・キーワードに釣られて
当サイトに対する検索キーワードを調べてみると、「シブダイ」及び「魚の捌き方」とそれに関連する語句の検索数に圧倒されてしまいます。
それらに比べると僅かな数だとはいえ、上位に食い込んでくるのが「泊浦の磯へ行きました」という謎ワード。・・・泊浦の波止ならともかく、磯は未経験なのにねえ。
そんなに要望があるのなら一度行ってみるか!前から気になっていた場所だし!ということで企画したのが今回の遠征。まあ突然取れた代休の2連休なのに、台湾付近に台風がいて安満地か泊浦か沖の島くらいしか渡船が出ないというのが大きいんですけどね。
泊浦は高知県大月町の西海岸北部にあり、V字型に切れ込んだドン深の湾の両端にあたる「白鼻」付近と「弦場の鼻」(げんばのはな)を中心とする渡船区。元々あった渡船が廃業し、数年後2010年頃に参入した別業者も3年もたずに廃業して磯渡しができない状態でしたが、2013年冬から「大月遊漁センター」が3代目?の渡船業者として復活した模様です。
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チヌがメインで、コロダイ等の投げ釣りもできるという「ツリサン」 |
ここは冬〜春の大型チヌで有名ですが、魚種が豊富で、時期と磯によっては50くらいの口太も出るそうです。尾長の出る磯もいくつかあるとか。
最も有名な磯は「小島(白鼻小島)」で、その他にも「小島のハナレ」「白鼻の地」「ゲンバ1〜3番」や、釣りサンデーの取材の時に大釣れしたという「ツリサン」という個人的に気になる磯もあるそうな。
(週刊釣りサンデーは2008年まで発行されていた近畿地方中心の釣り情報誌。遊び心満載の企画、本格的な魚類学を身近なものにした記事や刊行物は私の釣りに計り知れない影響を及ぼしています。何度か載せてもらったこともあったし、「釣り小僧見参」や「釣野キチゾー氏とたえ子夫人」とかも好きだったなあ。今は別業者が発行している「磯釣りスペシャル」や「チヌ倶楽部」も元々これの別冊でした。)
まあ時期が時期だけに全く期待していませんけどね。船長に話を聞いてもグレ釣りで来る人自体が少ないうえ、沖でハマチが湧いているので食わないとのこと。
それでもチヌやらイギスやらモイカなんかが居るので、色々な道具を持って来るようにとのことでした。
・うねりを逆手に
久しぶりにコンディション抜群の状態で出陣した私は、大月の道の駅で少しだけ仮眠した後、23日午前5時ごろに大月遊漁センターに到着。行きは予備餌帰りは魚が入る予定のクーラーと、大量の飲料水と冷やしうどん等の食糧が入った重たいクーラーを小さな渡船に積み込んで、初めての釣り場へと出発です。
梅雨明け直後の猛暑の平日ですので、泊浦の磯は全部一人で貸切!さてどこに行こうかな。
個人的には尾長が出るというゲンバ方面に興味があったけど、船長のお勧めは小島で、初めてのお客さんは大抵そこに行くそうです。散々迷ったけど私も無難に小島にしておきましょうか。
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白鼻の北西に浮かぶ磯が、この渡船区を
代表する磯・白鼻小島。
ポイントが多く、駆け上がりの南〜西は
チヌ、北〜東はイカが面白いとのこと。
小島の北西にあるハナレは、磯が低くて
渡礁が限られ、取り込みも難しいが、
デカいのが居るんだとか。(船長談) |
白鼻小島はその名の通り、泊浦の湾の北側「白鼻」の沖にあるタコ焼きのような形の島です。歩いて簡単に一周でき、ポイントも多いのですが、渡礁直後は潮が高い上、うねりがあるのでフカセのポイントは船着きに限られていました。
でもこの状況だからこそ可能性が広がる釣りもありますね。
夜通し過ごしたクーラーの効いた車内と、早朝から蒸し暑い磯とのギャップのせいで汗が滝のように流れます。
それに閉口しながら組み上げたのはフカセのタックルではなく、ミノーイングにこそいい感じのショアジギングロッド(個人的には使い勝手のいいキス釣りロッド)、コルトスナイパー1000M。これにミノーをセットして広い磯を歩き回り、あっちのサラシ、こっちの潮目と探っていきますが、魚のチェイスは全くありませんでした。
すぐ近くの安満地の実績を考えるまでもなく出そうなんですけどねえ、ヒラスズキ。ベイトが居ないのかな?
