風雲児  烈風伝
      ・異色のコラボ遠征! in 大月町一切 
                         ROCK & DIVE !

2013年9月22〜23日 高知県安満地&一切
・コラボ遠征 新章
 このサイトで言うところの『コラボ遠征』とは、「どんな釣りでも等しく発生する交通費と運転の疲れを半分に!それぞれ釣りの楽しみを十二分に!」を合言葉に、異なるジャンルの釣り師が一台の車で遠征し、現地で分かれてそれぞれの釣りに没頭。そしてまた合流して一台の車で帰ってくるというもの。これまでに磯釣りと投げ釣り、フカセ釣りとルアーフィッシングという組み合わせで高知南西部に向かい、各回成果を上げてきました。
 しかし、今回の『コラボ遠征』は異色です。そもそも、同じ車に乗り合わせるのが「釣り師」ですらないのですから。

 同室で働いているH氏の趣味は最近始めたダイビング。
 彼が「一度は柏島に行ってみたい」と語ったのは職場の飲み会の時でした。

 「それなら一緒に行きませんか?」
 柏島の港まで車で行き、私は渡船に乗って沖磯へ。H氏はダイビングショップが開くまで休憩し、車なり徒歩なりで移動してダイビング。そして夕方に合流して宿で一泊してから帰れば、磯釣り師とダイバーというタッグでも交通費は半分、楽しみは十二分。
 こうして、海が好き、魚が好き、でも時として対立することすらありえる程にアプローチの仕方は正反対という、異なるジャンルの変わった組み合わせによるコラボ遠征の計画がトントン拍子に進んでいきました。

 決行は9月22日(日)。2回目の連休の中日。
 ところが、それぞれの業務の都合で日程の確定が9月初旬にずれこんだため、H氏がリストアップしていたダイビングショップは全て満員御礼でした。さすがは世界に名を轟かせるダイビングの聖地です。
 まあ、ダイビングと釣りが両立できる所はいっぱいありますので、私は「柏島がダメなら安満地、橘浦、周防形、竜串、西海、由良半島なども調べてみれば?」とアドバイスしておくと、その夜、Hさんから「スクーバハウスK's柏島店」という所を予約できたという連絡がありました。柏島店といっても店の所在地は「一切(いっさい)」となっていましたので、私も一切にある渡船屋に電話をし、この渡船区の一級磯「三角」の予約に成功しました。

・転進
 北緯20度線に二つの台風がいました。こうなれば柏島での磯釣りは不可能ですが、その北東にある一切は南系の波風には非常に強い場所ですから問題ないでしょう。実際、ダイビングの「K's」はベタ凪で問題なく出船するとのことです。

 ところが、土曜日の仕事が終わってから渡船屋に電話をかけると、「明日は波が出るから止めた方がいい」という言葉が帰ってきました。
 信じられませんでしたが、出ないというものは仕方がありませんので、一切の一つ北にある安満地(あまじ)の吉田渡船に電話して事情を話してみました。すると「明日は波の出るような風やないし、何で出んのやろねえ?」と不思議がりつつ、「出船時間はいつでも結構ですので、一切を出るときに電話してくださいね」と、無理を快く聞いてくださったので、変則的な日程ながらも磯に上がれることになりました。

・出発
 出発前からゴタゴタしたけど、土曜午後7時にH氏と合流して兵庫県相生市を出発。一切のダイビングショップが開くのは翌日8時ですから時間はたっぷりあります。そこで、お隣の上郡町に寄り道して美味しいカレーを食べてから備前インターへ向かい、あとはゆっくりと走る段取りでした。しかし目的の店に行ってみるとたまたま早じまいで、しかも代わりに入った店が大失敗という、何とも盛り上がらない出陣式になってしまいました。さらにこの日は私の体調が芳しくなかったので走行ペースが上がらず、午前3時半ごろにやっと大月町の道の駅に到着です。
 
 道の駅でしばらく仮眠をしてから再出発。柏島まで続く県道を柏島トンネルの所で右折して急坂を下ると、そこは鏡のように穏やかで、心が洗われるように澄み切った一切湾。その湾奥にある「スクーバハウスK's」に午前7時半ごろに到着しました。
 駐車場で15分ほど待っているとオーナーがやってきて店を開けてくれたので、挨拶をし、H氏に4時ごろに迎えに来ると告げて出発。海沿いのくねくね道を15分ほど走って安満地へやってきました。
ベタ凪の安満地・観音崎から南西方向を見る。
岬の向こうには予約していた三角がある勤崎。
そしてH氏が潜っている一切。

沖に浮かぶのは鵜来島、姫島、二並島、
沖の島など。

・安満地もベタ凪
 渡船乗り場に着くとすでに出航準備が整っていましたので、急いで身支度をして出発です。
 夏までは不振が続いた安満地ですが、一昨日は37cmくらいのグレがかなり上がっているということなので期待ができるかも?

