・灼熱マダイに初挑戦
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小豆島北西部・千振島の名礁、一のソワイ、中のソワイ、ダンプ。
ソワイは「ハエ」「根」「瀬」「グリ」と同じようなニュアンスの言葉。 |
「マダイを釣りたいなら梅雨明け頃の暑い時が面白いですよ。ただし大量の飲み物を忘れずに!」
船長が前から言っていたことを証明するかのように、牛窓の「まこと渡船」のブログには連日マダイの写真が並んでいました。しかも船長に電話で聞いてみたら、「今日も55cmが上がりました。大物のぶち切られもありますよ。」とのこと。
こんなこと聞いたら「明日、お願いします!」なんて言わずにはいられませんよ。いくら1週間前のグレ釣りの疲れを完全にとり、釣行記を完成させるのが3連休の予定の全てだったとしても。
で、翌朝の5時前、私は牛窓港にいました。
そこに集ったのは暑くなる天気予報にもめげずにチヌ、マダイ、キスを追う8人の釣り師たち。そしてその中によく知った顔が混じっていたのには驚かされました。このまこと渡船でも何度かご一緒し、高知県伊田でも竿を並べたことのある「岡山のお手軽波止釣り」の管理人・ツリキチオーさんです。
「おはようございます。珍しいですね〜。」
「今日は魚神会の会長さんとの釣りなんですよ〜。」
こんな感じでツリキチオーさんや会長さんと挨拶をかわして船に乗り込み、まるで湖のような海面を蹴立てて小豆島北西部を目指しました。
・葛島、西のトウフ
牛窓・黄島の白石にダンゴ釣りの方を、小豆島・ハヤ崎付近に投げ釣りの方を降ろし、あとは千振島のグンカン、一のソワイ、ダンプにフカセの方々を割り振っていきます。
この時点で船中に残っているのは、私とツリキチオーさんと会長さんの3人。
船は千振島を離れて葛島へ。(空撮では「かつらしま」となっているけど、小豆島観光協会HPによると「かざしま」と読むんだとか。)その北東部にある「西のトウフ」の前に来たとき、船長から操舵室に入って魚探を見るようにという声が掛かりました。
「ここは昨日、でっかいのに切られたところなんですよ。ほら、この辺りの水深が20m。ここからこういうふうに凄い駆け上がりになっていて・・・足元でこれくらい。タナをどこに合わせるかが難しいところやけど、まずは竿下からかな。竿下なら竿一本、遠投するなら竿2本くらいでやってみて。磯が狭いんで、荷物を落とさないように気を付けて!」という詳しい説明を聞いていざ渡礁!と思ったら、私の道具はすでに磯の上に勢ぞろいしておりますがな!ツリキチオーさんと会長さん、本当にありがとうございます。
私は深く深く感謝しながら、身一つで西のトウフへと飛び乗りました。
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葛島と西のトウフ。道具を蹴り落とさないように注意
上2枚はツリキチオーさん提供。 |
・G2でスタート
磯の上は狭いと言っても春に乗ったボート岩なんかとは比べ物にならないほどのスペースがありますし、傾斜と言っても別に苦になるほどではありません。
といっても油断はできないので荷物の配置を慎重に決めて、マキエを足元にバンバン打ち込みながら仕掛けの準備をします。
狙いはマダイ一本ですから竿は1.85号相当のX4タイプV、道糸もハリスも2.5号から落とすつもりはありません。ハリも閂マダイの7号で!・・・ありゃま、これっていつも通りの牛窓・小豆島タックルじゃありませんか(笑)
まずは船長のアドバイス通り竿下から。
G2のウキにジンタン4号を2個打った仕掛けを投入し、左へと流れる潮に乗せて流し込んでいきます。ある時は磯と平行に。ある時は途中でクニャッと曲がって沖の方に。
う〜ん、待てど暮らせど、送り込んでいくラインがバリバリと走って一撃が・・・というのは無いですねぇ。
満ちの潮を釣った序盤戦はハリス切れ1回で終わってしまいました。ハリス切れと言っても足元にも多数見えているフグのさらにでっかいやつ(後ででかいショウサイフグが釣れました。)に2.5号ハリスを噛み切られていただけですけどね。
・困った時の棒ウキ
この日の満潮は9時頃なので、少し早い8時頃に転流となりました。
と同時に「竜宮の乙姫の元結の切り外し」ことアマモの切れ端が大量に押し寄せてきて、魚釣りではなくアマモ釣りに終始する時間が続きました。
特に近距離は酷くて釣りにならなくなってしまったのでウキを3Bにチェンジし、竿2本の位置にウキ止めを設置して沖を狙うことにしましょう。
流れてくるアマモを何度も見送って、ラインを置くことのできる隙間ができるのを待ってから投入し、今度は右へ右へと流していきますが、やはりアタリはありませんし、ウキが見にくくて仕方ありません。
こういう時は棒ウキに助けてもらうにしかず!と、タイドマスターをT−Jという棒ウキの2Bに交換。おおっ、飛距離も結構出るし、悪くなってしまった眼でもよく見えて助かるわ〜。これだと餌を取られたのがいちいち分かるので効率がいいですしね〜。
今日は待ってもダメなようなので、ウキのトップが入ったら半呼吸おいてビシバシとアワセを入れていきます。
すると8時44分にこの日初めてハリが魚の顎を貫きました!上がってきたのは本命のマダイ!・・・まあ標準和名マダイとでも書くべきか、パグルス・マイヨルとでも書くべきか、サイズは19cmしかありませんでした。普通ならリリースでしょうけど、あまりにも釣れる気がしない中でのヒットだったものでまさかのキープ。酢でしめて雀寿司にでもしようかな。