・フカセ釣り開始
汗も落ち着いてきたし、南面のポイントを一回りして船着きに戻ったところでフカセ釣りスタートです。
撒き餌を撒いてしばらくするとカワハギ(丸ハゲ)がパラパラと集まってきました。あとはチョウチョウウオ(本チョウ)とブダイ(赤)が少々。グレはコッパの一匹も見当たりません。
それでも敢えてでかいカワハギには目もくれず、仕掛けをずらしたりシモらせたりしてグレの魚信を捉えることに集中します。だが、やはり釣れない。
状況が変化したのは約1時間半後でした。潮が変わったのか、突如として撒き餌の周辺に小グレが現れて上下運動を始めたのです。
すぐに受けてウキを00号、短ハリスのスルスル仕掛けに変更して沖目に投入すると、27.5cm、キープサイズの口太グレが一発でヒットしました!
これに気を良くして同様に攻めていくと、15〜23cmのグレがパラパラとヒットするようになりました。25cmほどのサイズも数枚混じりましたが、そのうち30cmクラスが出ると信じて全てリリース。あ、時々意に反して掛かってくるカワハギはキープしてますよ^^潮だまりに入れてたら結構逃げられてしまったけど。
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船着きの背後から、白鼻方向。写ってないけど、左の山の上には風車が立ち並んでます。 |
徐々に潮が引いてきたので、うねりに注意しながら活動範囲を広げていきます。
まずは船着きの右横、そしてワレと呼ばれるポイントを攻めてみますが、時折掛かるのは23cmにも満たないグレばかり。
小島で一番のポイントだという「カナトコ」にも行ってみましたが、やはり見えるのはカワハギとブダイ。G2のスルスルとか、誘導仕掛けでの深釣りを試しても効果なく、00ウキに−0のパラソルストッパーを付けた仕掛けでコッパグレ少々と30cmくらいのキツが釣れただけ。
このカナトコはドン深でいかにも釣れそうなポイントなんですが、足場は小さくてバッカンしか置けず、うねりが高いので通路がひざ上まで上がってくる波に大半の時間を隠されるため、背後との連絡が途絶えがち。この暑いときにこの有様では水分補給が追い付かずに熱中症になりかねないと考え、グレの薄いこの磯で一番グレが多かった船着きの右横へと撤収しました。
11時過ぎ、それまで白鼻の方にゆっくり流れていた潮が逆転し、西向きの速い流れになりました。
そこで私は足元にカワハギの群れを集めて、潮上にあたる左沖に仕掛けを投入、潮に乗せて正面右側のシモリ際で撒き餌と合わせます。そしてシモリの裏に回り込ませて、回収できる限界まで探ってみました。
11時27分、ウキが鮮やかに消し込み、この日一番の引きがロッドを捉えました。
1.35号相当の竿で楽しみながら寄せてくると29.5cmの尾長グレが浮上。こんなサイズがいたとは驚きです!(やれやれ・・・)
・KO
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風力発電の風車は全然回って
いませんでした。
要するに風が無くて暑くてたまらん。 |
2枚目のキープサイズに少しはテンションの上がった私でしたが後が続きません。さらにはカンカン照りの磯の暑さにやる気を失い、12時過ぎに船長までギブアップの電話。15時の迎えを13時に変更してもらいました。
さて、迎えまでの時間でお土産を釣りましょう。
フカセの仕掛けを切って2本バリの胴突き仕掛けを作り、いままで横目で見るだけだったカワハギに照準を合わせるのです。
竿下に撒き餌を入れて仕掛けを落とすとすぐにコンコンとアタリがあって、すぐに新本命のカワハギをゲット。
しかし何ということでしょう。本気で狙いだして3枚も釣ると、これまでわんさか湧きかえっていたはずのカワハギが一斉にどこかへ消えてしまいました。
で、釣れてくるのはサンノジとかブダイとかツマジロモンガラとかコッパグレとか・・・。最後にまとめてカワハギを釣って帰る計画は失敗です。カワハギ恐るべし・・・。
待ちかねた迎えが依頼通り13時にやってきたので、小島から逃亡。
クーラーの中身はグレ2枚と、あれほど湧いていたカワハギが7枚。グレは目標の35cmどころか、30cmにも届かずと、いい所のほとんどない一日でしたね。
しかも、波の具合を見た船長が6時前、「ゲンバ方面に移るか?」と電話してきてくれたにも関わらず、その時間だけ電波状況が悪くて受信できず、電話があった旨のメールに12時に気付くというアクシデントも。
まあ、こんな時期に来る方が悪いというものです。降ってわいた代休のチャンスに四国南西部で竿を出せるだけで満足だと思っての計画でしたからねえ。
