風雲児  烈風伝
   ・宿毛も宇和海も猛暑。不調と想定外に挑む5月釣行

2019年 5月24〜25日 高知県 宿毛湾(宇須々木)&愛媛県 由良半島
・お気に入りの釣り場が復活!しかし・・・。
 四万十川(竹島川)河口から出る丸西渡船がこのGWごろに営業を開始し、勝丸渡船の廃業によって3年ほど空白だった名鹿(なしし)の磯に渡している。そして週末にかけて北西風で波高1.5mのベタ凪。しかも仕事の都合で今を逃せば7月半ばのワンチャンスか、下手すりゃ秋まで遠征不能。
 このチャンスは逃せない!そう思った私は未だ結果を出せてない牛窓の真鯛釣りを放棄して資金を回し、代休と年休を手配して早速出発!・・・のはずが、丸西渡船に電話をしてみると、何といきなり船が6月前半までドック入り。さらに何軒かの渡船に電話して初めて知ったのですが、ベタ凪なのは天気予報の中だけの話で高知南西部はどこも南東のうねりで大荒れ。海の上に磯なんて無い状況なんだとか。しかも定宿が満室ですと(汗)

 東うねりには宿毛湾。日向灘というか沖の島のすぐ沖で地震が続いているので躊躇したけど、とりあえず宿毛湾奥(宇須々木)の西田渡船に電話してみると問題なく出られるようで、グレは30〜35cm、週初めの大時化の前は愛媛方面の磯で38cmくらいのも出ていたということですので初日はここに行くことに。二日目は運転しながら考えよう。

・名礁フタゴ
 5月24日金曜日は晴れ。最高気温は30度超で35度になる場所も珍しくないという5月とは思えない予報。でも朝方は寒い寒い。仮眠所の毛布1枚じゃ耐えられず2枚被って寝転んでました。

 さて、5時半になったので出発です。同乗者はベストの背中にテスターやモニターと書かれた人たち4人。船長によるとその中には沖縄からアーガイ(と、チヌ)狙いで来られたという方もおられたようです。皮付きで料理すれば旨いアーガイ(キバンドウ)は沖縄では別格の高級魚ですからねえ。魚影も型も桁違いの高知へ遠征する方もいるらしいです。

 今期58cmのチヌが出たという桐島北西部「蛇の首(じゃのくび)」にその4人組を降ろした後、船は県境を越えて愛媛県に入り、小稲津という地区の沖にある独立磯に接岸しました。

 渡礁した磯の名はフタゴ。グレの実績は抜群、チヌは言うまでもなし。60cmくらいのロウニンアジの回遊もあるかもとの話です。何よりこの磯、結構広くて平ら。これなら日向灘沖M7が来ても大丈夫でしょう。(津波が来たら助からないけど。)
 干潮時のフタゴと宿毛湾奥方面。左沖は桐島、右沖は大藤島(おとうしま)

・コッパはいるけど・・・。
 沖アミ生+V9徳用+ヒロキュー浮かせのいつものマキエを磯際に一発。それだけで20cm程度のコッパグレの群れが湧き上がり、そのさらに手前には名物であるクロホシイシモチの群れ。これからこいつらと延々戦うことになるのかと思いながら0号のウキにジンタン5号を1つ打ったスルスル仕掛けで探りを入れてみると、コッパグレはほとんど沖に行きません。磯際のコッパの群れの中にサシエを入れてもボイルならほとんど反応がありません。

 食わせる釣りと食わせない釣り。どちらの戦略をとるか迷うことも多いですが、今回はコッパの下に良型がいる訳でもなく、グレが沖へ走る訳でもありませんから食わせない釣りを選ぶしかなさそうです。いや、そういう釣りをさせられているというべきか。

 重い仕掛け、軽い仕掛け、棒ウキ、超浅ダナなど手を変え品を変えやってみてもアタリは稀で、たまに食ってきても25cmを超えることはありません。こうなるとどこかでチヌでも食えばという考えになり、G5のウキにジンタン5号を2個打って、2〜3ヒロからどこまでも入れ込んでいく釣りを繰り返していました。
 チヌを意識しているのでサシエはこの前初めて実績を得た食用冷凍むきエビ。かなり深いところまで沈んでいたウキが急加速したのは9時35分のこと。喜び勇んでアワセを入れると軽い・・・けど何か引っ付いている・・・。

 ハナゴイとかハナダイとかの仲間?それともタマガシラ?いやいやマリアオフィスのミノーか??私は浮上した魚のシルエットとカラーリングを見て一瞬首をかしげました。しかし手に取ってみるとどこからどう見てもベラ。
 正体はイトヒキベラという小型のベラでした。それも婚姻色のオスのようです。これは美しい!カッコイイ!嬉しい!わずか8cmほどの魚ですが、この1尾を手にできただけでここまで走ってきた意味があったというものです。
 と、この一匹によって私は完全にただの魚マニア、ゲテモノ五目釣り師に戻ってしまい、それからしばらくはますます深釣り一辺倒になっていました。

