・いつもは雨後の大風なのに
3月の泊浦は小雨のち激しい風雨、5月の松尾も天気予報を覆す強風付きの雨。いつもと違ってよく雨に遭う今年の私は、その後釣りに行くことすらできずにいました。
計画するたびに台風、豪雨、それによる高速道路の流失などが相次いだうえ、大会による貸切や船長の旅行の影響で切り札「安満地」や瀬戸内「牛窓」にすら行けないまま尋常ではない猛暑と忙しい夏になってしまったからです。
親子700人あまりが参加してくれた学生企画の自由な落書きイベントが終わり、仕事のイベント運営2つも1つは無事に、1つは台風の直撃で吹き飛んで終わり、猛暑も幾分和らいでようやく釣りの計画を再起動させた今回も秋雨前線と915hpaまで発達した台風(後日神戸に上陸し、京阪神に甚大な被害をもたらした非公式名「関空台風」)に追われながらの釣行でした。
一日は波止や河口での釣り、もう一日は磯でグレ釣り。
磯釣りの方は安満地以外に選択肢無しなのでうねりは関係ないけどこの時期の昼の磯は雨がベスト、せめて曇ってもらわないと辛いので雨の確率がより高そうな二日目(9月1日)を磯釣りに当てることにしましょうか。初日も曇ってほしいけどこれはどうにも厳しそうだなあ。
・初日はキビナゴで大物?狙い
さて、初日は幡多エリアの港・河口巡りです。
いつもならこの時期は渓流竿やライトタックルを手にマニアックな小物を狙って敗退するのが恒例ですが、今回はショアジギングロッド(と書いてあるけど、大きめのミノーやシロギスの仕掛けを引くために買ったライトなやつ)と、シブダイ・尾長夜釣り用の磯竿4号を使ったキビナゴ餌の投げ探り釣りだけで様々なフィールドを渡り歩きます。ターゲットは特に決めておらず、キビナゴを食う魚ならなんでもOK!
別に昼間でも釣れるんでしょうがフグやベラの猛攻も想定されますし、やはりこういう釣りですから夢のある暗いうちがベスト。ところが前日の仕事の急展開と強度の釣行前不眠症の影響で釣り場到着が大幅に遅れ、竿出しの準備が完了したのは日もすっかり昇って暑くなってからでした。
ファーストポイントは四万十川の川港。餌を食わすのは不可能に近い浮きチヌの群れと35cmくらいのグレ、シマイサギ、クロホシマンジュウダイなどを目視できましたがキビナゴ餌ではどうすることもできず、沖でも足元でも何のアタリもないまま場所移動。
では海域ではどうかと岩礁と砂地の入り混じった港に行ってみると、ほんの数回だけ小さなアタリが出ました。正体を見ようとスーッと誘い上げてみると、「海色のキューピッド(学名意訳)」「キューピッド・ラス(英名)」とも称されるニシキベラと、キビナゴをつつくのが大好きなチョウチョウウオ科のシラコダイが着いてきていただけでした。こんなの丸セイゴ18号で掛るわけありませんがな。
それなら完全な砂浜ではどうだろう?マゴチかヒラメ、せめてエソでも食ってくるんじゃないか?と期待しましたがここでもアタリは全く無し。ビーチコーミングに興じる水着のカップルの視線も気にせず風通しの良い東屋でゴロゴロ寝転んで、体力を少しだけ回復できたのが最大の成果でした。
その後も数か所回ってアタリ一つ無いまま午後3時ごろに最後のポイント・古満目湾にやってきました。ここはイトヨリダイやコロタマ(コロダイ・ハマフエフキ)狙いの投げ釣りのポイントとして非常に有名な場所なので期待大。湾内で浚渫をやっていて湾中央部の波止には入りづらかったので荷揚げ場前でスタートです。
さすが古満目というべきか、他の場所とは違ってアタリが出ます。しかしただでさえ根掛かりが多い場所だけに丸玉オモリ使用のいわゆる短ハリスヘビーキャロライナリグでは魚もオモリも両方取られてしまって小さな魚でも上がってこない。
そこで竿を磯竿4号、仕掛けを捨てオモリ仕掛けにチェンジしたら18cmのオオモンハタが釣れてくれました。これが初日の9時間(ゴロゴロタイム・もぐもぐタイム含む)で唯一の釣果です。
その夜は幡多郷で泣き寝入り。さすがに極度の不眠症もここまでで、たぶん9時間くらいは眠れたはずです。
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古満目、荷揚げ場前 |
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撤収時に撮影した松島と、その釣り座 |
・久々の磯釣り
2日目は予定通り安満地ですが、天候は予定と違ってカンカン照り、湿度も高く暑いこと!まあそれでも太陽が雲に隠れている時間もあったし、風が吹いた時は極楽でした。ただ最終的にあんなことになろうとは・・・。
本日の出港は5時20分、迎えの予定は14時。さすがにこの時期、当然のように貸切です。
