風雲児  烈風伝
 ・本懐を遂げよ! 旧播州赤穂四十七目釣りにチャレンジ!

2013年 9月1日〜10月10日  兵庫県相生市・赤穂市・上郡町各所
・今度は地元でチャレンジ!
 8月17日から18日にかけて実施した「旧土佐国幡多郡、1泊2日50目釣り」は34目という中途半端な結果で終了し、大きな疲労と顕在化した多くの問題点を残しました。その一方で、小物釣りの面白さや、臨機応変にミッションをクリアしていく釣りの面白さを再認識したのも事実で、「今度は地元でやってみよう!」という新たな野望の芽生えを促しました。

 地元・兵庫県は両端を除く本州で唯一瀬戸内海と日本海にまたがっており、さらに淡路島南部は紀伊水道にも面してはいますが、全域でやるには広すぎますのでもっと「地元」の範囲を狭めて、相生市・赤穂市・上郡町の3市町、つまり旧播州赤穂郡という狭いエリア限定でやることにしました。(赤穂市の南西部にはかつて備前国だった地区がありますが、そこも対象外にしときます。)

 目標魚種は47種、四十七目(しじゅうしちもく)釣り。3市町は赤穂藩領でしたからね。
 ただし、高知とは生息魚種の母数が全然違うため2日3日の挑戦では不可能なのは明白です。そこで、何回の釣行で達成できるかということにチャレンジすることにしてみます。
 とはいえいつまでもダラダラやっても仕方ないので12月14日をタイムリミットに設定。これももちろん47士の討ち入りにちなんでます。期間が長すぎるようにも思えますが、秋は特に仕事が多忙ですし、他の用事もこなさねばなりません。天候のこともありますし、完全な休養日も必要。遠征にも行きたいですし・・・ということで、地元とはいえ釣行チャンスはそれほど多くはない・・・かも。

 で、ルールをまとめるとこんな感じ。
・釣り場は旧播磨国赤穂郡内(相生市・赤穂市・赤穂郡上郡町)に限る。なお、赤穂市福浦地区は範囲外とする。
・竿は何本持参してもよい。ただし、一度に投入できるのは一本のみ。
・素掛けは禁止。ただし、意図しないスレ掛かりはカウント可能。
・1日の間に何度釣行しても釣行回数は合計1回とカウントする。5分の釣りでも、24時間ぶっ通しの釣りでも1回となる。
・タイムリミットは12月14日とする。

 高知でのチャレンジ以上にシビアな釣りになりそうですが、3市町の魅力と自然の豊かさ、そこに住む見過ごされがちな魚たちについて広く発信するため、また、住民、特に未来を担う青少年に郷土の魅力の再発見を促し、ふるさと意識を醸成するため、本事業を実施し奮闘する・・・って、なんかの申請書じゃあるまいし^^

・第1回 テトラ竿で挑む相生湾
1 クロソイ(フサカサゴ科)
こちらでの地方名はシラタケ
地方名は、管理人が実際に耳にしたことの
あるものを記載していますが、一般的でない
ものも含まれているかもしれません。
2 タケノコメバル(フサカサゴ科)
  石くぐり
3 キュウセン(ベラ科)
  赤ベラ(雌)、青ベラ(雄)
4 ダイナンギンポ(タウエガジ科)
5 ドロメ(ハゼ科) ドンコ
 挑戦第1日目となったのは9月1日。前日に通過した台風崩れの低気圧と前線の影響で、時折激しい雨が降ったり晴れ間が覗いたりと非常に天候が不安定な1日でした。その中でも多少落ち着いていた時間帯、午後2時から5時半までの間の釣行となりました。
 そんな状態ですので行先は自宅のある相生市。いつまた激しい雨が降ってくるか分かりませんし、川は増水して釣りになりませんから、石ゴカイを300円だけ買って海へGO。

 相生市は戦後の一時期、世界一の造船の町として繁栄しましたが、今や往時をしのぶことすら難しい寂しい町となっています。南北約20km、東西約8kmの細長い形の山がちな市で、冬場の冷え込みが大変厳しく、南部に大きく湾入する相生湾の最奥部は年に数回は海面が氷結してしまうほど。そのせいなのか、この相生の海で獲れる牡蠣は絶品です!

 その相生湾の地磯のタイドプールを、1.2mのテトラ竿で攻めてみました。
 近づくと様々な魚たちが砂煙を上げて逃げていく外海のタイドプールと違って、魚は初めから岩の隙間や転石の下にいます。そこへ静かに石ゴカイを送り込むと、程なくして根魚が喰らいついてきました。今回1種目は斑紋の細かいタイプのムラソイ(シラタケ)、2種目はタケノコメバル(石くぐり)です。
 また、タイドプールの外の磯際では、この辺では美味で知られ、シロギスより高価なことも少なくない人気魚キュウセンをゲット!
 さらに岩の下からダイナンギンポドロメを引きずり出すことにも成功しました。どちらも名前すら聞いたことも無いという人も多いでしょうが、ダイナンギンポはタウエガジ科の魚で、科こそ違いますが関東の方で天種として知られる「ギンポ」の仲間。身離れが悪く食べ辛いですが、これはこれでなかなかの味です。一方のドロメはハゼ科の魚で、瀬戸内ではテトラや潮だまりで普通に見かける、あまり記憶に残らない魚です。

 その後、石畳で護岸されたエリアまで歩いていくと餌を物色している40cmくらいのチヌを発見。私はテトラ竿にセットした両軸リールから糸を引き出し手投げで投入。すると落ちていく石ゴカイに興味を抱いたクロダイ(チヌ)がスーッと寄ってきてヒット!と言っても、掛ったのは7〜8cmの当歳魚ですけどね。40cmクラスは仕掛けを投げた時点で逃亡。どうせこの仕掛けじゃ取れないので勝負は今後のお楽しみということで。