・パターン発見!
 スタート時、潮は右へゆっくり、しかししっかり流れていました。それが当て潮を経て左に流れてから止まっていましたが、10時半ごろになるとまた右に流れ始めました。その流れはこれまでよりも速く、磯の先端部分にぶつかってその先に潮目を作り出しています。また潮下側にも巻き返しができて、ポイント図の×印が並んでいる感じ。
 その潮上の巻き返しで口太グレが連発しました。仕掛けは00号に潮受けゴムとジンタン7号1個を取り付けた沈め釣り。サシエは食用冷凍むきエビ。ボイルでは食わないけどこれでならよく肥えた型ぞろいのものが竿引きで連続ヒット!ただしサイズは25〜26cmで、それ以上のものはどうしても出ませんでした。

 朝は寒かったけど日が昇ると予報通りの猛暑。黒い竿も黒い手袋も強烈な太陽光を集めて痛い。水分塩分は補給しているけど睡眠不足で目が回る・・・ってことで、この辺りが限界だろうと思って迎えをお願いした13時よりもかなり早く納竿して、炎天下で寝られるはずありませんがしばらく休んでいました。ああ冷たい素麺が食べたいなあ。

 釣れた魚種は尾長、口太、イトヒキベラの3種。クーラーの中は空。いやあ、厳しい釣りでした。桐島のチヌも午前中行った時には釣れてなかったそうですし。
 明日に期待したいところですけど、船長曰く地震以来どこも本当に釣れてない。明日も厳しい釣りと厳しい暑さが待っているようです。暑さはともかく、釣れている情報の無いときにはそこそこやることの多い私にとってはいい状況である・・・と信じよう。
 フタゴ沖向き先端。沖には養殖筏がビッシリ。  フタゴの名の通り、地向きには片割れが。
 ● 宿 毛 湾 sukumowan
利用渡船 西田渡船 出港地 高知県宿毛市 宇須々木の専用突堤
時間(当日) 5:30〜13:00
(日没まで可)
料金 3000円(愛媛方面は3500円)
駐車場 無料 弁当 客数の多い時のみ予約可。
宿/仮眠所 仮眠所あり システム 特になし
磯替わり 可能 特記事項
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・13〜4年ぶりの中田渡船
 宿毛湾での釣りを終えた私は海岸線のくねくね道を経由して北上。浸かれば不思議と疲れが取れる山出温泉に寄ってから由良半島に入ってすぐの平碆集落までやってきました。明日乗せてもらうのは昔よく通っていた中田渡船。今夜はその無料仮眠所で一泊です。

 渡船は4時50分に岸壁を離れ、ベタ凪の海をゆっくりと沖へ向かいました。乗客は三重県名張のグループなど7人。そして船体後部にはトウゴウヤブカがちゃっかり同乗していて、雨崎沖に着くまでに両肩や背中など風裏になっている部分を何か所も噛まれて痒い痒い。

 雨崎沖に集結した渡船は5隻。ただ今回は第一希望の磯の競合がなかったのでジャンケンは無し。各船それほど急がずに思い思いの磯に散っていき、中田渡船は沖釣に接岸。ここに4人組が渡礁。私もここで降りてもよかったのですが何となく見送ることにしました。その後、小猿の高場と大猿のハナレで底物師を降ろすと船にはもう私だけ。「ここで降りる?ちょっと前によかった雨崎の奥の方に行く?」と聞かれて夢のありそうな大猿を選んだけど、状況を聞いてみると「大猿にはめったに来んからわからない。」とのことでした。

 前半は陰になっていた沖のウド。向かいは馬の背。
その沖は由良半島先端部。
 沖のウドの釣り座。地形は険しいけど足場は良い。
 崖上から見下ろした沖のウドの釣り座。
・大猿 沖のウド
 上がったのは大猿島の西向き中央部にある沖のウドという、高い高い岩盤にしがみつくような場所。一見狭い底物場のような感じですが、上がってみると結構楽な感じで、しかも西向きの岩陰なので10時半ごろまで日が当たらず、今回のような暑い日には本当に助かります。これで釣れたら最高なんですけどね。でも潮は動いてないなあ・・・。

 手始めにウキ下3ヒロのG5の仕掛けをセットして少し沖へ投入。う〜ん、イサギでも食いそうな気がするけど当たらんなあ。サシエも取らんなあ。エサトリも見えんなあ。

 沖に魚の姿は見えませんが、足元はなかなか凄いことになってきました。50cmどころか60cmありそうなキツの群れが乱舞しています。もしかしてこれ、尾長も混じっていないか??と思って慎重に観察してみますが、青白い魚も茶色い魚も尾鰭後縁は黒く、朝の貴重な時間を使って狙ってみる必要はなさそうです。
 ・・・と思って磯際の魚は基本的に無視していたけど、30分ほどの間、左右にフラフラしていた潮が当て潮になり、サシエはどうしても磯際にたどり着いてしまうので、ウキ下を仕方なく?キツが口を使っている1ヒロ半くらいに合わせて、沈み過ぎないように注意しながら釣っていました。
 でもまあ見えている巨ギツなんて普通サシエは食いませんからねえ。35cmくらいのイスズミとノトイスズミ、それにハリセンボンが1つずつ食いついただけで潮が止まってしまいました。

