7月の3連休は小才角で、ラストチャンスの尾長を相手に熱く、そして暑い戦いを!
名礁「ツナカケ」を予約した釣巧会・リョータさんからのお誘いに、一も二も無く飛びついたのは2ヶ月以上前のことだったでしょうか。
その間、17日の予定が18日に、同行者がリョータさんからその友人へと変わりはしたものの、小才角、しかもリョータさんが直前に50、5cmはじめ相当数の尾長や、80cmクラスのシイラを連発させた「ツナカケ」という最高の舞台は変わることがありませんでした。
奴がその姿を現すまでは。
台風6号マートンマーゴン。
小笠原付近から弧を描いて迫り来る、大型で非常に強くて足の遅い台風です。
こんなのが高知へとゆっくり肉薄してくるのですから、「船が出るか?」なんて渡船屋に問い合わせる必要すらありません。
私にとっては小才角はやはり出船率の非常に低い「幻の渡船区」でした。
台風本体の接近は連休明けなので、四国は無理でも竿を出せるところはいっぱいあります。
暑いだろうけど、この時期にはありがたい「風」も、もしかすると「雲」も期待できるかも知れませんし。
何よりも、2ヶ月前から完全に「この連休はグレ釣り」モードになっていた私は、気持ちを切り替えて情報収集を開始です。
さすがに季節柄35度なんて当たり前の山陰エリアは最初からパス。地元・家島諸島のグレも開幕しているだろうけど、あそこには夢は無いし行く気もゼロ。
ということで、前々から気になっていた山口県南東エリアから「チャーターボートNAKAO」という渡船を選んで問い合わせてみると「明日は出ますよ。水無瀬(みなせ)へ行きます!」という回答が得られたので、即座に予約を入れたのでした。
大水無瀬島・小水無瀬島といえば、屈指のハマチ(関西でいうメジロ、関東でいうワラサクラス)釣り場として名を轟かせていますが、
7〜8月に最盛期を迎える魚影の濃いグレ釣り場でもあり、瀬戸内にありながら口太40cmオーバーの確率は非常に高く、50cmの実績もあるスーパーフィールドなのです。
しかも、40cmのイサギの実績も高く、石鯛はもちろん、40cmの尾長も狙えるんだそうな!
秋はハマチ一色となり、グレ釣り師の居場所は無くなるという話も聞きますが、今この時期にあるのは希望だけ!
渡船の出る周防大島・片添ヶ浜までは片道310数キロの道のり。
距離的には高知の中村(四万十市)に行くのと変わらないのですが、道中の車の多さ、アップダウンの激しさ、曲がりくねるトンネル、突如現れる低速トラック等があって精神的疲労度は倍ほど違いますね。
深夜の宮島SAの無法ぶり、玖珂ICから周防大島まで落ちていく、とんでもない下り坂にもビックリです。
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小水無瀬島から見た
大水無瀬島。
伊予灘に浮かぶ
人気釣り場! |
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今回利用した「チャーターボートNAKAO」。
チャーターボートという名前ですが、乗り合いでOK。
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どうにか無事に辿り着くことができた周防大島南岸・片添の港は、20人以上の釣り人で賑わっていました。
今日は地元のクラブの大会があるそうなのですが、私はその人の輪の中に紛れ込んでちゃっかり情報収集を^^
船長の指示に従って、順番に荷物を積み込み、港を離れたのは5:00過ぎのこと。
今回利用した「チャーターボートNAKAO」は磯渡しはもちろん、船釣り、イカダ釣り、海上釣堀、ルアー船、地曳網体験、宿泊、レストハウス、海の家・・・と実に様々な顔を持つ、なかなか型破りな渡船屋(?)ですが、その船の姿もまた型破りなものでした。
船長は操舵室ではなく、ホースヘッドに取り付けられた椅子に座り、ここの設備を使って操船を行うのです。
しかも、船足、速っ!
