風雲児  烈風伝
・2009年鹿児島3連釣! 枕崎! 硫黄島! 上甑!

・プロローグ  大阪南港〜宮崎港〜えびの〜枕崎  1月13日夜〜14日
当分の間、ケチケチ釣法以外の釣りを封印する覚悟で、思い切って九州に再遠征してきました。
前回は初めての九州と言うこともあって観光やら様々な釣りを盛り込んだ広く浅くの旅となりましたが、今回は初めからフカセ釣りの道具だけで勝負!
竿を出すのも鹿児島県のみで、前回寸前で幻となってしまった憧れの硫黄島と、釣行直前の段階でおそらく西日本一の絶好調を誇っているという甑島・里。この2箇所のみに絞り込んで計画を進めておりました。

宮崎県庁。ありふれた庁舎
がなぜか観光名所(笑)
しかしこの2009年1月は寒波の連続で、西日本の渡船がまともに出られた日なんて果たして何日あったことでしょうか。
私の釣行も何度も延期を強いられた末、やっと訪れた寒波の隙間を逃さずフェリーの予約を入れたのですが、やはりと言おうかその半日後には急激に予報が悪化。
波浪予想図を開くと、あろうことか甑島から薩南諸島の海域だけに嫌がらせのように「波高 〜299cm」の黄色のエリアが出現しているではありませんか!!
予約していた硫黄島の渡船に確認を取ってみましたが、案の定15日に出航できる見込みはまず無いだろうとの話でした。

しかしその後は凪いでくれそうではありますし、この機会を逃すと私の遠征のチャンスはシーズンオフの4月まで無くなってしまう所でしたから、覚悟を決めて予約どおりに午後7時10分、大阪南港・かもめターミナルを旅立ったのです。

前回の九州遠征で使った志布志行きのフェリーは丁度ドック入りでしたので今回は宮崎カーフェリーで宮崎港へ上陸。
この時、14日午前9時。雪のベールの中から現れまた消える、霧島の山並みの息を飲む美しさに感嘆しながら、降りしきる冷たい冷たい時雨の中を、下道でとりあえず「えびの市」へ。

ここで、改めて渡船屋に確認を取ってみますが、硫黄島はやはり欠航、甑島も野間池も夜7時にならないと決められないということでしたが、それ以前に拠点となる串木野や南さつま市の宿が満杯でどうにもなりません。
で、何とか押さえられたのが枕崎の宿。
こうなったら明日は波止からでも釣るか、いっそ観光でもしようかとも思っていたのですが、現地の園田釣具店の店長が、北西風に強い枕崎の沖磯なら明日でもやれますよ!と渡船を手配してくれました。
枕崎のシンボル・立神と、九州の名峰・開聞岳の競演!
その夜は安宿の窓を叩くあられの音と風の唸り声を聞きながらの一夜でしたが、その風も多少は弱まったような気がする午前7時前、枕崎港の海星丸に乗り込んで2009年の初釣りへと出発です。

・涙止まらず  枕崎沖磯 黒瀬   1月15日
枕崎港の高い高い防波堤の関門を通り抜けた瞬間、前触れも無く目に飛び込んできたのは、真正面約40キロ先の海上に霞む硫黄島の島影! まさに突拍子も無い初対面にビックリさせられながら、船はゆっくりと進んでいきます。
枕崎の沖磯といえば、この町のシンボルとも言える「立神」や、その周辺の西磯群が有名なんだそうですが、この日の海星丸はまず東磯の方へ向かい、私は二人組のお客さんと3人で「黒瀬」に渡礁。

東磯では最も西に位置し、昨夜立ち寄った「なぎさ温泉」のすぐ沖に浮かぶ大きくて足場の良いこの磯は、船長によると360度全てがポイント。
同礁の二人が東向きに入られたので、私は船着きの辺りのサラシとシモリが点在する、いかにも釣れそうなポイントを選択しました。

黒瀬より。  開聞岳から昇る朝日に染まるグンカン。
日本百名山・開聞岳の稜線から登る朝日を眺めながら3B段シズの仕掛けをセットし、サラシの切れ目やらシモリ際やらで撒き餌の合流を待ってみますが生命反応はなかなか表れてはくれませんでした。

ようやくエサが取られるようになったのは1時間ほど経ってから。その正体、今年初の獲物はネンブツダイでした。

それからというもの一投ごとにネンブツダイの数が増えていって、気が付けば辺りの海は血に染まったように赤く色づいています。
そこで専ら沖を攻めていくのですが、仕掛けをドンドン深く入れてみても結果は出ません。

浮いている気配は無いのにな・・・と思いながらも念のためと、矢引きからスタートのゼロスルスル仕掛けを30mほど沖に投入。
すると、すぐに竿先がグググ・・・と引っ張られていくではありませんか!
この引き、やっぱり気持ちいいですなあ〜〜。酔いしれながら引き抜いた今年最初のグレ、口太の30cm。
なるほど、そういうパターンだったんですね。1時間ほど後に撒き餌同時打ちで27cmを追加。

