風雲児  烈風伝
    ・瀬戸内、春フカセ前半戦 釣行3連!しかるのちに離脱!
2020年 3月20日、31日、4月7日 岡山県牛窓、宇野沖磯(香川県直島諸島)、兵庫県唐荷島(室津沖)
★3月20日 牛窓 黄島 助五郎の北
・風の牛窓へ

 新型コロナウイルスの嵐吹き荒れる令和2年の、私の「瀬戸内フカセシーズン」は大風の牛窓で開幕となりました。
 
 春分の日、6時40分ごろに出港したまこと渡船に乗り込んでいるのは15人ほど。人数はそれほど多くはありませんが使える磯は限られます。日が変わる直前には家が揺れるほど吹きまくった台風並みの暴風はかなり落ち着いていますが、昼頃には西〜南西の強風として猛威を振るうことは確実ですから。

 テトラ一文字に3名を渡したあと、まこと渡船は前島北東の地磯、東の石切、青島の豪洞、黄島のグレ岩と、風を避けられる場所を選んで着けていきました。そして助五郎へ渡した直後に船長から声が掛かり、助五郎のメインの釣り座の少し北側への渡礁を打診されました。なんでも魚探にベイトの反応が出ていて、こんな時はマダイが当たってくることがよくあるそうですし、今日の風を躱すには最良の場所として密かに狙っていた場所ですから即決で渡礁です。さらに今日の迎えは午後2時便と3時便があると聞いて迷わず後者を選択しました。
「助五郎の北」からの約180度疑似パノラマ写真。右端が本来の「助五郎」。

・右へ左へ
 セオリー通りにマキエを打ち込んでおいてから道具をセッティング。標的はチヌ狙いに食いついてくるマダイですので竿は1.75号、道糸は2.5号、ハリスは2号。マダイといっても50cmはなかなか超えないのだからもっと繊細にしてもいいのだろうとはいつも思うんですけどね・・・。これにG2の円錐ウキを通し、ウキ下はとりあえず3ヒロでいってみましょう。

 助五郎の北の釣り座。
 渡礁までに時間を要したこともあって第1投は7時半ごろでした。釣り座のすぐ右から沖に向かって転々と顔を出しているゴロタの沖に仕掛けを投入するとウキは左にドンドン流されていきました。そして数回に一度はサシエが取られ、数回に一度は藻や根に掛かりました。
 風波の下をくぐりながら流れていくウキは追いきれないし、ラインでアタリを取るにも風が邪魔をするので仕掛けを変更。といってもG2の円錐ウキをG2の棒ウキに替えただけですが。

 仕掛け変更の僅かな間に潮が随分と緩くなっていました。その潮に乗って15mほど流れたウキがゆっくりと消え、重々しく首を振る魚が掛かったのは8時9分のことでした。上がってきたのは32cmのチヌ。とりあえずストリンガーにつないで泳がしときましょう。

 それから10分後、潮は反転して右に流れるようになっていました。
 マキエとウキの投入点を変えて流していくと、ゴロタの列の沖でウキが沈んでいきました。しばらく待ってアワセを入れると根掛かりですが、同時に魚が首を振る振動も伝わってきます。マキエを撒きつつ糸を緩めて待っていると無事に抜け、33cmのチヌを手にすることができました。

 釣り座に戻ると潮はますます不安定化しており、右に流れたウキが途中でUターンして戻ってくるなどまるで汽水域で釣っているかのようになりました。8時40分ごろには満潮潮止まりの中、ウキだけが風で右前に押されていく状況でしたので、ウキの予想進路にマキエを打っておいたマキエで3枚目、35cmのチヌをヒットさせることができました。

・またしても
 チヌの連発はここまででした。それからは小さなガシラが3つと播州ではスゲという名で流通しているクジメが1つ。それと根掛かり多数でまあハリが減った減った。潮が引いてくるまでシモリを視認できてませんでしたからねえ。

