秋に不治の難病に倒れて以来、様々なものをあきらめざるを得ませんでした。
塩分、水分、何種類もの食べ物、激しい運動が無理ということで登山も山城探訪も居合も封印しました。
そして大好きだった魚屋の仕事も・・・。
でも、1つだけ諦められないものがありました。それは再び磯に立つこと。
この目標のためだけに自棄になることなく、病にここまで抗うことができたのかもしれません。
四国の磯でまた手ごわい魚たちと真剣勝負をしたい。
入院中に掲示板やメールを通じてずっと励まし続けてくださったネット仲間の皆さんに元気になった姿を見てもらうことで感謝の気持ちを示したい。
ある日、掲示板の書き込みによってそんな願いが一気に叶う、またとない機会が訪れたことを知りました。
「5月15日、日振島にて第3回サタンフェスタが開催されます!」
当然1も2もなく参加することを表明しました。そして約1月半、体力を蓄え、体調を整え、ついにその日がやってきました。
本格的な磯復帰、遠征はこれが最初ということもあって観光旅行がてら同行することになった伯父・伯母夫婦の運転で8ヶ月ぶりに瀬戸大橋を渡り一路大洲の「釣り人館ますだ」へ。
入り口を入るとお会いしたかった懐かしい笑顔。
Takayoshiさんご夫婦、かあちゃん、それにかわいい猫ちゃんたち。再会を喜び合い、時間を忘れていろいろな話をし、店を後にしたとき僕の「元気度」は見違えるほどアップしていました。
かあちゃんお勧めの店でおいしいうどんを食べた後、車は南へ。
Takayoshiさん一押しの吉田の道端の磯で大チヌを相手に軽く肩慣らしの釣りをすることになりました。
期待できそうな感じだったのですが残念ながらアタリはなし。じっくり夕マズメまで狙えば可能性は高かったのでしょうが同行者もいることだし、明日のために無理などできないし、早々に見切りをつけて次の目的地へ移動となりました。
目的地というのは宇和島から山を登った松野町。まずは駅の隣のポッポ温泉で疲れを洗い流したあと、お目付け役魔王、マスターさんの営んでおられるTOMMYの扉をくぐります。
さすがにあまりの痩せっぷりに驚かれておりましたが、変わらぬ暖かい笑顔。
またまた話が弾み、特製の塩控えめ鍋焼きうどんをご馳走になり、心もお腹も満たされてまたまた元気度アップでした。
今回一緒に参加できなかったことが残念ではありましたが、明日の健闘と再訪を約して山を下り、いよいよ魔王船、はまざき渡船に到着です。
僕と荷物を降ろし、伯父伯母と車は宇和島市内の宿へ。さて仮眠所に移動して寝るかと思っていると部屋のパソコンの前に人影が。
「こんばんは〜」と声をかけると「もしかして風雲児さんですか?」そう、フェスタには参加できなかったけど仮眠所でお会いする約束をしていたG−AREXさんでした。印象は頼りになるお兄ちゃんという感じでした。
しばらく話していると駐車場に車が入ってきました。ん?姫路ナンバー!?
G−AREXさんが2代目&3代目バラシの帝王さん(今回はもう1隻の船で釣られてました)だと紹介してくださいました。
お名前は存じていたんですが、まさか同じ相生市の方だとは夢にも思っていませんでしたよ。
その直後ま〜君船長が登場。またまた痩せっぷりに驚かれました(半年で25kgも痩せたら無理もないか 笑)
そのうちG−AREXさんはジャパンカップの行われる伊佐へ、ま〜君とバラシの帝王さんたちは市内に出かけられ、僕は布団で夢の中。
一頻り眠ってふと目を覚ますと話し声がします。
バラシの帝王さんたちが帰ってこられたようなのでそちらへ行こうとするとダンディーな男性とスリムな女性が居られました。名誉会長&GUREKOさんです。
部屋が分からなかったようなのでご案内し、そのままお二人の部屋で釣り談義に突入です。初対面とは思えないくらい盛り上がっていると玄関からふらりと一人のお兄さんが。
あっ!以前たくぼんさんとご一緒させてもらったときにTOMMYでお会いしたみちひでさんではありませんか!
この方が見えられたらもう止まりません。まさに話題のマシンガン、笑いの四次元ポケット。しばらくして到着した醤油屋さんも含めてみんなで笑い疲れてしまうほど腹を抱えて笑い続けました。
ふと時計を見るとえらい時間に。やっぱりネット仲間といると時間なんか忘れてしまいますねぇ。
さすがに翌日の釣りがあるのでそれぞれ部屋に戻りましたが、醤油屋さんとは実は2年半ぶりの再会。それで寝られるわけがない!
