風雲児  烈風伝
  ・高知南西部・秋の3連釣! 嫌気がさすほど長い釣り。

2015年10月12〜14日 高知県土佐清水市〜大月町の小河川、小才角の沖磯、柏島の沖磯
・初日はいつものマイナーターゲット
 仕事が少し落ち着いたので代休使って高知南西部・幡多エリアの3日釣りに出発!

 まず初日の10月12日は昼前に土佐清水市北端に到着し、積んできた渓流竿を取り出して国道321号線に沿って大月町の北端までの中小河川を渡り歩いていきます。
 初日のターゲットは河川の河口域や下流域に生息する10cm程度のマイナー魚「ユゴイ」(磯にいるギンユゴイと同じユゴイ科の魚)。狙い始めて早数年、そろそろ決着を付けないと前に進めないので、3日間のうち丸1日をこの釣りにあてて本腰入れて居場所を探ることにしたのです。

 幡多地方では今やすっかり普通種になり、秋にはカワムツなどと混じって流下昆虫などを狙う姿がよく見られるというこの魚。今回は四万十学習館の専門家からいただいたピンポイント情報やダイバーからの情報などがあるので余裕かも!と思っていたけど、どの川を覗いても全く視認することができません。
 渕も浅場もガンガン瀬の中も全てクサフグまみれの川、河口部の閉塞で汽水魚の流入の可能性が低い川などにさえ仕掛けを投じてみますが、1日かけて手にした魚はクサフグ、カワムツ、オイカワ、チチブ、ゴクラクハゼのみという有様で今回も手掛かり無しのまま終了。ユゴイって本当に普通種なのかぁ??

 ただ明日につながる情報も一つ得ることができました。
 小才角新港の前を通りかかった時にちょうど柏原渡船の船長に遭遇し、3時の回収に向かう船に便乗して偵察したところ、終わり際に素晴らしい上り潮が流れ出して尾長の乱舞が出現!一がハエのデベソでは2.5号のハリスをブチブチに切られ、最近の小才角のMAXサイズに近い44cmも仕留められていたのですから。

 何を隠そう明日はこの小才角での竿出しです。現地で、しかも自分の耳目で確認したこんな情報に胸が高鳴らない釣り師なんているわけがないでしょう!

 前半はウスバエ。コッパ!コッパ!コッパ!
 終盤は一がハエのワンド。クサヤモロ!クサヤモロ!クサヤモロ!
西向きは強風のため使えず。
・期待高まる小才角
 13日午前6時10分、柏原渡船は約10人の上物師、底物師、ルアーマンを乗せて小才角新港を出発しました。
 私は当然のように一がハエを目指す予定でしたが、船長の「一人でやりたいならウスバエでもええよ!」という呼びかけにつられて1人西磯に向かい、船長の「尾長が入れ食いになるよ〜!」という声に送られてウスバエの高場から竿を振りました。

 事実、尾長グレはひたすら入れ食いでした。どこに投げても尾長グレ。撒き餌無しでも尾長グレ。深く入れても尾長グレ。どう釣ってもどう足掻いても20cmを超えるようなことは滅多にありませんけど・・・。
 あとはごく稀に大遠投でダツ科のオキザヨリが食ってハリスがザラザラになるくらいですね。朝一に見えていた大きなキツやサンノジもいつの間にやら居なくなってしまったし。

 10時の弁当船の頃には潮が引いて低場が使用可能になったけど、西の風が思いのほか強くなってまあまあ釣り難くなっていました。そんな中でもコッパ尾長の食いっぷりは相変わらずで、頑張りに頑張って25cm弱をどうにか数枚という状況が続いています。

 そんな状況を見かねたのか、12時ごろに渡船が再びやってきて磯替わりをするように言ってくれたので飛び乗って一がハエまで移動、東の船着きと昨日好調だったデベソとの間にある出っ張りの所に入ることになりました。

 いつもの私の定番ポイント・東の船着きの地よりに居られた方にウスバエの状況を報告すると、「こっちはコッパの代わりにムロアジが入れ食いや」という情報が。
 マキエを入れるとその言葉どおり25〜30cmほどのムロアジの群れが物凄いスピードで押し寄せてきます。そしてこの群れを構成している魚の正体が真のムロアジではなく、水色のライン輝くクサヤモロであることが判明するまでに時間はかかりませんでした。

 昨日今日と連泊する「幡多郷」のマスターの酒のあて&自分の晩御飯用にこのクサヤモロを何本かキープしつつ、これをマキエで躱してグレを拾っていきます。でもグレと言ってもやっぱりコッパですから、結局クサヤモロを釣っている方がまだ楽しいというなんとも悲しい釣りでした。