 昼になると他の磯は風が勢いを増し、前島の西側なんてえらいことになっていましたが、この助五郎の北はむしろ風の影響を受けなくなって快適そのもの。しかしアタリもなく、サシエもほとんど取られない・・・。なんて思っていると正午ごろ、ゴロタの点在エリアのすぐ沖で棒ウキが消えました。
 掛った魚はかなりの重量感を伴って沖に向かって進んでいきます。これはやったかもしれない!そう思ったのは一瞬でした。その重量感は竿が曲がり切るよりも早く失われ、あっけなく切断されたハリスが宙に舞いました。このパターンのハリス切れはいったい何回目なのだろう。四国南西部で使っているような2号のハリスは牛窓の魚には細すぎるのだろうか・・・。小さなフグが時々水面に姿を現していたので傷のチェックは頻繁にやっていたんですけどねえ。

 何にせよこれでやる気が復活!もう一撃ないものかとしばらく同じ攻めを続けた後、ウキをG5の円錐ウキに換えて浅ダナから底まで広く探り、さらにBに変更して浅ダナをきっちりとキープしてみたり、また沈めてみたりとしぶとく色々とやってみた結果、14時の便で帰る助五郎の人が片づけをほぼ終えた13時44分、底を叩くように糸を張ったり送ったりするイメージで大雑把にやっていた沈め釣り仕掛けに重みが乗り、本日最長寸の37.5cmが釣れた・・・というか釣れてましたわ。
 その後は根掛かりが数回あっただけで、ちょうどいい時間にハリケースの中のチヌバリ3号が底をついたので片付けに移行し、15時に離礁。

 磯を離れるとさすがに凄い風でした。牛窓の港周辺なんて海の色が変わってしまっているし。この風では皆さん大苦戦で、15時の迎えを希望していた人も大部分が14時に諦めて帰っていました。当然チヌもパラパラ、マダイは全滅。ただ一組、港近くのテトラ一文字ではチヌを大釣りされてました。

 私の釣果のチヌ4枚は終了間際に締めてお持ち帰り。家に帰ってすぐに冊取りしてからキッチンペーパーで締め、翌日夕方に刺身で食べたら素晴らしく旨かったです。歯ごたえと旨味のバランスが最高でしたわ〜。仲間たちにもようやく味わってもらえたし。
 ● 牛 窓 ushimado
利用渡船 まこと渡船 出港地 岡山県瀬戸内市・牛窓港
時間(当日)
6:40〜15:00
6:00過ぎ〜14:50
料金 牛 窓:3000円
小豆島:4000円
日生諸島:4000円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 有ったり無かったり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

★3月31日 宇野沖磯(直島諸島) 安野島 コムソー
・2回戦は10日後
 3月31日はまこと渡船の乗船希望者が他におらず、出船できなかったので宇野の沖磯(香川県直島諸島)に行ってみることにしました。

 このご時世ですので途中下車は最低限にして岡山県玉野市後閑港の三宅釣具渡船に到着。渡船の前で前日に作れなかったマキエを混ぜていると2番目に到着した方が話しかけてきてくださいました。その方はよく親子でこの渡船に来られるそうで、今日は同行されてない息子さんは最近大きなマダイを仕留められているとのこと。そして一時落ち込んだマダイの釣果もここにきて再浮上ということで期待が高まります。なんせこの宇野沖は牛窓よりも圧倒的にマダイが多く、今シーズンも60cmとか70cm級もヒットしている場所だそうですし、今日はむしろチャンスの小潮。釣り方が全く掴めていないのが心配ですけど本当にワクワクします。

 予定より少し早い6時15分ごろ、6人のお客さんが勢ぞろいしたのでいよいよ出港!先程の方に各ポイントのことを細かく教えていただきながら島々を回り、安野島北東にある独立磯「コムソー」に渡礁しました。

 安野島 コムソーの裏側
 磯の背後にある虚無僧(禅宗の一派・普化宗の僧。現在絶滅寸前になっている時代劇では刺客がこれに化けて集団で斬りかかり、助けに入った将軍や前の副将軍、町奉行なんかによく追い散らされていた。)のような岩があることからこう呼ばれているコムソーは小さく高く丸っこい磯。狭い船着きから釣り座までよじ登るのが大変なうえ、低い船着きに並べておくのは不安な荷物を運び上げると身動きが取れませんし、釣り座には竿立てを打ち込めるような場所も無いので大変です。

