対決!怪物軍団!!
         室戸ブチブチ釣行記 2

2004年8月15〜16日 高知県室戸岬漁港
海底に潜む巨大な怪物たちに確実にサシエを届けられる紀州釣り。
為す術もなくぶち切られ続けたあの日から1年。今年も室戸岬漁港に帰ってきました!

この一年で大きく様変わりした室戸岬漁港。波止の付け根のネットで囲まれた場所には3頭のイルカの姿があり、売店、おしゃれな飲食店、足湯などの施設が軒を連ね、ホエールウオッチングも始まり、行き交う観光客、子供達の歓声。釣り人にとってもいろいろ便利になった反面、去年のようにポイントまで車を乗り入れての釣りというのができなくなっていた。

今年も天気は不調。昼頃には寒冷前線が通過する予報で、雨の不安が常に付き纏う。
出発直前に飛び込んできたニュースでは日本海沿岸の香住で記録的な豪雨があったようだし、朝、現場に到着したときには小さな雨粒が落ちていて、山には黒雲が重く垂れ込めていたので、朝一番は本命のポイントの反対側の岸壁に車を停めてドアの下で釣りを開始したのだが、あまりにも釣れず、天候も少し落ち着いてきたので、去年と同じ先端近くの小突堤までキャリーを転がして移動を開始した。

今回のタックルは去年の反省からパワーアップ。竿はカゴ用の遠投4号、リールはBBXEVの5000番、道糸は7号、ハリスはとりあえず6号から。
それに1号の棒ウキ&0.8号の環付き錘、そして針はプロマダイというもの。
先月のあしずり港では潮に泣かされて不発だったタックルの実力やいかに!?
ちなみにダンゴはいつもの波止ダンゴチヌをベースにし、サシエは前回大当たりした生ミックはもちろん、オキアミボイル、キビナゴ、北大西洋産ロールイカ、インドネシア産冷凍ムキエビなどもクーラーに忍ばせてきた。

階段を登って足場の高い、外向きに陣取ってダンゴをドボーン!
しかし今年はなかなかアタリが出ない。それというのもライントラブルが連発した
り、シモリペットのサイズを間違えていたのに全然気付かずにおかしなタナを釣っていたり、寝不足としか思えないような凡ミスを繰り返していたから。
失敗に全部気付いてまともな釣りをするまでに何時間かかったやら・・・

まともに機能しだすと紀州釣りは強い。
餌のローテーションを繰り返しながら釣っていくと程なく待望のアタリ!
ウキが一瞬にしてキュン!ラインがシュン!熱っ!!!!
ものすごい勢いで走っていった7号の道糸が左手の小指の付け根に一瞬触れてしまい、火傷と同時に肉が少しえぐり取られてしまった。
さらに魚の姿も見れず、あまりにも痛いスタートだったが、これで完全に目が覚めた。

次のアタリはバッチリ!剛竿のバットパワーと太ハリスに任せて主導権を握りつづけ、余裕を持って浮かせたのは45cmくらいの黄色の鮮やかなヒブダイ。続いて同サイズをもう1枚。
しかしペースを掴んで順調に釣れ始めたのにここで寒冷前線が到着。
今までとは違うひんやりした一陣の風を合図に突風が吹きまくり、波止の釣り人の道具を舞い上げ始めた。
黒雲が山から押し寄せてくるのも見え、急いで道具を片付け駐車場に避難。他の釣り人の姿も消えた。
腹ごしらえをするにもまだ店は開いてなかったし、寒冷前線が通過してしまうまで公園で一眠り。盆の売り出しと運転の疲れを回復し、午後への備えもバッチリ!雨の危険もなくなった頃に起き上がり、さあ、後半戦の開始だ!