南西の波の時には格好の逃げ場になるし、また別の時期に挑戦してみますかね。
● 泊 浦 tomariura |
利用渡船 |
大月遊漁センター |
出港地 |
高知県大月町・泊浦の浮き桟橋 |
時間(当日) |
5:00〜15:00(13:00でKO)
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料金 |
3000円
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
無し |
宿/仮眠所 |
無し |
システム |
磯予約制 |
磯替わり |
不明 |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
・国鳥とお散歩
多くの場合、夏の時期に大月町西部で釣りを終えた私はまず大月の道の駅に向かいます。そこのかき氷で体を冷やしてから次に古満目港に向かうのが恒例行事。
今回も同様のパターンで行動したのですが、古満目港のバラ氷を買うほど釣れていませんし、岸壁のハタタテダイもハリに掛かるようなサイズではなかったので竿も出さずに逆戻りして、15時前に幡多郷にチェックイン。
ところが今日は猛暑日。クーラーの無い部屋に熱気がこもり、とてもじゃないが居られません。
そこで、宿のマスターの勧めに従って外でしばらく時間つぶし。どこか涼しげな場所・・・そうだ、近くにある川の偵察に行ってみよう。
宿の近くのこの清流は、結構多彩な形状を持つ川で、ゲテモノ五目釣り師である私を熱くさせました。
中流域の芦原の先にはカワムツ類とクサフグが戯れ、コンクリートの隙間にはゴクラクハゼやチチブ、手長エビが張り付き、岩の隙間からはナマズがのっそりと姿を現します。小さな遊泳性のハゼも群れています。
河原をトコトコ歩いている美しい雄のキジと一緒に散歩する形で下流域までやってくると、岩場を55cmクラスを筆頭とするチヌの群れが往来し、もっとでっかいコイやボラ類の群れがその脇をかすめていきます。魚巣ブロックの護岸にも色々な魚が潜んでいそうです。昨年の1泊2日50目釣りの時にここに来なかったことが今になって悔やまれる状況です。
私はこの清流の水際で魚を見ながら涼み、太陽の力が少し弱ってから宿に戻りました。
昼間に暑くても、夜9時ごろになると急に涼しくなるのが四国南西部のいいところ。その夜は1時間おきに目が覚めてはいましたが、トータルするとかなり寝たようで、久しぶりに体力充分の2日目の早朝を迎えることができました。
・ラマダン漁港
翌日は11時頃に磯から上がって、夜の7〜8時には家に帰って明日の仕事に備えようという計画でしたが、初日の正午には計画撤回。磯には上がらずに、港や川で釣りながら帰ることになりました。
大波に洗われる大月町南海岸。こういう時はちょっと奥まった港が面白いはず!
私は数か所で車を降り、ルアーを投げたり、使い残しのオキアミを撒いてみたりしますが、魚の姿を確認したのは果たして何か所目の港だったでしょうか・・・。
波止の壁をつついているのはチヌ、シマイサギ、ボラ、豆メッキ(エバ)。船の陰には40〜50cmのスズキ類がゴロゴロ。そして何よりも私を驚かせたのは、ロープ際にいた憧れのゴマフエダイらしき魚の群れ。30cmクラス15匹ほどの群れなんて今まで見たことないぞ!
これは釣らない理由がありません。一旦車に引き返してクーラーの中のオキアミの残りと爆増グレ5倍遠投を混ぜ合わせ、フカセタックルを抱えてポイントに急行。フエダイは先ほどと同じように屯しています。よし今回はもらったな!
魚から少し離れた所に撒き餌を打ち込むと、ゴマフエダイ(?)の群れがゆっくりと近づいてきました。ところが、沈んでいくのが餌だと分かってUターン。そしてしばらくすると姿を消してしまいました。
他の魚も寄ってきません。というより、あれほど居た多彩な魚は撒き餌を見て一目散に逃げ出し、何もいなくなってしまいました。ここの港は餌を食べたくない魚が集合する場所なんでしょうか?
仕方ないのでこちらから歩いていってサシエのオキアミだけを完全フカセで魚の前に落としても、チヌ、セイゴ、シマイサギ、クロサギ、ゴマフエダイ(?)はたちまち逃走、20cmくらいのクロホシフエダイはオキアミから10cmでUターン、唯一オキアミに接触したエバは小さすぎてそれを食えずという有様。それでも散々港の中を歩き回り、やっとのことで8cmくらいのマアジを釣りました。
よっしゃ!この豆アジを他の魚に換えてやろう!