ツマジロモンガラ
(モンガラカワハギ科)
ミツボシクロスズメダイ
(スズメダイ科)
テンジクスズメダイ
(スズメダイ科)
ヤマブキベラ(ベラ科)
ヒブダイ(ブダイ科)
グレの写真は血まみれのやつが
一枚しかありませんでした(涙)
 名礁マワリなど高望方面の磯には、早朝からのお客さんが上がっていますが、安満地湾の出口に位置する観音崎が空いていたので渡礁。
 この観音崎は、竿下から一気に落ちていくドン深の磯で、いつも底物師が上がっているポイント。背後の切り立った壁と海の間の廊下状の足場は狭く、悪いです。

 スタートは8時40分ごろ。
 足元に撒き餌を入れると真っ先に寄ってきたのは、モンガラカワハギ科のツマジロモンガラ。高知南西部ではよく釣れる魚ですが、水面に10数匹が群れている姿なんてさすがに見たことがないぞ・・・。まあ、しばらく撒き餌を打っていると、20〜25cmくらいのグレとキツに主役の座を奪われてしまいましたけど。

 ボウズロッドことDXRメガチューン1.65号にG5のウキをセットして、G7のガン玉を2つ打ち、なるほどウキ止めを2ヒロ強の位置に付けて準備OK。足元にバンバン撒き餌を打ちこみ、その沖や横に一発。本命用撒き餌から少しだけ離れた位置に仕掛けを投入すると、まず30cmほどのキツがヒット。そして5分も経たないうちに27cmの尾長グレをキープできました。

・色とりどり
 今日は余裕かも!と思った日は大概ろくな結果になりません。
 大量に居るグレはそれほどハリには掛かりませんが、それでもサイズを選って選ってドンドンリリース。27cmの尾長1枚と26cmの口太1枚以外はとりあえずリリース。イスズミ、ヤマブキベラ、ミツボシクロスズメダイ、ツマジロモンガラ、オトメベラなどのカラフルな魚たちもとりあえずリリース。キープしようとしたテンジクスズメダイは締める前に海に落としてしまいました。

 そんなこんなでクーラーの中は寂しい状況。正午過ぎにもなると、25cmクラスでもいいからキープしておかないととさすがに焦り始めましたが、その時点ではコッパの姿も疎らになっており、食いも相当悪くなってしまっていました。

 こういうドン深のポイントは、どこに照準を合わせるべきなのだろう?磯際の浅ダナ?深ダナ直撃?沖で食い上がりを待つ?
 私は当然、ゼロスルから深釣りまで色々と試してみましたが、疲労・腹痛など体調の悪さもあってどれもこれも中途半端。答えにたどり着く気がしません。
 しかも、鋭くアワセた瞬間に道糸が高切れして、ウキが高々と舞い上がり、背後の切り立った崖のどこかに引っかかって落ちてこないわ、ロッドを何度も背後の崖にぶつけ、ダメージの心配を抱え込むことになるわと、どうにも身が入っておりません。

 潮はドンドン引いていき、1時ごろには廊下状の足場が横に広がり、岬の先端の方にも歩いていけるようになりました。
 大きなシモリが点在し、いかにも釣れそうな雰囲気ですので、残りわずか、気合を入れて攻めてみることにしましたが、食ってきたのはヒブダイくらいのものでした。

 午後2時前になると、磯の前にダイビングの船が現れ、乗客が次々と海中に姿を消していきました。H氏の乗っている船ではなく、安満地のダイビングショップの船でしたが、グレがどこにいるのか見てきてもらえばよかったなあ。

・釣果が消えた!
潮が引いて横方向に広がった観音崎の磯。
釣り場の右沖で準備を始めた安満地のダイビング船。
この下に大グレは泳いでいたのだろうか?
 午後2時20分、吉田渡船が磯の前を通って高望方面の磯に向かっていきました。納竿時間の3時には少し早いけど今日は終了のようです。・・・って、その時私は諦めてすでに片付けに取りかかっていましたけど。

 狭い船着きに道具を並べて船が帰ってくるのを待っていると、背後で大きな音が響きました。
 それは、クーラーが安定の悪い磯から滑り落ち、磯際でバウンドして海面に飛び込んだ音でした。さかさまに浮いたクーラーは速い潮に乗って、みるみる安満地湾内に流れていきました。まあ、すぐに船が来るのが分かっているので、慌てる必要はありませんが。

 しばらく待っていると船がやってきました。私は他の荷物とともに飛び乗って船長に追尾を依頼し、程なく拾い上げることができましたが、クーラーの蓋は開いており、魚も氷もスッカラカン。
 不幸中の幸いは、その中身が流されても惜しくないような釣果だったことですな。高望方面に渡っていた方のように40cmオーバーのグレが多数なんていう釣果なら悔やんでも悔やみきれなかったでしょうけど(笑)

