風雲児  烈風伝
・遥かに続く砂の道。見えざる敵には足で勝負!
           サーフのヒラメ・マゴチ in 鳥取砂丘

2007年 6月6日  鳥取砂丘・鳥取県田後漁港
鳥取市を中心とした地域の海岸に東西16キロにわたって続く鳥取砂丘。
この広大なサーフの真っ只中でルアーを投げ、砂の中に潜むヒラメやマゴチを狙うのも私の夏の恒例行事の一つになっています。
梅雨明け後の夜明け直前に波もないベタ凪ぎの波打ち際に入り、短パンにサンダルの出で立ちで投げては歩き歩いては投げ、日が高く昇って日干しになる前にUターンして撤収というのがいつものパターン。
この日はまだまだ梅雨入りすらしておらず、私の中ではフライングだろうとは思いながらも、様子を見るつもりでこの時期の釣行に初挑戦してきました。

今回は中学時代の同級生のM君と二人旅。話が弾むと鳥取までの2時間の道のりのなんとも早いこと!
千代(せんだい)川河口東側の「十六本松」の駐車スペースに車を停めて歩きにくい砂の上を突っ切り、予定通り4時半前に波打ち際に到達です。
風は吹いてますが快適な追い風。その風に乗せてキャスト!
よく考えたら南風なんですよね、これ。兵庫の瀬戸内側や四国南西部でいつも釣っている身には不思議な感覚(笑)

この日の私のタックルはソルティープラッガーSPS862、トーナメントZ2500LBDといういつものコンビに、ライン8ポンド、リーダー20ポンド。
ヒラメもマゴチも上を向いていて通りかかった餌に飛びついてきますので、底を引きずるようなルアーはあまりよくありません。8〜9cmのフローティングミノーを中心に底の状態や狙いたいタナに合わせて小まめにチェンジしていきました。

東へ東へ弓なりに続く砂の道。その先には県境を越えて兵庫・但馬へと続く山々。
その山並の一角から空と海と砂を茜色に染めながら朝日が昇ったのは釣り開始から30分ほど後のことでしょうか。
何ともいえぬ神々しさ。思わずキャストの手が止まってしまいます。

「何か来た!」
日の出の陶酔から醒めて再びミノーを泳がせ始めて間もなく、隣で釣っていたM君が叫びました。
波の中でパチャパチャと跳ねる細身の魚。難なくランディングした所に駆け寄ってみると20cmほどの魚が砂にまみれてのたうっています。
セイゴ?否、ヒレにもエラブタにも鋭さの欠片もありません。櫻鱒?否、口も小さく、色も銀色というよりねずみ色。何より脂ビレなどどこにもありません。
砂を落としてみてもひっくり返して見直してみてもそれは降海性のウグイでしかありませんでした。二人ともガックリ。

明るくなって海の中がはっきり見え出したので答えが早く出るようになり、移動スピードが上がります。
一箇所で方向を変えて3〜4投すればすぐに移動。そこで3〜4投してまた移動。
獰猛な魚食魚であり目のいいヒラメが相手なのでリトリーブのスピードも結構速いです。

近いようでいて歩いても歩いても遠い、賀露(かろ)港と千代川。
砂丘では距離感が狂ってしまいます。
ヴィクセン9cmフローティング・オイカワカラーを風に乗せて投入。すぐにリールのハンドルを回し、そしてパパン!とトゥイッチを入れた瞬間、きたっ!ついに待望のヒット!!
これもまた、沖合いでバチャバチャと激しく波飛沫を巻き上げています。えら洗い?これはスズキ系??
しかし妙にスルスルと寄ってきます。波間から覗く長い体。そして鋭いくちばし。目測70cm。ダツやないかいっ!!日本海にもコイツが居るなんて思わなかったな・・・

気を取り直して30mほど移動してキャスト。その2投目、海藻の塊の際で再びロッドに重みが乗りました。
しかし魚はほとんど抵抗することなく砂の上へ。それもそのはず今度はクサフグのスレ掛かり。

またまたテクテク歩いてテンポよくルアーを通していきます。次の場所は割りと遠浅。
暫く前のポイントから使い続けていたパニッシュ8.5cmサスペンド・ヤマメカラーを、まずは正面に一投。次に歩いてきた方向に斜めにキャストして軽くトゥイッチを入れながらリトリーブ。
ルアーが竿先から20mほど先に差し掛かったとき、ゴン!と衝撃がありました。
「また何か来たで!」と小気味よい引きを味わいながらゆっくりと距離を詰めれば、波の下を滑ってきたのは紛れもなくヒラメ!一気に慎重モードへ(笑)
引き波が過ぎるのをジッと待ち、次の寄せ波に乗せて浜へと引きずり上げました。
ふと横を見ると、M君もルアーのフックに獲物をぶら下げています。ダブルヒット!残念なことにM君のほうは魚じゃなくてカニでしたけど(笑)