・奇跡はあったが
 潮が止まると巨ギツは全く見えなくなり、泳いでいるのはキビナゴの大群だけになりました。その中に突入してくるような魚もいませんし、これは早くもお手上げか?と思っていると9時ごろにカワハギが1枚、奇跡的に食ってきました。

 奇跡的にといえば、ほんの数分間だけ前触れもなく潮が動き出し、左方向に当て気味の速い潮が流れた時間がありました。すると潮下の磯際に押し付けられるようにして流れていたウキが引っ手繰られてとんでもないものがヒット。掛かった魚は磯に沿うように一直線に爆走し、一瞬もドラグが止まらないままラインブレイク。2.5号の道糸は30m以上ザラザラにされ、当然ながらウキも潮に乗って流れ去ってしまいました。

 潮はその後すぐ止まり、サシエも取られない時間が再来。あまりにも釣れないのでほとんどやけくそでド遠投すると、なんと沖では沖アミ生なら取られるではありませんか!何ということだ、答えは沖にあったのか!としばらく大喜びで遠投を繰り返しましたが、察知できるようなアタリがあるわけでもなく、何の魚がエサを取っているのかすら分かりませんでした。

・ひとひねり
 潮は11時ごろにまた動きました。今度は前回より少し長く、流れる方向も右に変わっていました。
 この時使っていた仕掛けは0号のウキにジンタン5号、さらに状況に応じて5号を付け外しする沈め釣り。この仕掛けで30cmくらいの薄茶色っぽい何かを掛けたけど、魚の輪郭がハッキリ見える前に噛み切られ。さらにハリ外れやアワセ切れなどのバラシ数回で終了。でも今回は魚以外にちょっと嬉しい収穫がありました。それは潮に乗って流れてきたウキです。タモを伸ばして拾い上げてみるとさっき流れ去っていった自分のウキではありませんか。

 寄生虫だらけだったアオブダイ
 11時40分ごろになると今度は左行きの速い潮になりました。
 その数分後、水中のウキに反応!力強い一のしをドラグが躱すとあとは簡単に浮いてきた魚は久しぶりに見たアオブダイ。体表を外部寄生虫(ウミクワガタかな?)がワサワサと動き回っているし、何より猛毒のパリトキシンが怖いので当然リリースでしたが。

 潮はますますいい感じに動いています。しかし時間が無い。時計とウキを交互に見ながら必死に打ち返していきますが、時刻はすでに12時5分。これが最後の1投!と潮上に投入した仕掛けが正面の磯際に流れてきた時、すでにシモっていたウキがツツーと移動。反射的にアワセると竿が瞬時に真下へ突き刺さっていきました。そしてうなりを上げ続けるドラグ。これは止まらん!止められん!そう思った数秒後、すでに竿は跳ね上がり、2号ハリスはひとたまりもなく断ち切られていました。さらにこの一撃で私は右手首を負傷してしまったようです。文字通りひとひねりされてしまいましたよ。

 まさか尾長ということはないでしょう。最初に見えていた巨ギツか、それともブダイの化け物か。ともかくこれで時間切れ。大急ぎで片付けて磯を洗い流し、バッカンを洗い、さらに勢いを増したこの日最高の潮を指をくわえて眺めながら、逃げ場のない暑さの中で迎えの船を待ちました。

 ・・・しかし船は来ません。30分経っても、1時間経っても。
 確か弁当船で12時半までと聞いたはずなんですが、聞き間違い、もしくは暑さと疲れで記憶が置き換わってしまっていたのでしょう。
 こうして最高の時間をありえないミスで棒に振って、13時半の船で撤収。クーラーは空っぽ。グレなんて30cmどころかコッパの一枚すら見かけることはありませんでした。この日は名礁沖釣の4人組もそろって撃沈。目立った釣果は小猿高場の50cm手前の石鯛のみという惨状で、由良の不調は継続中。私も絶不調を抜け出せず。
 この感じでは多分、今年2枚目の30cmオーバーは秋以降に持ち越しだろうなあ・・・。
 崖上からの風景。馬の背、由良岬、御五神島。  反対側の磯はナメラ?つづら?
 2日間の釣果。実はカワハギが1枚だけいたけど、
他のお客さんに持って帰ってもらいました。

 ● 由良半島 yura-hantou
利用渡船 中田渡船 出港地 愛媛県愛南町・平碆
時間(当日) 4:50〜13:30
料金 5500円
駐車場 無料 弁当 500円
宿/仮眠所 無料仮眠所あり システム 一組目はジャンケン。
その後は他船との競争。
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)


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