この日はいくら枕崎だとは言っても寒い一日でした。
一時は差してくれていた太陽も雲に隠れ、小雪が舞った時間帯もありました。
枕崎の町を通り抜けてくる冷たい風はずっと吹き続け、さらにその風は朝から延々と何かを燃やしている小工場の、朦々と上げ続ける煙を運んでは狙いすましたようにこの磯へと直撃させてくるのです。
仕掛けを流すには苦にもならない風向きだというのに、この煙のおかげで喉が痛いやら、目が痛くてボロボロと涙が流れ続けるやら、とても釣りどころではない時間帯の多かったこと。

黒瀬からの西磯。岬のほうにはキャンプ場や
戦艦大和や矢矧などの慰霊碑がありました。
後半は結局25cmの尾長を2尾追加できただけだったし、こんなんだったら見回り船で西磯に替わっていかれた二人組に付いていけばよかったなあ。
しかもその二人、新天地でこの渡船区では結構な良型だという40cm近いグレを釣られてましたし・・・。

25〜30cmのグレが4枚。
まあこんなもんでしょう。この日はほんの肩慣らし。
明日はいよいよ本番の硫黄島です。

再び黒瀬の裏の「なぎさ温泉」に浸かり、この辺のブランド豚だという鹿籠豚(かごぶた)の角煮が乗った丼に舌鼓を打ち、宿に戻ってさっさとベッドに潜り込みましたが、体は疲れ切っているのにワクワクして全然寝付けません。
ここで眠ったその時間が明日の尾長のサイズに置き換わるのだ!なんてこと考えてたらそりゃ寝付くのなんて無理ですわな。
で、まともに1時間も眠れないまま、集合時間の16日午前3時が迫ってきました。
 ● 枕崎沖磯 makurazaki 
利用渡船 海星丸 出港地 鹿児島県枕崎市・枕崎漁港
時間(当日) 6:50〜14:00
料金 4000円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)

・滑って転んで尾長グレ!  硫黄島 平瀬〜昭和硫黄島   1月16日
釣り人と夢とを硫黄島へ運んでくれる「黒潮丸」が発着する観光市場・枕崎おさかなセンターの隣の岸壁までは宿から2分。
平日にはほとんど出航することは無いそうなのですが、この日は正月からの続いた寒波がようやく収まって10日ぶりに船が出せるということもあって、港には期待に満ち溢れた顔をした7人の釣り師が集結しました。
上物狙いが私の他に1組2名、その他の方々は底物師。それぞれ渡船のほうで用意してくれるエサと氷を受け取って準備完了!

さあ、いよいよ尾長が闇の中で待ち受けているであろう硫黄島へ、楽しい旅の始まりです!



硫黄島釣行記行き
  
渡船乗り場
 クリックしてください。
        渡船の画像をクリックすると  硫黄島へ向け出航します!!

・秋のリベンジ??  甑島(上甑・里地区) 沖の島・スベリの水道  1月17日
硫黄島での釣りはあっという間に終わってしまい、黒潮丸のスタッフに必ずまた来ます!と誓いながら枕崎を離れたのが午後4時前。
私は川辺地区にある巨大なスーパーマーケットでオキアミを買ってから、またしても日照雨の指宿スカイライン・南九州道を走り抜けて串木野へと北上しました。
そして翌日、17日午前4時、串木野港から今回の遠征の最後の釣り場・上甑島は里の渡船区に渡してくれる「蝶栄丸」に乗り込んだのです。

さすがに40cm級を中心に一人30枚とか40枚とかいう大爆釣の情報が飛び交っている里、しかも土曜日。
甲板の上は夥しい荷物で足の踏み場もありませんし、キャビンの中もまさにすし詰めでした。
しかしながら里は広大なエリアと膨大なキャパシティーを持った渡船区です。これほど混雑していても、どこぞの島のような殺気が船首から流れてくるなんてことはありません(笑)

下弦の月に照らされた船の屋上で寝転がること約1時間、身を切るような風が沖合いで優しく温かくなり、再び冷たい風に戻ったらそこは甑島。
単独行の私は、あらかじめ「一番に渡しますから」と告げられていましたから、あわてて飛び起き準備をします。

この日上がっていたスベリの水道。素晴らしい磯だったんですが・・・
サーチライトに照らされたのは切り立った結構高い磯。ポーターさんに聞けばここは沖の島のスベリの水道だという返事が返ってきました。

「足場が悪いから気をつけて! 滑るから、なだらかな方には行かないで!」と船長とポーターさんに声をかけられながら手早く上礁。
小さな足場を足がかりにして上部にさえ上がってしまえば広くは無いけどしっかりした平らな面があるので楽に釣ることができそうです。
潮が低いうちはタモ入れが大変そうですけど。