上がる磯は無難に松島を選択。地のマイナー磯と最後まで悩んだんですけどね、やはり松島の異次元の魚種の多さと、暖期の大型グレの実績には抗えませんでした。本来なら梅雨明け前に挑む気満々だった例の青いやつがいる可能性も高いですしね。
スタート時、潮は右から左へ流れていました。
まずはマキエを潮上の磯際に入れてコガネスズメダイ、コッパグレ、コッパギツを集めておいて、G5のウキでウキ下2ヒロ、ジンタン7号2つの仕掛けを潮下に投入してみました。すると1投目から25cmくらいの尾長が登場。当然のようにリリースしたけど、ファーストヒットまで8時間かかった昨日とはえらい違いです。
それからマキエと仕掛けを離す距離を色々探っているとそう時間が経たないうちに潮が緩み、後も続かないので作戦変更。見やすさアップのために2Bの棒ウキを取り付けて2〜3投に1回のマキエとともに沖を2ヒロ半〜3ヒロで狙ってみることにしました。
この方法ではサシエが残ることも多く、取られている時は棒ウキにも関わらずアタリ無し。試しにウキ下を1.5〜2ヒロに変えてみると26cmくらいまでのグレがたまに掛かるようになりました。サイズアップを望むなら深ダナなんでしょうが、どうにも確信が持てないなあ・・・。
わずか3か月ほどのブランクですけど戦略も道具の捌きも段取りも何か全然覚束ず、錆付いたような感じになっている自分に戸惑ってしまいます。
・今年もまたファイティング・ドリー
なんとなく手詰まりっぽい感じになってきたので足元のエサトリを使ってオキアミ以外のサシエの試験をしてみましょうか。
目視できる魚はコッパグレ(メジナ・クロメジナ)の他にコガネスズメダイ、オヤビッチャ、アマミスズメダイまたはシコクスズメダイ、ソラスズメダイ、チョウチョウウオ、シテンヤッコ、キンチャクダイ、ハリセンボン、ハコフグ、カワハギ、ツマジロモンガラ、ニザダイ、ヒラニザ、ニセカンランハギ、アイゴ、イスズミ類、ヤマブキベラ、ヒブダイ♂、ブダイ、イラ、トウゴロウイワシ科の魚。さらに忘れたころに磯際を泳いで行く4〜5匹編隊のツバメウオとキビナゴの塊、たまに沖で跳ねているダツ類とトビウオ類、あとは遥か沖で2度ほどボイルした何らかのフィッシュイーターというところ。
そして今回もいてくれたナンヨウハギは早い段階から2匹が撒き餌に突っ込んできていたのが「あっ、増えた。」「また増えた。」と1匹ずつ数を増やしていって最終的には6匹が集結しました。
このエサトリの群れの中に兵庫の“マックスバリュ釣り餌店”で買ってきたインド産冷凍ムキエビを一旦解凍して味の素を振ったものを投入。比較的小ぶりな商品を選んできたけど、まだデカすぎるのでちぎって使用しました。結果はまあ予想通りというか、コッパグレもコガネスズメダイもヒラニザも普通に釣れるし、盗られもします。オキアミボイルの餌持ちを少しアップさせた感じで便利なのでまた持ってこよう。
同じ冷凍ムキエビを家でボイルしてきたものも使ってみたけど、手をかける意味は薄いかなあ。尻尾の付け根部分の餌持ちは魅力的ですけれど・・・。家でボイルしたんじゃ、以前、鹿児島県枕崎市のスーパーで買って薩摩硫黄島の夜釣りで使った解凍ボイルムキエビのように餌箱の周囲がはっきり見えるほど蛍光色に発光する謎の添加物を加えることもできないしなあ(笑)
あとはチヌ釣りの定番、スイートコーン。餌持ちがよくコッパグレは釣れず。でもコガネスズメダイはしっかり食って掛かります。大きなグレが食うのかどうかは再検証が必要ですね。ちなみにこの餌、対ナンヨウハギ用の切り札になることを期待して持ち込んだのですが、餌ではないと認識するのかある一定の距離から近づこうとせず、今回も結局ナンヨウハギにサシエを食わすことすらできませんでした。(そういえばレタス入りのサンドイッチを持ってくるの忘れてたわ・・・)
・赤潮の後に
9時前になると潮が止まり、近距離は墨流しのような赤潮に取りつかれてしまったので再び遠投に切り替え、ウキも変遷の末に2Bの棒ウキに戻りました。
左側のシモリの沖に投じていたウキが消えたのは、その赤潮が去り、潮流も緩やかに動き出した時。
アワセを入れると同時に魚は斜め下へと凄い勢いで暴走していきます。私もすぐに竿を起こしてロッドの力を活かしつつ力で対抗、3度にわたる突進をねじ伏せ、凌ぎ切りました。すると魚は一転、長躯磯際に向かって疾走。私は必死でリールを巻いて追いかけますが、それまで竿尻を腹に当てて対抗していたこととリールの性能、それにブランク明け最初の大物だったこともあってか竿の角度変更と巻き取りが追い付きません。結局竿が水平より上にある状態で突入してきた魚に磯際へのタッチを許してしまってラインブレイク。
正体は分からないけどでっかいグレだったと信じたい。10分ほど後に掛けたヒラニザをはじめ、ここの魚は概ね磯際まではるばる走り込む動きをしますから、判別のしようがありませんけどね。