 とりあえずマキエを打ち込んでおいてから竿をセットしようとしますが、いつも頼りきりの竿立てが使えないうえ、磯の上には竿を立てかけさせられるようなところも無いので無理やりクーラーの上に置いて作業を始めました。すると次の瞬間、数個の黒い小さな物体が道糸を伝って移動しているではありませんか!おっ、折れている。まだ竿も伸ばしてないのに・・・。京都府舞鶴小橋の三角という足場の狭い磯でやらかして以来11年ぶりの失態に呆然自失です。

 仕方ないのでロッドケースからサブロッドのゼロサムX4の1.85号相当を取り出して慎重に慎重に竿を伸ばしていきました。この竿は私のやり取りのスタイルに合った素晴らしい竿だったのですが、ブランクに残った水分がなぜか拭いても拭いても拭ききれなかったり、尻栓の水抜き穴から水が抜けない構造だったりと色々と悲惨な部分が多く、さらに竿の大部分を占めるカーボン見せ塗装の部分の全面に今どき珍しいブリスター現象が発生して、元々黒い竿だったのが今やくすんだ白い竿。とりあえずこれにG2の円錐ウキを通して、7時15分ごろにウキ下一本でスタートしました。

・ヒットポイントは一目瞭然
 このコムソーという磯、釣り座のセッティングはなかなか大変ですけどポイントは非常に攻めやすそうです。何しろ潮流の流心が目の前にあり、竿下にはヨレができています。なので止める釣りにも流す釣りにも何の苦労も要りません。そのうえしばらく釣っていると正面から沖に出ていく本流が20〜30m沖で引かれ潮と合流してカーブを描くようになり、目の前はまるで釣り雑誌のポイント図。×、×、×とヒットポイントが実際に表示されているかのようになりました。これは釣れんとおかしいやろ!

 その潮の中をウキ下を変えながらドンドン流していき、沈み潮に潜らせていき、あるいは止めて釣ってもなぜかアタリがありません。それでも10時ごろに磯の左側の流れの無い所で30cmほどのチヌがヒット。ところが姿が見えた途端にハリ外れ。

 11時ごろにはマキエを拾うクサフグとウマヅラハギの姿が確認できるようになり、時々サシエが取られるようになりました。そして12時ごろに磯から15mも離れていない場所で1.5ヒロのウキ下で流していたウキがジワジワ沈み、小さなチヌらしきものがヒットしましたがまたしてもハリ外れ。しかもその直後にポイントにモーターボートが突っ込んできて真上を全速力で通過され、エサトリすらも居なくなって13時30分にタイムアップ。
 この日はマダイどころかフグにすら一切触ることもなく、コムソーで見事に虚無僧になってしまいました。
 ● 宇 野 沖 磯 uno-okiiso
利用渡船 三宅釣具渡船 出港地 岡山県玉野市・後閑港
時間(当日) 6:15〜13:50
料金 2500円〜
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

★4月1日 佐用町上月地区
・今年も春のホタル見物に
 宇野釣行の翌日、新年度のスタートは最高気温14度の激しい風雨でしたが夜に入って収まり、21時ごろの気温は10度。桜もほぼ満開。これはホタルが見られるかも!と一か八か車を走らせて川の護岸を覗き込んでみると・・・居た居た!ゲンジボタルの幼虫が土に潜ってサナギになるため、発光しながら一斉に護岸を登ってきていました。
 梅雨時期に飛び交うゲンジボタル、見つけられたら嬉しいヘイケボタル、ゲンジボタルが終わったころに森の中でキラキラと瞬くヒメボタル、それに未解明な部分が多くてマニア心をくすぐる光らないホタルたち・・・。ホタルの成虫の観察鑑賞は本当にいいものですけど、この時期限定のゲンジボタルの幼虫の集団発光の観察も実に楽しく美しいものですよ。誰もいないので感動独り占めだし。

 この日撮影した動画を佐用町昆虫館のYouTubeに載せさせてもらったのでよろしければどうぞ。(発光間隔が長いので待ちくたびれないように。終わりの方で幼虫を照らしますので、虫嫌いの方は途中で止めてくださいね。)

