・初日 最高の上り潮!休業明け初日の小才角
高知自動車道の険しい坂道を登っていくと、新宮IC付近で雪になりました。
わがワゴンRは、その雪と、目の前を行く3台の作業車が散布する凍結防止剤をバラバラバラバラ車体に浴び続けます。
雪はすぐに止みましたが、今度はETCの車載機が「エラー○●」だの「カードを挿入しろ」だの、おかしな事を口走り始めています。
ほら、やっぱり須崎東料金所でゲートに閉じ込められましたがな(怒)
今回も「硫黄島での貯金があるうちに、まだ行ったことの無いマイナー釣り場に行っておこう!」というコンセプトのもと、「周防形」→「藻津」という凡そ兵庫県の人間が採るとは思えないプランでの二日釣りを計画していました。
しかしながら今、私が細かい障害を乗り越えながら目指しているのは(少なくとも高知県では)マイナー釣り場とは対極の位置に君臨する「小才角」の名礁・一がハエです。
代休を使っての平日釣行。船長の入院等で3週間休業していた柏原渡船の営業再開初日。小才角の絶対条件である上り潮が流れ続けている状況。そして宿毛の「だいきち」さんとの釣行・・・。
40cmクラスの口太・尾長の爆釣が伝えられるホームグラウンド柏島の呼び声には勝った私ですが、この小才角の甘美な誘惑を蹴って己を貫けるほどの根性は持ち合わせていませんでした(笑)
釣り師が考えることは同じのようで早朝の小才角新港には15人を超えるお客さん。
そして、2回に分かれて磯に渡っていく全員の胸は当然のことながら期待に高鳴らせずにはいられませんでした。
「これを上回る潮なんてありえない」
船長がそう言い切るほどの上り潮が過去にはロクマルの夢に沸いた名だたる名礁にぶち当たっているのですから!
午前7時前後、夢を乗せた第1投がそれぞれの磯から相前後して投じられはじめたのでした。
いざ!40cm尾長だ!クーラー満タンだ!
そして、午後3時。
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私たちの、一がハエでの唯一の釣果。 |
・・・いったい誰が想像できたんだろう。この釣果を。
一がハエ南端のサラシ地帯に陣取ったベテラン釣り師と、ウスバエに上がった釣り師が釣った3〜4枚ずつ。それがこの日のグレの全てだったようです。
私たち二人のこの日の一がハエでの釣果たるや、だいきちさんが釣ったカモメ1羽のみ。
私なんてこの日はただ一度の底物系のバラシだけという有様です。
海中に見えるのはキビナゴのみで、キタマクラやハコフグの一尾すら目にすることも無いなんて。
最高の上り潮なのに、この日の水温は15度ほどだったようです。
それでも隣の大浦も柏島も釣れているんですけどね。撒き餌が全く入ってないとここまで違うのか・・・。
その夜は大月の定宿「幡多郷」が満員だったこともあり、だいきちさんのお言葉に甘えて自宅に泊めていただきました。そしてかわいい子どもたちとの楽しい夜を過ごして、十二分に睡眠を取って翌日に備えることができました。
● 小 才 角 kosaitsuno |
利用渡船 |
柏原渡船 |
出港地 |
高知県大月町・小才角新港 |
時間(当日) |
6:40〜15:00
(融通ききます)
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料金 |
3000円
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
500円 |
宿/仮眠所 |
無し |
システム |
磯予約制 |
磯替わり |
あり |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
・二日目 挑戦!はじめての周防形
二日目にはイカダ・貸し船業者が渡船業を兼ねているという穴場・藻津(むくづ)に行くはずでした。
藻津は藻津でも「磯釣りスペシャル」2012年3月号で紹介された愛媛県方面の磯ではなく、大藤島(おとうしま)や桐島方面をメインにしている「フィッシング和竜」を選択。釣巧会のリョータさんすら行ったことが無いというマイナー釣り場、腕が鳴るぜぇ!