2度にわたる4連敗からのギリギリの脱出談、今回も撃沈していきなり魔王になってしまうのを避けるためにどれほど気合を入れてきたかなど熱く語っておりました。
ついさっき、名誉会長の口から聞いた「魔王になるのはもう決まってますよ」という言葉、伝えたら逃げ帰りそうだからやめておこう・・・(笑)
ろくに眠りもしないまま集合時間が来て、身づくろいして外に出てみるとみなさん終結されておりました。
懐かしい顔、初めてお目にかかる顔。皆さんの顔は一様に輝いておりました。しかし各自のステッカー、ワッペンからは異様な邪気が・・・
グレ太郎さんやグレ次郎さんにここまで元気になれたことを報告し、ヤッシーさん、かりめろさんはじめ初対面の方々と挨拶を交わしていると開会式が始まりました。
グレ太郎さんの開会宣言、ペアリングの発表、渡礁の順番を決めるくじ引き。
僕と醤油屋さんのGUREsummitコンビは2番目を引き当てました。
そして荷物を魔王船に積み込み、いよいよ出航です。空は星空、船は穏やかな海面を静かに割りながら進んでいきます。
今回は久しぶりの遠征とあって、いつも以上に恐ろしい風雲児まじっくの発動か?とみんな恐れておりましたが、まさかまさかのこの海況。
ひとえに晴れ魔王、磯際の魔術師さんの力でしょう。宿命のお天気対決第2戦はまたしても時化魔王の負けのようです。時化魔王は苦笑い、晴れ魔王は「ニャハハハ」と高笑いでした。
そんなこんなで今日も楽しい操舵室。話が盛り上がるうちに(僕は途中で寝てましたが)あっという間に抽選会場です。
今日はこの船がクジ当番。さて誰が船首に立つのかなと思っていると、みちひでさんの粋なはからいで僕が行かせてもらうことになりました。もちろん初めての経験です。
クジの入った筒を持って魔王船の船首に立って待ち受けていると次々に他の渡船が船首を寄せてきます。挨拶を交わしながら他船の代表の方にクジを引いてもらうだけの話なんですが、あそこに居るとなんとなく気持ちのいいものですね。
無事に抽選も終わりいよいよ渡礁開始です。まずは1番手のグレ次郎さん&ヤッシーさんを1番に降ろし、2番手の僕たちは6番へ。
まずはポイントを見てまわり道具の準備、おっとその前に利尿剤を飲まなきゃ。こんなの渡船で効きだしたらたまりませんもんね。
6番の西側に陣取り、撒き餌を入れ仕掛けを投入します。ちなみに集魚剤は「グレ魔王」サシエは「釣魔王」。
実はチヌ釣りで面白がって「チヌ魔王」を使ってケチがついたのか、これまでの人生でこれほど釣りに行ったことは無いというほど通っているにも拘らず、それ以来何をやっても魚が釣れず現在軽く30〜40連敗中。
今回も悩んだんですがサタンフェスタだし、せっかく醤油屋さんが退院祝いにとプレゼントしてくれたものだからとにかく使ってみることにしました。
しばらくやっているとハコフグやキタマクラが見えてきました。グレの姿は・・・無いようです。
そのうち餌が残らなくなってきました。針のはげ方からしてことごとくキタマクラにやられているようです。あの手この手でやってみてもグレの気配もありません。
そんな中、船着きの醤油屋さんの竿が引き絞られました。
曲がり方からしてかなりの型のようです。突進を止め攻勢に移り、あと一歩というところで竿が跳ね上がってしまいました。無念の針外れ。
本人によると引きからするとグレではなかったかも?ということでした。どうもシマアジか何かだったような・・・。
気を取り直して釣りますがそれっきり2人ともアタリはなく、醤油屋さんが僕の釣り座にやってきて雑談モードに入ります。
そのころには仕掛けをいじるのにも飽きて、僕もただ仕掛けを投入して撒き餌を撒いているだけというズボラな釣りになってしまっていました。
眠たいし、釣れないし・・・
それでも波間を漂っていたウキが気持ちよくスーっと引き込まれていきました。
よっしゃ〜!とすかさずあわせを入れると「ふわ〜ん」と上がってきます。正体はオハグロベラ。2人してガックリですわぁ。
相変わらず2人でウダウダ言いながら釣っていると突如、撒き餌に木っ端ながらグレが浮き上がってきました。
チャンス到来か!?醤油屋さんも一目散に自分の釣り座に戻っていって釣り再開です。
そして竿を曲げています。25cmほどですが4枚しっかり本命を仕留めて、「これで魔王はなくなった!」と満面の笑みです。
えっ?僕の釣り座?グレの姿が見えたのはあの一瞬だけでしたよ。その後は影も形もなし。
そりゃぁゲスト参加の醤油屋氏とは背負っているもの(ワッペン)が違いますがな(笑)
2度目の見回りで6番から3番に移動しました。
撒き餌を入れてもやはりグレは見えず。しかし4番方向に流れる潮に乗せて深めの棚を流していくといきなりアタリ!いい型のカワハギでした。
即座に血を抜いて今日初めてクーラーの中へ。これはいいかもと思ったけどそれっきりでしたわ。
そのうち潮が御五神方向に流れ出したのでウキを1号に替えて竿3本入れて流してみることにしました。
船長から「ここは真鯛も出るから」と言われていたのでワクワクしながら流していたら待望のアタリ!
