2019年 2月17〜18日 高知県小才角、泊浦
・北西風でも南風でも釣りができる町へ 「これから四国に行っておいしい魚を釣ってくるから、帰ったら刺身パーティーするで!19日の夜に集合な!」 子どもの冒険ひろば事業実施団体の学生ボランティアやスタッフ相手にそう宣言した私が向かったのは、四国の最果て大月町。当初計画していた口太グレの絶好調継続中の宿毛湾沿岸・泊浦での二日釣りは北西風で頓挫してしまったけど、初日はどうやら小才角で竿が出せるようなのでギャンブル釣り場に久々に挑戦。勝利はほぼ期待できませんが二日目の肩慣らしにはなるでしょう。締め切り間近の「大月・宿毛・土佐清水釣り遊BINGO!」のスタンプも手に入りますしね。 ・小才角西磯、フタゴバエ
フタゴバエはウスバエの斜め後ろにある非常に足場のいい磯。沖向き正面は大きなハエ根が張り出しているため、ポイントは西と東に分かれます。 西側は水面の泡が全く動かず、潮が止まっているように見える一方、東側は沖向きのシモリを乗り越えてくる波と地向きのワレが二つのサラシを作っていたので、迷わず東側でスタート。 しばらく釣っているとチョウチョウウオが見えはじめましたが、磯際スレスレのアカササノハベラ以外に掛かってくる魚はなく、それどころかサシエもほとんど取られません。潮の変化も落差によるサラシの周辺だけですしねえ。 ところが物は試しと回れ右して、西側のポイントにマキエと仕掛けを放り込んでみると、止まっているように見えた潮が意外なほど動いており、サシエも1投目からバンバン取られるではありませんか!ただしアタリは全く出なかったので、ウキやオモリやタナを相当いじり回して、0ウキ&2ヒロ半にしたところでようやく25cmありなしの尾長グレを2枚掛けることができました。 ・メーターオーバー! このように西向きのポイントの方が圧倒的にいいんですけど、回れ右をするだけで2つのポイントを釣り分けられる磯ですから両方試さなきゃもったいない??と、西を攻めつつ東にも時々マキエと仕掛けを入れていました。 すると10時前、沖向きのシモリの際、サラシの根元の底近くに一匹、そこそこのサイズのグレらしき魚影を発見!私はその時使っていたBのウキにジンタン3号を2つ打った仕掛けに3Bのオモリを追加、サラシの中を直撃しました。しかし何も食わず、回収時に小さなキビナゴがスレ掛かりしただけ。 ハリには生きたキビナゴ、目の前にはサラシ。こんなの投げ返さないわけにはいかんでしょ!とサラシの中に放り込んでしばらく待っていると静かに重みが伝わってきました。 来たっ!ヒラスズキ!・・・いや、ヒラスズキよりもさらに引かん。何やこれ? わずかな抵抗を見せただけで水面に浮かんできたのはアオヤガラでした。しかしデカい!あの独特の強烈な粘液が網にへばり付くのを嫌って糸を掴み、どうにかこうにか引きずり上げたアオヤガラは、尾鰭の糸状の突起まで含めると何と1m25cm。しばらく唖然とした後、海にお帰り願いました。味がどうこうという以前に頭を落としたとしてもクーラーに入るようなサイズではないですからねえ。 ・チャンスは1投 その後も東はエサを触られず、西はエサが残らないという状況が続いていました。変化といえば西風が強くなって西向きが少しやりにくくなったことと、両方にボラの小群がやってきたことくらいです。 瀬戸内のチヌ釣りや冬のスズキのルアー釣りではボラの群れの下はグッドポイントですし、黒潮町の灘や伊田ではボラの回遊はグレの時合いを教えてくれるのですが、この辺りではボラがいると釣りにならないと嫌われているようですねえ。まあ確かに今回はボラのコントロールがカギでしたが。