折角なので夜釣りの道具で磯際を攻めてはみましたが、20分ほどで根掛りして電輝ドングリを流してしまったのと、移動しながらの寝不足の3連釣で疲れが溜まってましたからとりあえず寝そべって一休み。
6時50分になるとウキが見えるようになってきたので、体を起こして釣り再開です。
様子見にG5仕掛けから釣り始めましたが、いくら撒き餌を撒いて流しても魚も見えなければエサも触られません。
周りの方々にも動きも気配も無いですし、思惑とはかけ離れた時間が過ぎていきます。

9時ごろになるとほとんど動いていなかった潮が左前方へとゆっくり流れ始めました。
仕掛けを潮に吸い込ませながらパラパラ、パラパラ・・・と道糸を送り出していると、バチバチ!!と指先を心地よく弾く待望のアタリ!
張り出した棚めがけて元気良く突っ込む魚を何度もいなしてタモの中へ。35cmの口太でした。
よし!これからいよいよ至福の時間が始まる!!と思ったのですが・・・

一旦動き出した潮は見る間に激流と化していきました。
このスベリという大きな磯の右手から足元の棚をかすめて回り込んでくる潮と、左の沖の島本島との狭い水道を駆け抜けてくる潮とが釣り座の前10mの位置でぶち当たって潮の壁を作り、逆波を立てながら右斜め前へと流れ去って行きます。
これは釣れなきゃおかしいでしょう。

激流。 魚が食ったのは結局この潮の動き初めと
止まりかけの時だけでした。
・・・しかし、撒き餌や仕掛けの位置、タイミング、深さ、テンションのかけ方・・・様々な方法を試してみるのですが、全く気配もありませんし、やはりエサもそのまま戻ってきます。
かくなる上は!とグレを半ば諦めて、1号にチェンジしたウキで竿2本・3本とドンドン入れて、帯状の撒き餌とともにリールの糸が無くなるまで流していきますが、どうやらマダイもサシエを食ってはくれる気はないようです。
結局潮が流れている間は、見える範囲の釣り人は誰一人として竿を曲げることはありませんでした。

そして、その潮が一気に緩みはじめた11時半頃、これは食うぞ!と体が感じた瞬間から、対岸の沖の島本島の3人がバタバタと連続して竿を曲げ、40cm手前の口太をそれぞれ1〜2枚タモに入れるのが見て取れました。
私の居るスベリの水道でも、足元の棚の影から魚影がチラチラと見え始めたのですが、ほとんどがコッパイスズミのようで、それすらも納竿の1時までに1枚取り込んだのと、針外れを1度やらかすのがやっとでした。

あの名礁で、あんな素晴らしいポイントを全力で攻め続けてこの結果ですから、悔しいけども納得です。
二日続けて最高の思いなんてしてしまったら後が怖いですしね。

後で聞いてみるとやはりこの日は水温が急激に下がっていたようです。
帰りの船のあちこちの集団から「お前が爆釣していると言ってたから来たのに!」とか、「だからワシはホームグラウンドに行こうと言ったのに!」とかいう苦笑しながらの話し声が聞こえてきてましたね(笑)
そんな中でもこの渡船に乗り合わせた藤園さん、甲斐さんといった有名なテスター達はさすがに釣果を出しておられましたが。


これで忘れられない九州での釣りは終了。
これから八代まで素早く北上してゆっくり休み、翌日は一気に634キロの道のりを軽四で一人駆け抜けて帰るのだ!(おいおい、あんた不治の病持ちじゃなかったのか・・・)と、荷物を抱えて車に駆け寄ったのですが、ここで大変な事実が発覚してしまいました。
ポケットに入れておいたはずの鍵がどこにも無いのです。
勿論カッパやズボンのポケットからパッチや長靴の中、船の中、岸壁の隅々、ゴミ袋の中までくまなく徹底的に探しましたが見当たりません。何かの拍子に磯で落としたとしか考えられません。

途方に暮れていると船長が知り合いの鍵屋さんを呼んでくださり、どうにか新しい鍵を作ってもらうことができました。
操船で疲れているにも関わらず、最後まで側にいてくださった蝶栄丸の船長さんにこの場で改めて御礼を言わせていただきます。本当にありがとうございました。

そんなこんなで串木野出発は大幅に遅れて5時前になりました。
前回立ち寄って以来楽しみにしていた芦北町の「イタリア小料理・コラッジオ」での食事には間に合ったのですが、八代の宿への到着がかなり遅くなって迷惑をかけてしまって文句を言われ、旅の締めくくりが少しほろ苦くなってしまったのが心残りです。

ですが返す返すも硫黄島での釣りは本当に楽しかったなあ〜。
また来れるようにコツコツと頑張らねば^^
 ● 甑島 (里) koshikijima (sato)
利用渡船 蝶栄丸 出港地 鹿児島県いちき串木野市・串木野旧港
時間(当日) 4:00〜13:00
料金 9000円
駐車場 無料 弁当 無し
宿/仮眠所 無し システム 磯割り制
磯替わり あり
*データは釣行日のものです。間違いや営業内容の変更があるかもしれませんので、
必ず渡船店にご確認ください。(内容については一切責任を負いません)
※現在、色々とルールが変わっていると聞いております。


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