四万十川での釣りを終えた後、同じ四万十市にある「名鹿(なしし)」という渡船区に行く予定でした。
未だ磯には渡ったことはないものの、はるか昔の家族旅行のときに漁港から初めてグレという魚を釣った思い出の場所。
しかも最近絶好調という情報をもらっていたのでぜひ挑戦してみたいと思っていたのですが、沖の彼方に台風の影。
5日の当日に北緯20度線を越えるかどうかという微妙な位置でしたが、データを見てみるとかなり強い台風で大事を取って
南向きで磯の小さい名鹿を避け、愛媛県御荘湾に行ってみることにしました。
この釣り場は名だたる渡船区に囲まれてチヌばかりが有名で、グレ釣り場としてのイメージはあまりありません。
しかし特大のグレの可能性はほとんど無いものの、なかなか侮れないポイントであるようです。
シマアジ回遊中!という情報も入っていましたし♪
出船時間は6時ということでゆっくりと睡眠をとり、渡船の発着場に向かいました。
宿を出る前に見た天気予報は北西のち南の風弱く・・・。さすがにこの場所ではうねりも無関係だし、暑くなるかもしれないけど
楽に釣りができるな〜!どこでも上がり放題だな〜!なんて期待いっぱいで行ったのですが、入れ違いに夜釣りから帰ってきた人の話によると、沖は物凄い風で釣りにならん!とのこと。そ、そんなぁ〜。
とにもかくにも荷物を積み込み出発です。暫く走るとやはり凄い風になってきました。船がなかなか進みません。
おっと、携帯が鳴っています。お隣、中泊におられるたくぼんさんからです。
「ごっつい風やぞ〜!誰かさんがこっちへ来るからじゃ〜!!」
この季節にまさかこれだけの北西風。それに反してうねりが警戒された太平洋側は穏やか。
う、裏目やがな〜。時化男の面目躍如ですが近くで釣りをされていた方々にも多大な巻き添えを強いてしまったようです。
面目ない・・・。もし名鹿に行っていれば向こうが大荒れになっていたはずですが・・・(笑)
船は一路沖へ。まず三畑田島に一組下ろしました。
このまま沖磯に乗れるのかなと思いきやいきなりUターン、旧御荘町の端っこ、礫崎を目指しています。
ここもいいポイントだし、ツブテの丘というところに降りました。
風はそう邪魔にはならないのですが、波が高く、時折釣り座にも飛沫が大きく飛んできます。
これって、いいかも!
足元に撒き餌を入れ、コガネスズメダイを引きつけておいて少し沖を2〜3ヒロで探ってみます。
おっ!今日も一投目からアタリ!!
20数cmの尾長です。グレの顔を見たの何ヶ月ぶりだろう!
サイズアップを見込んで放流した後、同じように沖の小さな潮目を攻めているとまたしてもウキが入っていきます。
力強い引きを竿でしっかり受け止める快感!程なくして水面を割ったのは40cmのチヌ!
続いて30cmのアイゴ!さらに同寸の口太!!
しかし間もなく潮が変わり当て潮になってしまいました。それとともに流れ藻が一斉に押し寄せてきて、近くのコガネスズメよりも、遠くのウスバよりも、何よりも早くホンダワラが仕掛けに絡み付いてくる状況になってしまいました。
我慢の釣りを随分としていると、ようやく藻が少なくなってきましたが、次に現れたのは海面を埋め尽くす手のひらコッパの大群でした。いろいろやってみたけどどうにも打開策が見つかりません。しかもやつらの下に大きいのが潜んでいる気配も感じられません。
なんか面白くなかったし、せっかく来たのだから一度は沖の磯にも上がってみたかったし、シマアジも欲しいし・・・ということで荷物をまとめて弁当船へ乗り込んだのですが、
グレはこの周辺が一番食っているという船長には少し嫌な顔をされてしまいました。
コッパの中から釣る釣り場でコッパから逃げるやつにまともなグレが釣れるか!
一人じゃ撒き餌の量が足りん!一人で磯釣りに来るということが間違いや!