 その1(横から) https://www.youtube.com/watch?v=ka9YK9SeTPM

 その2(上から) https://www.youtube.com/watch?v=gDzzVdjWpBw


 室津港と唐荷島。さらに沖は家島諸島。
 日の出直前の沖ノ唐荷島の海峡部。左が中ノ唐荷島。
★4月7日 唐荷島(たつの市室津沖) 沖ノ唐荷島東
・万葉歌人も眺めた景勝地に初上陸
 日本海と瀬戸内海、紀伊水道にまたがる広大な兵庫県でも東の方では本当にえらいことになってきました。吹きっさらしの渡船に乗って磯に渡り、一人きりで釣りをする磯釣りは密接・密閉・密集からはほど遠いとはいえいい加減にしとかなきゃなあ・・・。

 とりあえず今回は途中下車無しというかその必要すらない隣町の渡船屋「のりくら渡船」にやってきました。ここは西播磨・中播磨の他の渡船屋と同じく家島諸島や小豆島東部に渡しており、この日も小豆島へ行くようですが私の目的地はちょっとマニアックな唐荷島(からにじま)です。

 約1200年前に成立したとされる播磨国風土記に「難破した外国の船の荷物が流れ着いたのでこう名付けられた。」と名前の由来が記され、山部赤人や詠み人知らずの和歌によって『万葉集』にも登場する唐荷島は、古代から鉄道が敷かれるまでの間、交通の要衝として栄華を極めていた室津のすぐ沖にある島々。谷崎潤一郎は、室津や家島諸島、置塩城などを舞台とし、海賊や遊女や幻術師、赤松上総介(義村)や浦上掃部助(村宗)等が躍動する伝奇小説『乱菊物語』に

 「唐荷嶋という嶋は、委(くわ)しくいえば沖の唐荷、中の唐荷、地の唐荷の三つの嶋から成り立っている。地の唐荷は地方(じかた)に一番近いという意味であるが、しかし三つとも殆(ほとん)ど一つにかたまっていて、沖と中の間は、潮が干いた時はつながってしまう。
 これらの嶋には、今も昔も人は一人も住んでいない。三嶋中で最も大きい地の唐荷でさえ、周囲三百間ばかりの小嶋であるから、海人(あま)が侘しい板屋を葺くにしても、あまりに懐が狭いのである。ただ東から這入ってくる渡海船の旅客は、こんもりとした樹木で蔽(おお)い尽くされている此の嶋のほとりを過ぎる時に、恰(あたか)も室君(むろぎみ)の座右に侍(かしず)く女童(めのわらわ)のような、柔和な、愛らしいその景観に暫(しばら)く心を惹かれるであろう。もしも若葉の萌え出でる頃であったなら、全山が鬱蒼(うっそう)とした緑の衣をつけ、香油を塗りかためた濃い黒髪のようなつやつやしさを帯びて、静かな海にその影を浸しながら行き交う船ににっこり笑いかけるのである。」と、描いています。

 さて、この唐荷島の釣況はというと、唐荷島渡礁は平日限定というのりくら渡船のHPでは、見た範囲ではハネ(スズキの若魚)と秋のハマチの釣果しか無く、電話の際に「まさかマダイなんか出るわけないですよね?」と聞いたら「チヌを釣る人も無いです。」と言われてしまいました。まあネットを見るとチャーターのみの営業だという住栄丸でチヌ釣り大会をやったという記事がいくつか出てきますし、この時期にチヌが釣れないはずがないので心配無用。かえって情報が無い方がワクワクしますしね。

 渡船屋の店舗への集合時間は4時半。渡船料を支払ってから車で岩見港に移動し、船長もほとんどの乗客もマスク姿で出港したのが4時50分。その10分後には沖ノ唐荷島の東側、のりくら渡船の船が唯一接岸できる雛壇状の広い地磯に渡礁を完了しました。小豆島方面にマダイ釣りチヌ釣りに向かった十数人は全員夕方までの釣りを希望しているということで、唐荷島への迎えは17時45分ごろとのこと。さあ、これから約13時間、唐荷島で一人きりだ。

・一仕事終えて釣り開始
 渡礁したとはいえ周囲はまだ薄明るい程度で、電気ウキでも使わなければ釣れませんから、少しでも潮の低いうちに仕事をしておこうと岩場をよじ登り、干出した海底を歩いて島の北側にある中ノ唐荷島との海峡にやってきました。この海峡は上げ4分程度の渡礁直後も夕方の干潮も磯ブーツでは進入できない程度の水深がありますが、谷崎潤一郎が描いたとおり、もっと潮の引く時には道が現れて対岸の中ノ唐荷島まで歩いて渡れるようになります。
 実はこの時ここでの体験イベントを企画していたので、今回の釣行は現地視察を兼ねていました。(メインは釣りなので当然自腹ですけどね〜。)なのでしばらく島の海岸線を歩き回って、引き切る前の浜の状況とか、船着きから現場までの移動ルートとか、危険個所を子どもたちにどうクリアさせるかなどを自分の目と体で確認・検討していました。(今年は断念せざるをえなかったけど、来年活かせます。)