・早々に撤退 前日に子どもたちと大縄や木登りをやってめっきり衰えた体力を使い、夜通し走ってほとんど寝ずに釣りをしているものだから、こうもパッとしない状況だと眠気ばかりが強くなってしまいます。 こりゃもうダメだ。回収まで寝よう。そう思っていると柏原渡船がすでに道具を片付けているウスバエに近づいてきました。私も大急ぎで道具を片付けて13時22分にフタゴバエを離礁。この状況だったら磯で寝ても陸で寝ても一緒ですからねえ(汗) ということで初日の釣りは予想をさらに下回る結果で終了。船長や大会組の方々と雑談し、翌日利用する大月遊漁センターに連絡を取って上がる磯を決めて、いつもの幡多郷に早めのチェックイン。部屋でウトウトしてからおいしい食事をたらふく食べて、しばらくの間眠りにつきました。 21時のけたたましい防災無線の定時放送に起こされると、一階の食堂から笑い声が聞こえてきます。そういえばマスターがもしかすると今夜、一昨年お世話になった「つり工房正よし」の谷さんが来られるかも?と言ってたなあ。せっかくだから挨拶してこようと階段を降りると、谷さんと隣の部屋の二人組が宴会をされていました。隣の部屋の方は釣行前の情報収集で大いに参考にさせてもらったブログ「巨チヌ極道」の方々で、そのうち一人は泊浦の常連にしてトモキバエ、トモバエという自らの名の付いた磯を二つ持つ方でした。大分県から泊浦へ来て釣りをするお客さんが後から来ると聞いてもしやと思っていたけど、やはりそうだったんですね。そんなこんなで私もこの釣り談議に入り込み、幡多郷の夜は楽しく更けていきました。
2月18日。凍った車を解凍して宿を離れ、行程5分で泊浦の岸壁に到着。6時30分の一番船に乗り込んで、冷え切った空気、湧き上がる気嵐、どこまでも見通せるほど澄み切った潮の中を白鼻崎方面へ。 白鼻崎の南奥にあるトモキバエにはヤエンでアオリイカを狙う方が、白鼻小島には同船の2人と2番船の1人が、小島のハナレには2番船の巨チヌ極道の2人+1が渡礁。昨日の電話で「白鼻崎に普段は渡してないけど、地磯歩きの人が入っていて、よく竿を曲げている場所があるんで、地磯の人が入ってなかったら行ってみる?一か八かやけど、たぶん釣れるはず。」と言われていた私は、白鼻崎と小島の岡との間にあるそのポイントに渡礁を完了しています。 帰りの便は15時、16時、17時とあり、私は一人なんでどれに乗ってもいいとのことでしたが、帰りの運転のこともあるんでとりあえず15時まででいいかな。 ・白鼻、馬の背 帰港後に立ち寄った「つり工房正よし」で、谷さんが「馬の背」という名前だと教えてくれたこの足場のよい磯は、船長曰く沖に向かって緩やかに落ちていて、30〜40m先がポイントになっているということですのでひたすら遠投。磯が低いし、陰になっているので状況がよくわからないけど、マキエをバンバン入れておいて、とりあえず0ウキに潮受けゴムとジンタン5号を付けて放り込んでみました。 すると1投目からいきなり竿がひったくられ、強烈に引っ張りまわされてしまいました。私も竿を立てて何とか対応しましたが訳の分らぬままにバラシ。仕掛けを回収するとハリが外れていました。 予想外の展開にワクワクしながら第2投。やはりウキは全く見えませんが、ラインが左へ左へと流れていき、回収するとウキは随分離れたところから上がってきました。 結構潮が速いな・・・と思いながら釣っていると、数投のうちにラインの走りが止まってしまいました。どんな状況になっているのかよくわからないので、飛距離の期待できる2Bの棒ウキをセットして投入、目を凝らしてようやく見つけられるトップを探し出すと、何と速い当て潮に変わってしまっているではありませんか。しかもサシエは全く残りません。加工オキアミでもボイルでもスーパーで買ってきた冷凍剥きエビをちぎったものでも、棒ウキのトップを動かすことすらなく消え失せてしまいます。 のちに判明したエサトリはミニオヤビッチャとチョウチョウウオ。特に機動力抜群でどこまでも出ていくオヤビッチャは躱せないエサトリですから、1か所にマキエを入れ続け、今シーズン好調の45cmクラスの口太グレか、ここでは珍しくもない50〜53cmのチヌが追い散らしてくれるまでひたすら我慢するしかありませんでした。 