風雲児  烈風伝
  ・恐怖!晴れ魔王!
    
豪雨の中の 火傷しながら グレ狙い

2010年 6月27日〜28日  愛媛県 中泊 須下
この週は、代休の絡みで土〜月の三連休!
前回の釣行記で予告したとおり、魚影が濃く、ゆっくりと釣りを楽しめる宇和島市の蒋淵(こもぶち)を目指す私を阻んだものは、松山在住のGUREsummitメンバー「醤油屋」氏からの「今はあまりにも酷い状況なので来ない方がいい」という凶報ではなく、荒れ狂う梅雨前線でした。

まるで台風のような雨と風は各所で災害を巻き起こし、四国でも川之江から南国までの高知自動車道が通行止めになるほどの土曜日の苛烈な天候は、日曜以降にも持ち越されそうな模様。これでは危険を冒して進軍したところで、非常に厳しい釣りしか待っていないことは火を見るより明らか。
よし!針路を北東に転じて琵琶湖に行こう!この時期にこれだけ降ったということは、去年から挑戦し始めたビワコオオナマズ、ファーストヒットの絶好のチャンスに違いない!

もしこれが去年であったならば、今年でなかったならば、何も迷わずシーバスロッドを手に取って湖北に向かい、でっかいクレイジークローラーをぶん投げていたに違いありません。
そんな私の磁石の針を大きく揺さぶったのは、オオナマズ釣りの準備が完成した土曜日の8時過ぎに掛かってきた「磯際の魔術師」さんからの一本のメールだったのです。

「明日中泊の夕釣りGさんと検討中。来るかい?」
なるほど!夕釣りなら今からでも行けるし、海況も治まってきていることだろうし、結構な雨予報も出ているけど、久しぶりに竿を並べる魅力は大きいな!
大いに迷いましたが、グレというものに飢えに飢えている今年の私は結局中泊行きを決断。
ま、中泊は2000年7月の初挑戦の際に口太を3枚釣って以来、10cmのグレすら1枚とて上げたことの無い鬼門中の鬼門ですので、グレは翌日の釣り場(出発の時点では未定)で一発勝負!

初日は夕釣りなので朝5時前にでも出発してゆっくり行こうと思っていたのですが、いつものように一睡も出来そうにないので深夜2時に出発。
宇和海方面に行く時に必ず立ち寄ってきた、大洲の「釣り人館ますだ」に到着したのは朝6時過ぎ、そこで私は、店の玄関に貼られた一枚の紙に大きなショックを受けておりました。

      時化魔王(左)と晴れ魔王(右)の対決風景
『都合により閉店させていただきました』

そんな馬鹿な・・・。出発前日の店長のブログに「体調不良で・・・」と書いてあったし、もしかして・・・

店の前に立ち尽くしていても仕方が無いので、宇和島市内で餌を買って中泊へ向かい、「ながはま渡船」の仮眠所で一休み。
ちなみに、「釣り人館ますだ」はその日の昼も、1週間後も営業しています。
「都合により閉店」とは、「今夜は休業させていただきます」という意味だったようです。(おいおい!)

・夕釣り 〜中泊・ヤブの下〜
結局仮眠所でも一睡もできないままG−AREXさん、磯際の魔術師さんとの久々の再会と、出船時間の午後1時15分を迎えました。

辺りは予報どおりの雨?いえいえ、朝から一滴の雨も降らず、薄日すら指しています。
原因はもちろん磯際の魔術師さん。行けども行けども晴ればかり、80%の降水確率を晴れ間に変えてしまう「晴れ魔王」の力は相変わらず絶大です。
しかしながら風が結構吹いており、船が鹿島の水道に達してからはうねりも強く、南岸の釣り場は使い辛い状況。時化魔王も二人がかりで一応は一矢を報いたかな??

ヤブの下。磯際の魔術師さん &
G−AREXさん(この方も有名な悪天男・・・)
私たちが上がった磯は横島にある足場のいい「ヤブの下」。
最近は中泊・武者泊でイサギは絶好調!グレは不調とのことで、磯際さんも、Gさんも初めから本命をイサギに設定しての挑戦です。中泊でグレなんて釣れるとは思っていない私も今日はイサギ狙い〜♪

磯の北側からGさん、磯際さん、私の順で展開してスタートです。
私は足元に撒き餌を打ってから、ウキ下を2ヒロほどに設定したパイロット仕掛けを磯の角に投入すると、一投目からウキがスルスル〜っと水中に吸い込まれていくではありませんか!
反射的に立てたロッド、強い衝撃が伝わったそれはしかし、曲がりこむより早く消え去っってしまったのです。
仕掛けを回収すると何物かに伸ばされた拳グレ6号がヒラヒラと風になびいています。 ・・・なっ、何じゃこりゃ!?