しかし電話の向こうから帰ってきた答えはこうでした。
「ちょうどその日に、藻津・宇須々木地区のイカダ・渡船4業者共同の大規模な釣りの取材があるんです。それは観光協会の声がけで実現した「宿毛の新たな観光資源・チヌ釣り」のPRを目的とした取材で、数名のプロと多くのメンバーが来るんです。声をかけてくれたことは大変ありがたいのですが、いい場所に上がってもらえないのは心苦しいし、せっかく来てもらうのならこちらとしても釣ってもらいたいので、よろしければ日を改めてお越しくださいませんか?お名前を承っておきます。」
いや〜、これほど丁寧で気持ちのいい断られ方は無いですね!
次の機会にはぜひ行ってみたい!そう思わずにはいられませんでしたよ。
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周防形・松バエより樫ノ浦の磯を望む。 |
結局二日目は、当初からの計画にもあった大月町の「周防形」初挑戦となりました。
「すおうがた」、地元では「そーがた」と呼ばれるこの釣り場があるのは、大月町の南海岸・柏島と朴崎を両端にして緩やかなV字に切れ込む大きな湾の最奥部。
場所柄南系以外の風には滅法強く、他の場所が停船になったときに最も注目が集まるという口太釣り場ですが、厳寒期には大型のチャンスもあって地元を中心に固定ファンが付いているようです。
初めての上、情報がほとんど出てこない釣り場ですので乗船前に常連のお客さんから情報収集を試みます。
それによると最近は数はあんまりだが45cmくらいのサイズも上がっている。ただし相当に食いが渋くて食い込まないし、口切れバラシも多いとのこと。
6時半ごろになると大船長がやってきました。
近隣のメジャーポイントで大釣れしている土曜日、私を含め6人の釣り人を乗せて出港です。
大荒れのときに一度竿を出したことがある波止を過ぎるとそこはもう「シオフキ」「地の大バエ」といったこのエリアの立派なポイントなのですが、船はドンドン西へ進んでいきます。
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隣接する古満目港。そして奥から滝ノ下の大バエがあって、
横前があって・・・。手前が横バエ?長ハエ?よく分かりません(汗) |
この日の磯付けは西隣にある古満目(こまめ)港に程近い「滝ノ下の大バエ」から。
この辺りは空撮写真では古満目の磯と紹介されていますが、周防形との入り合いというのが実情のようです。
ただ磯の呼称は古満目側と周防形側とで若干違っているのかどれがどれやらよく分かりませんけど、横前とか横バエとか長ハエとか言う独立磯や、沖の島の七つ洞のごとく海食洞がズラリと並んだ断崖の足場などに常連さんたちが降りていきました。
船内には残っているのはもう私一人です。
「Tさん、ここは初めてかなぁ?松バエに行くかぁ?」
磯予約をしようにも磯名もよく分からず、もとより船長にお任せの私に否はありません。
松バエ(空撮では東のマツバエ)は足場のよい非常に大きな磯・・・というより小さな島ですが、釣るところは意外と少ない感じ。
「ポイントは船着き周辺の磯際で沖はよくない。ウキ下は2ヒロ〜2ヒロ半。」という船長のアドバイスに従って、まずは船着きから竿を出すことにしました。
「昨日15度だったのが今日は2度も上がっている。急な水温の上下はよくないなあ。」という船長の嘆きに不安を抱いていましたが、撒き餌をパラパラと撒いてみると昨日の一がハエと違って餌取りが見えるではありませんか!
DXRメガチューンの1.65号にハリス、道糸2号、競技くわせ5号を用意し0号ウキの2ヒロ強でスタート!
すると、2投目でギュン!とウキがぶっ飛び、ロッドがひん曲がりました!
強烈な引きですが、ゴンゴンという魚が首を振る感触が混じっているぞ・・・そう感じた瞬間にまさかの高切れ。
残念。でもまあグレでは無さそうな。
この日はほぼ終日、足元の中層ではピンク色した60cmほどのヒブダイのオスが舞い、その下では多様なサイズのサンノジの群れが離合集散しながら盛んに撒き餌を拾っていましたし。
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この日のメインポイント。
周防形で一番沖にある「小バエ」が見えます。
その向こうは古満目の磯。 |
船着き直下でしばらくやっていると潮が上がり、バッカンが危なそうになったのでちょっとだけ南の平坦な所に移動。
そこで何投かしていたらまた激震が襲ってきてあっという間に高切れです。
なんじゃこりゃ?前回、道糸をカットするの忘れてたのか??
