「去年に引き続きイイダコ好調!今年もまたみんなで行きましょう!」とのボロ222号さんからのお誘いに、テンヤに飛びつくイイダコよろしく、私の「食欲」が行こうと言いました。
この時期のイイダコはまだまだ繁殖期ではないので卵(いわゆる「飯」)は入ってはいませんが、身そのものの味はバッチリ。
それになにより数がとにかく釣れるのが嬉しい所なのです。
しかし釣行予定日は前日の天気予報で台風や前線の影響で大時化の「予想」が出て延期・・・。
一週間後の10月13日、岡山県西大寺、吉井川の河川内の港に4人の釣り人が改めて集いました。
良夫さん、寝太郎さん、そしてボロ222号さん。
挨拶もそこそこにボロさんの愛艇「Super Machin ワヤデー24」号に乗り込み、午前9時半予定通りにスルスルと岸壁を離れ、一路「イイダコマンション」と言われるポイントへ向かいます。
船は毒と刺客と裏切りで備前・美作を征した戦国大名・宇喜多直家の乱世への第一歩が刻まれた乙子城跡を左手に見ながら吉井川を下り、仰ぎ見れば恐怖を覚えるほどに高い送電線のアーチをくぐって児島湾に別れを告げると、数多の島影の中、正面に行く手を遮るかのように豊島(てしま)の姿。
その島内の風景が徐々に鮮やかになる頃、海上には群れ集う船・船・船。まるで冬の河口の水面のカモメの如く
ボロさんがエンジンを止め、シーアンカーを流し、その船の群れの一部として溶け込んだのは港を出てから40分ほど経ったころだったでしょうか。
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ボロ222号さん&寝太郎さん。 |
そう。ここが本日のポイント。早速道具をセットしなきゃ。
とは言ってもこの釣りの道具はシンプルそのもの。有り合わせの竿に有り合わせの糸。それにイイダコテンヤを結んで投入するだけです。
ちなみに私のタックルは、10数年前に2000円で買った6フィートのバスロッドに、同じ頃のダイワのカタログで1番か2番目に安かったベイトキャスティングリール。何だかよく分からないけど3号くらいの緑色のナイロンライン。それに丸い球のついたここらでは一般的な船釣り用イイダコテンヤでした。
イイダコ釣りと言えば、その習性を利用してテンヤに白いもの(ラッキョウとか豚の脂身、瀬戸物やら、古くは彼岸花の球根など)を取り付けるような話を聞いたことがあるかもしれませんが、これならもちろんそんな手間は不要。実に楽チン^^
4人思い思いに散らばって、準備が整った順に釣り開始。 私も船の舳先に移動してキャスト!
船べりのちょっと向こうにアンダーハンドで軽くキャストして、テンヤが底に着いたら海底を跳ねさせるようなイメージでゆっくり少しずつしゃくってイイダコが乗ってきた合図である重みを感じるのを待ちます。
さて誰が一番に掛けるかな?
おっと、お隣の良夫さんが一番乗りで竿を曲げています。が、残念、針外れ。
さらに良夫さんは何度も連発で掛けるのですが針外れも連発。
結局一番槍はこの日イイダコ初挑戦の寝太郎さんが上げられました。その直後から良夫さんも連続でゲット。
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色を変えたら一発で! |
しかしながら私とボロさんには海底から何のシグナルも送られてはきませんでした。
「原因は色と違いますか?」との良夫さんのアドバイスで二人ともテンヤの球の色をそれまでのパールピンクのものから良夫さん&寝太郎さんと同じパールホワイトに変更。
するとまさに効果覿面で、替えて一投目からグッと重みが竿先に伝わってきて本日1杯目ゲット!
おっ、今年のイイダコはサイズがいい!
それからは沈黙が嘘だったかのように次々と反応が押し寄せてきます。が、やっぱり引き上げる途中で何度もイイダコがテンヤから外れてしまいます。
今日は食いが悪いのかな?