潮もかなり低かったし、先ほどのポイントでも階段を登らず、小突堤の先端に陣取って正面に投げることにした。
エサトリにつつかれながらもアタリのしっかり出るロールイカで釣っていくと、暫くしてウキが消えた。
難なく上がってきた小さなヒメフエダイを初めて出合った魚種ということもあり、キープ。
やはり底の複雑な灯台向きと違ってこっち側は本命の大アタリの数は遥かに少ない。
ただ、取り込みは数段楽だ。
サシエを去年大当たりした生ミック、4〜5個を一つにあわせた大玉に替えてみると、前アタリのあと、ウキがゆっくり消しこんだ。
そこそこ引くものの、掛けた瞬間にこれは取れると思った魚。
果たして何が上がってくるのかワクワクしながら浮かせてみると、なんとチヌ。
釣り場に戻ってきたカマス狙いの人たちから歓声が上がる!
本来チヌ狙いに開発された紀州釣りなのに、このポイントでまさかチヌが釣れるとは意外だった。
「兄ちゃん!凄いの釣ったな!わざわざ室戸まで来たかいがあったな〜〜」
チヌは地元でも普通に釣れるんやけどね・・・。
「こんな細いハリスでよぉ獲れたなぁ〜〜」
チヌ釣りだと普段は1.5号くらいのハリスなんやけどね・・・。
なんやかんやと言っても51cm。チヌ釣りでは皆が憧れる「年無しサイズ」
嬉しくないはずがない!

また暫くしてミックでアタリ!さっきのチヌより力が強いとは思いながらも余裕を持って浮かせてみると今度は一回り小さいコロダイ。よしっ!

連発はしないが飽きない程度に大当たりがあるのがこっちのポイント。
徳島から熱帯魚を見に来たという2人組と話している最中に、消しこみと同時に竿まで来るスピード抜群の一発。
これは後半戦一番の強烈な突込みを見せた魚だったが、姿を見れば45cmクラスのサンノジ。
即座に海にお帰り願う。(もったいないと言われてしまったが・・・)

ファイトする間もなく一気に根に潜られて為す術もなかった魚にやられた頃
空はすっかり夕景色。
その頃からカマスの回遊が活発になり、波止に並んだ竿の林の中を青白い魚体が次から次へと舞踊った。
僕もクーラーボックスの中からキビナゴを引っ張り出し、ダンゴに握りこんで投入。
割れると同時にいきなりアタリはあったのだが、合わせたときには既に噛み切られ・・・。
カマスではなさそうだったけど。ウツボか何かかなぁ???
その直後にダンゴも底をつき、スレ掛りでカマスを一つ手にして宿に戻った。

室戸岬漁港。
赤灯の手前に見える
小突堤を釣り場に選んだ。
奥に見えるのは室戸岬。


2日目の朝は遅かった。前日ずっと剛竿を握りつづけていた上に、夜は夜でアカメを夢見てヘビータックルを振り回していたため、なかなか起きられず、7時頃から昼前までの短時間勝負に賭けることにした。
戦場はもちろん、一発大物の高場、灯台向きを選択。
今度はトラブルで時間を潰さないように細心の注意を払って準備を整えた。

開始から数投で50cmほどのヒブダイを浮かせる絶好の滑り出し。
それにしてもこちらの底のデコボコは酷いものがある。ダンゴの着底地点が少しずれただけで、ウキが大きく沈んだりぽっかり寝てしまったり。
時合が来ると凄まじいアタリラッシュになるのだが、どうしても獲れない。
目にも止まらないほどのウキの消しこみをガシッと体全体で受け止めるのだが、待っているのはいつも張り詰めた力が消え去ったときの一瞬の空白。
はるかにパワーアップしたタックルにより去年よりはファイト時間が多少延びたとは言うものの、6号のハリスも、7号の道糸も、更に号数を上げて8号のハリスでも奴らのパワーと、この底根の前にはまさに無力。
どうあがいた所でいいように弄ばれて仕掛けのあらゆる所からぶち切られてしまう。
結局11時過ぎに道具を片付けて撤収するまでにヒブダイ2尾とサンノジ1尾。
あとは切られに切られ、まさに昨年の再現をしてしまった。

どうにも太刀打ちできない悔しさと、それでもなんとか止めてやろうとする意地。そして怪物たちと真っ向勝負できる爽快感!
この釣りは暫く止められそうにない。
来年の夏もまた再戦を誓って、夢の泳ぐ室戸岬漁港を後にした。

釣果は・・・。
チヌ51cm1尾
ヤマトカマス1尾
ヒメフエダイ1尾
オオスジイシモチ2尾

45〜50cmの
コロダイ1尾
ヒブダイ4尾
サンノジ2尾

その他
ぶち切られ計12発。
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