その後は情報どおりの展開になりました。
0号でも00でも、G2でしっかり棚を取っても、餌を何かに吸われてもほとんどの場合アタリも出ず、出たとしてもすぐ放され、ごくごく希に木っ端サンノジが釣れるくらいで推移していきます。
よし、アタリが出ないのなら出るようにしてやろうじゃないか!
私はロッドケースからT−HOPEというG2の棒ウキを実戦投入し、ウキ下やオモリの位置の微調整を繰り返しているとやがてウキのトップが小さなアタリを捉えはじめました。
が棒ウキがスッと消しこんでも大部分は途中で放されて浮上してきてしまいます。
早アワセで挑んでも空振り、待っても放され・・・これは本当に辛い。
ハリスをもっと落とそうかとも考えましたがそれでは不意の大物を仕留める自信がないしなあ・・・。
それでも食い込んでいくアタリは圧倒的に増え、上がってくる魚の数も同じだけ増えてくれました。
ただ魚種がことごとくサンノジなのが悲しいだけ。
10時ごろ、今度は若船長の操縦で弁当船がやってきました。
この谷口渡船は2人体制で磯渡しの他に船釣りや貸し舟、民宿もやっているようですね。
港からポイントまでが近いこともあって磯と港を小まめに行き来してくれるし、時間も自由が利いていい感じです。
しかも弁当はホカホカでミニペットボトルのお茶もヌクヌクだぁ♪
寒い時期には嬉しくなる弁当を早速食べてみるとかなり旨くて、特に出汁巻きを口にしたときは思わず「旨いなあ」と一人つぶやいていました。(そういえば前日の小才角の弁当も旨かったなあ。あちらは白ネギの入った柚子風味の酢の物が抜群でした♪)
さて、後半戦開始です。
仕掛けは引き続きT−HOPE、狙いは船着きの磯際〜1本半沖まで。
魚の方も引き続きサンノジが絶好調で、食い込まないアタリの合間に次々とヒットしてきます。
いい加減うんざりしかけた10時52分、ついにサンノジ以外の魚が水面にその姿を現しました。
それは何とすでにほとんど諦めていた口太グレ33cmではないですか!
しかしあまりにも意外な釣果に手元が狂ったか、私はこの魚に鰓蓋で右手親指の横をザックリ切られるという反撃を許してしまいました。
指を曲げるたびに傷口が開く上、心筋症の治療のために飲み続けているワーファリンの影響もあって血が止まらず、指先からポタポタと血を滴らせながらの釣りで撒き餌杓もタオルも血まみれじゃないかぁ(涙)
15分ほど後に嬉しいお土産、カワハギが食いました。
そしてまた、ポツリポツリとサンノジが・・・。
12時ごろに新たなお客さんを乗せて大船長がやってきたので情報交換です。
「今日はどの磯も1〜2枚程度かな。帰りはどうする?向こう(滝ノ下方面)の人は4時半か5時までと言いよるけど?」
「それなら一緒の回収でお願いします!」
この釣り場はかなり時間の融通が利くようです。
「一応の目安は3時までですが、もっと粘りたければいいですよ。」ということで4時までとお願いしていたのですが、明日も休みですのでもっとゆっくり堪能させてもらうことにしましょう♪
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松バエの北向き。
冬の風にはとことん強いのが周防形。 |
時間に余裕があるので私はちょっと松バエの探索に出てみました。
このでかい磯は高さも結構ありますが頂上には簡単によじ登れます。
そこから見渡してみると、おお!なかなかの絶景ではありませんか!
たおやかに連なる山並みと、荒々しくも優美な断崖は青く澄み渡る穏やかな海を取り囲んでいます。湾の両端近くに浮かんだ変化に富んだ島々も眼を楽しませてくれます。
しばらく見とれているようでいて私の眼はやはりポイントを探し続けていたのです。
思ったとおり磯の大きさの割にはポイントが少ないな。でも船着きの正反対の出っ張りなら面白そうだ!
