・魚も遠出?御荘GW釣行記
2008年 4月27〜28日 愛媛県 御荘の磯
新緑に照らされた木々を気持ちのいい風が渡ってくる季節、風雲児動く。
滅多に手に入らない3連休。これを逃すと次はいつまで待たなければならないのか分からないということで、サツキマスの便りも、例年僅かしか出ないはずの50オーバーのチヌが連発しているという、5ヵ月半のオフシーズンから明けたばかりの地元の海の誘惑をも振り切って、水温の上がり下がりが激しくてここのところ芳しい釣果は無いとは知りながら、四国の磯へと向かいました。
休みも仕事もみ〜んな一緒の日本人の悲しさ、世間もゴールデンウィークですし、庶民の悲しさ、5月に入れば高いガソリン税で政治家や官僚やゼネコンの偉いさんといった政治家の言う「国民」の私腹を満たしてやらなければならないため、4月終盤は有名なポイントは大混雑かも!?
そこで、素晴らしい知名度と実績を誇る釣り場に囲まれてグレではあまり注目されず、また全国的なチヌ釣り場として轟いたその名も三浦湾・北灘湾の栄光に前に今や霞み、過去のものになってしまった感がある御荘を選択しました。
個人的に思い入れのある大好きな釣り場ですし、魚種も多く、何よりグレでも侮れない場所ですからねえ(御荘に行くたびに書いてるような・・・)
ちなみに私の御荘釣行はいつもグレ狙いです。
チヌは釣れてくるのは大歓迎ですが、地元で出会うのは今のところほぼ不可能に近い35cmの口太グレと違って、時期になれば家から5分の場所で釣れる魚に往復10〜12時間という時間と莫大な遠征費を費やしたくないというケチな理由で、大物が出るとはいえチヌが本命の遠征はありえません。
それにしても久しぶりの宇和海ですな。
渡船代の高さと、時間の短さ、泊まりや通しでのメリットの無さなどですっかり足が遠のいていましたが、魚影の濃さは魅力的。不調でも何とかなりそうな??しかも御荘ならそんなことも気にせずに心行くまで釣りができるし。
これももちろん久々の大洲を経由して、日付の変わる少し前には愛南町に進入。旧内海村の国道沿いの椰子の木の下に車を停めて寝袋の中へ潜り込みました。
よく使われる仮眠ポイントを外しているため、聞こえてくる音といえば時折国道を通り過ぎる車の音と微かな波の音だけ・・・のはずだったんですが、この夜は実に賑やか。
ビユゥゥゥゥ〜〜 バサバサバサ ゴォォォォ〜〜 ガタガタガタガタ
そうです。外は凄い北西の風です。車も大揺れに揺れて・・・。こりゃ初日は無理だと諦めの中で眠りに落ちていきました。
今回は当ホームページが素材をお借りしている愛南町の「釣りんぼさん」のご友人が営まれている民宿「山本屋」と渡船「八栄丸」を利用するので、早朝仮眠場所からジョイフル経由で御荘湾をぐるっと回って南岸の高畑港へ。
御荘のシンボル・三ッ畑田島
夜が明けても、その高畑港でもやはり強烈な風が吹き付けています。
案の定沖磯でのグレ釣りは絶対無理と言うことで、この日は7時、御荘湾内の風裏のポイントを探して出港です。
心ならずも御荘では初のチヌ釣りになってしまいましたが、何と言ってもここは御荘。大チヌの怒涛の入れ喰い目指して頑張りましょう!
有名な別荘下やマブネ灯台を横目に見ながら船は延命寺岬のずーっと付け根、樫の浦集落近くへ。
「松本」の近くの「作業場」という場所だそうです。ここなら吹き荒れる風もほとんど気になりません。
船着きの鼻よりもやはり、奥にある牡蠣か阿古屋貝かの養殖筏の際がポイントということで荷物を持って移動。
まずはセオリーどおり撒き餌を30発ほど打ち込んでからゆっくり道具を準備、筏の左端と駆け上がりが交差する辺りを目掛けて投入!するのですが、投げにくいよぉ〜〜。
背後に迫る急斜面、覆いかぶさるような木々。潮が高いせいもあって釣り座が狭くて竿が振りにくくて仕方がありません。
さらに左には筏のロープが入っていて・・・ありゃま、三投目で引っ掛けてウキが飛んだ(涙)
まあ御荘湾内に来てロープにボヤイていてはボーズになるだけ。気を取り直して仕掛けを組みなおし、同じポイントに再投入。すぐにウキに反応があり、アカササノハベラが上がってきました。
松本・作業場
それからというものまさしくベラの猛攻が始まったのです。アカササノハベラ、ホシササノハベラ、ホンベラ、ニシキベラ、オトメベラ。そして時折25cmクラスのヒブダイ。
ベラの猛攻も御荘の付き物だそうです。それにベラが釣れるということは棚もこれでいいはず。
下手に対策を講じるより、チヌがこれらを追い散らしてくれる瞬間まで腹を決めてベラ釣りですわ〜。
11時、相変わらずのベラの嵐の中、弁当船が来ました。さらに小サバの群れもやってきました。
かつて御荘湾のチヌと戦っていた先人達の記録の残骸をネットで拾い集めてみると、この湾のチヌは15時を過ぎてからまとまって釣れる事が多いそうな。
そして長かった撒き餌の時間に答えて、嵐のように連発するその時間は「御荘タイム」と称されるそうな。(今もそうなのかな?)
