを開始するまで、これら以外にヒットは無く、サシエを取られることすら一度もありませんでした。今回の釣りでの最後の希望、Mさんがサラシやシモリに向かって投げ始めたミノーにも反応はなく、2日間の戦いを終えることとなってしまいました。
 

・去年と同じく
 結局2日間5人がかりで30.5㎝のグレ1枚という、このエリアでは考えられないような釣果になってしまった今回の遠征。初日にみんなでバラシを連発してしまい取りこぼしばかりだったのが尾を引くことになりました。期待の二日目はさらにひどい状況でしたが、実は沖のフタツバエのある湾には「こんなことは滅多にない」と船長がいうほどの潮が沖から流れ込んでいたらしく、大釣り間違いなしと思われていたようです。実際同じ湾内の明神西バエに上がっていた常連さんはグレにイサギにときっちり釣果を上げられていました。腕の差がありすぎるのは分かっていますが、さすがに終盤の風の状態でエサをとられないというのはこっちの磯には潮が届いていなかったとしか・・・。
 まあそれでもY先生がこけた以外は事故もなく、K君は始終楽しそうでしたし、来年こそはと誓いあって楽しかった磯釣り合宿は終了。港で解散となりました。

 それにしても2年連続でコッパすら釣れずに四国を去るのは悔しすぎます。
 今年の四国釣行はこの1回だけの予定だったけど、これでは去年と同じように無理してでも再挑戦せざるを得ないか・・・と計画はすでに動き始めていますが、果たしてどうなることやら。

 明神鼻向きに引っ越したY先生。  Mさん親子は今日は不発。なんとしてもK君に釣らせてあげたかった。

 ● 松尾 matsuo
利用渡船 正丸 出港地 高知県土佐清水市・松尾漁港
時間(当日) 6:45~12:30
6:45~15:00
料金 4000円
駐車場 無料 弁当 600円
宿/仮眠所 近隣に民宿あり システム 一部の磯は磯割り制
磯替わり 可能 特記事項
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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