 またこの石畳ではヒガンフグと大きな暗色帯を持つムラソイを追加できました。先ほどの細かい斑紋のムラソイとは同一種ということになっていますがメバルと同様に非常にややこしいムラソイ類のこと、明日には別種になっている可能性が・・・ゼロだとは言い切れないなあ。まあ、何種類に分かれようが統合されようがこの辺では「シラタケ」という一言で片付けられてしまうのですが^^

 石畳の後は漁港の探索に移りましょう。
 内向きの奥まったところにはメバル類、スロープには正体不明の魚が何種か群れていましたが、どれも石ゴカイには反応せず。これらにはいずれ夜釣りとフカセで挑まねばなりますまい。今日のところは諦めて、代わりに釣れたキュウセンの大物を持って帰ることとしましょうか。

 最後の仕上げは波止の外側の壁の探り釣り。期待したガシラは釣れなかったものの、予想外のカワハギをゲットして、時折雨宿りしながらの第1回釣行を終えました。竿を出した時間は4時間弱、成果は8種と上出来です!


6 クロダイ(タイ科)
  チヌ、チヌダイ
7 ヒガンフグ(フグ科) 番外 大きな暗色帯を持つ
タイプのムラソイ
8 カワハギ(カワハギ科)
  丸ハゲ

・第2回 チョイ投げで挑む赤穂御崎
 2回目の釣行のチャンスは前回の2日後にやってきました。
 雨は前回から断続的に降り続いており、夕方からはさらに激しさを増す予報です。ただ昼間は不安定ながら、カッパを着ずに釣り場に立てる時間もありそうなのでチャンスを逃さず出撃。目的地は赤穂市の海です。

 兵庫県の瀬戸内側の海岸線の西端となっている赤穂市。赤穂市といえば塩と赤穂義士で有名な城下町。どうしても浅野家のイメージが強烈ですが、藩主は池田家・浅野家・永井家と変転し、最終的には森家が治めました。これは織田信長に仕えて活躍し、ヒャッハーな逸話を多数残した森一族の末裔です。なお、新選組でも屈指の剣技を持ち、最期は御陵衛士として壮絶に散った服部武雄も、森家時代の赤穂の出身とも言われています。

10 ネズミゴチ(ネズッポ科) テンコチ
11 トビヌメリ(ネズッポ科) テンコチ
 今日の釣り場は赤穂御崎の周辺です。
 キャスター兼ルアーマンで、ブログ「ヒラスズキにあこがれて」の管理人・Shioさんから、キスが釣れるのではないかというアドバイスを頂いていたので、温泉旅館が立ち並び、大石内蔵助が赤穂を離れるときに名残を惜しんだ松や、日露戦争開戦時に東郷平八郎が戦勝を祈願して以来、歴代の連合艦隊司令官が艦隊を率いて海上から参拝した伊和都比売神社(いわつひめじんじゃ)などがあるこの御崎の周辺で狙ってみるのです。

 現場にはタコ釣りの人と投げ釣りの人が一人ずついました。話を聞いてみると小さなキスが少し釣れているという事ですので、急いでチョイ投げにも最適なショアジギングロッド「コルトスナイパー1000M」を引っ張り出し、ありあわせの4号のナイロン道糸が巻かれたアルテグラ、8号のジェットテンビン、市販の2本バリのキス船釣り仕掛けをセット。小さいという話に8号というハリの大きさが気になりますが・・・。

 11時半。海岸線に沿って整備されている遊歩道から砂利浜にキャストし先客と同じように引きはじめた直後、ココン!という衝撃がロッドに伝わってきました。
 えっ、今のはアタリ?海底の起伏でオモリが跳ねたんでしょ?構わず引き続けようとすると再び竿先に反応が出ました。まさか一投目からヒットするとは!不思議な感覚の中でシロギスをゲットです。しかもサイズは20cm弱!小さくはないじゃないかっ!

12 マダイ(タイ科) チャリコ(幼魚)
13 マルアジ(アジ科) 青アジ、青子
 とりあえず活かし水汲みの中に泳がせておいて第2投。するとまたまたアタリ!それもシロギスネズミゴチのダブルじゃないか!さらにアタリは続き、なんとスタートから5キャストして5ヒットです!
 その後は少しアタリが遠のきましたが、4cm程度のマダイの子(チャリコ)やトビヌメリも確保です。トビヌメリは先ほど釣れたネズミゴチと同じく、この辺りでは「テンコチ」、各地で「ガッチョ」「メゴチ」「ノドクサリ」などと呼ばれている魚。持って帰ってキスと一緒に天ぷらや〜♪
 さらに、投げ釣りをしているというのになぜかマルアジの豆アジまで釣れてしまいました。これは回遊してくることすら想定してなかった魚種ですので本当に嬉しかった。残念ながら大きくならないと美味しくないのでリリースしましたが。

 小雨の中、夢中で釣り続けていましたが、開始から1時間ほど経過したところで沖合に浮かぶ家島諸島に雲に呑まれてしまいました。道具を片付けながら釣り続けていると相生湾の沖に浮かぶ蔓島(通称:おわん島)までもが白い空の一部となりました。そろそろ来るぞ!それ逃げろ!

 車の中に逃げ込んだ私に、一足遅れで到来した激しい雨が襲い掛かりました。これはしばらく釣りどころではありませんので、赤穂の市街まで食事に行き、その足で千種川河口を偵察しました。
9 シロギス(キス科) キス
 その河口はさすがに増水で手が付けられない状態でしたから再び御崎周辺に舞い戻って、今日はキス釣りだけに精を出すことにしましょう。

 小雨になるのを待って再開した後半の釣りは、雨脚が強まれば屋根の下に逃げ、弱まれば竿を振るという具合に待ち時間の多い釣りでした。また、雨によって流された芥が潮目のような帯を作り、仕掛けがそれを乗り越える際に折角掛けたキスがテコの原理でポロポロと外れていきました。
 それでも22cmまでのキス26匹がクーラーに収まる予想外の好釣果。おかげで数年ぶりの天ぷらや、十数年ぶりの刺身を堪能することができました♪