 第1回の探索を終えて東の岩場に戻ってマキエの準備をして打ち込んでから仕掛けを作り、釣り始めたのは6時頃でした。ちょうど正面から太陽が昇ってきており、G2の棒ウキでもよく見えず、回収の際にウキがとんでもない所から上がってくることで初めて速い潮が右に流れていることが分かるというほどにウキを探すのが大変でした。
 しばらくは潮の流れに合わせて立ち位置を左右に行ったり来たりさせて光の帯を避けていたけど、よく考えたら長らく誰も入っていない磯なのでアタリがある可能性は低く、そこまで苦労してウキを追う必要はなかったような。まあ焦らずじっくりと魚を寄せていきましょう。なんせ時間は寝てもいいほどあるのだから。

 水面下は見えなくても約15m沖にカケアガリ、磯の右側の一番突き出たところの沖に大きなシモリがあることを地理院地図とグーグルマップでチェック済みですから、ウキ下を細かくいじりながらそこへ向かって流し込んでいくと、8時頃にウキがチョコンと沈んで浮いてこなくなりました。様子を見ていると穂先がゆっくり持っていかれたのでアワセを入れると重厚な引き。重い!これはデカい!魚はゆっくりとしかし圧倒的な力強さで沖に進んでいき、1.7号のハリスをぶった切って逃走。迷わず糸を出していればよかったと悔やんでも後の祭りです。しかしこれで魚が寄ってきていること、しかもデカいのがいることが分かったのは本当に大きかった。
沖ノ唐荷島 東の岩場。足場は抜群!(ただし釣り座は微妙に前上がり。)

・リフレッシュの後に
 派手なバラシがまずかったのでしょう。アタリは続かず、チヌがいなくなって遠慮なく動き出したのか、フグがちょっかいを出してくるようになりました。終盤戦に浮かせたところで噛み切られたので種類は分かりませんが、思わずなんじゃこりゃ〜!と口走ってしまったほどのデカいフグもいたようで、チヌバリ3号がいくつも帰ってきませんでした。

 なかなか釣れないこういう時はもう一仕事。ということで満潮時の島探索に出かけてリフレッシュしてからポイントに戻って再開。
 ウキ下3ヒロ〜3ヒロ半で仕掛けが時々底を掻くように微調整しながら序盤以降緩やかになった潮に乗せて流していると、10時35分に右側の大きなシモリの沖でウキが沈みました。穂先の反応でアタリと確信して合わせるとヒット。引き方からチヌだというのは分かりますが、全体的に浅いせいなのか乗っ込み時期とは思えないくらいよく引きます。やがて沖目の海中が鋭くギラリ!と鋭い光を放ち、その少し後にタモに収まった魚は紫を帯びた銀色に輝く惚れ惚れするような41cmのチヌ。太い!美しい!乗っ込みの時期とはいえこの体形は絶対旨いに違いないので、前々回のように翌日により美味しく食べるためにも夕方までストリンガーにつないでおきました。そのロープの一方を結んだクーラーが不安なぐらい引っ張られるので予備の集魚剤や食料の入った重たいタックルバッカンを上に乗せとくかな。
 銀ピカの41cm。

 釣り座に戻ると潮が反転していました。そこで今度は左側に数個固まった小さなシモリを目指して流すべく、またウキ下を微調整しながら釣っていくと、11時5分ごろに正面でウキのトップが明確に引き込まれた後、根掛かりのように水中でサスペンドしました。タイミングを測ってアワセを入れると、最初にバラした魚にかなり近いパワーで反撃されました。でも今度は引きの強さにも、いつもより小さい号数の竿にも面喰わずに落ち着いて対処する私。しかし魚の動きはゆっくりとしていながらも首を振りながら四方に突進し、そして全然浮いてきません。そしてめちゃくちゃな重量感に腕がしんどい!
 姿を現したチヌは先ほどのものより黒く、デカく、何より重い!よいしょよいしょとタモを縮めて、メジャーを当てると48cmありました!
 とにかく重かった48cm。