渡船は穏やかな瀬戸内の海面を切り裂きながらかっ飛んでいきます。片添港の南南東10数kmにある水無瀬の島影が見る間に大きく迫ってきます。
船が速度を緩めたのは、大水無瀬島「猫岩」のすぐ沖でした。
大会組から「ここからかぁ・・・」とため息が漏れました。
そして「ここは釣れるのか?」と尋ねる声と、「コッパならなんぼでも」「去年の秋はハマチが何故かよく出た」と答える声、そして、私の名を呼ぶ船長の声が聞こえてきます。
この猫岩にはカゴ&フカセの二人組が上がり、私の番はその次。
船首の船長から「足元は浅いけど、こんなふうに急に落ち込んでます。ポイントは竿2本以上沖です。」等、色々とアドバイスをもらい、このエリアでは珍しいポーターさんのサポートを受けながら、猫岩の少し西にある「横岩」という、赤黒い礫岩質の磯に渡礁しました。
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この日上がった「横岩」
干潮時には地続きになる磯。 |
夏磯ですから、仕掛けを作る前にまずお茶をゴクリ。
今回は14:30までの釣りですが、4リットルの飲み物を持ち込んでいます。(余ったら次回使えるけど、足りなければ次回は無いかも知れませんので。)私には拡張型心筋症による心不全予防のため、1,2リットルの水分制限があったはずですが、夏磯にあっては適応外^^
今回は餌もドッサリ持ち込んでます。夏磯ですから。
オキアミ生9kgにグレジャンボ+V9+遠投ふかせTR+チヌパワーG2各1袋。
これをパラリと、何もかもが丸見えの浅い足元に入れると、たちまちオセンとクサフグが集結してきます。
そんな足元にドンドン撒き餌を入れておいて、0号のスルスルで沖を攻撃。
一応サシエは取られるのですが・・・偏光グラスの性能の問題(曇天用のはずだが、日が差すほど明るくなければよく見えない)で投じたウキの位置が分からず、沖の水中の様子もまた分からなくて戦略が立てられないので、ウキをG2のT−HOPE(棒ウキ)に変更、タナを1ヒロ半に設定してみました。
釣り開始から約20分後、ゆっくりと右手に流れていく潮に乗せ、竿2本半くらい沖のラインを流していくと、チョコン!とトップに反応が出ました。
竿を立てると、小さなホンベラがヒラヒラヒラ〜。その数投後にもササノハベラのミニサイズがヒラヒラヒラ〜。
どうせベラならキュウセンが来てくれればなあ・・・。なんて思っていると、またまたウキがスッ!と引き込まれていきました。
さあ、今度は何ベラだ?と、軽い気持ちで竿を立てると・・・
ズシッ!!
予想もしなかった重量感とともに、重厚かつ、スピード感満点の締め込みが私に襲い掛かってきたのでした。
「よし!来たぞ来たぞ!やはりここにも40cmオーバーは居たのだ!」
強烈な引きに1.5号の制覇が大きく絞り込まれます。
こんなこともあろうかとハリスは2号、針は拳グレ6号。逃がさん!
私はさらにロッドで締め上げ、点在するシモリをかわしていきますが、その時、竿が一声「ミシッ!」という呻きを漏らしました。
これには一瞬ヒヤリとさせられましたが、その後引きは急速に弱まっていき、さらに首をゴンゴンと振り始めたのでした。
そうか、コイツだったのか・・・。
しばらくやり取りを続けていると、ボコッ!と黒っぽい魚体が海面に浮かび上がってきました。
そう、浅場との境で掛けたのでよく走ったけど、その正体はチヌだったのです。
無事にタモに納めてメジャーを当てると50cmジャスト!
狙いの魚種とは違いますがそこは瀬戸内の歳無しチヌ。私の心がガッツポーズを取らない訳がありません。
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瀬戸内のチヌ!
外海のとは違う、価値ある50cm! |
こんなチヌが暴れたせいなのか、それからは棒ウキにアタリが出なくなってしまいました。
明るさが増して見えるようになった水中にはグレの姿も見えるようになりましたし、沖に打った撒き餌には十中八九グレのものである波紋も上がり始めたので、ウキを再度0号の円錐ウキに戻し、針を速手6号、ハリス1,7号、矢引きスタートのスルスルで挑むことに。
すると思ったとおりにアタリがあり、本日の初グレをようやくゲット。サイズは24cmくらいだったのでそのままリリースです。
浅場に撒き餌を5〜6発打ち込んで大量のオセンを集めておいて、25m沖に仕掛けと本命用撒き餌を「ほぼ同時打ち」。こういう釣りは久しぶりなのでコントロールが定まらないため、投入した仕掛けを引いてきて誤魔化します。
それでもグレは食ってくれました。
しばらくはなかなか25cmを越えませんでしたが、そのうちコンスタントに26cmとか、26,5cmがヒットするようになりました。
ただし今回はキープサイズを27cmに決めていましたから、躊躇しながらも逃がしてばかり。一体何枚26.5cmを釣ったのやら。
状況を打開するためにウキをG2に替え、生ミック(練り餌)を使ってみましたが、最大24cmとかえってサイズダウン。
再び矢引きスタートゼロスルスルに戻すと、その1投目に待望の27cmが食ってきたではありませんか!
潮は開始直後とは反対の右手に流れています。
瀬戸内の潮は干満のみに影響される1本潮というイメージですが、この日この磯の潮はフラフラと向きも速さも全く安定せず。
そんな状態ですがグレが食ってきたのは決まって右に流れている時でした。
10時半ごろには右への潮が結構な勢いになっていました。
40mほど沖には潮目も形成されていたので、そこを目掛けて仕掛けを遠投!
何投かしているとジワジワとウキが潜行を始めたので、そっと聞いてみるとゴンゴン!と嬉しい反応が帰ってきました。
即座にフッキングすると、これまでのグレとは格段に違う引きがロッドに伝わってきたのです。
ここのグレのパワーはただでさえパワフルではありますが、これはもしかすると40cmオーバーの引きなのか!?
私は竿を左右に何度も切り返して、グレの泳ぐ力を逆利用して寄せにかかると、思い通り、グレはスルスルと足元へと寄ってきました。
魚はあまり体力を使ってませんから、ここでタモ入れに失敗したら大変ですが、そこは波も小さくうねりも無い瀬戸内ですので、ド下手な私でも容易にフィニッシュ!