・第3回 またまたテトラ竿で相生湾&千種川河口
 9月8日は1日中雨の予報でしたが大して降らず、昼には晴れ間が出てきました。今後忙しくなるのが目に見えているのでさっさと行きますよ。

 最初に向かったのは相生湾にある漁港。第1回とは違う港に、今回もテトラ竿と石ゴカイで挑みます。
 まずは小さな港の内外を攻めますが、掛ってくるのはタケノコメバルとムラソイばかり。埒が明かないので石畳エリア、テトラエリアに移動して穴釣りです。

 石畳ではハゼが食いつきましたがカウント済みのドロメでした。一方、テトラの穴からはギンポの仲間を引っ張り出しましたが、手に取って確認する前に落下。さらにテトラの奥の空間に入り込んだカタクチイワシを追って10数cmから50cmくらいまでのスズキ(セイゴ〜セイ(ハネ)クラス)やメバルらしき魚が確認でき、石ゴカイにも興味を示すのですが、口にハリが立ったのは小チヌとムラソイばかり。
14 イシダイ(イシダイ科)
   シマダイ、サンバソウ(幼魚)
15 クジメ(アイナメ科) スゲ
 それでも、20cm超という、この辺ではかなり大きなイシダイ(サンバソウ)と、アイナメに似ているが尾鰭が丸く、地元でスゲと呼ばれてかなり明確に区別されているクジメをゲットし、再移動です。
(そういえばアイナメという魚を全くというほど見なくなりました。神戸の地震の前までは釣りを始めたばかりの子どもたちの先生役を務めるほどいっぱい居たというのに・・・。)

 次の目的地は赤穂市。ようやく水位が落ち着きつつある千種川。
 千種川はかつて「雨が降っても2日と濁らぬ」と言われた清流だったので「ちくさがわ」と濁らずに読みます。しかし平成21年に発生した水害によってほぼ全域が改修の対象となり、今なお続く工事に清流の面影は無くなったままです。まあ仕方ないことなのですが・・・

 後日に心置きなく淡水域を攻めるためにも今日は河口域を集中的に攻略します。
 まずは、石積み護岸のポイント。増水と引き潮の重なった速い流れに若干苦労しながら崩れ落ちた石の隙間に仕掛けを流し込み、ウロハゼイダテンギンポをゲット。
 ウロハゼは、マハゼを少しいかつくしたようなハゼで、頭頂部に散らばる小さな黒点がトレードマーク。秋が深まるにつれて大きくなるマハゼと違い、夏場に大きなものが釣れることからこの辺では土用ハゼなんて言ったりしています。一方のイダテンギンポは河口や内湾の牡蠣殻の間などに住むイソギンポ科の魚。素早く泳ぐことから韋駄天の名を冠しているとか。なお、この魚は鋭い犬歯を持っているので取り扱い注意。私も今回ガブリとやられ、痛みに声を上げさせられたうえ、しばらく血が止まらず、傷も結局ひと月近く経っても消えませんでした。

 そして、血を流しながら血を吸われました。このポイントにはあまりにも蚊が多く、耐え切れずに10分足らずで退却。次は河川内の泥干潟&テトラのポイントに転進です。

 水害以来見かけなくなったトビハゼを今回も確認できなかったのが残念ですが、マハゼチチブをゲットし、どうしても確保しておきたかった河口域の4魚種をコンプリート。
 これで帰ってもいいのですが、折角のなので他の魚も・・・と、両軸リールからたっぷり糸を引き出して駆け上がりを狙って手投げ。すると着底前にアタリがあり、振られ続けていたスズキ(セイゴ)をやっとのことでカウント完了。トータル魚種も20種に達しました。
16 ウロハゼ(ハゼ科) 土用ハゼ 17 イダテンギンポ(イソギンポ科)




18 マハゼ(ハゼ科) ハゼ 19チチブ(ハゼ科) ドンコ 20 スズキ(スズキ科) セイゴ→セイ→スズキ

・第4回 ミミズを流して千種川中流域
 この頃は土日に出勤することが多いので、第4回のチャレンジも平日釣行となりました。
 最初の目的地は上郡町。ようやく実現した淡水域でのチャレンジです。

 赤穂郡上郡町は、50歳を過ぎてから挙兵し、鎌倉討幕・足利政権樹立に貢献した赤松円心と、旧幕府軍の歩兵奉行・陸軍奉行として自ら養成した伝習隊や土方歳三らを率いて五稜郭まで戦い抜き、のちに明治政府に出仕して工業、外交などの分野で活躍した大鳥圭介の出身地であり、奈良〜平安時代の駅家(うまや=朝廷の役人の宿泊施設兼迎賓館)跡なども残る歴史の町。一方で、世界の科学の最先端を走る研究施設なども稼働している町でもあります。
 また、どういう経緯かモロヘイヤを使った商品の開発に取り組んでおり、その粉末を練り込んだうどん「円心モロどん」は、冷やで良し、熱で良し、カレーつけ麺でまた良しというお勧めの逸品です。

 まずは私の大好きな魚・オヤニラミ(ヨツメ)が狙えるとっておきのポイントにやってきましたが、川の中の様子が以前と大きく異なっており、その姿を確認することはできませんでした。大きな岩が土砂に埋もれたのが原因かな・・・。

 確認できた魚はカワムツ、アユ、ムギツク、ヨシノボリ類、オオシマドジョウなど。そのうちアユは釣るすべも入漁券も持ってないので対象外、ヨシノボリ類はあまりにも小さすぎて釣りの対象外、オオシマドジョウは目の前に餌を落としても食いついたことがない魚です。この日も、これまでも。
 ということでハエ竿とミミズで狙うターゲットは2種。大量に居るカワムツは難なく釣れましたが、ムギツクには苦戦し、岩穴狙いで粘りに粘ってようやくゲット。
21 カワムツ(コイ科) ハイジャコ、黄モツ 22 ムギツク(コイ科) イシコツキ
23 ヌマムツ(コイ科) ハイジャコ
 次は魚種豊富なポイントにやってきました。ここで種類を荒稼ぎしなければ。
 このポイントは伏流水で水が澄み渡り、水中の魚の種類や様子が手に取るようにわかるので、一種一種狙い撃ち。まずはヌマムツから。