 いやはや久しぶりに釣っても釣っても時間が進まない、長い長い一日になってしまいましたよ。
 カワグチでは40オーバーの尾長も釣れたようですが他の磯は見事に撃沈。今回はベストだと思ったのに、そんな日にはユゴイ以上になかなかめぐり合うことができませんなあ(涙)
 ● 小 才 角 kosaitsuno
利用渡船 柏原渡船 出港地 高知県大月町・小才角新港
時間(当日) 6:10〜15:00
料金 3000円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無し システム 磯予約制
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・一か八かの柏島
 2日目の釣果によっては最終日も小才角にするつもりでしたが、こうも心が折れてしまっては場所を変えて出直す以外にありません。

 氷とオキアミしか入っていないクーラーを抱えての釣りとなれば伊佐が一番無難でしょうけど、40cmを目指すのであれば正直魅力不足かな。
 そこで一か八かで柏島に賭けることにして、いのうえ渡船と井上漁船に電話をしてみますが、「サンゴ漁に行くから無理!」「仕事があるから無理!」というつれない返事。柏島の渡船屋はサンゴ漁師に転職したという噂話は本当だったのか、翌朝港に停泊していたのはサンゴ漁の許可を敢えて取らず、渡船一本で行ってくれるという「良栄渡船」1隻だけでした。

 5時50分、6〜7名が乗り込んだ良栄渡船は渡し場の岸壁を出港。当然柏島のすべての磯は貸切ですが、渡船は本来の磯割りの「幸島」を目指すようですね・・・なんて思っているうちに早速名前が呼ばれて「ナダレ西の船着き(西の鼻)」への渡礁が決まりました。

 朝一番は船着き、しばらく後で隣の高い所からの竿出し。
 正面は行ってみたかった蒲葵島(びろうじま)と、もう何年も
行ってない沖の島。
 散々通った柏島ですが最近はすっかりご無沙汰でした。なんせ消費増税のタイミングで渡船代が値上がりしてから初めての釣行ですからねえ。
 このナダレ西の船着きもShioさんとのフカセ&ルアーコラボ遠征以来ですが、今日もあの時と同じく足元からいいサラシが出ています。Shioさんも来てれば夢のヒラスズキを手に出来たかもしれないのに〜。
 といったところでルアーもキビナゴも持ちこんではいませんのでいつも通りのフカセ釣り、ゼロサム弾X4のタイプV(1.85号)にハリス・道糸2.5号でのグレに専念していきましょう。まずは0〜Bのウキを使った強制沈め釣りでサラシの下をサスペンドさせてみようかな。

 この日のファーストヒットは6時33分。スタートしてから6〜7投というところ。サラシが収束する瞬間を狙って仕掛けを磯際に送り込んだら32cmの尾長グレがガツーン!と当たってきてくれました。

 気をよくして釣っていると、波間にチラチラと大きな魚影が見えはじめました!おおっ!50〜60cmクラスの魚の乱舞じゃないか!
 まあ乱舞、乱舞といったところで大抵の場合はキツが乱舞しているだけ。今回も大部分の魚の尾鰭後縁は黒く彩られてしまっています。しかしじっくりと観察してみると尾鰭の白い魚が数匹混じっているではありませんか!サイズも40cmはありそうだ!

 グレの数は圧倒的に少ないけどより神経質なのはキツの方。キツを狙っていればいずれグレが食ってくるだろうと信じて中央突破を試み、G5や0号の軽い仕掛けを使ってみたり、現在実験・改良中のかなり特殊な仕掛けを動員してハリスの水平落下を狙ってみたりして短時間で結構な数のヒットを叩き出しました。
 ところがそのほとんどが上がってきません。その内ハリス切れや噛み切られは僅か数回で、あとは全部ヒット直後のハリ外れです。ごっつう業わく(腹が立つ)けど「まあ外れているのは口の堅いキツだろう、散々ファイトした60cmクラスのキツもフィニッシュ直前に外れて逃げたし・・・。」と、ハリ先をチェックしながら気を紛らわすしかありませんでした。

 後になって思い返せばゴールデンタイムはこの僅かな間だけでした。
 いつの間にか足元に出現し、周囲を悠然と遊弋しはじめた2つの魚影が、その後の釣りをより困難なものに変えてしまったのです。そしてその魚影は足元をただ通り過ぎていくだけだった巨大な海亀やマダラトビエイとは違って、いつまでもいつまでも磯の周りに留まり続けたのです。

 こちらは柏島本島と神崎バエ。ヒラスズキが出そう!
 マキエを撒くと即座に大きなキツとコッパグレが反応し、それからワンテンポ遅れて目測2.5mのサメがゆらりと煙幕の中をくぐり抜けていきます。サメは魚を襲撃する様子はありませんし、魚もまたサメを恐れる様子もありません。ですが、魚がハリ掛かりしたりして変な動きを見せた場合は容赦なく仕留めにかかってきます。