それまでは我慢、我慢。
弁当を食べていると突然、水面がドカ〜ン!! ん?何だ何だ??
スズキか何かが小サバの群れに突っ込んだのでしょうか?
弁当を食べ終わるとすぐに小サバを釣って背掛けにして放り込んでみました。
すぐにサバを猛追する魚影。しかしそれは水面を爆発させるような魚ではなくて特大のクサフグ。小サバは一瞬でボロボロです。さらにそのフグの群れは当然オキアミをも猛追。おかげで何本針を失ったやら。
さて、いよいよ時計の針は15時を回りました。迎えを頼んでいる17時まで、潮が引いてすっかり釣りやすくなった釣り座で改めて気合を入れなおして勝負!
ベラの攻撃も心なしか緩んだような・・・と思いながら沈んでいくウキにアワセを入れると、うんざりするほど味わったベラの引きとは違う小気味のいい感触。
何かやたらと爽快感を与えてくれながら上がってきたのは30,5cmの未だに抱卵していた口太グレでした。これだけ釣ってようやくキープ。
結局この日はチヌは出ず、グレもこれ1尾だけで終了。
まあ明日は風も収まってくれるはずだし、いい湯、旨い食事、山本船長との楽しい時間を味わって、期待を胸にグッスリと眠りにつきました。
山本屋所有・八栄丸。中央は御荘湾内を代表するポイント、マブネ灯台。
その後ろの建物の下が別荘下。ガシラの煮付け、カンパチ・イサギの刺身、馬刺し
足袋エビの塩焼き。他に大エビフライなど揚げ物。
一泊5000円なり。
明朝は旨いイサギの干物の朝食を平らげてから、イカ釣りの3人組の方々と共に宿の真ん前の岸壁を6時に離れました。
この日は予定通り湾外の磯へと一直線!ただし全体にサッパリな中でも特に沖の磯は食ってないようですので、船長は湾外と言っても地方の磯、室手(もろで)海岸に程近い、対岸の渡船で「洗濯岩」と呼ばれているらしい磯に船を着けてくれました。
船長が磯名「大岩の隣」でもいいけどと言っていたように、釣り座の左手には以前に乗ったことのある「大岩」と、その先にはこれも以前に乗ったことのある「小貝バエ」の灯台が見えます。
大岩といえば60cm近い口太が見えていたというポイント。期待が膨らみます。
今日もやっぱり強風。不用意に荷物を置くとそのままどこかへ飛んでいってしまうであろう横風の中、そんなものには慣れきって最早全く気にもならない悪天強暴組合の総帥はいつもどおりに準備を整え、足元へ撒き餌を一発二発。
洗濯岩から見る大岩と小貝バエの灯台。
その奥が御荘の湾口(銚子の口)
磯際から走り出てくる赤い小さな影はクロホシイシモチ。その沖へ沈め気味にしたウキを投入。
この日も最初の獲物はアカササノハベラでした。続いて20cmのガシラを釣って、これはキープ。
そうして暫く釣った後、撒き餌が効いてきているはずの潮下のシモリをいよいよ直撃です。
待つほどもなくシュルシュル〜とウキが海底へ。すかさず立てた竿は弓なり!