と読み取った私は、バッカン担いで山越えをし、意外と険しかった道のりを踏破してしばらく餌を撒いてみたけれどどうも船着きには及ばない感触だったのでまた大汗かいてUターン。まったく何をやっているのやら。
さて再開。
このころには北の風が西の風に変わったようで、船着きには時折正面から風が舞い込むようになっており、潮もやや斜めからの当て潮に変わっていました。
とはいえ風なんて昨日の小才角や現在の外海とは違って本当に時折吹くだけです。
当て潮もまた、この広大な磯においては足場や投入位置をずらしただけで磯際のポイントを直撃する絶好の横流れの潮となってしまいます。
そして磯際でアタリが連発!まあ大部分はウキが20cmほど沈むだけですぐに浮いてきますけどね。
おっ、足元でサンノジとは違う魚がうろつきだしたぞ!あれは何だろう?と思うや、そいつがサシエに食らいついてくれました。
キュンキュンと小気味よくロッドを引き絞るその魚は、澄んだ海中に差し込んだ冬の太陽を浴びてキラキラと輝いています。
なるほど、ヘダイだったのか。程なくクーラーに収まったそれは37cmありました。
この後、私は40cmのキツを1枚取り込みます。
そして25〜37cmのサンノジを何枚も何枚も取り込みます。
この日の私はいったい何枚のサンノジをヒットさせたのでしょう。20枚・・・いやいや、そんなもんじゃないな。
今までサンノジの名所といえば一にも二にも名鹿(高知県四万十市)だと思っていたけど、この周防形はそれ以上かもしれません。
釣巧会のリョータさんと計画している例のあれ、ここで開催するのもいいかもしれないなあ。
そんなこと考えながら釣ってたら、その中の1枚のサンノジが悲劇を招いてしまいました。
向かい風で道糸が吹かれ、DXRの柔らかい穂先に絡みついたところに運悪くサンノジがヒット、IMSGガイドが効果を発揮するまでもなく穂先のカーボンが大きく削がれてしまったのです。
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地の大バエとかシオフキ方面。 この岬の向こうはもう港。 |
仕方が無いのでロッドケースからオレガ2号を取り出し、ウキも00の円錐に変えて、脈釣りのように仕掛けを操作して当て潮を攻め、ほんの少し弛ませた道糸と穂先でアタリを拾っていく作戦に変更しました。
ズドーン!
数投目のことでした。穂先どころではなく竿の胴までが一気に舞い込んだのは。
だがこれも僅か数秒のやり取りでラインブレイク。
またバンドウが餌を拾ってたからなあ。あれはハリス2号で取れるサイズじゃない・・・。
その後もアタリは続きます。
でも、穂先がコンッ!それで終わりです。
もちろんタイミングとか、いろいろ変えてみましたが、グレかどうかは別にしてもこの道具ではどうやっても掛ける事ができないまま、4時半のタイムアップとなりました。
3時間半悪天コールドだった前回の安満地とは対照的に今回は磯の上での時間を思う存分味わえた一日でした。
何とも厳しい釣りだったし、釣果も口太1、ヘダイ1、カワハギ1という寂しいものでしたが、地形も渡船もひっくるめたこの釣り場ならではののんびりした雰囲気が心を支えてくれたんだと思います。
ここにはまた来ることになるだろう。そんな確信を抱いて帰路についた私でした。
道中立ち寄ろうとした店がことごとく休業&満席、腹を空かせて入った店で注文したメニューは大外れだったうえ、駐車場の坂では縁石に乗り上げて車腹を強打する等々、行きと同様、すんなりとはいなかった帰路に・・・。
● 周 防 形 suougata(sohgata) |
利用渡船 |
谷口渡船 |
出港地 |
高知県大月町・周防形港 |
時間(当日) |
6:30〜16:30
(融通ききます)
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料金 |
3500円
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
600円 |
宿/仮眠所 |
民宿を経営 |
システム |
磯予約制 |
磯替わり |
あり |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
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