狐につままれたような面持ちで針を中軸の速攻Xに替えて同じ場所に投入。
しかしその後はコッパギツが連続で竿を曲げたくらいで、密集するコガネスズメダイやカワハギなどのエサトリの猛威が熾烈なものになってきたのでした。
三者三様の渋面を作る釣りを打破したのは、G−AREXさんが掛けた一匹のイサギ。エサトリを足元に寄せ集めておいて、少しだけ沖から引きずり出した、旨さ抜群の本命に本当に嬉しそう♪

磯際さんヒット!磯の上を走り回ってどうにか
止めようとしたのですが・・・
続いて磯際さんが大きく竿を曲げました。
これはデカイ!止まらん!!
磯を右へ左へ駆け回りながら必死で食い止めようとする磯際さんをあざ笑うかのように、沖目掛けて走り抜ける魚はリールの糸を奪っていき、とうとうロッドを大きく跳ね上げてしまいました。
磯際さん曰く、これはサメ。
この日は数匹のサメが磯の周りをしきりにウロウロしてましたからねえ。

結局回収の6時半までにイサギを3枚。これはGさんと磯際さんの釣果です。
私は・・・ ウネリが強烈になって釣り座に居られなくなり、お二人の間に入れてもらってヒットパターンを教えてもらいながら釣ったのですが、クーラーに収まったのはそう大きくもないカワハギ2枚と、ハリメ(ミナミハタンポ)が1枚のみ。
しかも途中で疲れに負けてダウンしてました。(Gさん曰く、途中から目が死んでたって・・・)

釣りを終え、中泊を離れる時に抱くのは10年間変わらぬ「何でこんな所に来てしまうんだろう・・・」という気持ちと、「それでも仲間との釣りはいいものだ」という思い。中泊に来る時はネット仲間との釣りや、イベント事がほとんどですから。

西海道路の出口のところで横に並んだ私の車とGさん・磯際さんの車。
窓越しに「あれっ?内海の潮風呂には行かんの?(旧内海村の立ち寄り湯「ゆらり内海」では海水とほぼ同じ成分の湯が楽しめます)」と笑いかけるGさんに、私は「潮は磯でたっぷり浴びたからもういいですわ〜。ではまたご一緒しましょう!」と手を振って56号線を右折しました。
私の目的地は僧都川の上流にある「山出(やまいだし)温泉」。
この道で間違っていないんだ!という確信を持ち続けた者だけがたどり着ける(大げさな!)この山間の温泉は、浸かれば疲れがたちまち抜けてしまうという、ある意味不思議な温泉なのです。
ここの湯船でゆったりと体を伸ばし、御荘のA・MAX(スーパーセンター)でオキアミと兵糧を購入、ゆらり内海のレストランで腹ごしらえをして(結局寄るんかい)、磯の上から予約を入れた須下の坂本渡船、その仮眠所でしばしの眠りを貪ったのでした。

・炎暑の昼釣り 〜須下・ウスバエ〜
愛南町と宇和島市の間に長々と横たわる由良半島の北側に、須下(すげ)はあります。
南風の強いこの日には打ってつけのこの釣り場は大型真鯛の宝庫として知られ、巨グレも稀に西海かどこかと間違えて迷い込んできたりするのか、実は65cmなんて実績があったりする所です。

私はここでグレを狙ったことはないのですが、春の時期のマダイ狙いではこれまでに5回竿を出したことがあります。
しかし釣れたものといえばブダイにスズメダイにタカノハダイ。
しかも、持ってきたカゴ釣りの仕掛け5〜6個を弁当船までに全部根掛りで失って釣りにならなかったり、早々にバッカンを海に滑り落としてしまって磯の上で寝ることしかできなかったりと、中泊以上に鬼門とも言える場所なのかも。

月曜日ながら風波の影響もあるのか、この日の坂本渡船にはこの時期にしては結構な数のお客さん。
港を4時半に出発し、須下崎を少し過ぎた所でいきなり私と、もう一方の名前が呼ばれました。
船が着けられたのは、由良半島北側最西の集落・後(うしろ)の北東に位置する大きな磯、ウスバエです。
潮位の関係か、香川からウマヅラハギを狙いに来られた(丸ハゲでもウスバでもなくあえてウマヅラなんだそうな)Mさんと二人揃って西側の船着きから上礁。

ウスバエ西側。Mさんはしっかり本命を
ゲットされてました。
「カゴ釣りのMさんは、ここからやってください。フカセのTさんはこの磯の反対側に行ってやってください。」という船長の指示に従って、氷と予備餌、大量の飲み物で重たいクーラーをかかえて山越え。いや〜、朝からどっと汗をかきました。