さすが、ヒラメ。み、見えん・・・。
私のヒラメは30cm。「ヒラメ」というよりも「ソゲ」というべきサイズでしょう。
しかしヒラメは夏!というイメージしか持っておらず、はっきり言って全然本命を期待していなかった2人の活性はここに来て一気に最高潮に達しました。
足取りも軽くここぞというポイントに次々とルアーを通していきます。

サーフからの釣りはどこに魚が居るのかが分からず、予想もしないところで予想もできないことが起こるのが最大の魅力です。
波打ち際ギリギリの所からいきなりビッグワンが飛び出してきたりなんてこともよく有ること。
私もこの鳥取砂丘で以前、足元まで来たミノーに57cmのマゴチが何の変哲も無いように見えた汀から砂を巻き上げて飛び出してきて、ピックアップ態勢の真っ只中の竿を一気にへし折られたことがあります。
どんな大物でも姿はまず見えません。目だけを出して砂の中のどこかに潜んでいるのだから。
しかしどこも同じように見えるサーフでも重点的に狙うべきポイントは慣れれば一目瞭然です。
地形の変化、底質の変化、潮流の変化・・・。足元でもちょっとした駆け上がりなどは如何にも!と直感します。
ただ今回はそんな如何にも!ポイントでは全く結果は出ませんでした。

「おっ!食った〜!ヒラメや!」
今度は少しサイズが下がって25cm。
先ほどのヒラメもそうでしたが、コイツもダラダラと水深の浅い所が沖に向かって続いている所でのヒットです。
M君が続くように待望の1枚を掛けたのもそんなポイント。
ミノーを付け替えて足元でトゥイッチを入れてみたり、そのミノーの泳ぎを見ているときにいきなり飛びついてきたそうです。
こちらもサイズは25cm。

M君もついにヒット!この日のヒラメにはサイズを超えた喜びがありました。
気分も快調!ドンドン行け〜〜!!ですが、歩くにつれて妙にうねりが高くなってきました。
おっと、一際高い波が!これはヤバイ!!
投げたルアーもそのままに後ずさりして難を逃れようとしますが、その場所のすぐ後ろには腰まである砂の壁がっ! サバ〜ン!
逃げ切れずブーツの中は見事に浸水。あ、足が不快だ・・・
それを見て笑っていたM君も数分後には「わっ、やられたっ!」と、同じように水浸し。
この日は北西からの波。これまでベタ凪ぎだったのは千代川の導流提や対岸の賀露港沖の一文字群が楯になっていてくれていたのです。

1mほどとは言うものの砂を巻き上げるうねりはこの釣りにはやはりよくないらしく、ここから先はヒラメの反応はありませんでした。
投げたルアーをマゴチのようでもあり、サメのようにも見えた60cmくらいの細長い魚が追ってきたがフッキングに至らずなんてことが一度あったのみ。

西の空が不穏な黒雲に覆われてきたし、歩けば歩くほど高くなってくる波と増大してくる釣り難さに前進を諦めてUターン。
これまで歩いてきた道を再びルアーを投げながら辿って、十六本松の駐車場に戻ってきたのは9時ごろだったでしょうか。
本日のラン&ガンの距離は往復約4キロくらいは超えていたかな?


ここでこのまま帰路についてもよかったのですが、折角中国山地を越えて来たんですし去年に釣りをした事のある田後(たじり)漁港までついでに足を伸ばしました。

港へ着いた時にはすでに空は掻き曇り、準備してテトラの釣り座へとたどり着くや否や、辺りは大粒の雨のカーテンの中。
これは堪らん!と数投しただけで急いで逃げ帰ったけど、車に近付くと雨は嘘のようにピタリと止んでるじゃありませんかっ。

その夜は姿造り〜〜♪
ヒラメの三枚おろしの方法はそのうちアップ予定。
「何や、これならやれるやん!」と今度は波止の先端へと再出発。
数は少ないものの何箇所かはイカの墨跡があります。M君は早速先端の沖に浮かぶ磯に向かってエギをフルキャスト。
と、その時、足元の水面近くを500gくらいのアオリがスーッと泳いでいくのが目に留まりました!
M君は遠投したエギを慌てて回収して目の前に落とすものの残念ながら見向きもされず、その後もアタリ無し。ルアーを投げていた私にも何の音沙汰も無し。
そして再びの大粒の雨。またまた為すすべなく撤収です。
が、何ということでしょう!車まであと数歩という所まで歩いて戻ってくると、またしてもピタッ!と雨が止んでしまいました。
しかし再び戦意が沸くことは無く、これを機に鳥取を後にすることにしました。

聞けばM君、釣行日の雨記録が止まらないんだそうな。しかも不定期の休みでというから筋金入りじゃないですか〜!
こんな雨男と恐怖の時化男が組んで釣行すれば終日平穏な釣りなど有り得ませんな。以前に二人で家島に行ったときもえらく荒れてたし(笑)
この釣りのシーズンはこれから。また必ず来ような!と誓い合いはしましたが、次回もきっと荒れ気味の妙な天候に苦しめられることになるんだろうなあ。
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