でもそんなサイズでも数が出ません。次の一尾は9時58分と一時間以上時間が空いてしまってますからねえ。まあ少しサイズアップしたぞ。21cmだけど。
その後で食った一枚はまたサイズダウン。これはさすがにリリースしましたよ。
この頃になると朝の空を覆っていた雲は消え、梅雨から今日卒業したばかりの太陽が容赦なく降り注いできます。
背後の葛島や周囲の島々からは真夏のオーケストラ。ニイニイゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、早鳴きのツクツクホウシ、この辺では比較的珍しいミンミンゼミなどが入れ代わり立ち代わり、ある時はトゥッテイ、ある時はソロでシンフォニックな夏の音を響き渡らせています。
気温もグングン上がって、一歩間違えればあっという間に熱中症になりかねないようになってきましたが、塩入りのお茶等で水分と塩分を補給しながら頑張ります。
・諦めかけたけど。
しかし釣れません。
時折訪れる餌が残ってくる時間帯は、本命魚の接近を示唆させるには充分でしたが、待ちかねているアタリは出てくれません。もしかすると棒ウキでバッチリとタナを決めて釣っているのが悪いのか?
そこでウキをタイドマスターのG2、ジンタン4号2つという最初の組み合わせに戻しました。盛んに動かしていたウキ止めは竿2本の位置まで戻して、縦のタナもそれなりにゆっくり探っていくイメージでやってみます。
時計を見ると11時半前。残り時間は実質1時間ほどしかありませんので、沖にマキエを惜しみなく撒いてウキを投入、当て気味の潮に乗せて駆け上がりを沖から攻めていきました。
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小さくても美しい瀬戸内のマダイ。 |
すると11時27分、シモっていきつつあるウキがスピードを上げ、ラインが走っていくアタリ!25cmですが待望の一枚です。
それから数投の後でした。同様のアタリにアワセを入れると竿が先ほどよりも大きく弧を描き、ドラグからもジリッ!と少しだけラインが出ていきました。
やった、ようやく来たぞ!さすがに50cmまではいかないだろうけど、40cmなら十分にクリアしているだろう。そう感じながら常に主導権を取ってグイグイと寄せてきていたのですが・・・。
ポロッ。・・・えっ、嘘っ。
うわあ、やられた。この時間帯にハリ外れとはきつすぎますわ。
気を取り直してマキエを打ち直し、同じ攻めを繰り返していると11時47分に本日最長寸の34cmがヒット。やれやれ、これでようやく刺身が楽しめます。
さらに11時55分に6枚目となる27cmを追加。サイズはともかく連発です。
ほんま、これまでの苦戦はなんだったんでしょうか。こんな展開、ほんの少し前には予想すらできませんでした。
さて、残り時間が僅かになってきました。片付けられるものは先に片付けて、磯の上の撒き餌もある先に程度流しておいてから時計とウキを交互に見る釣りを展開。
不安定な引き潮が度々方向を変えるのに戸惑いながら、あと一投、あと一投と流していったけど、なんぼなんでもこの一投で限界だなと思って投じたのが12時半過ぎ。
まさかこれに本命がヒットするというドラマがあるとはねえ・・・。ハリを外す前に道糸を切って、ウキなどを片付けながらクーラーに入れたのは29cmでした。
この日はマダイに関してはそれまでの状況が嘘だったかのように壊滅状態で、最大34cmという私がなぜかマダイの竿頭。とはいえやはり灼熱のブチブチ祭りを味わってみたかったですね。
マダイのシーズンはもうしばらく続くとのことですが、ついつい2週連続で行ってしまった私はしばらく行動不能となります。
ということで、今年の牛窓は春も夏も見事に外してしまった私ですが、来期はどうにか見たいものですねえ。煌びやかな瀬戸内天然大マダイの雄姿を。
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西のトウフからの風景。葛島と小豆島本島、正面は千振島。写ってないけど、もう少し左に瀬戸大橋の主塔もはっきり見えました。 |
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今期最初で最後のマダイたち。 |
● 小 豆 島 shodoshima |
利用渡船 |
まこと渡船 |
出港地 |
岡山県瀬戸内市・牛窓港 |
時間(当日) |
5:00〜13:00
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料金 |
4000円
(牛窓諸島は3000円)
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
無し |
宿/仮眠所 |
無し |
システム |
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磯替わり |
有ったり無かったり |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
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