駆け出しダンゴ釣り師がゆく!!
           室戸ブチブチ釣行記!!

2003年8月16〜17日 室戸岬漁港
猛烈なエサ取りの中をダンゴに守られたサシエが突破していく。
しっかりと底に届くや、ダンゴの煙幕の中サシエが飛び出してくる。
和歌山で生まれた紀州釣りは多少姿を変えつつ播州にも伝わりエサ取りの多い時期に効率よくチヌを仕留める必殺技として定着した。
この対エサ取り最強釣方を外海で試したら・・・ ブッコミ釣りでも届けられない海底にオキアミを確実に届けることができたなら・・・
いつしかこんなしょうもない大それたことを考え出してしまったダンゴ歴3年、未だにダンゴの割れすら自在に操れない初心者がいた。
 
時は8月16日。世間の盆が終わりスーパーにもようやく盆休みが訪れた日、僕は四国南東端、室戸岬漁港にいた。
元々はこの日の昼過ぎからの釣りになるはずだったのだが、生憎昼からはダンゴ釣りが事実上不可能になる雨の予報だったので急遽予定を変更し、売り出しで疲れ果てた体を引きずって出発。そして5時半、高知物部村の友達から教わった白灯の先端近くから横に伸びた突堤の外向きで釣りを開始したのだ。

普通ダンゴ釣りというのはチヌを狙う釣りなのでライトタックルが基本になるのだが、今回は竿は3号、道糸は4号、針はカットグレ7〜8号を使用。
何が来るのか起こるのか全く予測ができないのだ。情報などあるはずないし。

ウキは瀬戸内流の特徴である棒ウキ。オモリは師匠に教わったとおりウキの浮力でダンゴを割るため0.8号をセットした。

まずはタナ取り。タナ取りオモリを針に結んで放り込んだら、オオスジイシモチが即座に釣れてしまうというアクシデントもあったが、これで竿下で竿二本の水深があることと、エサ取りの活性が非常に高いことが分かった。

そしていよいよサシエをダンゴに包んで投入。
この日は魚がダンゴに慣れていないのを心配して「波止ダンゴチヌ」に「オカラダンゴ」「チヌパワー」を少々配合したいつものダンゴに、オキアミ粉末をプラスしていた。

初の本アタリは約30分後に来た。

ダンゴが割れて水面まで浮上してきたウキが一瞬にして再び水中に消えた。

僕はそのスピードに驚きつつ必死に竿を立てるが、そのときにはもうオモリの上から切れてしまっていた。
興奮しながら仕掛けを作り直しハリスも4号に上げて投入すると暫くしてまたもアタリ。
今度は竿は立ったものの猛烈な突込みをかわしきれずハリス切れ。アタリは多いのだが何度掛けてもバラシてしまう。全く手におえない。

誰も釣れていないような状況の中で一人アタリを独占している見慣れぬ釣りを、周りの人たちが興味深そうに覗き込んでいる。

ダンゴが割れて浮上してくるウキが一瞬止まったのを鋭く捉えてグレを仕留めるのを見せつけて得意になっていたのもつかの間、再びバラシの嵐が巻き起こった。
圧巻の3投連続瞬殺をはじめ、掛けても掛けてもブチ切れ。しかもそのほとんどが合わせを入れるために竿を起こしたときには既に仕掛けがない!

アタリも浮き上がってきたウキがゆっくり海底に戻っていくといった生易しいものではない。ここの魚はダンゴが割れるまで待ってくれない。
大きなダンゴごとバクリ!
ダンゴが沈む前に竿が根元からズドーン!!というのも1回や2回ではない。

こんな前代未聞のダンゴ釣り、他にやっている人はいないと思ったのだが、昼前になって現れたカップルがなんとダンゴを投げ始めたのにはビックリ。
向こうもビックリしていたようで話してみると岡山から来ているとのこと。ハリスは驚きの20号とか!4号までしかもってこなかったのは大誤算だな・・・
しかし、昼から吹き荒れた強風に苦しめられて見ていた限りはヒットは得られなかったようだが・・・
 
こちらは風に対する鍛え方が違う!その後も順調にアタリを得るのだがどうしても突進を凌ぐことができず、雨が少し落ち初めて撤収を決めた2時までの間に仕留めることができたのは、50センチに届かないヒブダイと、余裕で抜き上げた赤ブダイぐらいであった。
バラシはこの時点で12発。はっきり言って手のうちようがない。

その日はライダーの宿に泊まることにして、街に降りて食事をし、少しだけアカメを狙ってルアーを投げてから床についたのだが、その食事、うどん定食には唖然とした。
白ご飯にうどん、味噌汁、お茶、漬物。水ばっかりどないせぇちゅうんじゃぁ!しかも肝心のうどんが実に不味かった。

翌日目覚めると土砂降り。
釣りは諦めて龍馬や長曽我部元親のゆかりの地観光に切り替えようと思ったが、7時ごろになると天候も落ち着いてきたので一応漁港まで行ってみることにした。
雨も止んでいるし取りあえず一袋だけ餌を作って内向きで釣ることにしたのだが、開始直後に再び雨。
この釣りはダンゴを濡らすことは許されない。然らば!

こんな雨降りに好き好んで釣りをしている物好きはあんまり居ない。それ幸いと車を釣り座まで移動させ、後ろのドアを跳ね上げると、その下にバッカンを置き、自らは雨に濡れてもダンゴだけはどうにか死守しながら釣
り始めた。
その甲斐あってヒブダイとグレ、小さなイシガキダイを仕留めることができた。
バラシも2回上乗せして14回となってしまったが・・・

アタリは外向きよりは少ないものの順調に釣れていたのだが、雨はそのうち激しく、前が見えない程になり、やがて旋風と化してしまった。
ダンゴもまったく使い物にならなくなり、ゴンズイが釣れ出した所で納竿とした。

今回はダンゴ釣りの圧倒的な威力を改めて見せつけられたと同時に底を釣るがうえでの致命的な弱点も思い知らされた。
次回は腕を磨き、万全のタックルを用意し、今回試せなかった中割りなどの技を身につけて常識外れの怪物の正体を暴いてやろうと思っている。 
来年の夏が待ち遠しいなぁ〜

    

釣行記TOPへ