磯に引き上げてクーラーのメジャーに当ててみると35cmでした。
そのパワーにサイズを誤り、まさしく茶グレともいうべき体色に水中では尾長グレとも見誤った、瀬戸内特有のポッテリと厚い体つきの、この日最長寸の口太グレです。
この後はしばらく、手前にドカ撒き、3投に1回の割合で沖に一発打ち込み、潮上からウキを流し込んでいくというパターンで26〜26,5cmが連発し、27cmのキープサイズも1枚追加できました。
撒き餌をすると間を置かずにピシャッ!と鋭い波飛沫が上がるのですが、針に掛かってくるのはほとんどが撒き餌を打ってから3流し目。
また、この日の撒き餌では届かないほどの沖では尾長カラーの口太グレ32cmもヒットしてくれました。
遠ければ遠いほどいいのか・・・。
そうヒシヒシと感じてはいましたが、その後は風がアゲインストに変わり、潮も手前にもたれてきたり、左方向になったりして、グレよりもオセンばかりが針掛かりするようになりました。
こうなると一睡もしていない疲れがドッと出てくるもの。迎えの時間である2時半までに1時半を残しての納竿となったのでした。
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小水無瀬島特有の、屋根のある磯。 |
「どうでした?」
「チヌの50cmが出ましたよ。」
「クロは?」
「えっ?クロ??・・・あっ。35cmまででした」
「大水無瀬なら上等、上等!」
船上で地元クラブの方々とこんな会話を交わしたのですが、そうか、山口は標準和名メジナをクロと呼ぶ、「クロ文化圏」でしたねえ。
ちなみに船長の話だと、今の状態では横岩でも40cmオーバーは充分狙えたんだそうですが・・・。
回収は手前からだったので、大会組の離礁を手伝いながらポイント見学です。
その大会組が上がっていた小水無瀬島は、大水無瀬島の約2km沖にあって潮通も速く、いかにもという雰囲気が満ち満ちています。
断崖の礫岩は波に侵されて、数多の大きな穴や窪みが穿たれ、その名も「縁の下」とか、「洞窟」というようなポイントが点在する様は一種異様な、他の場所ではちょっと見たことの無い風景。
そんな小水無瀬のこの日は40cmに届くかどうかのクロが最長寸だったのかな?
22cmくらいのアジに「悩まされた」方や、掛けても掛けてもマダイばっかりというような苦笑いの苦労話が花咲く船上でした。
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小水無瀬島での回収風景。 |
悩まされたといえば強風に苦しんだ方もいたのではないでしょうか。
大水無瀬の私のポイントでは気温の高さを吹き飛ばし、なかなか快適に過ごさせてくれたそよ風が、こちらにいたってはかなり強く吹き付け、小さいながら三角波も発生していました。
速潮と風と波とで磯付けはやや難しそうでしたが、船首の操縦席が威力を発揮、若船長の細かい操船で全員を回収し、また海上をカッ飛んで、片添港へ戻っていきました。
片添港の隣の海水浴場は、色とりどりの水着を纏った男女でごった返していました。
私には全く関係ない世界とはいえ、風も無い港、そして本土の殺人的な暑さには、泳げない私もさすがに水に浸かりたくなりましたよ^^
帰り道のサービスエリアとかでも、とても寝られるような気温ではなく、ラジオから聞こえてくる野球中継の、マートンや平野、新井、関本達の大暴れの実況でどうにか眠気を吹き飛ばしながら、やっとのことで家へと帰り着く有様でした。
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目の前を通りがかった
潜水艦と、この日の
釣果。
グレは数出ましたが、
キープはこれだけ。
(結局26,5cmも
2枚キープすること
に。) |
周防での初めての釣りは四国とは違う点も多く、新鮮で面白いものでした。
釣りをしていて海亀の姿を見るのにはすっかり慣れてしまいましたが、今回は潜水艦(しかも1時間空けて2隻も!)や自衛隊の艦船が釣りをしている沖を通り過ぎていったのにも驚きでしたね〜。(某ジャイアン国とかスネ夫とかに好き勝手させないよう、頑張ってくださいね!)
また行きたいけど、さすがに遠いので次は泊まりでゆっくりやってみたいなあ。
ただ、Sサイズ杓であれだけの撒き餌をほぼ撒き切ってしまうこの時期の忙しい釣りを、暑い中、二日連続でやれるのか?と言えば、正直自信はありませんなあ(笑)
●周防大島 suou-ohshima |
利用渡船 |
チャーターボートNAKAO |
出港地 |
山口県周防大島町・片添 |
時間(当日) |
5時頃〜14:30
(日によって変動多し) |
料金 |
3500〜5000円
場所により変動 |
駐車場 |
無料 |
弁当 |
無し |
宿/仮眠所 |
民宿を経営 |
システム |
ー |
磯替わり |
無し? |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更が
あるかもしれませんので、必ず渡船店にご確認ください。
(内容については一切責任を負いません) |
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