最初に釣り座を構えたのは御五神島方向に伸びる、いかにも好ポイントな出っ張りです。
ここでは中泊より二回りほど大きい立派な丸ハゲを開始早々にゲットしたのですが、数十分のうちに急に激しくなった波に足元を洗われ、バッカン流失の危機が迫ったので退去、潮が引くまで出っ張りの東の高いところにお引越し。

移動したことで、何も見えず想像だけで釣るしかなかった海中の視界が開け、戦略の組み立てが容易になりました。
水面に沸きかえるコガネスズメダイやカゴカキダイの下へ下へと入れ込んでいこうとした、タナをしっかり取った仕掛けは、10分後にはスルスル仕掛けに変貌することになったのです。

エサトリの下からグレの群れが沸き上がってきているのです!高知では全くと言っていいほど見られなかった光景!
サイズはどう贔屓目に見ても木っ端なのですが、さすがは宇和海!高知とはグレの密度が圧倒的に違います!(引き換えに渡船代が高く、時間も短いけど)
コッパグレの大きな群れの中からそこそこのサイズを釣る釣りは本当に久しぶりです。血が踊ります♪

足元に何杯も撒き餌を叩きつけてから、これも久々に使う00ウキを少し沖に投入、そして撒き餌を一発被せる教科書どおりの釣りで食ってきました!口太26cm。
エサトリの猛攻も凄かったですが、左右に振り分けたり、縦撒きしたりと、撒き餌で魚をコントロールして拾っていく釣りはやはり面白い!
狙いとタイミングが的中して子ウキが海中を突き進んでいく様はまさに快感!

近距離では口太がメインだった一方、沖は尾長メインでハッキリと棲み分けがされていました。
特に10時ごろ、釣り座の斜め前方にあるワラ崎へと向けていい潮が走ったときには40mほど沖に撒き餌と仕掛けを遠投し、そのままワラ崎の磯のすぐ近くまで流し込んでこの日最大の尾長32cmをゲット。
さらには撒き餌を打った場所へ30秒〜1分後に仕掛けを投入するパターンでキープサイズを追加です。

ウスバエ北向きのポイント。離れ磯がワラ崎。
沖には須下の渡船区でもある竹が島が
見えます。
後半はウスバハギが大挙して集まり、魚を動かしても動かしてもやつらに先んじられてサシエどころか針も帰ってこない状況にもなって数があまり伸びずに納竿の1時半を迎えることになりましたが、食べごろのウマヅラハギやサンバソウなど、美味しいお土産をクーラーに納めることができました。

グレは時期・釣況からサイズのことはひとまず置いとくとしても、「23cmオーバーのグレ10尾」という前回の釣りの後で掲げた目標を達成できたことは、酷い不調に苦しんだ今シーズンの私にとっては最後の最後に掴んだ一筋の光明です。
しかも竿はあの「ボウズXRメガチューン」で・・・ って仕掛けのサイズダウンのために開始早々に制覇に持ち替えてたか(汗)
ともかく久々に気分よく磯を離れることができました♪
しかし、私の体にはその大きな代償が刻まれてしまっていたのです。

そもそも今回の2日間の事前予報は豪雨。
私は天気予報はともかく私自身を信じ、万全の雨対策を施して四国にやってきていたのです。
しかし実際には晴れ魔王・磯際さんの魔力のせいか、中泊では厚く雲が垂れ込める時間があっても一滴の雨すら降らず、須下にいたっては一日中カンカン照り。
豪雨の中、カッパを手放すことなどきっと一度も無いだろうと信じていた私は日差し対策を完全に怠っており、長袖シャツを用意するのを忘れていたのですが、2日目はとてもカッパを着て耐えられるような温度ではありませんでした。(この日は3リットル持ち込んだ飲料水を2.5リットル消費するほど暑かった)
腕は酷い火傷に無残なほどに腫れ上がり、太陽の光が痛い、風が痛い、水が痛い、日焼けの後処理の薬を振りかけても激痛だけで効果なしと、泣きながら家に帰ることになり、それから10日ほども辛い辛い。
そのうち皮膚ガンかなあ・・・

自分を信じるのも程々に。これが今回の教訓でした。

 ●中 泊 nakadomari
利用渡船 ながはま渡船 出港地 愛媛県愛南町・中泊
時間(当日) 13:15〜18:30
(夕釣り)
料金 6000円
駐車場 無料 弁当 (500円)
宿/仮眠所 無料仮眠所 システム 一組目はジャンケン。
後は他船との競争。
磯替わり 夕釣りは無し
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

 ●須 下 suge
利用渡船 坂本渡船 出港地 愛媛県愛南町・須下
時間(当日) 4:30〜13:30(回収)
料金 5500円
駐車場 無料 弁当 600円
宿/仮眠所 宿&無料仮眠所 システム 一組目はジャンケン。
後は他船との競争。
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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