 ヌマムツはかつてカワムツA型と呼ばれていた魚で、胸鰭と腹鰭の前縁が赤いことが多く、尻鰭の分枝軟条数が9であることで、カワムツ(分枝軟条数10)と区別できます。カワムツよりも下流部や止水域を傾向があるのですが、それでもヌマムツって・・・。いや、ネーミングセンスがね・・・。

 続いて、この辺では普通に見られるタナゴの一種アブラボテを確保。
24 アブラボテ(コイ科)
25 ゴクラクハゼ(ハゼ科)
26 コウライモロコ(コイ科)
27 イトモロコ(コイ科)
28 タモロコ(コイ科)
29 ギンブナ(コイ科)

 水中にはスジシマドジョウ類が多数見えているのですが、先ほどのオオシマドジョウと同様、サシエに興味を持つのを見たことがありません。驚かせて砂に潜らせ、砂ごと掬えば簡単に獲れるのですが、釣ったものじゃないと当然カウントできないので今はただ見てるだけ。

 ちなみに少し前まで使われていたスジシマドジョウやシマドジョウという和名は2012年に消滅し、スジシマドジョウ類は5種+8亜種に、シマドジョウ類はオオシマドジョウなど4種に分割されたそうです。ですが、今足元にいるスジシマドジョウ類がチュウガタスジシマドジョウなのか、サンヨウコガタスジシマドジョウなのか、そもそもサンヨウコガタスジシマドジョウがこの辺に生息しているのかすらも今の私には分かりません。ハゼ科のヨシノボリ属なんかももう手の付けようが無いような状況です。淡水魚の研究は急速に進んでいるようですが、その成果を理解しようとする気力がなかなか湧いてこなくて・・・。

 同じポイントでも、岩の点在する場所の底層には10cmほどあるハゼが群れていて、他の魚を追い払ってはミミズに飛び付いてきました。ブルーの斑紋に彩られたゴクラクハゼです。この魚がこのサイズになるとは・・・。ここまで多いとは・・・。よく知っているはずの地元の川でも、毎回毎回発見があるから止められません。
 とはいえゴクラクハゼばかり釣っているわけにはいきません。狙いをモロコ類に変えてコウライモロコイトモロコタモロコの三連釣!

 次はテトラの周りに群れているフナ狙い。食い気のあるやつがなかなかおらず、ヌマムツ、カワムツ、イトモロコ等に妨害されながらも、何とか1匹ゲット。実はフナというのは分かっていない部分が多く、同定も困難なんだそうですが、体高比を計算するとギンブナ・・・かな。
 テトラの穴の中からはギギ!ギギ!と、自分で自分の名前を叫びながらギギが上がってきました。これは夜釣り定番外道で、胸鰭と背鰭に鋭くギザギザの強い棘を持ち、不用意に掴んで刺されると大変痛いそうです。一方で味はナマズ以上とも言われ、好んで食べる人も割といるようです。

 他の魚種を物色しているとテトラの隙間に黄土色の縞模様を持ったメバルのような魚を発見。「おおっ!こんな所におったんか!」と喜びの声を上げながら大きく付けたミミズを穴の中に送り込むと、ウキの周りに波紋が現れました。しばらく待ってからアワセを入れ、最初のポイントで狙っていたCoreoperca kawamebariオヤニラミを引っ張り出すことに成功しました。この魚はかつてスズキ科に属していた最大15cmほどの肉食魚で、オスが卵や稚魚を守る習性があります。鰓蓋の部分の青い眼状紋が目立つことから、この辺ではもっぱらヨツメと言われています。この魚はすぐにハリを飲み込んでしまうのですが、今回は唇に掛っていたので恙なくリリースすることができました。

 他にもニゴイ、カネヒラ、オオクチバスなどが餌を口にしたのですが、残念ながらハリ掛かりにまでは至らず、次回の宿題ということになってしまいましたが、本日の獲得魚種はコイ科を中心に11種となりました。
 ・・・って、一つ肝心な魚を忘れてますやん!川の小物の代表種であるオイカワを!用事があるので長居はできませんが、相生市を流れる矢野川に寄り道するしかありませんな。

 現在の矢野というのはこの矢野川の上流部のみを指しますが、昔は今の相生市のほぼ全域が矢野荘という荘園でした。『東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)』という膨大な資料によって、この荘園で繰り広げられた寺田悪党と呼ばれる勢力と村の人々との戦いや、領家・東寺と守護大名・赤松氏との駆け引きなどの詳細を知ることができるため、中世を研究する者にとって、この矢野荘は避けては通れない場所となっています。
 また、現在は地元で人気の「矢野メロン」の栽培が行われています。流通量が多くないので知る人ぞ知る味ですが。

 釣りの方は僅か数投でオイカワをゲットしてあっさりと終了することができました。暖季は水門の落ち込みを狙えば一発ですな。
30 ギギ(ギギ科)
   ギンシャ、ギギタ
31 オヤニラミ(ケツギョ科) 
   ヨツメ
32 オイカワ(コイ科) 
   アカバエ(雄)、ハイジャコ

・第5回 千種川掃討作戦
33 トサカギンポ(イソギンポ科)
 9月14日、久しぶりの土曜日の休みの午後に5回目の釣行です。こんなペースで釣りをするの、何年振りだろう・・・。

 今回は千種川の釣り残しを片付けようと、サバ虫を購入して河口から中流へ攻め上ります。
 まずは河口域で砂底の波打ち際にいつもいる小さなハゼを狙いますが、時期が早すぎるのか全く姿が見えません。それでもタダじゃ帰らず、牡蠣殻の間から顔を出したトサカギンポを確保。この魚もイダテンギンポと同じく鋭い犬歯を持っているので写真撮影は恐々と(汗)

