風雲児  烈風伝
・沖の島の夕釣りに初挑戦!
        迫り来るのは夕闇と前線・・・(後編)

2006年 5月(22日〜)23日 高知県沖の島
                          前編はこちら。

さすがに朝夕通しで釣った日の夜は三人とも一瞬にして深い眠りに落ちていたようです。
5時前に携帯から流れる甲子園のラッキーセブン、風船飛ばしのファンファーレで目が覚めると、窓の外では風が唸っていました。
この日は日本海と太平洋からやってくる強力な前線の影響で大雨の予報。特に昼ごろに激しく降り、風も南よりから西、最終的には北西とぐるっと半周する模様です。とにかく厳しい一日になりそうです。

まずは食堂で巨グレと石鯛の魚拓に囲まれて腹ごしらえをし、まだ落ちてきては無いものの確実にやってくる雨に備えて細かい準備をし、
540分頃に片島からやってきた渡船に乗り込んでいきました。Iさんと従弟が。
僕は部屋にUターン、再び布団に潜り込みました。今日は雨ですし体のことを考えて9時の弁当船でスタートです。
昨日のことを考えても朝釣りは期待できそうもないし。Zzzzz・・・・

8時頃に携帯から流れる甲子園のラッキーセブン、風船飛ばしのファンファーレで目が覚めると、窓の外は雨煙が立ち込めていました。
風はよく分かりません。それでも港を一歩出るとかなり吹き荒れているのは確実です。
「旅館おきのしま」のおやっさんも言ってました。この沖の島は風速10m以上の日が年間255日以上有ると。


さて、いよいよ出船です。港を出て南へ・・・と思いきや一路北を目指します。
まあこの天気、うねりではムロバエ廻りなんて当然無理ですわな。どこへ行くのかなと思っていると二並のクロハエに。
そのクロハエから従弟とIさんが釣果を持って船に乗り移ってきました。30cm後半のイサギ2つとウスバハギがいます。
「どうや、やれるか?」と聞くと「余所行け!」とつれない返事。まあ確かに3人はやりにくそうですな。
とりあえず2人に弁当を渡して、船長に他の磯に連れて行ってもらうことにします。うねりに激しく上下する船に揺られながら。


その頃のクロハエでの会話。
従弟 「なんか急に無茶苦茶降ってきましたね。すぐにこの弁当食わんとお茶漬けになってしまう。」
I氏  「風もえらい吹き出したな。とうとう前線が来たか。」
従弟 「それもありますけど・・・(南に向かう船を指差しながら)あれが来たからですわ。」
I氏  「そういえば弁当船が見え始めてからいきなり吹きだしたもんな。やっぱりあいつか!」
従弟 「一緒に来るやつ、間違えましたね・・・」


家に帰るまでそんなむちゃくちゃ言われているとは知らないまま、当の私は最近イサギがよく釣れているというソトガシラに上げてもらえることになりました。
船着きの一つ西の岩にチャラン棒を刺して降りしきる雨の中準備します。

足元は小さな払い出しがあり、少し沖では東へと潮が走っています。撒き餌を打つと海面が爆発。しかしそれはグレでもイサギでもありません。パステルブルーの体に濃い紫の横縞、背中の黄色が鮮やかなオヤビッチャの大群です。
海中でのサシエの存在時間は3秒。かといって沖に投げてもどうにもなりません。オヤビッチャはドンドン沖へ出て行くし、ウスバの群れも手ぐすね引いて待ち構えております。
容赦なく降る雨の中であれこれ頭を悩ませて釣ってみますが、たまに綺麗にウキが入ってもそれはオヤビッチャかウスバでしかありません。

雨は9時ごろと11時ごろにかなり激しく降りましたが12時ごろになるとすっかり上がってしまいました。
背後の沖の島の松林からはムーゼームーゼーと春蝉のコーラスが響いてきます。しかし海の中の状況は変わらず。
腹が立つなあ〜!このオヤビッチャめ!!儂を怒らせるとこんな目に遭うのじゃ〜!
と腰からナイフを抜いて釣れたばかりのオヤビッチャの急所に突き立て、鱗を剥がし、頭と中骨、腹骨を切り離し、皮を引いて身を切り分けます。そしてちょっとだけ海水をつけて口の中へ。う〜ん、甘みが強くて脂も乗って旨い!
はい。その場で刺身にして食べてしまいました。
嫌われ者のオヤビッチャですが実はその味は侮れません。刺身でも煮付けでも塩焼きでも。色の派手さと骨が硬いのが難点ですが、偏見を捨てて食べてみる価値は充分ありますぞ〜。