私はそれをハリに刺し直すと、ゴマフエダイ(?)がいた場所に舞い戻って泳がせてみますが反応なし。しからばアジが元気なうちに標的変更です。
今度はスズキ類の群れが居た場所まで歩いていって、漁船の際ギリギリに投入。すると数投目で穂先がグィーグィーっと入っていきました。
しばらく待ってからアワセを入れると1.35号相当の竿が大きく絞り込まれ、肩口のぐっと盛り上がった42cmのセイゴが狭いスペースで大暴れ。体型の印象で家に帰るまでヒラスズキが釣れたとばかり思っていましたが、その実体はプロポーション抜群のスズキ(本スズキ)でした。
まあ、何にせよこの状況では嬉しい一本ですな。
この時点で8時半ですのでまだ時間はありますが、これ以上粘ってもいいことは無いと判断し、さっさと道具を片付けて次の目的地に向かいました。
・観光地で白眼視
次は四万十川にやってきました。
狙いの魚はユゴイ・・・と言ったところで、すぐに魚の姿を思い浮かべられる人は居るのだろうか・・・。。
ユゴイは、磯のサラシの中にいるギンユゴイと同じユゴイ科に属する南方系の魚で、活動域は汽水域から河川中流域。かつて四国では珍しい魚種でしたが、近年は四万十川では普通種となり、国道56号線から6kmほど上流にかかる佐田の沈下橋(今成橋)周辺でも普通に見られるという情報があります。
ということで行先は佐田の沈下橋。あまりにも有名な観光地で竿を出すことになりますが、対象魚に関する情報が上記のものくらいしかありませんし、他の場所で釣ろうにも、中村の市街地以北の四万十川は、断崖と林、あるいは林と広い砂利河原と浅瀬に阻まれて、地元の案内者でもいなけりゃポイントにたどり着くことすら難しそうですし。
10時前、橋の東の駐車場からテクテク歩いて、一旦橋を渡り切ってから対岸の木陰で準備を整えます。竿はこんなこともあろうかと思って持参した5.4mの渓流竿、仕掛けは極小の玉ウキの沈め釣り、ハリは川虫鈎5号。川用の餌は手に入らなかったので300円分の石ゴカイ(砂ゴカイ?)です。
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参考画像 チチブ |
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参考画像 ブルーギル |
まずは河原に降りて、淵尻とか、足元の草付きを流し、橋の上に戻って瀬脇や瀬尻、東岸に戻って係留されている川船の隙間や屋形船の際を順々に攻めていきます。
ヒットしてきたのはカワムツ、オイカワ、そして四万十川の名産品ゴリことチチブ。水流の穏やかな東岸ではブルーギルの連続ヒットで、本命ユゴイはサッパリです。・・・って、まあこの時期にこの場所に生息しているのかも分からないし、そのサイズも分からずどういう仕掛けで対処すればいいのかもよくわからないという体たらくでしたからねえ。「彼を知らず、己を知らざれば戦うごとに必ずあやうし。」そりゃダメですわ。
さすがにここは観光地ですな。愛媛、広島、島根、大阪・・・、平日にも関わらず多くの観光客がやってきます。でもほとんどが車から降りることもなく、カメラを構えて橋を渡って観光終了。珍しく自分の足で歩き、立ち止まって川を覗きこむ人がいると思えば中国人。その中国人の傍らでアメリカの魚を釣っているという何だかよく分からない状況です。私のいた時間に限れば歩いていく日本人はごくごく少数でした。
まあ、どちらにせよ橋の上から竿を出して、川や魚についてより深く知ろうとするような人間なんて理解の範疇を越えた気味の悪い物体、不倶戴天の障害物でしかないのでしょう。たまに歩いていく人も、私が魚を掛けて竿を曲げているのを遠巻きにして、気持ち悪そうな目で見ながら通っていきます。
やはり観光地で竿を出すのはダメですな。他にポイントを見つけられなくても。
私はすっかりやる気を失ってしまったし、餌も暑さで死んでしまったので11時に納竿し、兵庫へと撤収しました。
初日はともかく、最後は完全に蛇足でしたね。これなら無理に竿を出すよりもトンボ公園の水族館で情報収集しておいた方が有益だったかもしれないなあ。 |