ただ、最後の最後にボラの小群の中にウスバハギが混じっていることが明らかになったので、実はそれも厳しかったのかもしれないなあ・・・。 ・誘いを蹴って 船長からの電話で状況を聞かれたのは9時25分。この時点でアタリは最初の1投のハリ外れのみ。それ以外はエサトリ一匹ハリに掛からず、サシエもまた残らない。遠投釣り場だというのに潮もずっと当て潮という最悪の状況だったのに、港から1時間ほど離れたところに住んでいる船長からの「磯替わりする?今ならまだ港におるから行けるけど?」という甘い誘惑を蹴ってしまいました。グレだけの釣り場だったら気にしない「これまで入れ続けたマキエ」のことと、やはり1投目の衝撃が忘れられなかったんでしょうねえ。 さて、この磯で粘ることにした私は、この機会にロープが垂れ下がった背後の崖によじ登って地形を再確認するとともに、潮が引いた分だけ前に出て再び登板の棒ウキをできる限り遠投して、当て潮の中をリトリーブしていました。すると突然潮が左流れになり、次の瞬間ウキが水中へ!掛った魚は40p弱の黒い魚でした。竿一本先の棚の下に突っ込んでいくそれはチヌのようなグレのような・・・。 しかしその正体は分からずじまいでした。またしてもハリが外れてしまったからです。
・起死回生を狙い、延長戦へ その後も大して状況は変わらず、正午前に25cmの口太が食っただけで時刻はすでに14時35分。15時の迎え便まで残りわずかです。この時点でもまだ磯の上のクーラーは氷だけ、車に積んでいる「何かと便利なイグロー」のバラ氷の中には29cmの尾長が1枚だけ。あと2〜3分で片付けよう。魚ももらってくれる人がいないか聞いてみよう。そう考えていると、三度左に流れ始めた潮の中、ジンタン5号を打った0ウキの沈め釣りの仕掛けが引っ張られ、27cmの口太グレが上がってきてしまいました。 このグレの扱いには本当に迷いましたが、ここから一気に状況が好転することを見越してキープし、乗り込む船を16時の便に変更することを船長に連絡しました。 すると、小島のハナレに向かう15時の迎え便が姿を現したその瞬間にロッドが引っ手繰られてファイト開始。渡船が船足を緩めて見守る中、見事魚をキャッチできたのですが、ラインを掴んで引きずり上げた魚は40cmくらいのキバンドウ。 それからは期待したグレもチヌも姿を現さず、潮もまた当て潮に逆戻り。中途半端にグレをキープしてしまったついでに、狙ってもなかなか掛からないボラをどうにか1匹ゲットしておいて15時40分に納竿しました。 この日はとんでもない澄み潮の影響により、白鼻小島の一部の駆け上がりのポイントを除いてサッパリだったようです。それは磯だけでなく船に乗ってタイ釣りに来ていた谷さんも同じだったとのこと。 釣行前、釣行後の泊浦絶好調の中にぽっかり空いた絶不調。私が絶好調の釣り場で竿を出すということはそれだけで魚を遠ざけるのに、今回は出発前に定番のフラグまで立ててきてしまいましたからねえ、もともと不調の釣り場ならそこそこ釣れるという私の特性まで徳政してしまったようなものです。小才角でいい目にあえることはまず無いとはいえ・・・。 こんな結果でしたから当初予定していた刺身パーティーはもちろん中止。家族だけでグレ未成魚の刺身とボラしゃぶ、ボラソテーを食べて終わりでした。 しかもクーラーが軽いときは帰りの足取りが重いもの。それにやめときゃよかった1時間の延長と、寄り道した正よしで長々と話し込んでしまったことものしかかった今回の帰り道は過去にほとんど例をみないほど辛かった。そんなに辛いのになぜ車を停めたら一睡もできないのだろう・・・。あまりの消耗の酷さにそろそろ本気で四国釣行から足を洗うことを考えてはいるんですけどねえ。この釣果では悔いが残りすぎるしなあ・・・。
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