 それに、7年前の鵜来の港で、夜の間にイノシシに蓋を開けられて中身を食い尽くされた時のように、空っぽのクーラーから獣臭い臭いがしないというのも不幸中の幸い・・・なのかも^^
 ● 安満地 amaji
利用渡船 吉田渡船 出港地 高知県大月町・安満地
時間(当日) 8:30〜14:30
料金 3500円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 宿泊・仮眠所あり。 システム 磯予約可
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・ダイビングショップで一休み
 今日は釣り人同士じゃないので、臭いが出ないようにバッカンやウェア類を梱包して、海沿い道を一切へ向かうと、H氏は秘密基地のようなダイビングショップにいました。

 H氏によると、1回あたり50分程度のダイブを一日3本実行可能だったそうですが、体力を考慮して2本に留め、常連さんと二人でショップの店番をしながら、3本目に行っているみんなが帰ってくるまでのんびりしているとのこと。
 後のことは常連さんに任せて出発してもよかったのですが、せっかくなので元磯釣り師の常連さんと雑談や情報交換などしながら休憩。1時間ほどするとオーナーや他のダイバーが帰ってきたので、「また二人で来ます!」と挨拶して一切を後にしました。

 一切の海は澄み切って素晴らしく、様々な魚たちやウミウシを堪能し、オオモンカエルアンコウの大物にも遭遇。H氏の好きなウツボの観察もできたそうです。また、ショップのスタッフや皆さんの雰囲気、サービス等がよかったことは、ちょっと立ち寄っただけの私にもよく分かりました。

 その後はH氏を柏島へごあんない。波音騒がしい観音岩の絶景を見たり、港の中を泳ぐクロユリハゼやソラスズメダイ、ネズミフグやハタタテダイなどを観察したりしてから幡多郷へ向かい、ウツボのタタキ、スマ(ヒラソウダ)のタタキ、コビン(ビンナガの子)とコタイ(コロダイ)の刺身、ゲンナイ(クロホシイシモチ)の素揚げ、マコモダケと豚肉の炒め物といった地元料理を満腹どころじゃないほど堪能し、気絶するように眠りに落ちました。
 おかげで私の体調もようやく回復です。

・ワームを持って釣り場に寄り道
 翌日は朝7時半ごろに幡多郷を出発し、H氏からリクエストのあった「横倉山自然の森博物館」(高知県高岡郡越知町)に寄ってから帰宅しよう。あと、ルアータックルを2セット車に積んできているので、道中の釣り場で1時間ほど遊んで行こうとも話し合っていました。

 まずは釣りです。
 私はソルティープラッガー SPS−862(ウエダ)を手に取り、H氏には前世紀に買ったバスロッド・エクセージ6ftML(シマノ)を渡して、それぞれにジグヘッドとワームを装着し、足元の岩の間を狙います。特に何かを狙うわけではなく、ウロハゼとかエバとかがH氏にヒットしないかな?程度のごくごくお手軽な小物釣りです。

 ところが、私のワームを追ってきた魚は、30cmを超えるアカメ!思わず「食えっ!食え〜〜〜っ!」と叫びながらワームを暴れさせ、足元に追い詰められた小魚がパニックを起こしたように演技させると、竿に重みが乗っていきました。
 縞模様を浮かび上がらせたアカメが水しぶきを上げて水面直下を走ります。そして反転し一気に潜行。すると次の瞬間、ロッドから魚の重みが消えてしまいました。アカメの骨質の唇を小さなジグヘッドのフックで完璧に貫くことはできなかったようです。

 その後、再びアカメが追ってくるようなことはなかったものの、ミニサイズのコトヒキがヒット。その釣り方をH氏にレクチャーしながら釣っていた時、またしてもトラブルが発生しました。
 ミスキャストでラインが木の枝に引っかかってしまったので、ジグヘッドに乗り越えさせようとロッドを鋭く煽ったところ、勢い余って反対側の木の枝に衝突してしまったのです。ソルティープラッガーは何事もなかったような顔をしていましたが、しばらくするとティップ部分の真ん中がスローモーションを見ているようにゆっくりと傾き、地面に落ちていきました。まるでルパン三世の五ェ門にでも斬られたかのように。
 お気に入りの竿だったので修理したいけど、もうメーカー自体が無いんですよねえ。自らの不注意が悔やまれます。

 とりあえず時間もよくなっていたので、これを機に納竿。あとは予定通りに化石や隕石に触れる越知町の博物館に立ち寄り、渋滞の伊野から高速に乗って、相生まで順調に引き上げることができました。


 私にとっては前回の橘浦のしっぺ返しのような酷い釣りになってしまいましたが、コラボ遠征ならではの楽しい道中でそれを笑い飛ばすことができました。またH氏にとっては美しい海の魚たちや、同好の仲間たちとの充実した時間をリーズナブルに満喫できた、満足な旅となったようです。

 今回のコラボ遠征もまた、成功ってことで。
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