そして、沖ではこの強風を真正面に受けて戦わなあかんけど、出来るんか?といわれたけど、失礼な!わしゃ、こんな風の中でしか釣りをしたことのない人間やぞ!!(威張るようなことでは・・・)
風を釣りこなす技術なんてないけど、強風に耐える精神力だけならそこらの名人にも引けを取るものではない!(ただ慣れているだけやがな・・・)
逆風でとにかくスピードが出なかったけどそれでも御荘では最も沖に位置する「黒部島」の西向きに上陸。
早速釣りをと思ったけど、腹が減っては戦はできぬということで弁当を開きます。
その途端に周りを黒い影が何度も横切りはじめました。ふと上を見上げてみると、数羽のトンビが攻撃態勢を取りながら飛び交っています。
明らかに狙いはこの弁当。強風の壁に阻まれてなかなか攻撃には移れないようですが、これでは落ち着いて食べられません。
僕も来たら叩き落す!と迎撃態勢をアピールするのですが敵も執拗です。
そこで切り札を投入。少し離れたところに置いてあったクーラーを引き寄せます。
クーラーの上蓋には今回はじめて貼り付けた丸い魔王ステッカー。
これがまた効果抜群。魔力に恐れをなしたのか、丸い形が目玉風船の効果を顕したのか分かりませんが、とにかくトンビたちはその後寄ってきませんでした。
猛禽類まで遠ざけるとは・・・。魔王ステッカーおそるべしっ!!
無事に弁当も食べ終えたところで、いよいよ釣り再開です。Bのウキ、段シズの仕掛けを基本にいろいろ試してみることにします。
それにしてもこのポイント、さすが一番沖にあるだけに物凄い風圧です。しかも足場も悪く、一度バランスを崩して転倒まで
してしまいました。減量のし過ぎかな・・・(笑)
とりあえず平らなところにバッカンを置いて風に向かって撒き餌を遠投!・・・したつもりが見事にUターンしてなんと磯のはるか後方に飛び去っていきます。
ぺっぺっ!集魚剤、口に入ったら塩辛いがな!
どうにか仕掛けを入れると数秒でアタリです。まさに入れ食い!ハタンポに赤じゃこ・・・。
しかも釣れるのは早いけど取り込みが遅い。風に乗って空中に舞い上がり、延々と大空を泳ぎ回って落ちてきません。
しかも空中の魚と格闘している間に何発も頭から飛沫を浴びせかけられます。
いつものこととはいえ、風邪をひいたらそれが引き金になって病状が悪化してしまう可能性のある身になっていることでもあるし、
東よりの足場の高いところへ引越しです。
海面まで5mはあるとはいっても、やはり何度かは大波を浴びてしまいました。しかし、移動して攻め手が広がりました。
足元にひたすら撒き餌を打ち続け、風を利用して斜め沖にも撒き餌を入れ、そのポイントにこれも風を利用してサシエを忍び込ませていきました。
なかなか結果は出ませんでしたが、これしかないと思い定めて続けていくと、波の下を漂っていたウキがスルスルと消えていきます!
よしっ!!
引きをかわし、更に強風の攻撃もかわして念願のグレ!
サイズは33cmながら元気いっぱいのファイトでした。
分かった!と気合が入ります。しかし時計を見ると2時前を指しています。3時納竿なのであまり時間がありません。
撒き餌の残量もちょうどその時間で使い切るくらいの量でしたし、それからの1時間弱はかつてないほど集中した釣りを展開できました。
もう強風も味方でしかありません。
エサトリも相変わらず釣れ盛ったけど、攻めに攻めて30cmの口太をもう一枚追加。
しかしこれが精一杯でした。
予定通り撒き餌を使い切って3時前に納竿。
三畑田島の釣り人のようにシマアジやらイサギ、尾長の40オーバーが僕の竿を曲げることはなかったけど、あの風の中、要所を締めて充実した時間を過ごすことができて今回は満足でした。
中泊で夕釣りもされていたたくぼんさんに後で教えていただいたのですが、僕が釣り場を離れた頃に嘘のように風が止まり、翌日はベタ凪ぎの中で釣りができたそうな・・・。
少々病気をしたところで「風雲児まじっく」はやはり衰えるところを知らないようです。
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