今回お世話になった
岡崎渡船・・・というのは
冗談。母島港に寄港した
巡航船です。僕が行くときは
大概欠航してるけど・・・
こっちが今年2月7日に
就航したばかりの岡崎渡船
の新造船です。
ソトガシラ。
両潮の中良型オヤビッチャ釣り場。
足場は良いが、北西風に弱い。
北西側足元の水深約12m・・・・・(爆)

仕返し?をして満足した所で迎えの船がやってきました。さあ夕釣りです。
ヒトツバエ方面を回ってうねりを蹴立てて南に向かう渡船で無重力を十二分に味わいながらノコバエの手前に到着。

お客さんは3組。僕らは真っ先にノコバエに上がることになりました。
ここは磯が高いのですが次々と押し寄せるうねりで先端には近づくことも叶いません。
この状態で釣りができる場所は船着きか、南西の平らな高い足場か・・・。
穏やかな船着きには従弟とIさんがさっさと入ってしまいました。僕は南西向きに入り、またしても時化と真正面から戦うハメに。


釣り座から海面までは5〜6mはあるでしょうか。しかし激しい波の塊が頭上から容赦なく降り注いできます。
40cmのバッカンも瞬く間に海水で一杯になってしまいました。もっともバッカンの中身はボイル単品なので、先の雨も今の飛沫も全然気を使わなくていいのが本当に楽です。
6mのタモなら届かないこともないでしょうが、この激しいうねりでタモの柄を真っ二つに折られるだけならまだしも、一人でタモ入れしている時に大波を食らったらバランスを失って転落。命の危険も伴います。
と言うことで掛かった魚をぶち抜くためにも竿は3号、ハリスも道糸も5号をセット。
ここは尾長の60オーバーも出るポイントですが、今日は掛かったとしても足元に寄せるだけかも。

はるか沖合いまで延びるサラシ、洗濯機のように白一色の足元。
しかしエサトリは関係なくその中に入ってきます。
真っ白な中、ウキ下矢引きでもバンバン餌を掠め取っていきます。
尾長にエサトリを蹴散らしてもらうしかないと辛抱しながら釣っていくと、ついに食ってくれました。尾長が!
ただし15cmを2尾・・・。

夕釣りは5時から。その時間になると不思議とエサトリが消え、俄然グレが幅を利かせ始めるといいます。
サラシの中で40cmの口太が食ったとき、ちょうど時計の針は5時を指していました。
予定通り一気にゴボウ抜き。クーラーに収めてさあこれから!と思ったのですが、それ以降は何にも餌すら取られず、またしても尾長の乱舞すら見られずに無念の納竿になってしまいました。
沖の島・鵜来に通い始めて随分経ちましたが、実は未だに一度も尾長の乱舞というものを見たことが無いんです。
いつもあまりにも荒れすぎて居たとしても全然見えないというのもあるのですが・・・。
生きているうちに一度くらいはこの目で見てみたいものです。ほんま。


釣りやすそうな船着きに入っていた従弟は40cmちょいまででしたが、尾長を中心に6枚くらい釣っていました。
足元に広がるサラシを飛び越えて先端のポイントのサラシから何枚も引き出したようです。
ノコバエ先端は本当に素晴らしい潮目が走っていましたし、もしうねりがもっと小さくて先端に入れていたとしたら全員で心から夕釣りを楽しめていたことでしょう。


期待した今回の釣行でしたが、いつもどおり天候に苦しめられ、ブチブチも味わえず、反省点ばかりを残して終了してしまいました。
でもやっぱり夕釣りは楽しい♪
また挑戦せずにはいられないでしょう。

南西向きの釣り座からクワンバエ方向。
この釣り座まで軽々届く波を頭から
被りながら釣っていました。
ノコバエの頂上から北方向。
一番奥が2002年に日本記録、67.5cmの
口太が出、巨大尾長も出るノコの地の3番。
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