 次いで、タナゴ類、特にヤリタナゴとカネヒラの実績が高い小川に移動しましたが水量が多すぎ、ヌマムツとオイカワしか釣ることができませんでした。

 続いて千種川中流域のテトラの穴釣りのはずでしたがテトラ自体が水没していて狙いの釣りができず。ここも来月以降に期待するしか・・・。

 最後は前回も行った魚種豊富なポイントです。今日もポイントを点々としながら、見えている魚を狙い撃ち。
 ここでは秋に繁殖期を迎える大型のタナゴ・カネヒラのメスと、特定外来生物・ブルーギルを追加。ただし確実に獲っておきたいヤリタナゴを見つけることはできませんでした。いつも普通に釣れていたはずの魚に苦戦するのが、こういう釣りの難しいところ。
34 ブルーギル(サンフィッシュ科) 35 カネヒラ(コイ科)

・第6回 穴釣り掃討戦と、思い出の場所 
36 アゴハゼ(ハゼ科) ドンコ
 9月16日は台風の吹き返しの強風が気になりますが、午後から相生湾に行き、穴釣りで3回目の釣り残しを狙うこととします。
 前回は石ゴカイを使用しましたが、今度はオキアミと冷凍イカナゴを調達。本当はシラサエビ(スジエビ)でやりたいけどこの暑さでは保存ができないからなあ・・・。
 まずは石畳の間を探ってみますが今回もまたシラタケと石くぐりばっかり。しかし諦めて移動しかけた時に7cmくらいのハゼが食ってきました。一見カウント済みのドロメにも見えますが、尾鰭に点列のあるこの魚はアゴハゼ。ごくごく一般的な潮だまりのハゼです。

 ポイントを点々と探り歩きながらテトラエリアへ到達。今日もエギをキャストしている人が数人いて、せっせとロッドをしゃくっています。
 この辺でも秋のエギングはまだまだ盛んで、多くの人がアオリイカがカキフライサイズの時から血相を変えて狙っていますが、一つのテトラで2〜3時間も粘るような人のなんと多いことでしょう。他の釣りをしながら見ていると気付く事ですが、細かい技術やタックルにばかり捉われて大きな部分に目がいかないんでしょうかねえ。(私も人の事、言えませんが。)雑誌の釣果に踊らされ、渡礁や磯での安全確保を学ぼうともせずに沖磯に渡ってくる一部のルアーマン同様に。

37 カサゴ(フサカサゴ科) ガシラ
 さて、テトラエリアでもシラタケの猛攻が続きました。見えていたメバル類もグレもサシエを食うことはありませんでした。しかしながら、ここまで釣れないとは思っていなかったカサゴ(ガシラ)をようやく確保し、ホッと一息。
 ただし、ちょっと心配になったこともあります。テトラの間にゴンズイ玉がいたのです。こんな魚今までこの海では見たことがなかったのですが・・・。今後夜釣りが大変になるかもしれませんね。まあ、今回はオキアミを見るや否や、一目散に逃げていきましたけど。

 さあ、これでカウント済みが37種になりました。残り10種を何をどう攻めようかと指折り数えている時にふと思い出したことがあります。そういえばこの時期にコトヒキが釣れるポイントがあったことを。

 で、急いで移動。やってきたのは相生湾奥です。
 長崎から91年前に伝わった相生ペーロン祭の会場でもあるこの辺りには、昔、皆勤橋というものが架かっていました。それは相生の中心部と対岸の造船所を結んでいた、中央部可動式、歩行者・自転車専用の浮橋でした。その台船の下にはチヌやスズキなどがウヨウヨしており、毎晩のように通い詰める釣り人たちの交流の場となっており、私も色々な年代の方々から様々なことを学ばせてもらった場所。
 確かこの橋のたもとで9月ごろにコトヒキが釣れたはず・・・。

38 キチヌ(タイ科) キビレ
 現在この橋は完全に撤去され、跡地には記念碑が建つだけで跡形もありません。それでも釣れるのかと不安を抱きつつブッコミ仕掛けを投入してみると、コトヒキこそ釣れなかったものの、ウロハゼと予想外のキチヌ(キビレ)を仕留めることができました。やってみないとわからないものですね。

 そうそう、よく考えてみたらこの1か月の釣獲魚種がなかなか凄いことになっていました。8月17日の高知50目チャレンジで34種+今回の一連のチャレンジで38種+先日の橘浦での掛り釣り等で6種−重複10種=1か月で68種!(9月30日まで入れると、下記の淡水魚4種+安満地の5種が加わり、1月半で77種! 2013年(H25)1年間だと108種!煩悩の数だけ釣りました。)なんとまあ・・・。

・第7回 本気でタナゴ釣り&ついでにルアー
 この日は卵黄と小麦粉を練り、みりんを加えた「黄身練り」を作って、相生市内の小さな池へと繰り出しました。
 池のほとりに立つと、居ます居ます!2〜3cmの無数のタナゴたちが。すぐに全長矢引き程度の脈釣り仕掛けをハエ竿に結び、タナゴバリに黄身練りをほんの少し付けて投入すると、たちまち壮絶な奪い合いが巻き起こりました。ただ魚が相当小さいのでなかなか針に掛らず意外に苦戦。

39 イチモンジタナゴ(コイ科)
 そのうち少し沖に大きなタナゴが見えるようになったので狙いを絞るとあっさりヒット。4.5cmと、他と比べて桁違いに大きい細長いタナゴが手の中に飛び込んできたのです。今は繁殖期ではないので地味ですが、初夏にはスラリと伸びたピンクとエメラルドグリーンのストライプが美しくなるイチモンジタナゴです。