 今回の釣行の出発前夜のテレビでホホジロザメの捕食方法の調査を取り上げた「NHKスペシャル」が放送されていました。その中で「小回りが利かないホホジロザメは正攻法では俊敏なアザラシを捕えることができないということを両者ともが知っているので、アザラシと一緒になって泳ぎ回っていることもある。」というようなシーンがあり、「だからこそホホジロザメは奇襲の一撃に全てを賭けているのだ。」というような解説がありましたが、サメの種類も餌も違うとはいえ、まさにその通りの光景が目の前で繰り返され続けることになろうとは・・・。

 番組ではサメに発信器を取り付け、魚雷のようなカメラ「シャークカム」に自動追尾させて撮影していたけど、あれに水上用カメラを追加したもので足元のサメを追跡して、捕食シーンと魚を横取りされた瞬間の釣り師の顔を同時に撮って回ったら面白い映像が量産できるかもしれませんなあ。当事者にすりゃ笑い事ではないですけどね。

 この状況を打開する一番の方法は磯替わりかもしれませんが、10時の弁当船で聞いてみても「昨日のムロ廻り、一昨日の赤バエ廻りもサメで釣りにならんかった。ここがベストやと思ったのになあ・・・。」とため息交じりですから、どこに替っても大差はなさそうだということで磯替わり案はあっさり却下。

 その代りにしばらくの間一切のマキエを止めて、サシエだけで釣りをしながらサメが離れてくれるのを待つという策を取りましたが、1時間後にマキエを入れた瞬間に再び流れ出すジョーズのテーマ曲・・・。
 作戦は敢え無く失敗です。でもその間に27〜28cmくらいまでの尾長を何枚か拾えたからいいとするか。

 次の作戦は正攻法。ロッドを数年前にこの柏島の磯で釣ったインテッサGV2号に、道糸とハリスを3号にパワーアップして、掛けた魚はサメとのスピード勝負で強引に獲ります。
 船着きの隣の高い所に釣り座を構えているので、魚が掛かったら右側の超浅場の緩斜面に問答無用で引っ張り込んで、駆け上がってくるうねりに乗せてフジツボだらけの陸地に一旦乗り上げさせ、そこから反動をつけて反対側に引き抜くか、次のうねりでさらわれていく途中でタモ入れすることができました。おかげで40cmちょっとくらいまでの魚なら高確率で取り込み可能。それ以上の魚は・・・獲れる獲れないという以前に2.5m級のサメ以外全く掛ってくれませんでした(涙)

 釣りの方向性が決まったことと、ラインが太くなった分をうねりの合間のサラシの残骸を利用してカバーすることによって、潮止まりの時間以外は結構な頻度で竿を曲げることができました。
 キツ、オキザヨリ、オヤビッチャ、ナミノハナ。グレは29cmまでで、朝の分と合わせて5枚をキープ。朝一番に私を興奮させた40cmクラスのグレは僅かな時間で姿を消してしまっていました。
 サメについていたコバンザメ。意外と旨い。
 2日目のクサヤモロは宿でプレゼント&食べてしまったので
3日目の釣果のみ持ち帰り。尾長27〜32cm5枚、
イサギ36cm、コバンザメ。
 その代りにキープできたのは、潮が右向きに変わった時に棚の際でヒットした36cmのイサギと、マキエの煙幕に突入するサメが仕掛けをかすめた時に食い付いてきたコバンザメ。まあイサギは時期外れで少々物足りない味でしたけど。

 とにかく撃沈は避けられてよかったけど、何かもうクタクタになって終了ですわ〜。今日もとにかく一日が長かった〜。
 ただ最後まで足元に居付いていたサメは、見てる分にはカッコ良かったなあ。この夏に私の地元の海と隣県の川で竿を出してもらうことができた、私以上のマニアック釣り師『週末顛末記』の「ナマジさん」をいつの日にか美しい柏島の磯にご案内して、あの堂々としたサメやマダラトビエイたちと全力でやり取りしていただきたくなりましたよ^^

 喪に服すことになったので年末まで釣りは自粛。今年の四国はたぶんこれが最後。そんな3連釣だったのに、その全てが厳しい日々になってしまいました。でもまあ天候にも恵まれ、嫌気がさすほど(苦笑)釣りに打ち込めましたから、まあよし(?)としますかな。
 それに帰り道の運転も、いつも以上に長く長く長く楽しめた気がしますしね。(号泣)

 ● 柏 島 kashiwajima
利用渡船 良栄渡船 出港地 高知県大月町・柏島
時間(当日) 5:50〜15:00
料金 5500円
駐車場 港:500円 弁当 700円
宿/仮眠所 民宿を経営 システム 磯割り制(5交替)
泊まり優先
磯替わり 数回
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

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