・より面白い釣りを探して
 棒ウキも面白いけど、円錐ウキに換えれば攻めの幅が広がってえらいことになるかも!もしかしたら浮いているチヌもいるかもしれないし。そう思って仕掛けを作り直して投入したけど、これは結果的には失敗でした。1時間半近くあれこれ試してみたものの、どうしても潮や波で簡単に沈んでしまうのが悪かったのかいい所無しでした。チヌ釣りのスルスル釣りはなぜか苦手だしなあ。ほとんどウキ止めを付けて釣っていたけど・・・。

 たまりかねてG2の棒ウキに戻して釣り始めると5分もしないうちに、左側のシモリ群の辺りでチョコン、チョコンとウキのトップが何回か沈んでから浮かんでこなくなりました。12時43分、上がってきた3枚目のチヌは43cm。これまでで一番黒く、体表には細かい寄生虫が這っていましたが、体型は充実していました。

 その後、潮が非常に不安定になって3時間半ほどの間、ガシラ、クサフグが一匹ずつ上がったのと、25cmくらいのフグに切られたのと、ハリが消えたのが数回だけ。太陽が島の反対側に移動して磯全体が影となった普通なら最高の時間帯にはさらに状況は悪くなりました。暑いほどだった体感温度が急降下し、微妙に前上がりの釣り座に立ち続けた足が軽く痙攣しはじめ、体力も尽き、何より長く釣りすぎて少々飽きてきたので16時15分に早めの納竿。道具を片付け、バッカンを洗い、大して引かない干潮の砂州で3度目の探索を行ってから、東の岩場に戻ってストリンガーにつないでいる2匹のチヌを締めました。・・・って、ストリンガーには3匹居たんですけどまさかの逃走。しかも一番旨そうだった1枚目の41cmが・・・。よく見ると一番先のフックの一部が少し折れていて開きやすいようになっていました。ということは、最初にバラしたデカいチヌを取り込めていたとしても逃げられてバラした以上に泣いていたということか(汗)
 島の北東側。相生の金ケ崎(万葉の岬)と君島、
蔓島(おわん島)、そして赤穂の山並み。
 中ノ唐荷島と地の唐荷島。その上に遠山眉を描いているのは
嫦峨山の頂き
 本日の釣果(逃走後)

・前篇終わり
 しばらく横になっていると渡船のエンジン音が近づいてきて、17時50分、夜明け前から夕暮れまで過ごした沖ノ唐荷島に別れを告げました。

 この日、小豆島に渡っていたグループは50cmクラスを含むマダイをどっさり釣っておられました。10数年ぶりの再会となったバラシNo.3さんもカゴ釣りで7枚仕留めておられました。
 今期まだ一枚も手にしていないマダイもいよいよこれから!私も次回釣行こそは!!と息巻いたけど、家に帰ったら新型コロナウィルスの緊急事態宣言が翌日から発令されるという首相の記者会見が行われていました。うちの地域は今のところ感染者ゼロとはいえ宣言の対象区域は兵庫県全域。大阪や神戸ナンバーの車も最近近所でよく見かけるようになっていたし、何にせよもう安全ではありますまい。
 本当に残念ではありますがこれで春シーズン前半戦は終了。いくら磯釣りでも私の場合はしばらく自粛せざるを得ないでしょう。拡張型心筋症の私なんて感染すれば死ぬでしょうから、それこそ『乱菊物語』のように盛り上がってきたところで未完に終わってしまいかねません。

 生き延びていれば、上手く推移してくれれば、また後半戦か四国遠征でお目にかかれると思います。皆さんもお体お気をつけてお過ごしくださいませ。

5:24AM 9:13AM 5:45PM
中ノ唐荷島。もっと潮が引くと歩いて渡れます。

 ● 唐 荷 島 karanijima
利用渡船 のりくら渡船 出港地 兵庫県たつの市・岩見港
時間(当日) 4:50〜17:50
料金 唐荷島:3500円
家島諸島:4500円
小豆島:5500円
※夕刻までの場合は各+500円
※唐荷島は平日のみ渡礁可
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり 無し
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
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