風雲児  烈風伝
       ・沖ウスの鏡は真実の姿を写す 足摺松尾 リベンジ釣行

2024年2月12~13日 高知県松尾
・まずは管理人よりご挨拶申し上げます
 いつもご覧いただきありがとうございます。
 当サイトは2024年2月9日をもちまして開設20周年となりました。長きにわたり支えてくださった方はもちろん、偶然たどり着き足をお止め下さった方にも心より感謝申し上げます。また年代物の設計のままスマホ対応などもしておらず、閲覧等において大変ご不便おかけしていることをお詫びします。とはいえこの形式は管理人のスタイルに合っているため個人的な趣味として今後も細々と続けていこうと思っています。htmlなんていつ強制終了されるか分かったものではありませんが・・・

・ハードスケジュール!2週間ぶりの松尾へ
 かつてのように四国遠征にも頻繁には行けなくなり、釣り自体からも離れ気味ではありますが、今回は前回からわずか2週間での松尾再釣行です。5人で2日やって30cmのグレ1枚というのはさすがに応えましたし、仕事のスケジュール上、年度内に代休取って釣行できるのは3連休最終日とその翌日のこのタイミングが最後でしたから。
 ただ連休のうち2日は元々予定が入っており、ハードな釣行が予想されるのでできれば1日後ろにずらしたかったけど予想天気図がそれを許してくれませんでした。まあ伸ばしたところで釣行数日前からの不眠症が確定になり、消耗しきった状態でスタートするのは同じですけど。

 毎度おなじみホンカゲ低場と前回上がっていたハナレ。
 出発前日は子どもたちの自由な遊び場作りの活動に参加して60人近い子どもたちと思い切り遊び、当日は昆虫館での土木工事に参加してそれが終わった16時ごろに佐用から土佐清水に直行しました。前夜は疲れの効果で珍しく眠れたけど高速道路を走れるだけの体力は無く、いつもどおり児島~坂出と南国~窪川以外は下道を使って9時間くらいかけて港に到着し、眠れない眠れないという夢を見ながら少しくらいは眠っていたのではないでしょうか。

・初日はホンカゲ低場
 土佐清水の常連さん3人と私を乗せた正丸が出港したのは6時45分。緩やかな上り潮を確認しつつ一直線にホンカゲを目指し、高場に1人、低場に3人を下ろしました。地元の方2人と一緒に低場に降りた私は中央からやや高場寄りの平らなところに入らせてもらいました。昨夜かなり吹いていた北西風は穏やかになっていますがうねりが少しあり、磯際はあまり大きくはないサラシで飾り立てられています。

 この磯に来るまでの間に船長から港の沖の水温が17℃台であることと、魚の食いがかなり渋いであろうという予想を伝えられていたのでウキ止め無しでは厳しいと判断し、ウキ下を細かく調整しながらタナを探ることにしてG5のウキでスタート。しかしこんな仕掛けではサラシを突破できず、魚も浅いところにはいそうにないので30分もしないうちにウキ止めをしっかりしたものに替え、ウキも3Bに替えて、ウキ止めや2個取り付けているガン玉Bの位置をいじりつつアタリを探っていくことになりました。
 船着きと、その手前で釣っている常連さんは手前では餌を取られるが沖に出せば反応が無くなるという会話をしています。その状況は私が入っている高場寄りでも変わらなかったのでサラシの切れ目での待ったり、左へ緩く流れる潮に乗せてサラシの中を横断させたりと近距離を中心に探っていくと、サラシの入り口で何者かがウキ下2ヒロ半の仕掛けから2度続けて生オキアミの中身だけを吸い取ってくれました。そこでサシエを小さめのボイルに換えると、サラシに吸われてほんの少し沈んでいたウキがスッと消し込み38㎝の尾長グレがヒット。万全の態勢だったので磯際の張り出しを難なく躱しタモに収めることができました。実に旨そう!時刻は8時17分でした。

