風雲児  烈風伝
  ・二転三転。浦戸湾舟釣り舟漕ぎツアー!? 

2011年 7月2日 高知県浦戸湾(船釣り)
きっかけは一人の大物釣り師の書き込みでした。
「浦戸湾に再挑戦しませんか?」
ハマフエフキや、九州で「シブダイ」として知られる標準和名フエダイ(四国で言うアカイサギ)を狙った夜釣りをメインとし、石鯛や磯のルアー等も楽しんでおられる「タマメさん」の提案に、元々「6月は浦戸湾に行く」と決めていた私が乗らないはずがありません。

その時、6月初旬。
すぐに日程を打ち合わせ、道具をベストに詰めはしましたが、予定した日はことごとく雨でした。
5月中に「梅雨入りしたとみられる」今年の梅雨は例年に無い雨の日多さ。そして雨脚の激しさ。オマケに台風までもが立て続けに接近するという有様。
何分あそこの小さな貸し船のことですから、これじゃ沈没しないよう水を掻き出すのに必死で、とても竿を持つ時間なんて無いだろうと思われました。
そして毎週毎週延期を強いられているうちに、月が変わってしまったのです。

こうして向かえた7月最初の週末は、久しぶりの穏やかな予報!今度こそ、ようやく、浦戸湾のクエに挑戦できる!
しかし、タマメさんから帰ってきた答えは意外なものでした。

「シブダイが狙える季節です。足摺・松尾の夜釣りへ行きましょう。」
私は完全に浦戸モードだったので面食らい、単独釣行を考えましたが、天気図・波浪予想図を見た瞬間に考えが変わりました。
このチャンスを逃したら夜の磯に上がるチャンスなんて一夏無いかもしれないほどのベタ凪ぎ予報がそこに広がっていましたから。

土曜日の昼に出発、夕方6時の船で磯上がり。翌朝まで釣って帰ってくる。
大慌てで月曜日の夏季休暇を申請し、道具を全て詰め替え、釣具屋に走り・・・、どうにか準備が整った私に、金曜日の昼、タマメさんから衝撃の電話がありました。
「船が出ないそうです。ずっとうねりが取れなくて・・・。」
えっ?波1.5mのベタ凪ぎなのに??何で???

青天の霹靂としか言いようの無い展開でしたが、これではどうすることもできない2人でした。
由良半島へ行くという手も考えられましたが、タマメさんは、そこまでうねりがあるんだったら宇和海に回っても無理だろうと判断しました。
台風でも出船する沖の島も、本命のシブダイは型が小さいとのことですし、結局「こうなったら、やっぱり浦戸湾に行こう」という展開です。(土曜午後、高知中部の海を見る限りではベタ凪だったのですが・・・)

種目も道具も変わり、出発時間も明日の昼前から今晩に早まりました。
さあ、大変だ。
帰宅後、またしても大慌てで道具を全て詰め替え、釣具屋に走り・・・、今回も一睡もせずに出発です。


「艪」講習中のタマメさんと、
センターのおんちゃん
香川の府中湖でタマメさんと合流し、「釣りセンターうらど」に到着したのは朝5時半ごろ。
早速船に荷物を積み込んで出発!といきたいところですが、今回はその前にやっておかなければいけないことがあります。
それは艪(ろ)の講習会。

前回は同行したM君の免許で船外機を借りましたが今回はそうはいきません。無免許での操縦は操縦者に30万円以下、オーナーに100万円以下の罰金だとか。
私の免許は更新せずに失効中ですので、今日は艪一本で浦戸湾に挑まなければならないのです。

まずはタマメさんとセンターのおんちゃんが船に乗り込み、艪のセット方法と、漕ぎ方を指導してくれました。
船尾の凸部・艪杭に、艪の凹部・艪臍(ろべそ)をはめ込み、早緒(はやお)と呼ばれる縄で船底と繋がれた艪腕(ろうで)を前後に押し引きしながら操船します。
押しっぱなしで右旋回、引きっぱなしで左旋回。
押しと引きは艪杭の働きで勝手に切り替わってくれるのですが、どうしても押しの方の力が強くなりがちで、慣れないうちは右へ右へと進んでしまうとのこと。