首をかしげていると再び良夫さんから「強くアワセた方がいいですよ」とアドバイスを頂きました。
随分と出遅れた私も、以後テンヤに重みを感じると同時に肘をグッと引き付けるバス釣りのようなフッキング。これで取り込み率が飛躍的にアップしました。
そうか、軟体動物でもタコの足はイカと違って硬いですもんね。
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墨を大量に浴びながらも、今年も次々と
仕留められた良夫さん。 |
最初早くて釣りにくかった潮も12時ごろには緩み、ボロさんの見立てどおりに釣れっぷりもかなり良くなってきました。
ここでちょっと検証タイム。
「活性が上がったこんな状況なら色など関係なくなっているのではないだろうか?」
調査のためテンヤを最初使っていたパールピンクに戻しました。釣れていた白いやつとはメーカーも大きさも全く同じ。
検証結果:アタリは素晴らしく遠い。一応釣れはしたが、その日のイイダコとしては極端に小さいサイズが1杯だけ。
ま、ピンクが当たりの日も有るんですけどね。今回は全く通用せずでした。
ついでに岸からのキャステイング用のイイダコテンヤ(白とピンクのミックス)も試してみました。
こちらはアタリこそ多いのですが船からだと腹が立つくらいにフッキングしません。やっぱり適材適所じゃないとあきませんわ〜。
で、普通のテンヤの白に戻すとやっぱり普通に釣れるんですよねえ。
そんなことをしている間にも潮はさらに緩み、船内はカツオの一本釣り漁船に変わったかのようなイイダコフィーバー!
・・・のはずでしたが、この日は思惑とは逆にアタリはほとんど無くなって活気付くどころかすっかり沈黙してしまいました。
さらにタイムリミットも近付いてきました。2時にこの豊島沖のポイントを離れて帰路に付く予定でしたから。
しかし残り時間5分というところで凄いのが来たっ!!
それは海底を跳ねさせているテンヤにではなく、竿先・・・のさらに先、海面上をゆっくり近付いてくる大きな船だったのです。
その船は「こちらは海上保安庁です。遊漁中のみなさん、海難事故防止のため救命胴衣を着用してください」という放送を何度か発した後、わき目も振らずに「ワヤデー号」へ一直線に接近してきました。
言われるまでもなく、みんな西大寺を出港する前からしっかりライフジャケット着用してますがな。
ん、違う?もしかして毎度毎度天気予報を覆す大時化を呼び続けてきた、悪天強暴組合総帥、ついに逮捕なのか!?
「本船の正面の遊漁船の船長は海技免状(船の免許)と船の書類を用意してください。これから近付いてタモ網を伸ばしますので、その中に入れてください」
なるほど。海の検問だったんですね。
車と違って船の免許には点数がないので、捕まると海技免状不携帯だけでも前科になりますよ。と昔4級船舶を取りに行った時に習った記憶があるのですが・・・。
ボロさん、タモ網にちゃんと免状と書類を入れていました。(当たり前じゃ〜)
書類を受け取った海上保安庁の船は少し離れて書類の内容を確認しています。
ここで再び検証タイム。
「今、全員のイイダコテンヤを投げてあの船に一斉にぶつけたらボロさんは逮捕されてしまうのか?」
せ〜のっ!・・・って勿論冗談ですよ(笑)
待つことしばし、再び巡視艇からタモ網が延びてきて、何事も無くボロさんの書類は返還されました。
これでようやく帰れます。何事も無い順調な航程で西大寺に帰還。
さて生簀を開いて獲物を山分けです。
私のクーラーに収まったのは23杯。つまり本日の釣果は4人で約92杯ということですな。
当たり年の今年としてはもう一つ芳しくない釣果だったようですが、本当に楽しい一日を過ごせてもう十二分に満足です!
さらに楽しみはまだ続きますしね。
イイダコ釣りの一番の醍醐味はその夜の食卓にあるのかもしれませんから。煮付けてよし、揚げてよし、おでんに入れればさらに佳し!
きっと全員が今夜はどうやって味わおうかなと楽しい悩みを抱えて帰路についたことでしょう。
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良夫さん、寝太郎さん、ボロ222号さん
そしてSuper Machin ワヤデー24号。
今回もありがとうございました。
是非また連れて行ってくださいませ。 |
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