 しばらくこのイチモンジタナゴが釣れ続き、圧倒的多数を占めている種は相変わらずハリに掛かりません。ええい、釣るまで帰れんぞ!と意地になっていると、ようやく狙いのタイリクバラタナゴ、2.5cmをゲット。
 このタイリクバラタナゴは、戦時中に中国大陸から入ってきた外来魚で、旺盛な繁殖力で繁栄。日本の在来種で亜種関係にあるニッポンバラタナゴと交雑することで、その純血種を絶滅寸前にまで追い込んでいる魚です。このように外来種問題は何も魚食魚に限ったことではありません。さらには錦鯉やマゴイなどの放流による生態系破壊や、河川ごと、谷ごとに細かく分化してきた在来種を他の場所に移植することだって大問題なのです。

40 タイリクバラタナゴ(コイ科)
41 モツゴ(コイ科)
42 コウライニゴイ(コイ科) ニゴイ 
 その後もう一種、4.5cmのモツゴを釣って1時間ほどでこの池での釣りを終えることができました。
 それから赤穂市に移動して、何故かまだ釣れていないヤリタナゴを狙い、ようやくゲット!と思いきや、よくよく見るとちょっと体高の低いカネヒラのメスですわ〜。

 さあ、次は今回初のルアー釣りです。千種川が増水している今はナマズのチャンス!張り切って場所移動♪
 が、現実は甘くはありません。
 轟々と水が流れる堰堤でバド缶やらスピナーベイトやらミノーやらを投げ、丸玉オモリ1〜2号を通したテキサスリグもどきのワームを水流に乗せて転がしたりしてみますが、ナマズどころかバスすら当たってきませんでした。
 仕方ないので笹濁りの支流のポイントへ移動して、アスリートF9cmで60cm程のコウライニゴイをキャッチ。この魚のレギュラーサイズではありますが、2.5cmの魚を釣った後ですから物凄くでっかく感じてしまいますね〜(笑)
 ちなみにコウライニゴイは外来種ではなく、元から居たニゴイという魚が日本(中部地方以北および山口県錦川以西)にのみ分布するニゴイと、日本(中部地方以南〜錦川以東)及び朝鮮半島、中国大陸、台湾に分布するコウライニゴイの2つに分割されたものです。

 今回はとりあえずこれで終了。さあ、残りもいよいよ5種となりました。

・第8回 フカセ釣り&ソルトウォータールアーフィッシング解禁 
 9月最後の釣行は相生湾。今回のチャレンジで初のフカセ釣りです。グレを狙うには釣り期の短いこちらですら少々早いような気もしますが、その分色々な魚種が狙えるかもしれません。

 こちらにはグレのビッグワンはいません。30cmを出すのは至難の業だし、無数に張り巡らされたカゴ漁のロープや刺し網の位置を想像し、回避した上で、浮力を微調整したゼロの仕掛け(ゼロゼロだと塩分濃度の関係で沈む)と撒き餌の塊を40mほど沖に同時撃ちすることでようやく30cm手前を手にできるといった釣りを迫られることも少なくありません。一方グレは暖期でも丸々と分厚く、風味も舌触りも外海とは別物というものに出会える可能性が高いのが魅力です。

43 クサフグ(フグ科)
 まずはテトラからグレをおびき出すために足元のやや前方だけに撒き餌を打ち、様子を見ますが・・・う〜ん、グレは少なく、サイズも小さいですなあ。
 その代りに撒き餌に殺到しているのは、10cmあるなしのマルアジの子の集団と、いつも苦しめられる異常に足の速いクサフグ達、そしてイワシ類の大群です。
 マルアジは投げ釣りで釣ってカウント済みですが、クサフグの方は初ゲット♪(嬉しいのは当然、最初の1匹だけですが。)イワシ類も追加したかったけどグレバリに掛るサイズではなかったし、ライジャケのポケットに忍ばせてきたサビキも形状の選択ミスで通用せず。あとは小さなオヤビッチャも数匹泳いでいましたが、あれじゃ狙うだけ無駄ですな。

44 メジナ(メジナ科)
   グレ
 メジナ(口太グレ)の方は開始から1時間余りで一枚目がヒット。この日はグレが少数派だったせいか沖には走らず15mほど沖で当たってきました。サイズは26cmですが、体が分厚いのでサイズ以上に大きく感じられます。

 その後は25cmくらいまでのチヌが3枚あたったのと一枚目と同サイズの口太グレを追加しましたが、それで終わり。
 日が傾くとともにエサ取りのアタリも遠のいたうえ、撒き餌も切れたのでフカセタックルを片付け、別のタックルに持ち替えます。

 手にしたのはシーバスロッド。アジとイワシの群れを追ってセイゴはもとより、35cm程度のツバス(標準和名ブリ)やサゴシ(標準和名サワラ)などが回ってくることがあるという話を聞いていたので準備はしてきていたのですが、この日目撃したのはセイゴのボイルのみ。それも夕まず目にはすっかり沈静化してしまっていました。
 なので魚の居場所を足で探す作戦を採ることにし、ミノー・サラナ80Fを乱れ打ち。30cm、25cm、45cmのセイゴと、22cmのタケノコメバルを2匹キャッチできました。ただしどちらもカウント済みにつき、1か月での目標達成には失敗です。

第9回 夜明けのルアー&切り札での探り釣り
 サゴシとツバスで一気にリーチといきたいな。10月1日は休みでしたので、珍しく夜明け前にルアーロッド担いで相生湾に出発です。

 到着した時には静かだった海は、日の出直前に狂乱状態となりました。いくつもの無数の小魚の群れが音を立てて逃げ惑い、水面にはいくつもの激しい水柱が乱れ飛んでいます。私が投じたシュガーペンシルは炸裂する波紋の中を突き進み、時折爆発に巻き込まれて宙に舞い上がっています。
 しかしながらこの日もサゴシ・ツバスの姿は無く、水面をかき回しているのも、ペンシルベイトを食い損ねているのも、ミノーを追ってロッドに弾かれているのも全てセイゴでした。ロッドに問題があるのかバラシも多発しましたが、それでも結構な数のセイゴをキャッチ&リリース。食料用のセイゴは昨日ので足りてますからね。サゴシなら持って帰るのになあ。