耐えてこらえてどうにかシモリから引き離し、尚も右へ左へ暴れる魚をオレガ一徹1.5号のバットで押さえ込んで浮かせ、空気を吸わせることでエラを体に張り付かせ、呼吸を封じてフィニッシュ。
40cmちょっとのヒブダイですな。これも旨いのでキープ。
そのシモリでは釣果は続かず、大岩向きのシモリが点在するポイントに狙いを替えてみても大きなフグに針を次々食われるばかり。グレなんて事前情報どおりサッパリ気配もありませんがな。
洗濯岩の釣り座。左に礫崎、右に三ッ畑田島
この頃には風はすっかり収まって、格段に釣りやすくはなっていましたが。(風が強い方が燃えるけど)
それならいっそとウキ下を竿2本近くまで落として遠投、イサギか何かでもと思っていたらウキが入って、何か来た!
これが来るとは全く想像してなかっただけに水中での動き方に少し首を傾げたマアジ。見るからに旨そうな30cm。ご馳走バンザイ!
こうなったら帰宅後の食卓はアジ三昧!!ともちろん同じ場所を集中攻撃するのですが、アジは結局その1尾だけ。それどころか、この日もまたまたやってきた小サバ軍団にポイントを乗っ取られてしまいました。
あ〜ぁ、こりゃ弁当船でどこかに替わろうかな・・・なんて思っていたら小貝バエの辺りに八栄丸の姿が。はい、勿論替わります!
ただあまりにも急だったもので水汲みバケツで磯の掃除をすることが出来なかったのが心残りですけど・・・。
船長は「小貝バエにでも行ってみる?」と言ってくれました。確かにあそこなら何となく魚影は濃そう。
どうしようかな?ミツバエやツブテ方面にも惹かれるし、テボ礁なんてのもどんな所か見てみたいような。
しかし、それ以上にどうしても竿を出してみたい磯がありました。
沖は特に喰っていないというのは承知の上。折角ここまで来たんだし、どうせ撃沈するのならあの場所で散りたい!と船長にお願いして舳先を洗濯岩から真正面、3つ並んだ島影に向けてもらいました。
三ッ畑田島(みつはたんだじま)。
行儀よく並んだ形の佳いその島々の姿は旧御荘町を代表する景色であり、特に室手海岸辺りから眺める夕暮れ時、金色の海に浮かぶ光景は見る者の心を捉えて放しません。
その一番湾口寄りの島、通称1番の西向きに上げてもらいました。正面沖には角島、その左手のさらに沖には由良半島が見えます。
背後の切り立った斜面といい、底など見えない眼下の海の色といい、こりゃ深そう。
三ッ畑1番から2番を望む。
右手には小さく黒部島。さらに沖は中泊。
とりあえず磯際からやってみますか、と撒き餌を打ち、仕掛けを入れてみるとまたしても一発目はササノハベラ。
暫くやってみてもベラとガシラが数匹。
沖を探ると更に何の反応も無し。
再び足元でクロホシイシモチ数匹。クマノミ1匹。ガシラ数匹。それにしてもこのガシラ、でかっ!25cmなんて地元じゃほとんど見たこともありませんがなっ!(一人で興奮していましたが、後で船長にこの辺じゃあんまり大きくないと言われてしまいました 汗)
グレはともかく、イサギやマダイでも居らんのかいな!?とまた沖へ投げてドンドンドンドン深く入れて、沈めて探ってみますがこれはやはり全く反応がありません。それどころか何か妙な根掛かりの仕方ばかり。意外と浅いのか??
また作戦変更。ウキ下を2ヒロ固定にして、三ッ畑2番方向の角をせっせと狙いますが、やはり釣れてくるのはガシラとクロホシイシモチでした。
そして15時。明日は仕事なのでこの日の釣りは終了。
二日間、19時間みっちりやってこの釣果でした。
これだと地元でチヌやサツキをやってたほうがよかったかな?とも思わないでもないですが、荒廃した播磨灘の釣り人にとって、(初日は別にして)カゴや刺し網のブイに何重にも囲まれていない磯、潮に乗せてウキを流してブイ以外のものが釣れる磯、釣りをしている竿下まで底引き漁船にかき回されることもなく、プレジャーボートが帆別銭、じゃなくて協力金という名のものを払って船票を掲げなくても海賊みたいな連中に囲まれ脅迫されることも無いような海で竿を出せるのは何物にも代えがたい贅沢ですからねえ〜。そもそもサッパリなのは最初から分かっていましたし。
と、無理やり納得させて帰路に就きました。
今回は不発でしたが必ずまた行きますよ。御荘と名鹿は心の中では既に新ホームグラウンドですから。
次の遠征は真夏になるのかな?梅雨グレ真っ盛りにはまた行けそうにないのが辛いですな。
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