 その後すぐに弁当船がやってきたので常連さん2人と情報交換。釣り座に戻って引き続き際狙いを続けていると、9時前にサラシの根元でウキに違和感を感じたので聞くようにアワセを入れると何かがヒットしました。それは重量感はあるけど動きは鈍重。ネズミフグかブダイ(赤)でも掛ったか?と思っていると突然激しく暴れ始め、ドラグから糸をドンドン引き出しながら何度も何度も強烈に突っ込んでいきます。それをどうにか凌ぎ切り、2号ハリスもどうにか耐え切るとやがて水面にグレとは違う黒い魚が浮上しました。これを見て驚きの声を上げたのはまだ何の魚か把握できていない私ではなく、地元の方のほうでした。
 魚種の確認よりタモ入れが先決です。私はじりじりと後方へ移動して一段上に置いているタモの石突を掴もうとしてバランスを崩し、尻もちをついてしまいました。前回のY先生の二の舞かと半ば諦めながら起き上がると魚はまだいてくれたので無事にタモへ。引き上げた魚を見てみると何と45㎝のイシダイ!黒い体の後半部に4本の横縞を留めたクチグロでした。呆然とする私に常連さんは祝福の声をかけてくださいました。

 イシダイが大暴れしたせいか磯際では反応が無くなったのでしばらく中距離を探っていると9時半ごろに白泡の中に魚影が見えたような気がしました。そこでウキ止めと3Bのウキと2つのBのガン玉を2ヒロ取ったハリスの結束部周辺に集めて投入してみると、竿2本半ほど沖で高速のウキ入れがあり38㎝の尾長がヒット!よし!読み通り!
 この後、隣の方も40㎝手前の尾長グレを取り込んで時合い到来かと思われましたが潮が変わり、私は磯際でサンノジ、常連さんは沖の深ダナで大型のダツ類を食わせたくらいでした。
 この日の尾長はほとんどが40㎝手前。

・待ち焦がれた太陽と強烈過ぎる潮
 今回釣行した3連休は晴れて異常なほど気温が高くなるとニュースなどが連呼していました。しかし実際にはそんなことは無く、前日の佐用では雪が積もっていたし道中は雨、今日の足摺の磯も普通に低温でした。特にホンカゲは影の中だし、北西風が吹き付けてきて寒いこと寒いこと。しかも私は気温の高さを信じて薄めのウェアで臨んでいたものだから体は冷え切り、歯をガタガタ鳴らしながら釣っていたというか耐えていました。
 そんなホンカゲに待望の太陽が差し込んだのは正午ごろ。潮も引いたし、その温もりを一瞬でも早く浴びたくて釣り座を前進させたうえで色々な釣りを試してみたけどグレのバラシ1つとアワセと同時の嚙み切られ1つ、それにその原因かもしれないメータークラスのハマダツが1本上がっただけでした。隣ではグレを追加できてたんですが・・・。

 14時を過ぎるとホンカゲ一帯は本流が直撃するようになっていました。その潮は高場からハナレの沖へと斜めに駆け抜けていき、私の釣り座は鏡やら巻き返しやら潮目やらと猫の目のように忙しく変化していきました。この時では私は何の成果も出すことができませんでしたが、常連さんが「この潮では船着きしか釣れん」と言うとおり船着きの方はダツの合間にしっかり尾長を仕留めておられました。

 この強烈な潮は1時間もしないうちに緩みましたが、今度は風向きが南西に変わりうねりが力を増してサラシがきつくなりました。そんな中、色々な仕掛けの末に戻ってきた3Bの仕掛けで28㎝の尾長を1枚釣って15時半に終了、16時に迎えの船に乗り込みました。ホンカゲ低場では3人ともグレは2~3枚でしたが、全て尾長でサイズも40㎝手前のものがほとんど。私はそれに予想外のイシダイのオマケまでついたので大満足でした。疲れと眠気が限界に近く、日が照り始めた午後は眠りかけで釣っていたけど。
 まさかのイシダ45㎝。よく噛み切られなかったものだ。

・転進は不要に
 この日の宿は港の近くではなく土佐清水市街地にある宿を押さえていました。出発前の予報では2日目は落ち日和で南西風が強まり、その翌日は雨で春一番になる可能性が高く、船長も出船は厳しいかもしれないという予想だったため、他の渡船区や波止への転進を視野に入れた選択でした。しかし天気予報は結局外れで松尾で問題なくやれるということで、宿でぐっすりと眠った私は松尾港に戻ってきました。