 この日はついでに波止際の探り釣り&穴釣りにも挑戦してみましたが、タケノコメバルとムラソイとガシラばかりで、見えていた小さなメバル類にはシラサエビ(スジエビ)も、隣にいたおっちゃんから頂いた切り札「ブツエビ」(ミナミヌマエビなど)も通用せず、このチャレンジで初めて一種も追加できずに終了してしまいました。私は今、ハオコゼを釣ったおっちゃんに羨望を覚える、変な釣り師になっております。

第10回 最近のメバル類は軟弱者?
 播州地方の釣り師(特にベテラン層)が重要視する対象魚は、1にメバル、2にサヨリ、3にアジ。特にメバルは別格といっていい存在で、ブツエビを撒きながら述べ竿で釣るスタイルが確立されており、その釣りのために生み出された「エビ箱」という伝統工芸品的な道具まで存在するほどです。(ちなみに私のメインターゲットのグレは、メバル用の撒き餌に集まり仕掛けを切っていく凶悪な外道として、ベテラン層に非常に嫌われる存在でしかなく、不味そうでとても食用になるような魚ではないという認識だったんですよね・・・。つい最近まで。)

 このように播州人にとって特別な存在であるメバルですが、実は”メバル”という種は、もうこの世には存在しないということをご存知でしょうか?メバルという和名も2008年をもって消滅し、今はアカメバル、クロメバル、シロメバルの3種に分けられているのです。
 この3種を見分けるには胸鰭の根元の軟条の数を数えます。「15本だとアカメバル、16本ならクロメバル、17本だとシロメバルであることが多い」そうです。体色などでもある程度の区別は付きそうですが、変異が激しいので厄介なんだとか。

 この辺りで釣れるのはシロメバルのような気がするけど、本当にそうなのか?それを確かめるためにも、メバル複合種群はぜひとも釣っておきたい魚。土日の早朝からの仕事と泊まりの仕事のダブルヘッダーが終わった10月7日に、シラサエビを買って出陣です。ただしこの日は真夏日で、あまりにも暑かったから2時過ぎまで自宅待機。
 
 港の内側を覗くとこちらのレギュラーサイズ、7〜8cmのメバル類が群れていました。早速シラサエビの小さめの所をハリに刺して投入すると、ほとんどのメバル類は無関心ですが、中には興味を示して近づいてくる個体もいました。ところが沈んでいく小さなエビが「ピンッ!」と一跳ねするや・・・
 「ひぃぃぃぃ!」
 「殺されるっ!!」
 「命ばかりはお助けを!!」
 とばかり、すべてのメバル類が蜘蛛の子を散らすように大パニックを起こして逃げてしまうのです。どの群れもどの群れも。最近のメバル類ってこんなに軟弱者になってしまってるんでしょうか?夕方になったら群れごといなくなってしまうし。

 結局この日も異常発生中のタケノコメバルの猛追と、セイゴ、チヌ、キュウセンのヒットばかりで新着は無し。ここへきてまさかの大失速です。

第11回 大物狙いのフカセ釣り
 メバル類狙いはいったん終了。今回は大物狙いです。
 というのも、現時点で30cmを超えた魚というとコウライニゴイ(65cm)とスズキ(セイゴ、最大45cm)の2種だけ。このままでは小物だけで47目という非常に寂しい結果になってしまいますからね。

 ただ、この地域の海で普通に40cmを超える魚というとクロダイ、スズキ、ボラ、メナダ、ナルトビエイ以外にはマアナゴ、ウナギなどの長物か、たまに期間限定で回遊してくるタチウオ、ブリ(ツバス)、サワラ(サゴシ)くらいしかいません。大きい魚が普通に見られるのはむしろ淡水域の方。
 ということで今回はお手軽に大きいのが狙える千種川中流域の井堰の下にやってきました。

 まずはフカセ釣りでコイ狙い。細かくちぎった食パンをパラパラと撒きながらタックルを組んでいきます。
 今日は道糸2.5号、ハリス1.5号を矢引き、チヌバリ3号の組み合わせ。強めの磯竿&レバーブレーキリールでやるのなら多少大きなコイでもこれくらいの太さで問題ありません。竿は柏島で釣った「がま磯インテッサGV 2号」。今日はこの竿のダメージテストでもあるのです。(目に見える傷は無くても海に落ちていた竿ですからね。いきなり遠征に持って行く勇気は・・・。)ハリス道糸直結部の上には飛ばしウキ兼マーカーとして円錐ウキを固定にしますが、サシエ自体が浮きますのでウキの浮力なんかは適当でOK。
45 コイ(コイ科)

 ポイントには45cmくらいのコイが1匹いて、開始早々から盛んに撒き餌を口にしていました。サシエを流し込むと案の定すぐに食いついたので、竿のトルクで浅場に誘導して一気にズリ上げ一丁上がり。ケバケバした色付きですが、これも和名はコイです。(マゴイも錦鯉もドイツゴイも和名は全てコイなんです。)

 元々一匹しかいなかったコイを釣ってしまったのでパンを追う魚がいなくなりました。でもパンに誘われたわけではありませんが川底にへばりついているナマズが2匹目視できますから、次はそれらを狙ってみることにします。

 傍らに置いていたシーバスロッドにミノーをセットしてナマズの前を通してみますが、全く反応がなく、何度かやっているととうとう逃げ出してしまいました。
46 ナマズ(ナマズ科)
 う〜ん、何かいい手立てはないものか?とバックの中を探っていると、随分前に買って使っていなかった「パワーイソメ」という代用エサが出てきたのでフカセの道具の方に刺し、ウキをスルスルにしてガン玉を打って、もう一匹のナマズの口元に流し込んでワンアクション。すると寝ていた魚も思わずリアクションバイトしてがっちりフッキング!あとは難なくタモに収めて50cmほどのナマズをゲット!ナマズって旨い魚なんですよね〜。熱湯をかけてヌルさえ取れば捌くのも簡単だし♪