船着場周辺を一回りして一通り練習すると、おんちゃんと私が入れ替わり、いよいよポイントへ向けて発進です。
この日は大潮だけに潮の流れが速く、湾の中央部は小波が立っている状態。これを突破して対岸の「桟島跡」を目指さねばなりません。

一番漕者はタマメさんですが、まあ、滑り出しから順調とはいきませんね。
暴れる艪に手こずりながら、「この船進んどるか?」と漕ぎつつ首をかしげながら、どうにか対岸へ。
ここで仕掛けをセットして、流された船をまたせっせと立て直し、「テンヤ用の活きエビ」を刺した捨てオモリ式1本針の仕掛けを投入。
壁のような激しいアップダウンに合わせて糸を出し入れし、底ギリギリをしっかりトレースするのですが、どうしたことか今回は全くアタリがありません。

大事な釣り仲間・親方さんが船着場まで駆けつけてくださり、望遠で
撮影してくださいました。
いや、アタリが無い上に、前回のようにゆっくり釣る時間も無いのです。
潮の流れは結構激しく、船はすぐに湾口側へと流されて、あっという間にポイントを外れてしまいます。
潮に流されること自体は前回も同じだったのですが、今回はポイントに戻るのに要する時間がとんでもなく・・・。

周りの熟練釣り師は軽々と、しかも相当なスピードで航行し、片手で竿、片手で艪を操りながら船の位置を自在にコントロールし、ハイカラ仕掛けを駆使して50cmを超えるキビレを仕留めています。
「櫂(かい)は3年、艪は3月」
いかに艪が効率的で操作しやすい推進機関であっても、今日始めて操作方法を知った私たちにそんな芸当ができる訳ないですわな。

途中で操船を交替した私も、船は右へ右へ遠回りするばかりで僅かな距離のポイントまでが遠い遠い。
急な流れに負けまいと力任せに艪腕を押し引きする物だから、「手のひらで軽く押し引きするだけでいいみたいですよ」というタマメさんのアドバイスを待たずに、気付いた時には手のひらの皮が何箇所も無い!

それでもどうにか船を操り、底を探り続けていると、急激な壁を駆け上っていく仕掛けが突如何者かに襲撃され、コチ・メバル仕様・幻波0号300が胴から絞り込まれたのです!
むぅぅ!来たぁ!
流れ淀んでいた船上の時間が一気に動き始めた瞬間です。

これは強い!
私は底へ底への強烈な引きに耐えながら、リールのハンドルを少しずつ少しずつ回していきます。
魚は一瞬も休むことなく激しく抵抗しながらもジワリジワリと浮き上がってきます。
この引きは本クエではないかもしれない。すると、これは・・・。

港では親方さんと3人で釣り談義を
楽しんでから帰路につきました。
タマメさん、親方さん、ありがとう
ございました。
(タマメさんと、今回も寝てる管理人。)
ボコッという感じで船べりに浮上した魚の模様は案の定、斜走帯ではなく、こげ茶色の横縞に暗橙色の円斑を散りばめたチャイロマルハタ38cm。
前回よりもかなり細身ではありましたが、引きは断然強かった。

この美味な魚の登場で、萎えかけていたタマメさんの闘志も再点火。
しかしながら、この日は何とタマメさんには全くアタリなし。私もショウサイフグを一つ食わせただけという状況で、暑さと操船の煩わしさに気力を失い、2時に納竿としたのです。

いやはや、いきなり艪一本で満足な釣りができるはずないですね。
この日の船上での時間のうち、竿を握っていたのは3分の1以下、残り全てはただ舟を漕ぐことに費やされるという効率の悪さ。
まあ、乗っているうちに艪は大きく強く操作するよりも、押し引きの幅を小さくし、その分テンポを速めるほうがいいことに気付いてスピードもかなりアップできたし、慣れてくると意外と楽だということも分かりました。(運動不足の私でも筋肉痛無し)
もっと慣れれば釣りに使う時間を増やすこともできるでしょう。

でも、次回は免許を復活させて挑みたいなあ。
復活講習と手続きで2万円かぁ・・・。
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