2日目は5人で沖ウス
 2日目も私以外は地元の方ばかり5人での出港でした。水温は18℃。天候は穏やかで波気も少なく、そして渦巻く上りの激流。「今日の潮ではここ以外食わん」とのことで5人全員沖ウスに上がることになりました。激流走る磯の20m足らずの一辺に5人が並んで釣ることになるので避けたい気持ちもあったけど、とにかく釣らせたいという船長の思いに応えて渡礁、3人組は低場へ、私はもう1人の方と高場に上がって船着きでスタートすることになりました。低場は観音回りで地側の本流狙い、高場は午前中の潮は船着きに並び、午後の潮は沖向きに並んで沖側の本流を釣ればいいとのことです。

 私のいる高場の船着きは正面から日が差しており、激流が生み出す綾波の一つ一つに太陽が反射して無数の光の塊が予測不能にうごめいているので詳しい状況は全く見えません。何も見えないのなら釣りの本に書いてある「二つの本流に挟まれた船着きの攻略法は遠投のみ」「沖ウスのグレははるか沖でも浅ダナで食ってくる」「本流の中で竿引きのアタリが来る」という情報を信じて釣るしかないと判断し、0号のウキにジンタン7号を1個打ったり2個打ったりした仕掛けを遠投して探っていきました。ウキ下に関してはかつて低場に上がった私は2ヒロ半でグレ1枚、高場に上がっていた人は1ヒロで入れ食いという経験をしていますから大丈夫でしょう。
 今日の沖ウスは激流。地磯もカゴ釣りで賑わっています。
ライフジャケットを着ていない命知らずの姿も見られました。

・海面は把握不能
 低場では開始早々にグレがヒットし、その後も時折3人が交互に竿を曲げています。右隣の方も磯際で化け物に切られた後は沖側の本流を攻めてグレをヒットさせていました。
 一方、私だけはサシエすら取ってもらえていませんでした。それ以前に仕掛けがどこに行っているかすら把握できていませんでした。遠投してそのまま沖に流しているつもりが低場の3人よりも上流からウキが出てきたり、道糸だけはどんどん左に出て行っているのに正反対の位置からウキが出てきたりという状態で低場の方と何度も仕掛けを絡ませてばかりで、私にできることは水中が見える範囲、つまり足元を左へ流れて本流へと合流する引かれ潮の、私の立ち位置から右隣の方の竿下までの5m余りを釣ることだけで、ひと流しに許された時間は10秒間しかありませんでした。

・鏡を生み出す能力が開花
 そうしているうちに太陽の位置が変わって海面が見えるようになり、私の釣りを阻んでいるものが姿を見せました。二つの本流の間に鎮座する湧昇流、巨大な潮の鏡です。これがあるのは分かってはいましたが、遠投したところで飛び越せるはずもないようなものが発生していたとは。しかもそれは非常に不安定で、海面から消えている時間も多いのに、私が投げたウキが着水すると同時に発生し仕掛けを手前に吐き出してしまいます。沖に投げても手前に投げても、右に投げても左に投げても百発百中でウキが着水した位置に発生して仕掛けを押し戻してきます。どうやら私は新たな特殊能力を開花させてしまったようです。

 ウキ下が1ヒロや2ヒロどころではなく、3ヒロ半からさらに沈めていってようやくグレが食っているという情報をもらったところで流せないのなら意味がありません。安定した鏡ならその上を滑らせて本流に入れればいいのかもしれないけどそれも叶いませんし、狭いスペースで無理やり竿を振り抜いて本流を直撃しようとしてもそこには3人分の仕掛けが流れています。結局昼前までに本流を流せたのはたったの2回。しかもそのうちの1回は流し込んだ途端に弁当船としてホンカゲに向かうもう一軒の渡船がその上を駆け抜けていき、せっかく流れた仕掛けをスクリュー巻かれないよう全速力で回収するという報われなさ。まあ本流を流せたところでそれからどうしたらいいかも分からないんですけどね。本流釣りではラインを手で引き出して送らず、スプールから直接出していくのは仕掛けがずれるので厳禁なんですよね?それともこういう本流ではむしろ直接出していくべきなのか・・・。「本流の中でグレが竿引きで当たってくる」という状況に遭遇したことがない私には全く分かりません。

 私は何度も何度も仕掛けを絡ませ続けました。それも一番離れた方の仕掛けと絡ませたうえ、誤って相手の仕掛けを切ってしまうという失態まで。そのせいなのか低場の一人は弁当船に乗り込んで別の磯に去っていかれました。立ち去るべきは私だったにも関わらず。