遥か沖を流れていたウキがジワ〜(ん?)と沈んでいきます。合わせを入れると、キタァ〜!!赤いのですがな〜!
海面を桜色に染めて鮮やかな魚体が水面を・・・いえいえ、頭のでっかい魚が大きな口をいっぱいに開いて体をJの字に折り曲げて上がってきました。10cmほどのガシラですわぁ。
パターンをつかんだのかその後も連発!(苦笑)
結局グレも真鯛も釣れぬまま納竿と相成りました。
今回は本当に潮がおかしかった。醤油屋さんが矢が浜で釣っておられる知り合いに電話してみても、僕が中泊で釣っておられたあさちゃんに電話しても答えは一緒でした。
もしかして日振にこれだけの魔王が終結したことによって空間にひずみが生じて、宇和海全体の潮がおかしくなってしまったんでしょうか?(笑)
皆さん大苦戦で、魚を検量できたのは13人中5人という有様でした。さすがに魔王会!
そんな中44cmを仕留められたみちひでさんが「キング」に輝かれました。2位のGUREKOさん、惜しい!
釣りのあとははまざき渡船の2階で反省会です。撮影旅行でたまたま宇和島に来られていた紫さん夫妻も乱入されてますます楽しくなってきました。
表彰式&抽選会。僕はグレ次郎さんからとてつもなく甘くて美味しい枇杷をいただき、大満足です。グレ次郎さん、ありがとうございました。
そして本日見事に撃沈してしまった「黒魔王」たちが呼ばれました。これから魔王の中の魔王を決めるためのジャンケン大会が行われるようです。グレ太郎さん、HIDEさん、かりめろさん、磯際さん、たっちゃん、け〜じさん、グレ次郎さんそして風雲児。
魔王会らしく、最後まで負け残った方に賞品が出ます。
そして数回のジャンケンのあと、け〜じさんが「魔王なら一度は付けてみたい」金色に輝く魔王ワッペンをゲットされました。
最後にグレ次郎さん、ヤッシーさん、醤油屋さんが前に呼ばれました。魔王でもないのにフェスタに参加した勇気ある行動に感謝状が贈られるそうです。醤油屋さん、不安そうな顔をしています。
案の定、贈られたのは感謝状じゃなくて認定証(笑)一気に魔王が3人誕生です。
さらに旅行中にわざわざ反省会に顔を出してくださった紫さんにも「感謝の印」魔王ワッペンが贈られました。これで4人目。みなさん、ご愁傷様です。これから魔王道に精進してくださいませ(笑)
そうそう、醤油屋さん、魔王になってしまった腹いせに自分とグレ太郎さんを引き合わせた張本人、motomatsu氏を魔王に推挙しておりましたよ。魔王2人が推薦したとなっては彼も当然魔王となることでしょう。
そして第3回サタンフェスタも無事に終了。全員笑顔で再会を約し、それぞれの帰路につかれました。
参加する前はいろいろと不安もあったのですが、これほどまでに皆さんに元気をいただいて帰ってこれるとはさすがに思ってもいませんでした。やはり皆さんの笑顔と楽しい会話に弾む心、そして島を渡る潮風。これほどの素晴らしい薬は他には絶対にないですよね。
こんな体験をしているとさすがの難病も尻尾を巻いて逃げていくより仕方がないでしょう。
皆さん、お世話になりました。本当にありがとうございました。
次回はさらに元気な姿をお見せしますので、これからもよろしくお願いいたします。
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いつになく真剣な醤油屋氏。 |
よっしゃ〜!これで魔王はなくなった〜!
大喜びの醤油屋氏(後の39代目) |
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今回もお世話になった魔王船(はまざき渡船)
魔王ばかり乗せたのに無事でよかった〜。。 |
「今日も帰りは荷物が軽いなぁ〜」
「そうやなぁ・・・」 |
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上段左から、名誉会長(3代目)、ヤッシーさん(38代目)、みちひでさん(9代目)、風雲児(13代目)
醤油屋さん(39代目)、グレ次郎さん(37代目)、HIDEさん(14代目)、け〜じさん(29代目)
下段左から、かりめろさん(15代目)、たっちゃん(23代目)、磯際の魔術師さん(16代目)、
ま〜君船長、グレ太郎さん(初代)、GUREKOさん(初代撃沈女王)。みなさんお世話になりました! |
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