10時45分ごろ、昼食のパンと3本目のお茶で体力を少し回復して釣り座に戻ると左へ流れる潮が復活していました。
そこで棒ウキをシモリ沖に投入すると一発でウキが沈み、30cmの口太グレが上がってきました。ここにきてようやくの本日初キープサイズです。
その数投後にもスッとウキが消えていきました。一呼吸おいてからアワセを入れると抵抗ゼロ。アタリの時点で高切れしているとは・・・。しかも遠投だったのでウキ取りネットも届かず、ロストです。
・ムラヴィンスキーの田園のごとき雨
左へ流れる潮が、特に沖の方で速くなっていた11時46分には、0号のウキに潮受けゴム、ジンタン7号の口ナマリのスルスル仕掛けにグレがヒット。巻き取り勝負を余裕を持って制して、35cmの口太をタモに収めました。
そのしばらく後には28cmの口太も追加。
残り2時間で状況好転と思いきや、緩やかに気まぐれに吹いていた風が西側、つまり安満地エリアの沖側から強く吹いてくるようになって海面もザバザバと波立ち始めました。釣り座からだと強い横風なので釣りにくいには釣りにくいけど太陽も雲に隠れて体の方は快適なはず。でもこの時点ですでに疲れが快適さと戦意を上回っており、珍しく釣りをするよりも渡船が来るまで眠るという誘惑に負けそうになっていました。
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逃亡時の松島と豪雨の塊。
よ〜く見ると沖に鵜来島。 半分、白い |
2日間の釣果 |
ところが、釣り座の西側の空を見た時、私はとても寝ているような場合ではないことを認識させられました。
北側にある宿毛湾奥から愛南町に早い時期から垂れ込めて、山々の半分を隠していた低い雲がカンカン照りのこの地にもやってきて雨を降らせるとばかり思っていたけど、真の敵は西側の鵜来島の沖の海上にいた。それも脅威ともいうべき怪しい雲、いや、時折怪光を放ちながら近づいてくる白い雨が。
朝に船長から告げられた納竿時間まであと1時間ありましたが、私は堪らず電話で救援を要請。
迫りくる豪雨の塊におびえながら待っていた吉田渡船が松島に到着したのは鵜来島が雨に飲み込まれはじめた頃。辺りの光量がガクッと落ち、大きな雨粒がポツリポツリと落ち始めた頃でした。
その船が安満地湾内に入りかけた時、船内の物置スペースに逃げ込まずにはいられないほどの土砂降りと、V字に切れ込んだ湾の両側に雷が落ちて落ちて落ちまくる状況になっていたのです。
これ、湾内にいるからいいようなものの、もし松島でこの事態に陥っていたらまた至近落雷の恐怖を味わっていたのは確実。もしかすると被雷の可能性もあったかもしれません。急な依頼だったのに素早く迎えに来てくれた船長に感謝です。
そしてようやく船は突堤に到着。私は大急ぎで車に駆け寄り、後ろのドアを上げてその下に荷物を運び込んだけど、そのドアの下から一歩も動けない。しかし雨は容赦なく吹き込んでくるので運転席が水浸しになるのを受け入れて車内に走り込み、車を動かして吉田渡船の休憩室へ。そこでどうにか支払いを済ませ、1時間ほど雨宿りしてから、車内のクーラーにスタンバイさせておいた今日の第2ラウンド用のキビナゴを捨てて帰途につきました。
計画時から釣果をもたらすであろう雨に期待し、晴天にうなだれていた釣行でしたけど、望んでいた雨はこんなのじゃない!
とはいえこの激しい夕立が空気を肌寒いくらいに冷やしたことが暑さで疲れ切っていた私の体を回復させ、磯の上でいわゆるシャリバテの状態にあったことにも気づかせ、帰り道の負担を大きく軽減してくれたことはなんとも皮肉なものでした。
● 安満地 amaji |
利用渡船 |
吉田渡船 |
出港地 |
高知県大月町・安満地 |
時間(当日) |
5:20〜13:00
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料金 |
3500円
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駐車場 |
無料 |
弁当 |
500円(無いことも多い) |
宿/仮眠所 |
宿泊・仮眠所あり。
1泊2食6500円
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システム |
磯予約可 |
磯替わり |
可 |
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*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません) |
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