・沖向きならば・・・
 低場は入れ食いで次々に尾長グレが上がっています。地磯のカゴ釣りの人たちも次々と竿を曲げています。私はそれを横目にもうこれ以上他人の釣りを邪魔しないことだけを考えて投入と回収を繰り返すだけの時間を送っていました。そんな10時半過ぎ、高場の沖側に釣り座を変更していた方が横に来て釣らないかと手を差し伸べてくれました。

 沖側の磯際には大きな二股のサラシが出ていて末端は本流とぶつかっています。本流釣りのことはわからない私でもこれならどうにかなりそうです。ウキ下は相変わらず3ヒロ半ほど取らないと食ってこないということで3Bの仕掛けをそのまま使用し、左側のサラシに投入して本流との合流点でブレーキをかけてマキエと合わせてみると一投目からアタリが出てこの日初めての魚、34㎝の尾長グレがヒット。その1時間後には31㎝の尾長グレを追加でき、潮が引いて水面上に現れた岩棚を躱しきれずに高切れとなるバラシも発生しました。
 沖向きのサラシと本流。やっとアタリが。

・またしても壁が
 沖向きの釣り座は正午を過ぎるとさらに下がった海面と高まったうねりと吹き付ける南風で非常に釣りづらくなり、アタリも遠のきました。もう一人の方は見切りをつけてグレが見えるようになったという船着きに移動されました。私は沖向きで続行しましたがサラシよりも本流が強くなり、その本流よりもその先の巨大な鏡の方が強くなり、仕掛けをどう流し込んでも30mほど先ではじき返されて磯際スレスレまで返却され、そのまま船着きの足元に流されていくか磯際で根がかりするかのどちらかになってしまって万事休す。また他の皆さんが交互にグレを掛ける姿を見るだけの時間に逆戻りでした。

 やがて低場の方が1人片付けを始められ、船着きへ移動された方も釣りを止め、こっちでやってみてはと声をかけてくださったので船着きに戻ってみると鏡にも本流にも目を疑うほどのグレが列をなしているではありませんか。しかもそのグレたちは浅ダナでマキエに反応しています。これは私の得意なパターンかもしれない!と思ったけど、この時点で片付けを始めなければいけない時刻まで10分を切っており、仕掛けを作り直すような時間すら残されていませんでした。
 応急処置としてその時使っていたBのウキを2ヒロのハリスの中に入れてオモリをウキ直下に固め、マキエと仕掛けの同時打ちでサシエを合わせてみましたがサシエも触ってもらえないままタイムアップとなりました。

・長い長い帰り道
 みなさん20枚くらいは軽く釣っていたと思われる中、2枚だけで終わってしまった私は打ちひしがれ、落ち込みながら家路につきました。
 原因はグレの枚数そのものではありませんし、某渡船のように貧果を馬鹿にされたとか、他の方に笑われたからとかでは決してありません。状況を打開する策を思いつくどころかそれを考えようとすることもできず、磯の上でただ時間が過ぎ去ることを願ってしまったこと、そのくせ渡礁前に船長や他の方から言ってもらっていた「分からん時はみんなを頼ったらええ」ということを実行しようともしなかったこと、こんなに長く磯釣りを続けてきたのに何も学んでいないことに打ちひしがれてしまって。

 親身になって激励してくれた釣り仲間や、あまりにも旨かった魚たちのおかげで落着き、こうして書くことで気持ちを整理していますが、今はまだ再挑戦を考える気にまではなれていません。
 当然ながら沖ウスも松尾も、何より磯釣りも素晴らしい場所でありものでありますので、来シーズン、あるいはそれ以前にでも完全に立ち直れていたらまた出かけてみようと思います。

 いずれにせよ今後もたまに更新しようとは思っていますので、お立ち寄りいただければ幸いです。

 臼碆灯台。  2日間の釣果。どれも旨かった!

 ● 松尾 matsuo
利用渡船 正丸 出港地 高知県土佐清水市・松尾漁港
時間(当日) 6:45~16:00
6:45~15:00
料金 4000円
駐車場 無料 弁当 600円
宿/仮眠所 近隣に民宿あり システム 一部の磯は磯割り制
磯替わり 可能 特記事項
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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