 これでリーチです!この井堰のポイントにはオオクチバスがいるので、それを釣ってしまえば一発ツモなんですが、ここまできたらバスなんかでは達成したくないという思いがありましたし、それよりも今日はでっかいコイ、それも色の付いていないコイを釣ってみたいという気持ちの方が大きくなってきたので場所を移動してコイ釣り続行。

 次のポイント・・・といっても井堰の反対側には、多くのコイの姿がありました。しかし撒き餌には基本的に無反応、ごくまれについばむ程度の者ばかりで、なかなかサシエを食わせることができませんでした。

 ところが、夕闇が迫り出し、帰り支度を始めようとしかけたころになって猛烈にパンを追うでっかい真鯉が現れ、1.5号ハリスの仕掛けにヒット!
コイ、逃走中。手尺で85cm。
 それはヒットと同時に水面に水柱を立てて荒れ狂い、何度も何度もダッシュを試みます。しかしながらインテッサGVは立てているだけでそれらを全て潰し、糸を出す必要もなくグイグイと引き寄せてくるではありませんか。がま嫌いの私もこのパワーにはあっさり脱帽です。
 しかし大変なのはここからでした。余裕で寄せてきたコイは50cmのタモに簡単に収まるようなサイズではありませんでした。タモに頭を突っ込ませては入りきらずに暴れられ、逃走を許すという一連の動作を何度繰り返したことでしょうか。そして、私も魚もクタクタになったころにようやくタモに収まり、ウンウン唸りながら引き上げたコイは丸々太った85cmクラス。

 ところがこのコイ、私がカメラを取り出している隙に大暴れを始め、物凄い水しぶきを上げて50cm下の水面に落下。文字通り今までの苦労が一瞬で水泡に帰してしまったのです。それでもカメラには逃走中の姿が写っていました。まさに執念の1枚。

第12回 週末まで待てない! 仕事帰りの夜の波止
 残り1種。どの魚で締めくくるか悩みどころです。
 現時点で姿を確認しており、まだ釣れていない魚のうち、狙えば何とかなりそうなものはアミメハギ、ハオコゼ、ボラ、メナダ、カタクチイワシ、メバル複合種群、シマイサキ、オオクチバス、ヤリタナゴなど。希望としてはアサヒアナハゼかキリンアナハゼを釣ってその名前に関する面白い話を書いてみたいけど、どこに消えてしまったのか見当たらないし、それならいっそタチウオの回遊してくる11月中旬以降まで待って、食い込ませるまでの駆け引きが最高に面白い電気ウキ釣りで終わらせる手もあるな・・・。

 そこまで考えた時に、今回はまだ夜釣りをやってないということに気付きました。そうだ!播磨灘名産のアナゴで決めるのもいいな!
 夜釣りと決まれば休日を待つまでもありません。10月10日の仕事の後に、シーバスロッド1本と青虫(アオイソメ)300円分を携えて、赤穂市坂越(さこし)の波止までやってきました。

 今夜は短時間勝負なので投げ釣りより波止際の探り釣りです。仕掛けもシンプルそのもので、サルカン一体型オモリに5cmほどのハリス、有りあわせのセイゴ鈎を結んだだけのもの。それに青虫を刺して波止際に落とし、底を小さく叩きながらゆっくりと探り歩いていきます。

 真っ暗闇の中、海底との対話をし続けていると時折アタリが割り込んできます。プルルッ!という大きくて軽いのは姿を確認するまでもなくマハゼのアタリ。前触れなしに重みが乗ってくるのはガシラのアタリ。アナゴらしきアタリは全くありません。
 かつてこの波止では、タチウオ釣りの合間に行ったケーソンの隙間を狙ったズボ釣りでマアナゴを10数本入れ食いさせたことがあるので、今回もそんなのをちょっとは期待していたのですが、何しろその釣りをしたのは約20年も前のこと。環境も波止の形状も大きく変わっていますからね〜。

47 マアナゴ(アナゴ科)
   アナゴ、デンスケ(老成魚)
 それでも折角来たのだからとあちこち探り歩いていると、不意にガツ!ガツ!という感触が伝わってきました。しっかり食い込ませてからアワセると、上がってきたオモリの下に細長いドジョウのようなものが付いています。ライトを当てて確認すると、小指くらいの太さの小さなマアナゴがウネウネとのたうっているではありませんか!「居ったんや!今も!!」

 サイズはともかく、この魚が相生・赤穂・上郡から成る旧赤穂郡で9月以降に釣った47種目の魚。これでついに目標達成です!

半之丞さん、やりました! 
 こうしてタイムリミットの12月14日どころか10月の連休すら待たずに四十七目制覇の本懐を遂げることができましたので、釣りに行くはずだった連休はチャレンジの仕上げとして「赤穂大石神社」に参詣してきます。「菅谷半之丞(赤穂義士随一の釣り好き)さん!ついにやり遂げましたよ!!」と。

 達成までに要した時間40日。ほとんどが午後からの数時間の釣りを12回。一回一回の釣りは欲張らず、無理せずにじっくりとやったのですが、夢中になってついつい通い詰めてしまいました。最近では竿を出すのは年に2〜3回程度と、ないがしろにしていた地元の釣り場や魚と向き合うのがあまりにも楽しかったから。
 しかし、これだけ釣ってもまだまだ地元には色々な魚種がいます。四十七目を一つの区切りとして、以降何種追加できるのかを目標に12月14日の赤穂義士祭まで挑戦し続けてみるのも面白いかもしれません。

 皆さんもそれぞれの地元で、このようなチャレンジをやってみてはいかがでしょうか?
 地元にも知っているようで知らなかった多くの発見があることに驚かされ、楽しめること間違いなしですぞ!
大石内蔵助をはじめとする赤穂義士と、浅野家3代、
森長可、蘭丸などを祀った「赤穂大石神社」
(写真は「西はりま遊記」から拝借)
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